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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

谷川十七世名人、1400勝達成

2025-01-17 00:48:20 | 将棋雑記
きょう1月17日は、阪神淡路大震災30年。30年前のあの朝は号外が出た。それには「南近畿大地震」の見出しがあった。
あれから30年とは、時の経つのは早い。私も歳を取るわけだ。

   ◇

15日に行われた第83期順位戦B級2組8回戦で、谷川浩司十七世名人が郷田真隆九段に勝ち、公式戦通算1400勝を達成した。大山康晴十五世名人、羽生善治九段に次いで3人目の快挙だ。
2019年8月17日に谷川十七世名人が通算1324勝を達成し、加藤一二三九段に並んだとき、当ブログでは同年8月25日に、「谷川九段は、通算勝利数を2位にできるか」という記事を書いている。ちょっと、再録してみよう。


この17日に谷川浩司九段が公式戦通算1324勝を達成し、3位の加藤一二三九段に並んだ。
3位とは若干中途半端だが、新聞ではしっかり記事になっていた。11日の日本シリーズで藤井聡太七段が和服を着たことが新聞記事になったのも驚いたが、将棋もメジャーになったものだ。
ではここで、通算勝利10傑を記しておこう。

1位 羽生善治九段 1439勝594敗2持 0.7078
2位 大山康晴十五世名人 1433勝781敗2持 0.6472
3位 加藤一二三九段 1324勝1180敗1持 0.5288
3位 谷川浩司九段 1324勝852敗3持 0.6084
5位 中原誠十六世名人 1308勝782敗3持 0.6258
6位 内藤國雄九段 1132勝1000敗 0.5310
7位 米長邦雄永世棋聖 1103勝800敗1持 0.5796
8位 有吉道夫九段 1088勝1002敗 0.5206
9位 佐藤康光九段 1035勝631敗 0.6212
10位 桐山清澄九段 993勝939敗 0.5139
(2019年8月24日現在)

谷川九段は1977年2月の初対局から、42年6ヶ月での達成。年平均31勝だが、2010年度から負け越し数が多くなる。

2009年度 21勝16敗
2010年度 11勝18敗
2011年度 10勝17敗
2012年度 11勝15敗
2013年度 14勝22敗
2014年度 12勝20敗
2015年度 11勝17敗
2016年度 12勝18敗
2017年度 17勝14敗
2018年度 28勝19敗
2019年度 9勝11敗

谷川九段は2009年4月から2011年3月まで日本将棋連盟棋士会会長。同年5月から2012年12月まで専務理事。同年12月、米長邦雄会長(永世棋聖)の逝去に伴い、会長就任。以降、2017年1月まで務めた。
この間は成績が低迷し大きく負け越したが、会長辞任のあとは、激務から解放されたのがよかったのか、2017年度は8年振りの勝ち越しを決めた。そして2018年度は28勝を挙げ、2003年度・38勝以来の勝ち星となった。
大山十五世名人のように、多忙をエネルギーに変える人もいるが、このケースは稀。谷川九段のような棋士には、対局に専念させてあげなければいけないと思う。
では、谷川九段が通算勝利2位の1433勝を達成することはできるか。残り109勝だが、年度15勝すれば、あと7年半で抜ける計算だ。
これは谷川九段が還暦以後も健康に留意すれば、達成できる。
問題は、谷川九段が突発的な不調に陥って、順位戦をB級2組に降級してしまった場合だ。
何しろ、永世名人がB級2組で指したケースはない。谷川九段も、そこまで落ちて指したくはないだろう。
谷川九段の将棋は格調が高く、熱狂的なファンも多い。それだけに、自己の進退にも厳しくあると思われる。
いずれにしても私は、今後の戦いに注目している。


上の記事では、通算勝利1433勝に達するには、年度15勝をキープすれば、7年半で達成可能、と推察している。
しかしその間、順位戦でB級2組に降級しから現役を引退してしまうのではないか、とも書いている。
実際谷川十七世名人は2019年度、B級2組に降級してしまう。でも幸いなことに、谷川十七世名人は、現役を続けた。
ではここで、2019年度からの成績を書いておこう。

2019年度 18勝26敗
2020年度 13勝16敗
2021年度 15勝16敗
2022年度 15勝16敗
2023年度 15勝15敗
2024年度 9勝15敗

勝ち越しの年こそないものの、2019年度から2023年度まで、5年間で76勝。年平均15.2勝で、まさに私の読み通りの勝数である。
そしてここまでくれば、あとは健康に留意すれば、34勝(単独2位)は可能だろう。それがいつになるかだが、現在の年15勝ペースはやや鈍るとして、2027年7月ごろだろうか。
あぁ、2年半後のことなんか、考えたくもない。
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藤井竜王・名人の存在を知ってほしかった5人の棋士

2025-01-04 23:53:11 | 将棋雑記
藤井聡太竜王・名人の出現は衝撃的で、デビュー29連勝、22歳5ヶ月でタイトル26期、7年連続勝率8割など、数え上げたらキリがない。
それまでは21歳で名人を獲った谷川浩司十七世名人が真の天才だと思ったし、25歳で七冠王になった羽生善治九段は、それ以上の天才に思われた。
ところが藤井竜王・名人は、その羽生九段の上を軽く行った。私が存命中に、藤井竜王・名人という大天才を知ることができたのは、幸せなことだと思っている。
そんな藤井竜王・名人を、いま天国にいる棋士にも知ってほしかったと思うのだ。
むろん、天国で藤井竜王・名人の活躍を見ているかもしれないが、その見解を私たちは聞くことができない。
そこで今回は、その見解を聞きたかった5人の棋士を挙げてみる。

①米長邦雄永世棋聖
まず思うのは、米長永世棋聖である。米長永世棋聖の才能は当然ながらトップクラスだが、本人は、自分が一番、と思っていたのではなかろうか。実際、対谷川戦は31勝33敗とほぼ互角だったし、対羽生戦も10勝16敗と、まあまあ善戦している。
そんな米長永世棋聖が藤井竜王・名人の活躍を見たらなんと言ったか。賞賛のなかに諧謔を加味して、私が考えもつかない表現で、藤井竜王・名人を称えたのではなかろうか。

②河口俊彦八段
河口八段は、私が敬愛する評論家のひとりである。もし存命なら、「対局日誌」を通じて、藤井竜王・名人を評してほしかったところ。
そのほか、観戦記から藤井評を知る方法もあった。それらを編集して単行本にすれば、「大山康晴の晩節」「羽生と渡辺」に並ぶ、いい藤井本ができたと思う。

③真部一男九段
真部九段も河口八段と同じ意味で、研究者目線から、藤井竜王・名人の将棋を見てもらいたかった。
真部九段はおのが将棋に自虐性があったので、よけい藤井評が際立ったと思われる。

④大山康晴十五世名人
大山十五世名人も、生きている時代が重なれば、なにがしかの藤井評を求められただろう。
そのとき大山十五世名人なら何と言うだろう。大山十五世名人は、棋力に加え人柄も見るから、藤井竜王・名人への評価は高かったと思われるが、あまりにも藤井竜王・名人が強いので、皮肉のひとつも言いそうなのが面白い。

⑤芹沢博文九段
芹沢九段は谷川将棋に心酔していたが、羽生九段の若手時代の将棋は、そこまで評価していなかった。
藤井竜王・名人はどうか。デビューからの圧倒的勝ちっぷりを見れば、その棋才を認めないわけにはいかないだろう。それをどう評しただろうか。
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2025年将棋界展望

2025-01-03 23:01:17 | 将棋雑記
2025年将棋界の展望を記してみる。
今年の将棋界も、藤井聡太竜王・名人を中心に回るのは間違いない。注目は再度の八冠なるかどうかで、王将と棋王を防衛後、叡王の挑戦者になり奪取する必要がある。
タイトル戦のリターンマッチは時の王者には必須で、大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人、羽生善治九段は何度もやってのけた。
現叡王の伊藤匠叡王は、叡王を奪取後10勝7敗で、可もなく不可もない成績。藤井竜王・名人が挑戦すれば、かなりの確率で奪取が見込める。
そして八冠王に返り咲けば、タイトル29期。谷川浩司十七世名人のタイトル27期を、22歳で抜くことになる。
そして今年、最終的に6タイトルを得れば、渡辺明九段のタイトル31期を、23歳で抜くことになる。
あらためて、すごい棋士が現れたものだ。
ただ、これをスンナリ許すようではいけないと思う。ほかの棋士も打倒藤井を目指さないと、別の意味で将棋界が衰退する。永瀬拓矢九段、佐々木勇気八段のように、すべてを犠牲にして藤井将棋の対策を立てるべきである。
女流棋界に目を転じると、今年も福間香奈女流五冠、西山朋佳女流三冠の戦いが主になるが、今年は中七海女流三段が割って入る。中女流三段は元奨励会三段で、両タイトル保持者に次ぐ、正真正銘の実力者だ。
中女流三段は12月19日のデビュー戦・女流名人戦予選1回戦で、川又咲紀女流初段に勝った。次の2回戦は加藤桃子女流四段で、これは恰好の試金石となる。
女流棋界も福間女流五冠と西山女流三冠にタイトルを牛耳られてはいけないが、それを阻むのが元奨励会三段の中女流三段というのもアレである。やはり、ほかの女流棋士が頑張らねばならない。
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「将棋世界」新年号を読む

2024-12-27 13:26:20 | 将棋雑記
「将棋世界」は年末進行なので、もうちょっとで2025年2月号が送られてくる。このままでは本当にマズイと、私は1月号を袋から出し、読んでみた。将棋世界を読むのは実に数ヶ月ぶりとなる。
表紙は羽生善治日本将棋連盟会長。新・将棋会館を前にパチリ、である。私は、藤井聡太竜王・名人が表紙だと思っていたが、このチョイスは確かに正しい。
別冊付録は、及川開拓馬七段による「初段 常識の手筋Ⅲ」。
むかしは、新年号の別冊付録は気合が入っていて、「全棋士出題次の一手」とか「全棋士出題詰将棋」とか、特別感があった。現在はふつうの付録?で、あまり高揚できない。実質正月に読む2月号にそれがあるのだろうか。
話を戻し、今回の付録はシリーズ3回目で、過去2回は再編集し、単行本化された。この付録は私も保存してある。
「はしがき」で、「私はアマ初段が壁でした」という一文が泣かせる。棋士はアマ初段がただの通過点でしかないので、こちら側に寄り添ってくれる記述にホッとした。
内容は全50問。部分局面の第22問までは手筋の再確認という意味でサラサラいけるが、第23問目以降は、けっこうホネのある問題が増えてくる。この1冊で相当な価値がある名著だ。
タイトル戦は第37期竜王戦七番勝負で、第4局がメインである。書き手は大川慎太郎氏で、大川氏の記述にはずれなし。今号も練りに練った観戦記を堪能できる。
第2、第3局は、渡辺和史七段と山川泰熙四段の解説。対談形式で、往年の名企画「タイトル戦を斬る!」を彷彿とさせる。
構成は相崎修司氏。この仕事が重要で、解説者が奔放な語りを破綻なくまとめなければならない。
特別企画は、鈴木宏彦氏の「将棋会館物語」。各対局室で紡がれた名局を掘り起こすというあまりにも無謀な企画で、今月は「銀沙・飛燕・歩月・香雲編」である。
本文にもあるとおり、東京・将棋会館の対局室といえば、「特別対局室・高雄・将棋峰・雲鶴」しか知らないので、この名称は新鮮だった。
鈴木氏の記述は手慣れたもので、安心して読めた。
勝又教授の「プロも驚く仰天妙技」は、「横歩取りクロニクル」の後編。横歩取りの歴史をざっと振り返っているが、6ページでは短すぎる。10ページはほしかったところである。
戦法特集は、大島綾華女流二段による「対四間飛車 金無双急戦」。女流棋士が講師というのは異色だが、大島女流二段はこの戦法を得意にしているらしい。
私がこの戦法を始めてみたのはだいぶむかし、羽生善治九段が指したときで、6八(4二)の位置には銀がくるものと思っていたから、飛車落ち下手のような指し手には意表を衝かれたものだ。
しかし本文を読むと駒がまとまっているため理に適っており、とても勉強になった。実戦で試す価値は大いにある。
なぜか短編小説が載っていて、遠藤遼氏の「夕陽色の将棋盤」である。これなど「将棋ペン倶楽部」に投稿してほしいところだが、同誌は原稿料が出ず、発行部数も少ない。将棋世界での掲載で正解である。
「公式棋戦の動き」も、大川氏記述。むかしは関浩七段も担当していた。大川氏の取材も丹念で、プロの妙技を堪能できる。
そのほかにも読み物たっぷりで、税込920円。これ1冊を読み込むだけでもかなり勉強になる。やはり将棋世界は面白い。
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中村八段が竜王戦でまた負けた

2024-12-24 23:30:30 | 将棋雑記
日本将棋連盟19日の対局結果を見てびっくりした。第38期竜王戦5組1回戦で、中村太地八段が、渡辺正和六段に敗れていたからだ。
中村八段は元王座で、A級2期目の気鋭。対して渡辺六段はフリークラス6期目。勝敗予想をすれば、10人中9人が中村八段の勝ちを予想する。だがその将棋を、中村八段は負けた。
私はネットでこの将棋を見てみた。中村八段の先手で、相掛かり。中盤、中村八段の攻めがうまく決まって、勝敗を知らなかったら、このまま中村八段が勝つと信じて疑わなかった。
ところがその後、渡辺六段がダサい手順で香を入手し。6筋に据えたのが反撃の第一弾。中村八段は竜を逃げたが、渡辺六段はさらに、竜取りに角を打った。これが妙な角というか妙角で、以下大きく駒を捌き、渡辺六段が面白い形勢となった。以下、渡辺六段の着実な攻めが冴え、渡辺六段の快勝となった。
プロの実力差は紙0.1枚(木村義徳九段)を再認識する勝敗だった。
中村八段は計算外だったろうが、そもそもA級の中村八段が、竜王戦で5組にいるほうがおかしい。
竜王戦は順位戦に比べて風通しがよく、年度20名が昇降級する。だから順位戦でくすぶっていても竜王戦では上のクラス、という例も少なくなく、たとえば八代弥七段は順位戦がC級2組なのに、竜王戦では1組である。
ところが中村八段はその逆だ。昨年3月に中村七段(当時)がA級昇級を決めたとき、竜王戦は4組だった。4組の棋士がA級に昇級したのは初めてで、当時プチ話題になった。
いや中村八段も、竜王戦は2組まで昇ったことがあるのだ。ところが順位戦の昇級と交差するようにして、竜王戦は降級を重ねた。そこでこの椿事であった。
さらに驚いたのはそのあとだ。中村八段は第36期竜王戦4組1回戦で宮田敦史七段に敗れていたが、A級昇級で安堵したのか、そのあとの昇級者決定戦で佐藤紳哉七段にも敗れた。
さらに残留決定戦で川上猛七段にも敗れ、5組に降級してしまったのだ。
佐藤七段はC級2組、川上七段に至ってはフリークラスが10年を過ぎ、竜王戦だけしか出場権利がなかった(なお川上七段戦に関しては、かつて記事にしている)。ここは中村八段がどちらかに勝ち、残留を決めなければいけなかった。
竜王戦は第37期も、5組1回戦で長谷部浩平五段に負け。昇級者決定戦では窪田義行七段に勝ったが村田智弘七段に負け、今回の対局となったわけだった。
これだけを取れば「中村八段、弱い」となるが、だけどその間、中村八段はA級で勝ち越し残留を決めていた。つまるところ、竜王戦との相性が悪い、と片付けるしかなかった。
ところで今期の竜王戦、中村八段は昇級者決定戦で、先崎学九段VS川上七段の敗者と当たる。
そう、ここで川上七段がまたも登場する。川上七段は、(恐らく)今期4組に昇級できなければ引退である。となればひとつでも多く勝ちたいが、先崎九段に勝ったとして、2回戦で中村八段との対局を回避できたのは大きい。当然ながら、渡辺六段と戦ったほうが、勝機がある。
ただ逆に、1回戦で負けると、次に中村八段と当たる。こうなったらまた、新たなドラマが生まれそうである。
どの棋戦も番勝負が花形だが、そこに至るドラマを楽しむのも、将棋ファンの醍醐味である。
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