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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

藤井竜王・名人は年度勝率8割を達成できるか・2

2025-02-11 22:34:11 | 将棋雑記
昨年12月22日の当ブログに、「藤井聡太竜王・名人は年度勝率8割を達成できるか」という記事を書いた。
当時藤井竜王・名人は今年度27勝9敗、勝率.750だった。
そのときの残り棋戦と、最大勝数は以下のごとくだった。

第10期叡王戦本戦 ○○○○
第74期王将戦七番勝負・永瀬拓矢九段 ○○○○
第18回朝日杯将棋オープン戦本戦トーナメント ○○○○
第50期棋王戦五番勝負・増田康宏八段 ○○○
第74回NHK杯 ○○○

最大18勝で、全勝で切り抜ければもちろん8割越えとなるが、さすがにそれは無理。
問題は負け方で、タイトル戦の1敗なら傷は浅いが、トーナメント戦の中途で負けると勝数が少なくなり、黄信号となる。
実際、今年1月19日の朝日杯では、本戦2回戦で服部慎一郎六段(当時)に敗れ、エライことになった。最大4勝を見込めたのが、1勝で終わってしまったからだ。
しかし藤井竜王・名人は頑張った。これ以外の棋戦は。王将戦、棋王戦のタイトル戦をはじめとして、全勝で乗り切っているのだ。

第10期叡王戦本戦 ○
第74期王将戦七番勝負・永瀬拓矢九段 ○○○
第18回朝日杯将棋オープン戦本戦トーナメント ○●
第50期棋王戦五番勝負・増田康宏八段 ○
第74回NHK杯 ○

これで34勝10敗。しかも、NHK杯では優勝したのではないか、という噂もあり、それを信じれば「36勝10敗.783」となる。
では、残りの対局での最大勝数を改めて確認してみよう。

第10期叡王戦本戦 ○○○
第74期王将戦七番勝負・永瀬拓矢九段 ○
第50期棋王戦五番勝負・増田康宏八段 ○○

最大6勝。よって年度最大も42勝となり、勝率8割をクリアするためには、もう一番も負けられないことになる。
そしてあす12日は、叡王戦本戦2回戦・戸辺誠七段戦が行われる。戸辺七段は中飛車の名手。さすがの藤井竜王・名人も対振り飛車はそこまで研究していないはず。また両者は初対局であることから、この条件は戸辺七段のほうに有利に働くと思う。
あすはABEMAで中継があるが有料なので、私は見られない(課金はしない)。ネットでのチャットを楽しみにしたい。
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矢倉の後手は囲いが薄い

2025-02-10 23:36:57 | 将棋雑記
将棋に消えた戦法は数多あるが、その代表格は「相矢倉」である。「矢倉」はかろうじて残っているが、先手が金矢倉まで構築することは珍しく、また仮に構築しても、玉を入城することはなくなった。
そして後手は本当に、矢倉城を構築することはなくなった。先後同形にしても先手に気持ちよく攻められ、勝率が悪いからである。
だから後手は囲いを諦め、急戦に出る。その際、角は居角である。冒頭に記した、先手玉が矢倉城に入城できないのは、この角の射程に入るからである。
さらに後手は△6二金―△8一飛型を採用する。この形は角換わり形の常套だが、相居飛車戦全般で重用されている。その際、後手玉はバランスを保つため、△5二玉型を採る。これが私には気に食わない。この形は囲いが薄く、先手の攻めをモロに受けて、攻め合い負けになると思うからである。
今月の2日、NHK杯で増田康宏八段VS梶浦宏孝七段の一戦が放送された。
増田八段は現在棋王戦で藤井聡太棋王に挑戦中の、若手のホープ。
梶浦七段は鈴木大介九段門下の俊英で、東京・新橋での無料解説会では、駒操作係として黙々と作業をこなしていたのが印象深い。
その2人の将棋は矢倉となった。後手の梶浦七段は例によって「△5二玉―△6二金―△8一飛型」を採る。中盤までうまく指し、Aiは梶浦七段の優勢と判定していた。
そこで67手目、増田八段が▲7三銀と打ったのが第1図である。

第1図、この応手が意外に難しく、アマ同士ならほぼ互角であろう。次の▲5二銀成がいきなり王手になるのが大きい。だから私はこの形が嫌いなのだ。単純に比較はできないが、これが△4一玉型だったら、▲7三銀も甘い攻めだった。
第1図でAIは△5三銀を推奨し、梶浦七段もそう指した。以下▲5五歩△同銀▲5四歩△同銀に▲6四桂(第2図)が先手期待の一手。この応手も難しい。

第2図で形勢バーは後手の80%を指していた。ここでAIの推奨手は△4二玉。▲6二銀成には△6四銀で先手指し切りということか。
だが梶浦七段は△6三玉。こう指したい気持ちも分かるが、以下▲6二銀成△同玉▲7二金(第3図)で先手は飛車の入手が約束され、先手が面白い形勢になった。

剥き出しの後手玉に対して、先手陣もいびつな形ながら、玉が一段目におり、戦場から遠いのが大きい。
このあと、梶浦七段に一失が出て、先手が逆転勝ちとなった。
この将棋だけ見ると、一段玉と二段玉の差が如実に現れたと思う。
ちなみに、9日放送の▲佐藤康光九段VS△藤井聡太竜王・名人では珍しく相矢倉となったが、後手の藤井竜王・名人が△4一玉型を採用していた。これは矢倉中飛車の構想があったからアレだが、今後この形が復権するかもしれない。
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羽生九段、B級1組から降級の危機

2025-02-08 23:40:40 | 将棋雑記
6日に行われた第83期B級1組順位戦12回戦の結果に、ちょっとびっくりした。すでに降級の決まっている山崎隆之八段に羽生善治九段が敗れ、4勝7敗。13名中11位となり、3月6日の最終戦に敗れると、B級2組に降級という事態になった。
具体的に記そう。現在降級の可能性がある棋士は、以下の4名(5名)。

⑪大石直嗣七段(髙見)5勝6敗
⑫高見泰地七段(大石)5勝6敗
⑤羽生善治九段(大橋)4勝7敗
⑨三浦弘行九段(斎藤慎)4勝7敗
⑩山崎隆之九段(佐藤康)3勝8敗(降級)
※山崎八段は、本局の勝利で九段昇段

今年度のB級1組は、すでに昇級を決めている2名を除くとダンゴ状態で、現在5勝の棋士にも降級の目がある。
大石七段VS髙見七段は直接対決で、勝ったほうはもちろん残留。しかし負けると5勝止まりなので、順位のいい羽生九段か三浦九段に勝たれると、順位の差で降級してしまう。
そして羽生九段は上述のとおり、勝てば順位の差で残留となるが、負けると下位3名が確定となり、B級2組に降級してしまう。
羽生九段がA級から降級したのは、3年前。そこからたった3年で、このクラスでも降級の危機が訪れるとは、恐ろしき順位戦である。羽生九段は現在54歳。大天才・羽生九段をもってしても、年齢には勝てないのか。いやその前に、将棋連盟の会長職が大変すぎるのか。
もっとも今回は、第80期からB級1組の降級人数が3名に増えたことも影響している。これが2名なら、負けても残留の目があったのだ。
参考までに、54歳以上でB級2組に降級した棋士を挙げてみる。

丸田祐三九段65歳…第42期 3勝9敗13位
加藤一二三九段64歳…第62期 3勝9敗13位
有吉道夫九段62歳…第56期 2勝10敗13位
花村元司九段62歳…第38期 3勝9敗12位
森雞二九段60歳…第65期 0勝12敗13位
内藤國雄九段60歳…第58期 2勝9敗12位
谷川浩司十七世名人57歳…第78期 3勝9敗12位
桐山清澄九段54歳…第60期 3勝9敗12位

丸田九段は64歳までB級1組を張った。丸田九段は3月30日生まれなので、順位戦が終わったあとにひとつ歳を取っている。よってここでは、実年齢にプラス1歳としている。
森九段は、第64期にB級2組からB級1組へ昇級。59歳での快挙だった。しかし翌第65期のB級1組は、全敗で出戻りとなった。
内藤九段は第56期にB級1組からB級2組に降級したが、翌第57期に9勝1敗の成績を取り、B級1組に復帰した。そして第58期に再びB級2組に落ちた。
こうしてみると、50代でB級2組に降級しても、B級1組に再昇級する可能性は十分あるということだ。
羽生九段の最終戦の相手は、大橋貴洸七段。対戦成績は羽生九段の2勝0敗で、羽生九段、最終戦を前に不安はない。勝って残留を決めてくれればよいが、もし負けて降級したとしても、また昇級すればいいのだ。
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服部六段、年度最高勝率新記録なるか

2025-01-21 23:40:37 | 将棋雑記
きのうの記事で、服部慎一郎六段の今年度成績が凄まじい、と書いた。19日の朝日杯将棋オープン戦で藤井聡太竜王・名人に勝ち、「33勝4敗.892」。この時期に9割近い勝率は驚異だ。
そしてこうなると、年度最高勝率の新記録が期待できる。
このブログではおなじみだが、これまでの記録は、1967年度に中原誠五段(当時)が作った「47勝8敗.855」だ。
これを上回るには、あと何勝すればいいか。というか、あと何回負けられるか、だ。一覧にするとこうなる。

33勝(以上)5敗.868
36勝(以上)6敗.857
42勝(以上)7敗.857
48勝(以上)8敗.857

要するに、6勝1敗ペースなら、中原五段の記録を上回る。
そして今年度中に対局できるであろう棋戦は以下の通り。

第96期棋聖戦二次予選決勝 石川優太五段
第83期B級2組順位戦 藤井猛九段、高崎一生七段
第38期竜王戦ランキング戦3組1回戦 梶浦宏孝七段
第75期王将戦一次予選2回戦 浦野真彦八段or柵木幹太四段
第51期棋王戦予選2回戦 牧野光則六段
第18回朝日杯将棋オープン戦本戦トーナメント準決勝
第73期王座戦二次予選2回戦
第33期銀河戦Dブロック6回戦

王座戦は指せると思うが、第56期新人王戦は、間に合わないと思う。
ほかに第75回NHK杯予選があるが、服部六段は2024年の成績が40勝8敗.833なので、総合成績優秀者として、予選免除になる可能性が高い。
以上、それでも10局近くは保証されている。むろん勝てば同じ棋戦で、もう一局くらい指せるはずだ。
3月末までの数字の一例は、9勝3敗で乗り切れば42勝7敗となり、新記録達成となる。
いまの服部六段の調子なら、十分達成可能な数字である。
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「法廷のドラゴン」を見る

2025-01-19 23:50:37 | 将棋雑記
きのうの文化放送の「親父熱愛」に、私の投稿が読まれた。それはうれしいのだが、長文を避けるため、エピソードをひとつ省いてしまった。
しかしいざ読まれてみると、そのエピソードがあればもっと話に厚みが出たはずで、もったいないことをしたと思った。
読まれたら読まれたで後悔する。つくづく私は損な性格だと思う。

   ◇

17日(金)から、テレビ東京で「法廷のドラゴン」が始まった。事前の告知を見ると、奨励会を退会した女性が弁護士になり、さまざまな依頼を解決していくストーリーだった。2時間ドラマや連続ドラマの1話で将棋がテーマになることはあるが、連続ドラマすべてに将棋が絡むのは珍しい。
主演は上白石萌音。上白石萌歌との区別がいまだにつかないのだが、まあいい。
冒頭のシーンは、旧東京・将棋会館からだった。主人公の天童竜美(上白石萌音)が、奨励会三段リーグで駒木兎羽(白石麻衣)と対峙している。両者とも袴姿でタイトル戦のようだが、こういうところで疑問を持ってはいけないのだろう。
私のような将棋ファンは、ドラマで描かれる将棋の世界の違和感についケチをつけたがる。だけどどの世界を描いても、違和感は生じるのだ。だから、純粋に演出を楽しむのがよい。それに、この衣裳にも意味があったようだ。
この将棋に竜美は負け、竜美は奨励会を退会する。勝った兎羽がどうなったかは分からない。
そこから3年半が過ぎ、竜美はある弁護士事務所に入る。ここがまた分からないのだが、奨励会も三段までいけば、ほぼプロである。女流棋界に移籍すれば、タイトル獲得は確実。そこから福間香奈女流五冠や西山朋佳女流三冠のように、四段を目指してもよい。いや、医師になった伊奈川愛菓女流二段のように、女流棋士をやりながら弁護士を目指してもよかったのだ。
それをしなかったということは、このドラマの世界には、女流棋界はない、と見ていいだろう。
話を戻し、そこで竜美は、物置部屋だった和室を掃除し、自分の部屋にしてしまう。
そして依頼が舞い込む。これを竜美が担当するのだが、ひとつの案件を一局の将棋になぞらえるのが竜美流。これは、前クールにテレビ朝日で放送していた「バントマン」と同じ構造だ。
また、竜美がセリフの中に将棋用語を散りばめるのも微笑ましい。これは私たちもよくやるが、実に便利なのである。
そして裁判が進み、決戦の日、竜美は袴姿で裁判に臨む。これが竜美の勝負服というわけだ。
そして最後、竜美は被告人の発言を咎め、勝利に導く。これは古畑任三郎「しゃべりすぎた男」の、小清水潔(明石家さんま)のときと同じ構図だ。
脚本は「相棒」の戸田山雅司。今後もレギュラーで執筆してくれそうで、楽しみである。
将棋指導は、中村桃子女流二段、伊藤明日香女流初段。中村女流二段が将棋の世界とオサラバしていないことが分かり、少しほっとした。だけどそれなら、引退しなければよかったのに、といまさらながらに思う。
将棋監修はアユム氏。今後もストーリーにマッチした記譜作りを期待したい。
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