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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

1月24日の4時から男(後編)

2021-02-05 00:31:56 | 新・大野教室
さて大野教室は現在、午後6時までで完全閉席となっている。緊急事態宣言下で、夜8時までに外で食事を終えなければならないからだ。それで次局が早くも最終である。私はOk氏と指すことになり、駒を並べ始めたのだが、Kob君が手持ち無沙汰のようだったので、Ok氏が気を利かして代わってくれた。
しかし時間もないので、初手から30秒将棋である。振駒の結果、私が後手になった。▲7六歩△3四歩▲2六歩に、相居飛車を指す気にはならないので、△5四歩からゴキゲン中飛車にした。なおOk氏は観戦に回ってくれた。
私は歩を入手して1筋攻めに出る。このままでは受けがないので、Kob君は角交換に出た。

第1図以下の指し手。▲5四角△4三銀▲同角成△同金▲3二銀△5五角▲2一銀不成△3七角成▲4一飛△6六桂▲8八玉△5八桂成▲同銀(第2図)

▲5四角は指してみたい手。私の△4三銀は仕方ないが、Kob君は予定通り角を切り、▲3二銀。これは一見厳しいようだが、この銀は飛車を取ればもうお荷物なので、意外に得が少ない。その間私は△5五角から角を取り、△6六桂が実現した。
だがここは、桂を我慢して△4七馬▲同金△3八角もあった。この角は銀ではないので、のちに必ず働く。ただそこで▲2三飛成と飛び込ませるのも不愉快で、指し切れなかった。
本譜は玉を8八に逃がしてしまい、これはこれで面白くなかった。

第2図以下の指し手。△5七歩▲同銀△4七馬▲4九飛△6五馬▲6二歩△7一金▲7七桂△7六馬▲4六飛(第3図)

ここでの指し方がまったく分からなかった。とりあえず△5七歩と打ち、▲同銀に△4五桂を考えたが、あまりでかしていない。しかし30秒将棋だからそんなに精査できない。そこで△4七馬と寄ったが、▲4九飛と回られ、つまらなかった。
私は△6五馬と、手順に△4三金にヒモをつけたが、すかさず▲6二歩を利かされた。
△7六馬に▲4六飛。半分遊んでいた▲2九飛にここまで活用されたのは計算外だ。

第3図以下の指し手。△5四角▲7六飛△同角▲6一歩成△同金▲6二銀△5一歩▲6一銀成△同銀▲5一飛成△7一金▲7四歩△同歩▲4六角(投了図)
まで、Kob氏の勝ち。

私はここで△5四角と打ったが、Kob君によろこんで▲7六飛と刺し違えられ、面白くなかった。先手は1枚でも多く攻め駒が欲しい。そこに△7六馬は絶好の餌で、ここで形勢は逆転した。
戻って△5四角では、じっと△5四馬だったか。
Kob君は▲6一歩成。ここで成り捨てるということは、先の▲6二歩を疑問と認めたことになる。私も指し直しを通したくないから△6一同銀と取りたいが、▲6三桂が厳しく取り切れない。
しかしKob君の▲7四歩~▲4六角が好着で、これまでとなった。

感想戦では△4七馬のあたりからやった。ここは△5七歩▲同銀を利かさず、△5五馬が本手だったようだ。
また△7六馬▲4六飛には△6六歩もあり、私はこれが予定だった。そこでKob君は▲7四歩△同歩▲8六桂を提示したが、△同馬▲同歩△7六桂(参考図)と強襲する。

そこで▲7九玉は△8八角▲6九玉△6八桂成で後手も指せるが、▲7九玉で強く▲8七玉と立ち、後手も△6八桂成はあるものの、先手が指せる結論になった。
以上、もう少し感想戦をやりたかったが、時間も押しているので、これで終了となった。

食事は大野七段、W氏と3人で、駅前のカレー料理店に行った。大野七段らはきのうもここだったらしい。
W氏が新顔の店員に、「ボクたちはここをよく利用してるんだよ」みたいなことを言った。W氏によると、私たちの長居をよく承知している店員が、辞めてしまったらしい。ここでのおしゃべりを黙認してもらうため、新入りの彼には私たちをよく認識してもらわなければならない。
私たちは3人とも、セットメニューを頼む。ここでのカレーも久し振りだが、美味い。
私は迷った末にライスをお代わりしたが、この店は1皿目より2皿目のほうがライスの量が多いという不思議なポリシーで、私はやっとのことで2皿目のお米を胃袋に収めた。
このご時世だから食後のおしゃべりも慎重である。だけど私だって、他人と話をするのは今年初めてだ。ネタとして、昨年の例のゴタゴタを極めて客観的に話したが、100%理解はされなかった。
まったく、あのときのやりとりがビデオで残ってないかとさえ思う。たとえば社会問題になった煽り運転の暴力事件など、映像が残っていたからみなが納得できた。あれが言葉だけの説明だったら、何人が理解できただろうか。
結局私のグチなど他人からみればただの自己弁護で、真実は私自身にしか分からない。

大野教室では、「女流棋士の指導対局」の復活も考えているという。もちろんいますぐは無理だが、再開の際は1回の参加人数を少なくするなど、万全の対策を講じるらしい。
まだまだ話したいことはあったが、これにて散会である。別れ際、大野七段に「1ヶ月パスポート」の利用を勧められた。すなわち月12,000円で、土日教室4回と、金曜教室2回すべてに参加できるヤツだ。
かなりお得ではあるが、土日は録りだめしたビデオを観るのに忙しい。どうしようか。
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1月24日の4時から男(中編)

2021-02-04 00:30:53 | 新・大野教室
日付変わって今日2月4日は、小泉今日子さんの55歳のお誕生日。おめでとうございます。

   ◇


第7図以下の指し手。△7七馬▲同玉△6五桂▲6六玉△7四桂▲6五玉△5四金▲7六玉△7八竜(投了図)
まで、一公の勝ち。

私は△7七馬と行った。これに▲5七玉なら△6五桂はあるが、▲4八玉で詰みそうにない。が、少年は▲7七同玉。これは△6五桂と打ち、まだ持駒が金銀桂香とあるから、詰みである。
△7八竜に、少年が投げた。しかし社団戦でないので、私は勝っても全然うれしくなかった。

局後は△7七馬に、▲5七玉△6五桂の変化を相当検討した。中には先手玉が1四まで行って詰む変化も出たが、正確に指すと、やはり詰まなかった。
しかし、飛車落ちで指そうという相手と平手でいい勝負とは、私も苦笑するしかない。でも飛車落ちは飛車落ちで、いい勝負になりそうな気もするのである。
2局目は、さっきのちびっ子との対局。私の四枚落ちだ。ちびっこは「またまけちゃうかな」とつぶやき、銀多伝できた。四枚落ちにも定跡があるが、二枚落ち定跡を用いても上手からの端攻めがないので、一理ある指し方だ。
私は右金を前線に繰り出していくしかないが、ちびっ子は私の△9五歩めがけて▲9六歩。ためしに△同歩と取ってみると、▲9四歩と垂らした。なるほどこれでと金を製造するというわけか。習わないと指せない手で、私は大いに感心した。
そこから私が微妙に緩み、第1図は下手が勝勢である。

第1図以下の指し手。▲5五角△8三玉▲9一角成△8八歩▲6二銀△8二銀▲7五桂△7二玉▲8二馬△同玉▲8四飛△7二玉▲6三銀(投了図)
まで、ちびっ子の勝ち。

▲5五角が待望の飛び出しだ。私は△8三玉と寄るよりないが、そこでじっと▲9一角成がうまい。ここは▲7五桂が簡明だが、角を馬に昇格させるほうが本手に感じた。
私の△8八歩は勝手にせい、だが、ちびっ子は▲6二銀と網をしぼる。私はつらい△8二銀。「さあ、ここはよく考えてくれよ」。
ちびっ子はソツなく▲7五桂を利かし、▲8二馬と切った。これも好手で、▲9二馬と逃げるようでは勝ちが遅れる。
△8二同玉に▲8四飛の転回が気持ちいい。以下△7二玉に▲6三銀でピッタリ詰められた。

ちびっ子はまだ指し手に甘いところもあるが、キラリと光る手はある。このまま将棋を続ければ、将来が楽しみである。
3局目は成人男性との対戦。初顔合わせだ。大野教室はけっこう初顔の人が来るので、しばしご無沙汰していると、すぐに浦島太郎状態になる。
手合いは平手。先手・私の居飛車明示に男性氏が中飛車に振ったが、男性氏の手つきが覚束ない。しかも△2二角がいるのに△3三銀と上がったので、本当に有段なのか、疑ってしまった。
しかし男性氏は△4四銀と上がり、△5五歩から捌いてくる。気が付けばこちらが悪くなっており、キツネにつままれたようだ。社団戦によくあるが、相手の棋力が分からないと疑心暗鬼に陥ることがあるが、あれと同じだ。

第1図で、私は▲4七角。目障りな歩を除去して、なおもこの角が8三に利くという寸法だがいかにも捻り出した手という感じで、ここでは劣勢を自認した。
だがその後は私が盛り返し、私が有利になったようだ。男性氏は△5一歩、△6二歩と打ってしまったので、攻撃力が乏しくなったのが痛い。
そこから数十手進み、第2図は▲5五銀まで。この一手前は△3五角打だったが、△3五角と覗くのがよかったようだ。

第2図以下の指し手。△8七金▲同玉△6八角成▲7八金△8六歩▲同玉△8五歩▲7六玉△5七馬(第3図)

男性氏の△8七金に▲同玉と取ったのが悪手。△6八角成と金を取り返されたがこの馬の威力が大きく、しかも△8四銀と吊り上げた手もお手伝いになって、上下挟撃になってしまった。戻って▲8七同玉では▲6九玉と逃げるのだった。

第3図以下の指し手。▲4四銀△7五銀▲8七玉△8六歩▲8八玉△8七金▲同金△同歩成▲同玉△8六歩▲7八玉△6八金▲8八玉△6七馬(第4図)

第3図では▲6六銀打としたいが、△8六金▲6五玉の形は生きた心地がしない。こっちも角が欲しいので、目をつぶって▲4四銀と角を取った。しかし△7五銀以下、玉を下段に落とされ、先手敗勢。こうなると△5一歩と△6二歩が鉄壁になっていて、トン死の筋もない。
本譜は△6七馬までとなって、私の負けである。だが……。

第4図以下の指し手。▲8三歩△同玉▲6五角△7四銀▲8四歩△同銀▲4三角成△7八金▲9七玉△7七馬▲6一馬△7二桂▲同馬△同玉▲7一金△同玉▲5一竜△6一金▲同竜△同玉▲5二金△同玉▲5三金△6一玉▲6二金(投了図)
まで、一公の勝ち。

▲8三歩には△9三玉で後手の勝ちだったと思うが、△同玉でもよい。
▲6五角は投げ切れずに指した。6手後の▲9七玉には△8七歩成がよかったが、△7七馬ももちろんよい。しかし5手後の▲7一金に△同玉と取ったのが躓きの始まりで、ここは△8三玉で後手の勝ちだった。その次の▲5一竜にも、△8二玉でよかった。
さらに▲5二金にも△7二玉と逃げるべきで、▲6二金に△8三玉と上がる形が「Z」に近い。
本譜△5二同玉には▲5三金と打ち、今度こそ後手玉が詰んでしまった。投了以下は△6二同玉に▲5二飛△同玉▲5三銀△6一玉▲6二金(参考図)までである。


社団戦ならまだしも、この勝利もうれしくなかった。感想戦となったが、男性氏は秒読みで慌ててしまったという。とくに▲6一馬とボロッと金を取られて、混乱してしまったらしい。
とりあえず△8七金の局面に戻し、▲6九玉の変化をやる。以下△5五銀▲同歩△5七銀▲同金△同角成は、▲6八銀で先手が残していたようだ。仮にこれが寄っていたとしても、△8七金を取る手はなかった。
いやまったくお恥ずかしい将棋で、全然読みがまとまっていない。次回対戦したときは、しっかり指したいものだ。
(つづく)
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1月24日の4時から男(前編)

2021-02-03 00:43:57 | 新・大野教室
1月24日(日)は、久しぶりに大野教室に行った。もちろん将棋を指すためだが、将棋関係の調べものがあったのである。むしろそちらが主だった。
教室に行く途中、東横イン川口駅西口店の道路を挟んだ向かいにローソンが新規開店しているのを確認した。「ホテルの近くにコンビニ」は、旅行者にはとても重宝する。
ホテルの先では、24時間営業のコインランドリーが建設中だった。ホテルができると、それに関連する店舗ができる。川口駅の西側は住宅街で閑静だが、今後の動向に注目である。
教室に入り、大野八一雄七段への挨拶もそこそこに、W氏に手伝ってもらい、調べものをした。私の求職も、このくらい熱心にしなければいけないのだが。
指導対局なしの一般入室は午後4時より対局可だが、4時前に対局がついた。和室に入ると、客が多い。下駄箱を見たときから察しはついたが、このご時世でも将棋は指すのである。もっとも、みなマスクは着用しているし、対局中はダンマリだし、感想戦も静かだ。個々で細心の注意を払っているのが分かる。
私の相手はいつもの小学生だった。大野七段は本局を飛車落ちの卒業テストにしたかったようだが、駒を並べると少年が平手を所望したので、それに従った。
先手の少年は居飛車明示。私は角道を止め振り飛車模様だが、少年は早くも▲2五歩を決めてきた。こうなれば向かい飛車が多いが、私は四間飛車に振った。
少年は急戦を明示したが、定跡通り指せば私が不利になりそうな気がした。△4五歩とし角交換になり、ここから力将棋である。
右ではTaga氏がちびっ子と将棋を指していた。Taga氏とは「明けましておめでとうございます」と、遅ればせながら新年の挨拶をしあう。
第1図は私が△4六歩▲同歩と突き捨てた局面。ここは2つの手があるが……。

第1図以下の指し手。△2七角▲3七飛△5四角成▲8八角△6六歩▲同角△7六馬▲8八角△5四馬(第2図)

第1図で△4四角と打ちたいが▲3五歩の切り返しがあり、うまくいかない。よって△2七角を採る。振り飛車らしくネチャネチャいく感じだ。
少年の▲8八角は意味がよく分からなかったが、彼なりの狙いがあった。

第2図以下の指し手。▲2四歩△同歩▲2二歩△2五歩▲1七銀△2六歩▲2八銀△2七歩成▲同銀△2二飛▲2六歩△2四飛(第3図)

Taga氏の将棋は、Taga氏が「負けました」と言った。だが局面を見ると、Taga氏が入玉しており、少なくとも負けはない形勢だ。
なるほどそういうことか。泥仕合になったので、ここでTaga氏が切り上げたのだ。ちびっ子相手に本気で指して勝っても後味はよくない。私は誰が相手でも全力で頑張るからいけない。見習わなければと思った。
第2図から、少年の▲2四歩△同歩▲2二歩が軽手。これを△同飛は▲3四飛がある。よって私は△2五歩。少年は▲1七銀といい辛抱をしたが、ここは強く▲2一歩成でよかった。以下△2六歩▲3三角成で先手が十分だったと思う。
本譜は△2六歩に▲2八銀もいい辛抱。まったく小学生らしからぬ手で、彼は強くなりそうだ。
以下▲2六歩までと進み、私は△2四飛と浮いた。しかしこれがやや疑問で、△2三飛とひとつだけ浮くべきだった。

第3図以下の指し手。▲1七桂△1五歩▲同歩△1六歩▲2五桂△同銀▲同歩△同飛▲2六歩△2四飛(第4図)

少年は▲1七桂と跳ぶ。いい駒の活用である。対して私の△1五歩がヘンな手だった。先手の対応によっては△1八歩から香得する意味だが、そううまくいくはずがない。
△1六歩に▲2五桂の味がよく、これが▲3三桂成の先手である。これがあるから△2四飛では△2三飛のほうがよかったのだ。
面倒くさいから△同銀と取ったが、あの桂馬とこの銀が交換になったのは大誤算だった。
▲2六歩に△2四飛と引く。今度はこの位置でいいと思ったが……。

第4図以下の指し手。▲3三角成△同桂▲同飛成△2三歩▲3六桂△3二歩▲3五竜△4四角▲同桂△同馬▲3二竜△9九馬(第5図)

▲3三角成が強手。△2一の桂と角を交換に来るとは思わないから、驚いた。しかもこれが存外厄介で、数手進んで▲3六桂まで、先手は大駒が取り返せる形になった。
△3二歩▲3五竜に△4四角は気が利かないが、局面がサッパリすれば、▲2七銀が遊んでいる分、後手がよくなると思った。
果たして△9九馬と飛び込んだ局面は、振り飛車が指せると思った。

第5図以下の指し手。▲6一銀△4二歩▲1二竜△7六桂▲6六香△6八桂成▲同銀△3四飛▲3五歩△同飛▲3六歩△7五飛▲7六歩△同飛▲7七歩△9六飛(第6図)

▲6一銀の割り打ちが厳しく、こう打たれてみると形勢は不明だ。私は△4二歩といったん受けたが、少年は▲1二竜と香を補充して落ち着いている。
私は待望の△7六桂だが、疑問だったかもしれない。ここは△8四飛と回り、先手に1枚使わせるのだった。
少年の▲6六香が、後手の歩切れを衝いた好手。私は△6四桂とも打てないから、金を取って△3四飛と寄ったが、形勢に自信がなくなってしまった。
▲3六歩に△7五飛と王手したが、ここも黙って△8五飛だったかもしれない。
本譜も△9六飛と回って飛車成が約束されたが、先手の攻め駒も急所に利いている。ちょっとマズくしたと思った。

第6図以下の指し手。▲6三香成△同金左▲4二竜△9八飛成▲6九玉△6二金打▲7二銀成△同金▲6一銀△7一銀▲7二銀成△同銀▲6一金△7一香▲7五桂△8九竜▲7九金△7八銀▲5九玉△7九銀不成▲6三桂成△6八銀成▲同玉(第7図)

少年の▲4二竜では▲7二銀成△同玉に▲2一竜や▲7五桂で私が負けと思った。だが本譜も着実な寄せで、どうしてこうなっちゃったんだろうと、私は困惑していた。
▲6三桂成で後手玉は受けなし。私は先手玉を詰めるしかなくなったが……。

(つづく)
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12月11日の大野金曜教室(後編)

2020-12-25 00:42:48 | 新・大野教室

第5図以下の指し手。▲8六角△6五桂▲5一飛△6四桂▲同角△同歩▲5四桂△4一金(投了図)
まで、77手で大野七段の勝ち。

近場で観戦していた佐藤氏が、「よく見つけたね……」とつぶやく。私が何かいい手を指したかと困惑したが、右のShin氏がいい手を指したのだろう。
やがてバタバタを手が進み、Shin氏が勝った。Shin氏、大野八一雄七段に平手で勝つとは大したものである。そして佐藤氏が感心した手は、やはりShin氏の「▲7五香」だった。
2人が平手で勝って、これでは私も勝たねばならないが、旗色は悪い。第5図で▲3三角成と行っちゃいたかったが、角桂交換はさすがに抵抗がある。それで△4二金に狙いをつけて▲8六角と上がった。が、切るなら切れと△6五桂と跳ばれると、やはり苦しい。
私は角切りを含みに残して▲5一飛と下ろしたが、そこで△6四桂が攻防で、これで下手は何の楽しみもなくなってしまった。私は▲同角と暴発し、▲5四桂に△4一金まで投了した。

感想戦は、第3図の周辺を軽くやった。大野七段は桂得をした時点で、やれる、と確信したという。
私が帰宅してから後悔したのは第5図での▲8六角で、ここはやはり▲3三角成といっちゃうべきだった。これに△同金なら▲7二飛。上手の応手如何で▲5四桂か▲7三飛成かを決める。▲4五桂もあるかもしれない。また△3三同玉なら▲7一飛がある。対局中はこの手が見えず、指せなかった。
下手は▲7三飛成とした時△5五角があるが、桂を2枚持てば、まだ勝負所があったと思う。

感想戦を終えると、Shin氏が「じゃあ(私と)やりましょう」と言う。もちろん私も望むところだが、時刻は午後10時10分。お互い将棋バカではある。
和室で指すことになったが、室内が暗い。私の未来も暗いが、部屋も暗い。みんな暗い。
将棋は私の後手で、相矢倉になった。矢倉の後手番は急戦が定番だが、私はその指し方に疲れたので、Shin氏に大人しく追随した。
私は△6四角と覗く。これに▲4六角(第1図)とぶつけたのがShin氏の作戦だ。

これに△同角は▲同歩で4筋の歩を伸ばさせるのが面白くない。私は△5三銀と上がり、▲第2図と進行した。

ここがまた難しい局面で、△1四歩は▲6四角△同銀に▲2六銀で、次に▲1五歩がある。
そこで発作的に△7三桂、と跳ねたのだが、▲1五歩と伸ばされ苦戦。しかもよく見ると、先手には▲6四角△同歩(△同銀が正着)▲4一角の狙いが残っている。しかしこちらから角を換えたくないので、恥を忍んで△4二金寄とした(▲4一角の防ぎ)。
が、Shin氏は▲6八角と引く。次に▲6五歩△同桂▲6六銀で、桂取りが受からない。よって私は△6二銀と引いたが、こんな退廃的な手を連発しては、大作戦負けである。
こっちは△8五歩を突いていたのに右桂を跳ねたから、攻める筋がない。仕方ないから△9五歩▲同歩△9七歩▲同香に△同角成と切って捨て、▲同桂に△9五飛と走った。角香換わりの駒損だが、端を破って勝負、である。
その後私は桂、銀を取ったが、Shin氏も的確に反撃し、どうも私のほうが悪くなった。

局面は進んで第3図。以下、▲4五香△4四歩▲9一飛△3一歩▲2四歩△同歩▲4四香△同金▲2三歩と進み、ここで私は投了した。

手順中、▲9一飛には△4一桂が固かったが、戦力が減るので指し切れなかった。
感想戦。第1図でShin氏は△1四歩を予想していたという。そこで▲6四角△同銀▲2六銀がShin氏の予定。それがイヤだから私は△7三桂と跳ねたのだが、Shin氏はありがたいと感じたという。やはりこの手が敗着だったようだ。
終盤に進み、第2図の▲4五香がShin氏いわく手順前後で、▲9一飛△4一歩の交換をしてから▲4五香と打つべきだったという。まあ私は元から形勢が悪かったから、どっちでもいい。
本譜△3一歩で△4一桂なら、▲2四歩△同歩▲3五銀、とShin氏は言った。しかし以下△2三銀▲2四銀(▲4四香は△同銀▲同銀に△4六角の王手飛車で粘る)△同銀▲同飛△2三歩は、△4六角の王手もあるから後手も粘れる。
そこで大野八一雄七段の教えは▲3五銀に代えて▲3五銀打!(参考図)で、これなら4六に銀が頑張っているから△4六角がない。次は▲2四歩や▲4四香を狙って先手必勝である。

なるほど「▲3五銀打」は手厚い手で、こういう手が私たちは指せないのだ。今日はこの手を教えていただいただけで、教室に来た甲斐があった。
もう午後11時近くになり、これでお開きである。私は3戦全敗でまったくいい所がなかった。
私「来るんじゃなかったですよオ」
大野七段「またそんなことを言う」
Shin氏が大野七段に、詰将棋のプリントを所望した。Shin氏は明日からTaga氏、Ok氏と3人で、地方に将棋合宿に行くという。2人が指していると1人が余るから、ひとりのときに詰将棋を解くという。
3人で将棋合宿に行くのもアレだが、空き時間も将棋の勉強に充てるとは、何たる将棋バカか。私も誘われたが、私は見たいテレビ番組があるので、丁重にお断りした。
さて、食事である。メンバーは大野七段、W氏、Shin氏、私の4人である。駅前の中華料理屋は満席だったが、ちょいと先の日高屋は空いていた。そしてここが肝心だが、4人が同じテーブルに座れた。このご時世なので、1テーブルに2人しか座らせない店舗もあるのだ。
私は昼も日高屋のタンメンだったので、ここでは炒飯と餃子にした。W氏は3人前くらい頼み、その食欲に脱帽した。
店を出てShin氏と別れ、3人で駅まで行くとき、「そういえば、Shinさんは去年のいまごろ、将棋熱が冷めたと言って、教室に来なくなったんだよね」とW氏が言った。
そういえばそうで、Shin氏は将棋から距離を置いていたのだ。だが1年も経たずに現場復帰し、以前にも増して、将棋のトリコになってしまった。ここが将棋の恐ろしいところである。
私も将棋は好きだが、最近は他者との交流のアイテムのひとつに利用しているにすぎない。

帰宅後、大野七段との指導対局日を調べてみた。新宿将棋センターは1月6日だったが、私は8月2日に大野教室で指導対局を受けていた。
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12月11日の大野金曜教室(中編)

2020-12-24 00:31:31 | 新・大野教室
23日の伊集院光のラジオ番組で、マジックバーに行って驚いた、という聴取者の投稿が紹介された。「千円札が生卵の中から出てきた。そのシリアルナンバーは、事前に確認したものと同じでした」。これ、あんでるせんでは定番のマジックである。マジックバーは各所にあるが、聴取者はあんでるせんのことを云っていた気がしてならない。

   ◇

(きのうのつづき)

第1図以下の指し手。△8四歩▲7八金△8五歩▲6九玉△8六歩▲同歩△同飛▲9六歩△8二飛▲7七桂△7二金(第2図)

私の左では堀彩乃女流1級、右ではShin氏が対局を受けている。堀女流1級のところは相掛かり系で、中盤の難しいところ。Shin氏のところはShin氏の居飛車で対抗型だ。うん? 対抗型? Shin氏は平手で指していたのだ。「研究したいところがあって……」。なんでShin氏はこんなに研究熱心なのだ。
私は大野八一雄七段には、必ず駒を落としてもらっている。むろん平手も受けてくれるが、駒を落としてもらって下手感を味わうのがいいのである。
大野七段は△8五歩と伸ばす。▲6九玉には△8六歩から交換にきた。これはやや珍しい手で、下手は将来▲8五飛とぶつける手があり、上手はせっかく交換した歩を△8四歩と謝ることになる。よって下手が待ち受けるところなのだが、私の▲7七桂に△7二金が大野七段の用意していた手だった。前述の飛車回りには△8三金と上がる手を見ている。

第2図以下の指し手。▲5九金△8三金▲9七角△7四金▲7五歩△6四金▲6六歩△7四歩▲同歩△同金▲7五歩(第3図)

堀女流1級戦は、大野七段が端を突き捨て△1八歩。これで攻めが決まっているようには見えないが、これがのちのち効いてくるのだろう。
私の▲5九金は形で指したが、▲8五飛とぶつけちゃうのだったか。しかし上手はよろこんで△8三金と上がるに違いなく、指し切れなかった。
しかし▲5九金にも△8三金。かなり早く態度を示した。そして▲9七角に△7四金。単騎の金出は恐くないが、すぐ▲7五歩と突いたのはつまらなかったかもしれない。△6四金に▲6六歩と突いて金を圧迫したつもりが、△7四歩で金の動きがラクになったからだ。
戻って▲7五歩では、▲6六歩が先だったかもしれない。そこで△8九飛成は▲8八角とフタをしてどうか。これも難しいが、本譜よりベターだった気がする。
本譜△7四同金には▲7五歩と打ち、ふつうに△8四金と寄ると思ったが……。

第3図以下の指し手。△7六歩▲7四歩△7七歩成▲8五歩△7八と▲同銀△6四銀▲7六金△5五歩▲同歩△7五歩▲8六金△3四歩(第4図)

強く△7六歩と打たれて参った。幸便に▲6五桂と跳ねたいが、△6二銀と引いて△6四歩を見せるのは、私が一手早く▲7四歩と金を取れるからいい。よって上手は△6五同金と取るしかない。以下▲同歩△7七歩成▲同金△8五桂▲8六角△7七桂成▲同角△8九飛成は、さすがに竜の威力が大きく下手苦戦だ。
よって私は黙って▲7四歩と金を取り、△7七歩成には▲8五歩と耐えた。私は飛車の横利きが頼みである。大野七段は△7八とと金を取り、これで私の桂損。角落ちのハンデがほぼなくなってしまった。
ここで7六あたりのスカスカが気になったので、▲7六金と一枚入れた。のちの△7五歩にも▲8六金と我慢する。ここは▲7五同金と取ってしまいたいが、△同銀▲同角△8五飛は下手が勝てない。

第4図以下の指し手。▲5四歩△3三桂▲2六飛△5二飛▲6五歩△5五銀▲7五金△5四飛▲8八角△5六歩▲7六金△7四飛▲5五角△7六飛(途中図)

▲7七銀打△同飛成▲同角△7三桂(第5図)

私は▲5四歩と伸ばしたが、△3三桂で飛車の横利きを外され、面白くない。私は▲7五金から▲8八角。何とか駒を有効に働かせようとするのだが、どうもはっきりしない。
私は▲7六金と引いた。▲7四歩が浮くが、△7四飛ならこちらも▲5五角と銀を取れる。それでも大野七段は△7四飛と回り、金銀の取り合いになった。
堀女流1級はよく指し、大野七段が投了した。ぶつかり稽古とはいえ、男性プロに平手で勝つとは大したものである。堀女流1級に必要なもの、それは自信であろう。
途中図では▲6七銀打を考えた。が、△8六飛と寄られたあと△7七歩が残るのが面白くない。それで▲7七銀打と一路左に打ったのだが、大野七段は文字通りノータイムで△同飛成と切って捨てた。▲同角にゆうゆう△7三桂と跳ぶ。なるほど、これが上手の指し方か、と感心した。
その第5図、ここが最後の勝負所だったかもしれない。

(つづく)
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