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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

8月2日の大野教室(1)

2020-08-13 00:14:08 | 新・大野教室
8月2日(日)は、昼から大野教室に行った。夏子さんの件で神経衰弱になり、その苦痛を紛らわせたかったのだ。むろん、食事会でそのグチをぶちまけるつもりである。
このところ午後4時以降に指す自由対局が主になっているので、指導対局アリの昼入りは久しぶりだ。荒川を越えて他県に入るのに抵抗があったが、やむを得ない。なお、今年私が東京を出たのは、1月27日の和光市CI寄席、2月7日~12日の北海道旅行、3月21日と6月21日の大野教室に続いて5度目だ。コロナ禍だったこともあるが、ほとんど引きこもりである。
川口駅に着き、やや迷ったが、構内の立ち食い蕎麦店に入った。店内はコロナ禍対策で、カウンターに板で仕切りがされていた。一蘭みたいだ。かけそば320円也。
大野教室に入ると、あれ? とW氏に驚かれた。それも当然で、女流棋士の指導対局を除く、オリジナルの大野教室の昼入りは、2017年9月3日以来、2年11ヶ月振りとなる。
大野八一雄七段は4面指しの真っ最中。奥の和室でも多くの子供たちが対局をしていた。Taga氏、Ok氏の姿はあるが、ほかに知己の大人はいなかった。「あとで指しましょう」とTaga氏に言ったが、どうなることやら。
大野七段の多面指しは1面空きがあったが、私はいつでも指せるので、自由対局が先となる。
消毒を丹念に行い、1局目は少年と指すことになった。4枚落ちで、前回もこの少年と指した。
何となく△6二銀▲7六歩△5四歩でスタートしたが、少年は▲4六歩~▲4五歩。四枚落ちなのに、二枚落ち仕様できた。これはこれでひとつの作戦である。
私もふつうに二枚落ち対応で指したが、右香で端攻めができないのが痛い。一見上手が得をしたようでも、それなりに香のない不利はあるのだ。

第1図は私が△5四歩と打ったところ。ここは上手が角を持ち、気分的には優勢。ここで少年は▲6四銀打としたが、△同金▲同銀△同玉で、次の攻めがなかった。
戻って第1図では、▲5四同銀△同金にA▲7四金△同玉▲5四飛、B▲7二銀△6四玉▲6三金△7五玉▲5四飛とする手があったと思う。
これを逃してからは、私の勝勢である。以下は入玉模様に指し、下手玉を仕留めることができた。
2局目は、また、知らぬ少年と。大野教室はホントに、少年の比率が高くなった。しかも新人がドカドカ入る。「子供教室なら大野教室」という評価が定まっているのか、それとも全国的に、将棋少年の比率が上がっているのか。
この少年は今年、奨励会試験を受けるそうだ。となればアマ四、五段は優にある。私がどこまで食らいつけるかだ。
私が先手になり、▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩。いまの若い子は角道を止めての振り飛車は指さないと思うが果たしてそうで、手が進むと雁木になった。

第1図から私は▲1五歩。当然の△同歩に▲1三歩が狙いの手で、△1三同香なら▲1二角がある。ただ、持ち歩がなくなるので、正確に受けられたら切れると思った。
少年は△2四角と受け、▲6八角△3五歩に私は▲3六歩として、やや無理攻めながら、戦いに入っていった。
その後は少年が有利になったがそれを拡げきれず、私も反撃する。

第2図は▲3三桂成△同角までの局面。私は金桂交換で駒損を回復し、ここでは形勢を挽回したと思った。そこで▲2三歩成としたのが大悪手。手順に△1五角と飛び出され、大きく形勢を損ねた。以下▲2五飛△4八角成▲3三と△5八成銀となっては、完全に後手優勢である。▲2三歩成の瞬間△1五角に気付いたが、着手を止められなかった。
私は気を取り直し、飛車を成り、金を取って迫る。少年も△8六桂から迫っていたが、私は上記の攻めで、手順に緩和した。

実はこのあたり、私に勝機が生じたと思ったのだが、後手は△9四玉と逃げ越した形に耐久力があった。この形になる前にどうにかしたかったのだが、秒読みで分からなかった。
以後は少年の寄せが厳しく、最後は綺麗に詰まされた。
戻って第2図、少年の指摘によると、素朴に▲3四歩があったようだ。△4二角▲2三歩成△1五角なら、そこで▲3三とが利く(△同角がない)。これならまだ難しい戦いが続いていたと思う。もっとも少年は、どの変化になっても、最後は自分が勝つ、と信じていたようである。
私にしても、伸び盛りの少年にここまで指せれば佳しとするしかない。
3局目はKob君と指す。Kob君には私が大駒を落として教える側だったが、いまでは普通に平手である。こうなると、おのが勉強法は何だったのかと思う。
私の後手で、▲7六歩△3四歩▲2六歩。ここで△8四歩は神経を遣いそうなので、△4四歩から四間飛車に振った。
Kob君は▲5七銀左から▲4六銀の急戦。いまどき古風な昭和の戦法である。

第1図から私は△4五歩。以下▲3三角成△同飛▲5五銀△6三銀と進んだ。私はさらに△6五歩~△5四歩として▲5五銀を取り切ったが、Kob君も飛車を侵入し、香を取った。この岐れはどっちも満足だろう。
私は手順に△7二飛と回り、薄い▲7七桂に狙いをつける。駒得はなくなったが、この局面に自信はあった。ここで唯一イヤな手が▲2八角の遠見の角だった。
果たしてKob君は▲2八角(第2図)。どうもKob君とは読みの波長が合うようだ。
ここで次の手がまずかった。

(つづく)
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6月21日の4時から男(4)

2020-07-16 00:13:02 | 新・大野教室
私の先手で▲7六歩。以下三間飛車に振った。Sさんは急戦で来たがこれが図に当たり、角交換のあと△7五歩▲同歩(第1図)のあと、△5六歩▲同銀右△7六歩。

これを▲同銀は△7八角だ。よって▲6八角と受けたが、こんなところに角を打つようで不利だ。
しかしそこから私が追い上げ、難しい終盤になった。

第2図は私が▲4三銀成と金を取ったところだが、甘かったか。▲2六香とすべきだったか。
第2図以下の指し手。△3六桂▲1八玉△1六銀▲3八金△2八銀▲同金△同桂成▲同玉(第3図)

△3六桂は、こう打つところだろう。対して▲3八玉では△6五角で負かされそうな気がしたので、▲1八玉。そこで△1六銀が厳しい。
▲1七歩は△2六桂なので、▲3八金。ここでSさんは熟考し△2八銀。私は△2五桂のほうがイヤだったが、どちらにしても勝ち味は薄いと思っていた。

第3図以下の指し手。△3六桂▲3八玉△6五角▲5六歩△6六角(第4図)

△3六桂に▲3八玉。ここでSさんが最後の長考に入る。本局は持ち時間15分だったが、Sさんは終盤まで早指しで飛ばしてきたことが分かる。
たぶん5分くらい考えて、秒読みに入った。ここで私が余計なことを言う。Sさんがあまりにも読み耽っているものだから、「このまま秒読みを止めてじっくり考えますか?」と、私が妙な提案をしたのだ。
しかしSさんが受け入れるはずもなく、秒読みの中△2八金を指した。
ということは私がSさんの思考を乱したことになるわけで、結果的にひどいマナー違反になってしまった。
△6五角▲5六歩に△6六角。王手が途切れてしまったが……。

第4図以下の指し手。▲2二銀△2四玉▲3五金△同玉▲3六歩△4五玉▲3七桂△5六玉▲4七金打△5五玉▲5一竜△5四歩▲5六歩△同角▲同金(投了図)
まで、一公の勝ち。

▲2二銀からは私の勝ちである。
感想戦では私が、第2図からの▲3八金には△2五桂がイヤだと述べたが、それは▲1七歩で難しいかもしれない。

すぐに第2戦が始まる。これは相矢倉になった。私は2筋で交換した銀を▲5三銀~▲6四銀成としたが、これはつまらない攻めだった。その後と金攻めで金を1枚はがし、有利になったと思った。

第1図以下の指し手。▲4一角△2八飛▲8五角成△5八と▲4一馬△5七角成▲8八玉△4二銀▲同馬△5七角成▲8八玉(第2図)

第1図で▲4一角と打ち、これは勝ったと思った。ところが△2八飛がしぶとい手で、意外に後手玉が寄らない。
私は▲8五角成と飛車を取ったが、△5八とと金を取られ、形勢混沌である。
そこで▲4一馬と入った手がどうだったか。▲3一飛だったかもしれない。

第2図以下の指し手。△7九銀▲9八玉△9七金▲同桂△同歩成▲同馬△同香成▲同玉(第3図)

△7九銀に▲7七玉は、△6八馬▲同金△同銀不成▲8八玉(▲8六玉は△9五金▲7五玉△7四金まで)△7七金▲同桂△7九銀不成▲同玉△2九飛成(参考図)以下詰み。

よって私は▲9八玉だが、△9七金。数手後▲9七同馬に黙って△8五桂なら悪かったが、Sさんは△9七同香成。これでは上部が抜けて、また私の勝ちになったのではないか?

だが以下、Sさんの強靭な粘りに遭い、逆転負けを喫してしまった。
感想戦もやらず第3戦が始まった。私はSさんと初見だが、Sさんはずいぶん将棋好きだ。
この将棋も相居飛車になり私の苦しい時間が続いたが、終盤、私が▲6四馬と引いた手が▲3一馬の飛び込みと▲8二馬の飛車取りを見た好手で、私の一手勝ちになった。
感想戦は大野八一雄七段が付き合ってくれたが、元に戻そうとした局面がどうもおかしい。
それが2局目の将棋で、大野七段には指摘したい箇所があったようだ。
私が「2局目は私が負けました」と言ったら、大野七段が絶句したから、やはり私が勝っていたのだろう。ただ第2図はSさんが勝ちになっていると思う。結局3局目の感想戦をやったのだが、2局目の「勝ち手順」も拝聴するべきだった。
時刻は午後8時過ぎになり、さすがにお開き。大野七段とW氏、Og氏らと食事に出る。駅前ビルのとんかつ屋「大吉」は休みで、いつものインドカレー屋に行った。
サービスセットメニューに新メニューが登場し、私はそれを頼む。ほかの人も、だいたいそれにしたようである。私はライスをおかわりするかどうか微妙だったが、やめた。
食後は、コロナに気を付けながら、つまりマスクをしておしゃべり。なかなか充実した内容だった。
働かざるものは遊ぶべきではないので、私の立場ではあまり教室に行けないが、またお邪魔したい。
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6月21日の4時から男(3)

2020-07-15 00:06:40 | 新・大野教室
▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩から、青年は△9四歩としたあと、四間飛車に振った。令和では珍しい、角道を止める振り飛車である。
私はもちろん▲5七銀左からの急戦。最近はエルモ囲いや、▲7九銀型からの▲6八金上もあるが、私は半世紀以上前の戦法を採る。
△5四歩に、私の次の一手は当然である。

第1図以下の指し手。▲9七角△4一飛▲7九角△4三銀▲6六銀△4二飛▲2四歩△同歩▲同角△2二飛▲2五歩△4五歩▲3七桂(第2図)

私の▲9七角は、△5四歩ならばこう指したいところ。これも山田道美九段創案の手である。だが次の▲7九角は山田九段没後の手。むかし駒込サロンでこの手を指したら、手合い係の櫛田陽一六段(当時)が「この手を知っているなんてすごい」と大仰に驚いてくれたものだ。
私は▲2四歩から仕掛けたが、△2二飛に▲2五歩と収めるようではおかしい。
旧定跡から1手得してもうまくいかないのが、将棋の難しいところである。

第2図以下の指し手。△4四銀▲3三角成△同桂▲2四歩△2五歩▲同桂△2四飛▲2六歩(第3図)

青年は長考で△4四銀。まあそうであろう。私は▲3三角成とするしかないが、以下▲2六歩までとなって、これでは居飛車でかしていない。つまらない戦いにしたと思った。

第3図以下の指し手。△4六歩▲同歩△2七歩▲同飛△3八角▲2八飛△5六角成▲4七銀△7四馬▲5六歩(第4図)

青年は△4六歩。単なる突き捨てと思いノータイムで▲同歩と取ったが、△2七歩から馬を作られて参った。いかにも振り飛車らしい手で、この類が私はまったく見えないのである。
△7四馬に、気は利かないが▲5六歩と打った。

第4図以下の指し手。△6四馬▲7五角△4五歩▲6四角△同歩▲3三桂成△4六歩▲同銀△3三銀▲2五歩△2三飛▲3二角△2二飛▲5四角成(第5図)

第4図から△6四馬は意外だった。私は▲7五角と打ち、馬が消せた。
▲3三桂成は気が利かないが、銀を後退させるのも悪くはない。
私は気持ちのいい▲2五歩。これには飛車をどこに引いても馬を作れる。私は▲3二角~▲5四角成とし、ほんの少し指しやすくなったと思った。

第5図以下の指し手。△2七歩▲同飛△3八角▲2六飛△5六角成▲3五歩△3八馬▲5五馬△2三飛(第6図)

青年は2度目の△2七歩~△3八角。この筋はいつまで経っても急所なのだ。しかし今度は先手の応手も微妙に変わって、▲2六飛と浮いた。
△5六角成には▲4七歩が無難だが、▲3五歩と気取ってみた。しかし△3八馬と突っ込まれては損で、▲3五歩ではふつうに▲4七歩だった。

第6図以下の指し手。▲1五桂△1四桂▲2三桂成△2六桂▲3三成桂△4七歩▲5七銀右△4九飛▲4一飛△3五歩▲5九金寄△2九飛成▲4九歩△5一金引▲4三飛成(第7図)

第6図でためらいつつ▲1五桂と打った。ダサい手だが、ほかに手もなさそうだ。もっとも青年も△1四桂と打ち、この打ち合いは直後に銀を取れる私のほうがいい。
しかし△4七歩が嫌味な歩である。以前支部対抗戦でこの類の垂れ歩を指され、負けたことがある。
私は▲5七銀右と防戦である。△4九飛にも▲4一飛。とにかく△4八歩成を許しては負ける。
青年はもう秒読みに入っている。私はまだ時間が残っているが、30秒前後で指しているので、私だって秒読みみたいなものだ。
ここで青年の△3五歩が意味不明だったが、1歩を補充したということか。
私は▲5九金寄から▲4九歩。固くなっているのかどうか分からなかったが、舟囲いらしい戦い方だと思う。

第7図以下の指し手。△2七馬▲4二成桂△6二金左▲5二歩△3八桂成▲5一歩成△4九成桂▲同金△同馬▲6一と△同銀▲5九歩△同馬▲同金△同竜(第8図)

ここで△2七馬は意味が分からなかったが、次に△3八桂成とするということだろう。
△6二金左には▲4七竜と引く手もあったが、一手の価値がないと思い、やめた。
5筋に歩が利くうちに▲5二歩。△4九成桂の前に▲5一歩成が入り、5筋に底歩が打てるようになった。
が、▲4九同金に△同馬があるのでビックリした。ここは△同竜の一手と読み、それなら▲5九歩で優勢と読んでいたのだ。
幸い▲6一とが利いたが、△同銀に後続の指し手が分からない。▲5九歩と受けたが、ふつうに△同馬と取られ、お手伝いになってしまった。でも後手の指し手を限定できてよかったのか? よく分からない。

第8図以下の指し手。▲3七角△7九金▲7七玉△6九竜▲6四馬△8四金▲7四桂△同金▲同馬△6四歩▲同角△7二桂▲7三馬△同桂▲同角成△同金▲同竜(投了図)

第8図は▲6九金が第一感で、実際それでよかったと思う。だが私はヒネって▲3七角。△7九金には▲7七玉と立ち、意外に先手玉が寄らない。
△6九竜が何でもないので私は▲6四馬と出る。△8四金には▲7三馬を読んだが、ここで無理をしてもしょうがない。黙って▲7四桂と打った。△同金▲同馬となっては、さすがに私の勝ちである。
以下▲7三同竜まで、青年が投了した。

感想戦はお互いボソボソとしたが、青年は第4図での△6四馬を真っ先に悔やんだ。▲7五角で馬を消されてしまったからで、ここは△4五歩(参考図)だったと青年。

なるほど▲同歩なら、△同銀、△同桂、△6四馬など、いろいろ手段はあった。これがあるなら▲5六歩は疑問手だったかもしれないが、それに代わる手も分からなかった。

Ok氏は帰ってしまい、あまり指す相手がいない。さっき来た佐藤氏は、原稿書きがあると言って帰ってしまった。
残るはSさんで、この方と指すことにした。
(つづく)
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6月21日の4時から男(2)

2020-07-14 00:09:09 | 新・大野教室
少年の先手になり、▲7六歩△3四歩▲7五歩△8四歩▲7八飛△8五歩に▲7四歩!△同歩▲同飛! 石田流から▲7四同飛はある手で、鈴木大介九段や久保利明九段の実戦にもある。
これに△8八角成~△6五角なら、▲5六角と打ち返してくるのだろう。それがイヤだから△7三歩と誤ったが、▲7六飛で一本取られてしまった。
少年に学年を聞くと、小学5年とのこと。小柄なので、小学3年くらいに見えた。
以下駒組合戦になる。私は△4五歩と位を取り、△5四銀左と構えるいつもの形である。要するにタコ金戦法の銀版みたいなもので、▲6五歩の仕掛けを全力で阻止するのだ。
しかしお互い差す手がなくなってきた。△4四角~△3三桂~△2四歩はいいとして、次の△2五歩は桂ハネの味が消えるので一長一短。しかしそうも言っていられない。しかしそれでも手がなくなって、△2六歩から1歩を交換したあと、目をつぶって△4三銀と引いた。
ここで▲6五歩と仕掛けられたら私が悪かったが、少年は金を寄せたので、私は△5四歩~△5五歩を間に合わせる。次に△5四銀左とし、こうなっては負けられなくなった。
向こう側では、Og氏と1局目の少年が指している。やはり四枚落ちである。だが少年が待ったをしたようだ。指して盤面を見たあと、よりよい攻め筋が浮かぶのは、私も同じだ。
こちらの将棋に戻って、△8四金が味よい進撃である。ここで、先手に▲7五歩のない欠点が露呈してしまった。

第1図以下の指し手。▲6五歩△7五歩▲6六飛△6五歩▲同桂△6四歩▲7三歩△8二飛▲5八銀△6五歩▲6九飛△7三桂(第2図)

少年は▲6五歩から暴れてきたが、私は丁寧に応接し、△7三桂となって私の優勢である。
以下の手順もうろ覚えなのだが、ついでなので最後まで記しておく。

第2図以下の指し手。▲7九飛△6四桂▲7五角△同金▲同飛△7四歩▲7九飛△5六歩▲3七桂△2五歩▲同歩△8六歩▲同歩△同飛▲2九飛△8八飛成▲2四歩△5七歩成▲同銀△4八竜▲同銀△1七金(投了図)
まで、一公の勝ち。

近くに、見慣れぬ青年がいる。よく見るとKob君だ。ずいぶん背が伸びて、大人になった。
かつては私が大駒を落としていたが、いまは平手でも私の分が悪いだろう。こうやって、オッサンはどんどん子供に抜かれていくのだ。
△6四桂は、少年相手に震えすぎ。▲7六歩とこじ開ける手に△同桂を用意したものだが、こんなところに桂を使う手はなかった。
△5七歩成には▲同銀でも▲同金でも△5六歩の予定だったのだが、よく見るとカナケが入れば△1七に打って詰む。それで▲同銀に△4八竜とした。
どうも少年は力を出し切れなかったようだ。私が△4三銀と引いた時、▲6五歩と行くしかなかった。

1局目の少年が、平手を指したいという。
周りを見ると私しか空きがおらず、指すことにした。
少年は居玉のまま棒銀できた。四枚落ちと指し方が一緒だが、これでいいのか。私は四間飛車に振っていたが、少年は▲1五歩△同歩▲同銀。これは駒損の攻めになるが、私はそのまま指してしまう。
△1五同香▲同香△同角で少年は駒損に気付いたが、私は知らん顔である。
少年は▲1二歩と垂らしたが、待ったをした。さっきのOg戦もそうだったが、この癖はすぐに直したほうがいい。将棋大会でこれをやると、即負けである。将棋も人生も、待ったは利かないのだ。
この将棋は少年がすぐ投了し、2局目に移った。ここでも少年は原始棒銀だが、今度は私が間違えた。すなわちいったん△4四角と出た手がそれで、全然棒銀よけになっていなかった。▲2五銀に△3三角とひとつ戻る。そこで▲2四歩と合わされ後手まずいことになった。
△3二金▲2三歩成△同金(第1図)。

ここで少年は▲7六歩としたが、逸機。ここは何はともあれ▲2四歩だ。以下△2二金▲1四銀で先手優勢だった。
本譜は△2四歩▲3三角成△同桂に、▲6六角が好手。これでも先手がいいのに呆れた。
私は△6四飛と回ったが、▲2四銀△同金▲3三角成で、先手優勢……だが、本譜はそうならなかった。だが代わりの手も忘れてしまった。
脇での大野八一雄七段の指導対局では、青年が二枚落ちで勝ったようである。
「もう二枚落ちを卒業でいいと思うんだけど、あちらに厳しい人がいるからねえ」
と、大野七段が私を見る。
二枚落ちは大変な手合いで、アマがプロに勝つことは容易ではない。だが大野七段は大甘で、すぐに二枚落ちを卒業させようとする。それで私が、最終試験官をやっているところがあるのだ。
私の将棋は、部分第2図から、△7八馬▲同銀△6八金まで私が勝った。

少年は原始棒銀を指して楽しみたいのか、それとも本格的に強くなりたいのか、どっちなのだろう。後者なら、玉を囲ってからの指し手を勉強したほうがいい。
私は二枚落ちの青年と指すことになったが、直前に別の一局が終わり、私はそちらで指していた別の青年と指すことになった。
その青年は豊島将之竜王・名人に通ずる強豪の雰囲気があり、私は気を引き締める。彼に振ってもらうと、と金が5枚出て、私の先手になった。
(つづく)
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6月21日の4時から男(1)

2020-07-13 00:05:14 | 新・大野教室
6月21日は久しぶりに大野教室に行った。前回お邪魔したのが3月21日だったから、ちょうど3ヶ月ぶりである。
午後3時35分ごろに教室の前に着くと、スタッフW氏のクルマがなかった。今日は休みだろうか。
中に入ると、W氏が出迎えてくれた。クルマはどこかに駐めてあるのかもしれない。
私はもちろんマスク着用である。中は大野八一雄七段が3面指しの最中だった。その奥で自由対局が1局あり、和室でも何局か指しているようである。「3密じゃねえか!」と私はジョークを飛ばす。もちろんこのまま指していくつもりである。
しばらくして、W氏が対局をつけてくれた。相手は中学1年生前後の少年で、私の四枚落ち。今回が3回目の来席だという。
だが駒を並べる少年の手つきが様になっていて、少なくとも初心者には見えなかった。
対局開始。私は二枚落ちの定跡は分かるが、四枚落ちになるとあやふやになる。大むかし「将棋マガジン」で、「灘蓮照九段の四枚落どんと来い!」という実戦講座があった。1年間続いたがアマ有段の読者に対して、11勝1敗だった。あの指し方がバイブルになると思われるのだが、手許にないからしょうがない。
私は大人しく指していると、少年は2筋の歩を換え、1筋の歩を切って▲1二歩と垂らした。
たぶん大野七段の教えを忠実に守っているわけで、上手としては厄介なところだ。
ただし▲1四銀△1三歩のとき少年が▲2五銀と引いたのは小ミスで、ここは▲2三銀成△同銀▲1一歩成があった。
その後少年は▲2四歩と合わせ、△同歩▲同銀△2三歩に▲1一歩成。ここはやはり▲2三同銀成がベターだと思ったが、黙って▲1一歩成でもいいのか。
そして第1図までとなって、これでも負けたと思った。

第1図以下の指し手。▲2四飛△2三歩▲2八飛△5六銀成▲1五桂△3五銀▲2三桂成△同金▲同飛成△5七桂▲3二竜△5三玉▲6五歩△6六歩▲3三竜△4九桂成▲同玉△4七成銀(第2図)

第1図から▲2三歩△同金▲1五桂の攻めが見えたが、少年は黙って▲2四飛。△2三歩▲2八飛としてから▲1五桂と来た。なるほどこちらのほうが明快だ。
私は△3五銀。もし▲2三桂成なら△2七歩~△2六歩の予定だったが、いざその局面になってみると、駒台に歩が1枚しかなく、呆れた。
しょうがないから△2三同金と取り、▲同飛成に△5七桂のお返しである。だけどこんなダサイ桂を打ちたくないのだ、本当は。
少年は決め手を探し出せないようである。▲3三竜のあたりでもう少し気の利いた手があればよかったが、意外に難しかったか。私もよく分からなかった。
私は△4九桂成から△4七成銀で、一応詰めろ。これで上手の役割は全うした。

第2図以下の指し手。▲3九銀△3八歩▲4八銀△4六銀▲4七銀△同銀成▲5八金△3九歩成▲5九玉△6七歩成▲6九銀△4九金(投了図)
まで、一公の勝ち。

第2図で▲6六角なら△4八金▲同角△同成銀▲同玉△6六角の王手竜で上手勝ち。
よって少年は▲3九銀だが、私は△3八歩。別になんでもない手だが、逆転の雰囲気は出している。以下△4七同銀成までと進んだが、上手は▲4三竜の王手でこの駒を抜かれる筋もあり、安心できない。
だけど駒落ちの時は、下手の好手を深く読んではダメである。だって、下手の勝ちになってしまうから。上手は適当に読み抜けをするのがよい。
▲5八金に△6七歩成とし、部分的には必至っぽい。そこに▲6九銀が最後のココセで、△4九金まで私が勝った。戻って、ここは▲6三金△同玉▲4三竜△5三金打▲4七竜で下手優勢だった。だがこんな手を指せたら、四枚落ちの手合いではない。

短い感想戦を行う。▲2三桂成のとき、少年は△2六歩と抑えられるのがイヤだったらしい。彼はしっかりと、自分の読みを主張する。
また第2図では▲5八金とすべきだった、とのこと。なるほどこちらのほうが持駒を増やせるからいい。ここからは私の出番で、△4六銀▲4七金△同銀成なら、▲6二銀△同玉▲4二竜△5二歩▲5一銀△6三玉▲5五桂(参考図)で、以下即詰み。

よって▲5八金なら少年の勝ちだった。
洋間の隅には、消毒液があった。いまのご時世、これは必須である。
Ok氏が来て、「大沢さん、前髪のほうも薄くなってきましたね」。
Ok氏に言われるとは心外だが、まあその通りである。「そうですよ。トコヤに行っても、前髪を切られなくなりましたよ」
まったく、年は取りたくないものである。
2局目は別の少年と。今度は振駒だという。大野教室への敬遠事項があるとすればこれで、少年が強すぎる。将棋の強弱に年齢は関係ないのが利点でもあるが、子供に負かされると、オッサンにはきついものがあるのだ。
(つづく)
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