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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

8月12日の女流棋士指導対局会・中村真梨花女流三段編(前編)

2017-08-25 13:01:29 | 女流棋士の指導対局会
和田あき女流初段との指導対局が早く終わってしまったため、私は川口駅ちかくの喫茶店で時間をつぶすことにした。
と、川口駅でTod氏とTaga氏にバッタリ。彼らも4時からの指導対局に臨むのだが、いままで喫茶店で時間をつぶしていたという。とはいえ今から教室に向かっても、まだ時間があるのではないか?
私は彼らと別れ喫茶店に向かったが、人が多くて入れない。辺りでしばらく時間をつぶしてから入店した。
週末は職探しをしなくていいので、いくぶん気持ちがやわらぐ。これから女流棋士との将棋を控え、意外に至福の時間であった。

3時55分に教室に戻ると、中村真梨花女流三段と和田女流初段が客と談笑中だった。これが指導対局のもうひとつの楽しみである。私は口ベタなので、会話には加わらなかった。
そろそろ対局の準備に入る。私は中村女流三段とだ。中村女流三段は中堅の実力者で、もっとタイトル戦に登場してもいい。私たちの周りでも彼女の評価は高い。
本局も4面指しである。私の左はさっきの四枚落ちの男性、その左はHon氏で飛車落ちだ。私の手合いはどうしようか。
「先生、香を落としてもらいたい気もするんですけど、平手でよろしいでしょうか。先生も平手を指したいでしょ」
「ハハ、ありがとうございます」
というわけで、平手戦である。
右はTod氏で、飛車落ちを所望した。私が彼を見ると、
「いや、ヤバイかなァ。実は私、隣の大沢さんに二枚落ちで教わってるんです」
手合いの整合性がないが、指導対局は上手が緩めてくれるので、それでいいと思う。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△3二銀▲5六歩△4二飛▲6八玉△6二玉▲7八玉△7二銀▲5八金右△5二金左▲3六歩△3三角▲2五歩△7一玉▲6八銀△8二玉
▲9六歩△9四歩(第1図)

中村女流三段は涼やかな白のワンピースで、昭和のアイドルの香りがした。
私の居飛車明示に中村女流三段は角道を止める四間飛車。将棋も昭和の指し方で来てくれたので、私も力を発揮できそうな気がした。
14手目△7二銀で考えどころ。穴熊党なら▲5七銀か。でもまあ私は▲5八金右である。
次の△5二金左でも分岐点で、急戦か持久戦か舵取りをしなければならない。玉頭位取りや左美濃にも食指が動いたが、精神的にも体力的にも長期戦は無理なので、▲3六歩とした。

第1図以下の指し手。▲5七銀左△4三銀▲6八金直△1二香▲1六歩△1四歩▲3七銀△5四歩▲4六歩△6四歩▲2六銀△3二飛(第2図)

▲5七銀左で急戦確定。△4三銀にも居飛車は候補がいっぱいある。この取捨選択が居飛車の醍醐味である。20年前の私なら▲4六歩か。本局は様子見の意味で、▲6八金直とする。
△1四歩には、棒銀の▲3七銀とした。最近の棒銀局はことごとく失敗しているが、これは棒銀が悪いのではなく、私の指し方が悪いから。もう一度プロ相手に試してみようと思った。
第2図で攻撃態勢完了。後は仕掛けるのみである。

第2図以下の指し手。▲2四歩△同歩▲1五歩△同歩▲3五歩△1六歩▲3四歩△同銀▲3八飛△4五歩▲3三角成△同飛▲8八角△3五歩(第3図)

▲2四歩~▲3五歩が5手一組の仕掛け。加藤流なら▲9八香を入れなければならないが、その余裕がなかった。
本手順は以前大野八一雄七段から「十分成立する」とお墨付きをもらったので、自信満々で指した。
対して△1六歩は意外。確かに下手にとって嫌味ではあるのだが、△1七歩成以下は間に合わない、と経験上の結論を出していた。
▲3四歩△同銀に▲3八飛。上手の応手が注目されるが、中村女流三段はさして考えることなく△4五歩。さっきから上手は文字通りノータイム指し。上手は素人相手に考えるまでもないのだろうが、下手がこのペースに巻き込まれるとやられる。手拍子に指すのは厳に慎むことだ。
私は角を換えて▲8八角。△3五歩にはどう指すか。

第3図以下の指し手。▲2二歩△4三飛▲3五銀△同銀▲同飛△4六歩(第4図)

私は飛車を取りたいところを堪え、▲2二歩と打った。これなら次の▲2一歩成が飛車取りになる仕掛けだ。
△4三飛には▲2一歩成もあるが、▲3五銀と棒銀を捌く方を優先した。これなら負けても満足である。
△4六歩の取り込みに次の一手は。

(つづく)
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8月12日の女流棋士指導対局会・和田女流初段編(後編)

2017-08-23 01:06:55 | 女流棋士の指導対局会
22日の朝は、また夢を見た。それは以前見たことがある夢と、夢の中で気付いた。その後の展開も見覚えがあった。これは初めてのケースと思う。

   ◇


第3図以下の指し手。▲5八銀△4二金▲5七銀△3二金右▲4六銀△7五歩▲同歩△7二飛(第4図)

第3図で私は▲5八銀と引いたが、上手が△7四歩と突いてある形なので、どうだったか。
私の構想はさらに▲5七銀~▲4六銀型に組むことだったが、いざ実現しても攻める手段がなかった。
▲5八銀では▲6五歩~▲6六銀の形を目指すべきだった。ちなみにこの形は、かつて植山悦行七段に推奨されたことがある。▲6五歩の瞬間に角交換されるのは下手もイヤだが、上手もハッチを閉めてないから、指しにくい意味はあった。
とにかく▲4六銀に、和田あき女流初段は△7五歩~△7二飛。薄い7筋を攻められて、下手はのんびりできなくなった。

第4図以下の指し手。▲2五歩△同歩▲1五歩△同歩▲2五桂△2四角▲6五歩△7五飛▲1三歩△同桂▲同桂成△同香▲2五桂△1四香▲3五歩△同歩▲7九飛(第5図)

この辺りでTag氏が騒ぎ始めた。指しながら記譜を付けていたのだが、どこかで1手抜けてしまったらしい。
これは私にもたびたびあることで、3~4手をまとめて付けていたりすると、後の記譜並べの時何手か抜けていることがあり、記譜再生が難しくなることがある。
Tag氏は無事に、辻褄が合ったようだ。
局面。私は▲2五歩から攻めるが、相手が銀冠なので、ちょっと無理気味だ。
▲6五歩は待望の手だが、上手に△7五飛と飛びだされ、角の動きを制限されてしまった。
私は桂交換に持ち込んだが、▲2五桂に△1四香と浮かれて二の矢がない。
▲3五歩は△4六角▲同金△5七桂を嫌ったものだが、上手がこんなイモ攻めをするはずがなく、△同歩と取られて却ってキズになってしまった。

第5図以下の指し手。△7六歩▲5九角△1六歩▲9六歩△7四飛▲6八角△3四銀▲2六歩△4四歩▲同歩△同銀(投了図)
まで、76手で和田女流初段の勝ち。

右のKaz戦はKaz氏が▲7三角と打って馬作りを目指した。まだまだ互角の戦いだが、左金が8八にいるのがどうか。
いや私はヒトの将棋を見ている場合ではない。▲7九飛は▲2二角成△同金▲7五飛を見たものだが、こんなミエミエの手が通るわけもなく、△7六歩と打たれた。
ここで▲2二角成は暴発だろう。私は▲5九角と引いたが△6七桂に気付き、和田女流初段が向こうを見ているのをいいことに、角を7七に戻した。
しかし▲5九角△6七桂には▲4八角(飛車取り)の切り返しがあり、私は「待ったはいけない」とばかり、そっと▲5九に戻した。
しかし和田女流初段に△1六歩と伸ばされ、ここで▲1八歩とも謝れず、私の苦戦がハッキリした。
私の▲9六歩は、何かの時の▲9七角を見たものだが、和田女流初段はじっと△7四飛と引いて落ち着いている。このあたり、上手は何もいい手は指していない。私の無理な動きに、自然に応対していただけだ。それで上手優勢とは、将棋の恐ろしさよ。
▲6八角に、桂取りに△3四銀と出られた。これも▲3五歩の突き捨てを逆用されたもので、私は▲2六歩となけなしの一歩を使う。しかしこれで▲1三歩の楽しみがなくなってしまった。
また、どこかで▲9五角が利けばいいのだが、それは△7三桂がピッタリだ。このあたり、考えれば考えるほど下手の未来がなくて、ハッキリと戦意を喪失した。
△4四歩▲同歩△同銀。じわじわ金銀で押されるのは私のもっとも嫌う展開だ。ここで▲4五歩は、またも歩損して相手の銀を進出させるだけ。ほかに有効な手もなく、バカバカしくなって、ここで投げた。

感想戦。あまりの拙局でやるところもないが、和田女流初段は「投了は早いんじゃ…」とつぶやいた。だがこれ以上指しても下手はジリ貧で、ミジメになるだけだ。
大野八一雄七段が見えて、「△7五歩▲同歩△7二飛で(将棋は)終わってます」との宣告だった。さすがに男性棋士は厳しい。
時計を見ると2時50分。2局目に突入できるのだが、指す気力がないので、辞退した。
和田女流初段の上手らしい指し回しに屈服した一局だった。
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8月12日の女流棋士指導対局会・和田女流初段編(前編)

2017-08-22 00:26:21 | 女流棋士の指導対局会
21日の朝は、また夢を見た。どこかの店で、何人かで何かを売っている夢だった。
ノルマが決まっているのだが、達成は難しそうな雰囲気だった。

   ◇

12日(土)は埼玉県川口市の大野教室で女流棋士の指導対局会があり、私は申し込んだ記憶がないのだが、何となくお邪魔した。例年この時期は沖縄を旅行しているのだが、こんな状況では旅に出ても楽しめないから、ちょうどいい機会だった。
女流棋士の指導対局会は何度か行われているが今回は初の2人体制で、指導は中村真梨花女流三段と和田あき女流初段。私は2コマ目と3コマ目の対局で、初戦は午後2時からだった。
教室には時間ギリギリに入ったため、指導対局はもう始まらんとしていた。私は6,000円を払う。無職がこんな散財をしていいのかと思う。
W氏が、対局記念の女流棋士根付けをくれた。いつももらい忘れるけど、これでバッチリだ。
まずは和田女流初段との対局。挨拶もそこそこに駒を並べ、「平手でよろしいでしょうか」と断って、対局開始となった。

第1図までの指し手。▲7六歩△8四歩▲7八銀△3四歩▲6六歩△6二銀▲6八飛(第1図)

本局は洋間での4面指し。定員は5名で、結局全員埋まらなかった。中村女流三段は隣の和室で指していて、やはり4面指し。今はお盆のうえ、ほかに将棋まつりもある。将棋ファンも忙しい時期なのだ。
さて和田女流初段、しばらく見ないうちに、また大人っぽくなった。これからコアなファンが増えることであろう。
私はいちばん左に座る。右はKaz氏(平手)、その右はTag氏(角落ち)、そのまた右は初見の中年氏(四枚落ち)だった。
私は▲7六歩に△8四歩。これは矢倉志向だ。私は居飛車が多いが、矢倉に組めば、上手はいまはやりの急戦で来そうだ。これを受ける自信が私にあるか。
ちなみにこのあとの中村女流三段は振り飛車が確定だから、私は居飛車で迎え討つつもりだ。
となると2局とも居飛車になって、これはつまらないのではないか。和田女流初段との矢倉戦にも食指が動くが、1局は振り飛車も指してみたい。
が、右のKaz氏は、居飛車党なのに先手中飛車に構えていた。これじゃあ私も中飛車というのもヤボだ。振るなら四間か。
いろいろ迷って、とりあえず▲7八銀と指した。△3四歩にも迷いながら▲6六歩。この時点でもまだ矢倉の味は残っていたが、△6二銀にノータイムで四間飛車に振ってしまった。

第1図以下の指し手。△5四歩▲3八銀△4二玉▲4八玉△5二金右▲3九玉△5三銀▲6七銀△8五歩▲7七角△7四歩▲4六歩△3二銀(第2図)

こうなれば、振り飛車側はしばらく難しいところはない。
△5三銀に、和田女流初段得意のイビアナを感じたが、次に△7四歩。和田女流初段は急戦を指さない、の認識があったから、やや戸惑った。
そして△3二銀。これはいまはやりの左美濃か。それとも――。

第2図以下の指し手。▲3六歩△3一玉▲2八玉△1四歩▲1六歩△2四歩▲5八金左△2三銀▲4七金△3二金▲4五歩△3三角▲3七桂△2二玉▲2六歩△1二香▲5六歩△1一玉▲6九飛△2二金(第3図)

和田女流初段はさして考えるふうでもなく、4局をポンポン指していく。そのたびに私たちは少考を繰り返す。これだけとっても、アマとプロのレベルの違いを実感する。
私は淡々と駒組を進めていくが、やや単調だったか。
和田女流初段に△2四歩から△2三銀と上がられ、これははやりの一つ、銀冠穴熊で来られそうな気がした。
▲4七金に△3二金は、△2三銀とセット。私は▲4五歩と伸ばしたが、これは大きな手。
和田女流初段は△1二香とし、やはり穴熊にした。とすると私の▲4五歩も、▲4五桂ハネを失くしているから一長一短だ。事実プロ棋界では、△4四角と上がって、わざと▲4五歩と突かせる手もあるくらいだ。
△1一玉に、私は様子見の▲6九飛。和田女流初段は△2二金とハッチを閉め一安心というところ。
ここで私の次の手がどうだったか。

(つづく)
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はじめての宮宗女流初段(後編)

2017-07-29 00:26:51 | 女流棋士の指導対局会

第4図以下の指し手。▲6六銀△8四馬▲4五歩△7三桂▲2四歩△同歩▲4四歩△6五桂▲同銀△4八馬(第5図)

宮宗紫野女流初段はサウスポー。さして考えることなく淡々と指す。私は他者の将棋まで見る余裕はないが、「現在いい勝負」なら、最後はアマが負ける。
局面。私は文字通りノータイムで▲6六銀と打ったが、△8四馬と引かれてみると、次に△7三桂がある。それを防いで▲7四歩としても、△7五桂がありそうだ。
どっちにしても、ここで自陣に手を入れる気力がなくて、私は▲4五歩と突っかけた。
だが△7三桂と打たれてみると、厳しくて参った。いわゆる「軽視していた」というやつだ。
私は▲2四歩△同歩と味をつけ▲4四歩だが、これも相手に歩を渡してどうだったか。
宮宗女流初段は△4八馬と、再び飛車取りに当ててきた。今度の馬も厳しい。

第5図以下の指し手。▲2七歩△7五銀▲3五歩△2六馬▲同歩△8六歩▲同歩△8七歩▲同玉△4九飛▲7九歩△8五歩▲同歩(第6図)

第5図は下手が敗勢に近い劣勢。私は力なく▲2七歩と打ったのだが、これが軟弱な手で、負けを早めた。ここはまだしも▲2八飛と引くべきだった。以下△3九馬▲2六飛△4八馬▲2八飛△3九馬…の千日手模様を気にしたのだが、これは上手が打開するから問題なかった。不利なほうが千日手を回避?しているようでは話にならない。
宮宗女流初段は△7五銀。こういう銀はOg氏にも打たれたことがあるが、実戦的な素晴らしい手だと思う。
私は▲3五歩と突くくらいしかないが、宮宗女流初段は△2六馬と、半分死んでいる飛車と交換してくれ、△8七歩▲同玉△4九飛。いややっぱりこの飛車も厳しく、私は▲7九歩としたが、これで7筋にも歩が打てなくなってしまった。
宮宗女流初段は△8五歩。この歩は先の▲2四歩で与えたものだ。私は▲同歩と取るよりないが、次の手には参った。

第6図以下の指し手。△4四飛成▲5四歩△8六歩▲8八玉△4八竜▲6八桂(第7図)

第6図で△4四飛成に参った。ここ△2九飛成なら、▲3四歩△同銀に▲4六桂でも▲3五歩でも手になりそうだったが、歩を補充しながら自陣を強化されては、下手に指す手がなくなった。
かつて芹沢博文九段は「歩切れでも、つねに一歩補充できる状態にあればいいんだ」と語っていたそうだが、本局の△8五歩▲同歩~△4四飛成などは、それを地でいっている。
再び△4八竜と潜られて、▲6八桂は泣きの一手。

第7図以下の指し手。△6九銀(投了図)
まで、92手で宮宗女流初段の勝ち。

第7図では△8七銀と思ったが、プロはそんなダサイ手は打たず、△6九銀。矢倉攻略の手筋で、これで下手は指す手がない。さすがに投了した。

感想戦。「序盤は私がうまくやったんだが…」と、私。宮宗女流初段も同意してくれたが、この場合の上手の言葉はアテにならない。負けた下手を慮ってくれるからだ。
まず宮宗女流初段は、途中図の▲6五同銀右を、そこまで無理しなくても▲5七銀で、上手は指す手が難しかったとのこと。
続いて宮宗女流初段が指摘したのが第4図での▲6六銀で、ここは▲6六金がイヤだったという。
△8四馬ならさらに▲7五銀で、これは金銀の盛り上がりが違う。
もし▲6六金に△同馬なら、▲同角△7三桂▲7四銀打△6五桂▲同銀(参考図)でどうか。参考図も上手の矢倉が固く、金銀3枚を持駒にしているから下手は容易ではないが、▲6六銀よりははるかによかった。

本譜も下手が手厚いようだが、▲6六銀と▲7七角の関係が悪く、どうも下手が芳しくない。
本譜は▲6六銀△8四馬▲4五歩と進行したが、ここでも▲7四歩がベターだったらしい。
いずれにしても、▲6六銀では▲6六金と立つ一手。これを宮宗女流初段は一目で見つけ、私は考えもしなかった。ここにプロとアマの差がある。
もっとも、▲6六銀はノータイム。下手の悪手はノータイムの指し手から出やすい。とするならば、反射的に打った▲6六銀では、数十秒でも考えるべきだったのだ。
まだほかの対局もあるので、これにて感想戦は終わり。まだ4時50分で、宮宗女流初段は2局目を申し出てくれたが、私は丁重に断り、表の空気を吸いにでた。

川口駅周辺は多くの店がある。立ち飲みコーヒーの店ぐらいあるだろうと思いきやなかなかなく、けっこう歩いて。ドトールコーヒーを見つけた。
アイスコーヒーを飲みながら、さっきの将棋を考える。転職の職種を考えるわけではないところに、私の逃避が現れている。

5時45分ごろ戻ると、すべての将棋が終わっていた。残りの3人も、全員負けたっぽかった。
これにて宮宗女流初段の指導はアガリ。現在は色紙に揮毫をしていた。宮宗先生、お疲れ様でした。
大盤ではKaz氏が、さっきの宮宗女流初段との将棋を並べていた。
「ここで△3一銀が粘りのある手で…」
Kaz氏、よく冷静に振り返れるものだと思う。私は血圧が上っちゃって、ダメである。
しばしおしゃべりした後、有志で食事に出る。表に出るとKaz氏が、
「大沢さん好みの金銀が盛り上がる将棋になったので惜しかったですね」
と言った。社団戦でKun氏にも同じことを言われたが、私の棋風がバレバレのようである。
例のインドカレーの店に行く。宮宗女流初段は新婚なので、女流棋士の離婚率の話になった。離婚した女流棋士の名前が6人ほど挙がったが、もう少しいてもいい。
現在の女流棋士がザッと70人として、約1割が離婚経験者。とすると、宮宗女流初段も離婚の可能性が1割あるということか。

いや違うのである。自宅に戻って考えたが、上の数字から、未婚女流棋士は省かなければならない。
すると分母が約40まで減った。
…2割かな。2割か…。
宮宗女流初段がそこに戻らないことを祈る。
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はじめての宮宗女流初段(前編)

2017-07-28 01:09:35 | 女流棋士の指導対局会
9日は大野教室プレゼンツ「宮宗紫野女流初段の指導対局会」があった。5面指し×3回転で、私は3コマ目に申し込んだが、全体では定員に達しなかった。宮宗女流初段は5月に結婚したが、それが響いたのだろうか。
指導は午後4時からだが、お腹が空いたので、家でインスタントラーメンを食べた。
川口に着き、ここでの立ち食いそばはどうするか思案していたら、Tod氏にバッタリ。Tod氏も指導を受けるようで、同じ電車に乗っていたのだ。
結局2人でエキナカの立ち食いそばを食べ、コンビニに寄るというTod氏といったん別れ、私はHon氏と合流して教室に入った。
時刻は現在3時50分だが、3時半終了予定のKur君の感想戦が終わったところだった。Kur君、今回もじっくり将棋を指したようだ。
宮宗女流初段は相変わらずかわいらしい。その宮宗女流初段には将棋ペンクラブの大賞贈呈式と、4月のシモキタ名人戦で指導を受けたことがあるので、さすがに私の顔は憶えてもらっていると思う。
ほかの客はTaga氏、Kaz氏、Tag氏ら。宮宗女流初段ファンオンリーの客はいないようである。
「大沢さんが『ミヤソウっていう人は知らない』っていう話、宮宗さんにしゃべったら、大笑いしていたよ」
とW氏。
「それ言ったのか!」
私が苦い顔で宮宗女流初段を窺うと、宮宗女流初段はニコニコしている。私が「はじめまして」とふざけると、笑顔のまま会釈してくれた。この笑顔にご主人は落ちたのだろう。
Kaz氏はすでに対局を行い、横歩取りの将棋で惜敗したという。
3コマ目は4面指し。3コマ目の定員は達していたはずだが、何かあったのだろうか。
一憩して、そろそろ3コマ目の開始である。私の右にはHon氏、Tod氏。左にはTak氏が座っていた。
宮宗女流初段がこちらに向いたので、
「あのう、平手でよろしいでしょうか」
と私。
「ハイ」
「香落ちかなやっぱ。でも先生も平手を指したいでしょ?」
というわけで4時07分、平手で対局開始となった。

初手からの指し手。▲7六歩△8四歩▲5六歩△6二銀▲6八銀△4二玉▲2六歩△3四歩▲6六歩△3二銀▲4八銀△5四歩▲7八金△5二金右▲6九玉△7四歩▲5八金△8五歩▲7七銀(第1図)

宮宗女流初段は居飛車党。私とはこれが4局目で、過去3局はいずれも相矢倉だった。初戦は緩めてもらったが、あとの2局は完敗。プロ相手に不遜だが、もう落とせないところであった。
本局も2手目に△8四歩とされ、これは矢倉コースである。
だが私は中飛車にも食指が動き、態度がハッキリしない。しかし△4二玉が早いとみて、居飛車に決めた。
ほかの3局はいずれも飛車落ちで、ポンポン進んでいる。しかし彼らはこれから長考する。結局一番手で終わるのは、私のような気がした。

第1図以下の指し手。△5五歩▲同歩△同角▲2五歩△3三銀▲6五歩△3二金▲6六銀△7三角▲5七銀上△5三銀▲5六銀△3一玉▲7七角△2二玉▲7九玉△4四銀右▲5五歩△4二金右▲8八玉△9四歩(第2図)

隣の和室では、大野八一雄七段の3面指しが行われていた。宮宗女流初段に教わったあとのオプション(2,000円)だ。
第1図から△5五歩が意外だった。というのは、銀の応援がまだないから。私はふつうに▲同歩と取り、この角を目標にしようと考えた。
△3三銀に▲6五歩。相手の銀が立ち遅れているので、この位は張れると思った。以下私は二枚銀を繰りだして、自分の好きな形になった。
だが、△3一玉に▲7七角はどうだったか。上手の飛車先交換は甘受し、▲7九角~▲5七角を掘り下げるべきだったかもしれない。
宮宗女流初段は△4四銀右。後に△5二飛ときても、5五の地点は私も3枚利かせているから心配ない。
△9四歩に、次の手が誤った。

第2図以下の指し手。▲9六歩△8四角▲4六歩△7三桂▲6七金右△6二飛▲3六歩△6四歩▲同歩△6五歩(途中図)

▲6五同銀右△同桂▲同銀△3九角成▲2六飛(第3図)

ここで▲9六歩がどうだったか。この歩を突かないと△9五角もあるので突き返したが、もっとほかに有効手があったと思う。
宮宗女流初段は△8四角。下手のいちばん固いところを攻めてくる感じで、これで手になるのかと思った。
私は▲3六歩だが、やっぱり一手遅れている。本当ならこの辺りで▲3七桂と跳ねられなければいけないのだ。
宮宗女流初段△6四歩▲同歩△6五歩(途中図)。これに▲同銀右が強手で、ここで▲5七銀の退却は考えられなかった。
とはいえ△3九角成の飛車取りも痛い。こんなことなら▲3六歩に代えて、▲2六飛だったかもしれない。

第3図以下の指し手。△6一飛▲5六桂△7五歩▲4四桂△同歩▲7五歩△同馬(第4図)

私は▲2六飛と浮いて第3図だが、次に▲5四歩の楽しみがあるので、まだまだと思っていた。が、宮宗女流初段に△6一飛と落ち着かれると、これといった手がない。
私は▲5六桂と据えたが、▲4四桂と銀を取り返したところで、駒割りが元に戻ったにすぎない。上手に馬が残った分だけ、下手がしくじっているのだ。▲4四桂では、もっと得する順があったかもしれない。

(つづく)
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