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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

梨沙帆(前編)

2012-04-21 10:34:50 | 愛棋家
先日自室の大掃除をしていたら、「sabra」の2009年1月号が出てきた。
「sabra」とは、かつて小学館が発行していた男性向けカルチャー雑誌。毎号グラビアアイドルを多用し、付録にDVDも付き、見応えがあった。
けっこう売れていたと思うのだが、グラビアページはおカネがかかるのに雑誌自体が廉価のため、毎号赤字続きだったらしい。2010年3月号をもって、惜しまれつつ休刊となった。
その2009年1月号は、秋山莉奈、森下悠里、辰巳奈都子の3人がセミヌードで表紙を飾っていた。ほかには道端ジェシカや原紗央莉などの名前が踊っている。付録DVDには滝沢乃南、松井絵里奈など。私は「sabra」を毎号買っていたわけではないが、これだけのラインナップなら、購入も当然だった。
ただ私はヘンなところがあって、こうした雑誌は、買ってもすぐには中を開かない。いつでも見られるからで、結果、「積ん読」状態になることが多い。1月号も、そうだった。
今回改めて中を見たが、ボリューム満点の内容に圧倒された。オシリーナこと秋山莉奈の健康的な肢体、超一級モデル・道端ジェシカの神々しい水着姿、原紗央莉衝撃の初ヌードなど。わずか4ページながら、藤浦めぐの着エロサンタもよかった。
まったく興味がないが、一般記事の巻頭はデジタル機器特集。パイオニアの50インチ薄型テレビの希望小売価格が、67万円とあった。いまなら数万円で買えるわけで、すでに隔世の感がある。
ともあれ、これにDVDが付いて税込680円は安すぎる。休刊も仕方なかった。
そしてここからが本題なのだが、記事のひとつに、「ホルモン皇帝液」という連載があり、その中の「給与明細アフター」欄に、タレントの梨沙帆が出ていたので、ビックリした。
将棋ファンなら、梨沙帆の名前を一度は聞いたことがあるだろう。日本でただひとりの将棋アイドル、いわゆる「棋士ドル」で、オフィシャルブログ「梨沙帆世界」では、将棋への思いを熱く綴っている。そのプロフィールを改めて記せば、梨沙帆は1987年1月23日午前11時生まれの25歳。本名は小木梨沙帆。2006年、湘南ガールコンテスト準グランプリ。翌2007年は、ミスパラオに選ばれている。なお、ミスパラオに選ばれると、翌年8月に都内で開かれるミスパラオ撮影会に、モデルとして出場する。
2008年も8月3日(日)に日比谷のビル街で撮影会が行われ、10数名のモデルに混じって、梨沙帆も出場。実はその場に私も、のこのこ出かけていた。いうまでもないが、私はカメラ小僧なのである。
しかしこのときは、梨沙帆を撮った記憶がまったくない。出ていたことも知らなかった。怪訝に思いハードディスクを調べてみたら、この日撮影した170枚中、1枚しか彼女を撮っていなかった。
ちょうどこのころだったろうか。月見栞だか佐藤かおりだかの新作DVD発売&ミニ撮影会に参加するため秋葉原に繰り出したとき、とある店舗で、梨沙帆の新作DVD発売&ミニ撮影会があることを知った。
そのとき梨沙帆はすでに将棋アイドルとして有名だったのだが、なにか彼女の水着姿を撮るのは気が引けて、けっきょく行かなかった。
要するに私は、梨沙帆がタイプではなかった、ということだ。私はスレンダー系より、むっちり系が好きなのである。
ちなみに2008年8月3日の午後は、水道橋でLPSAファンクラブイベントがあり、私は昼過ぎに、後ろ髪を引かれる思いで撮影会場を後にしたのだった。
いまだったら間違いなく撮影を続行しているところだが、当時はLPSA女流棋士の浴衣姿が見たくて、ついファンクラブイベントのほうにも足を運んでしまったのだった。あのときはホント、どうかしていた。
蛇足をだらだら続ければ、このとき私がイベントで撮った写真は0枚。ただの1枚も撮らなかった。女流棋士を私のような薄汚い男が撮影してもいいのかという思いがあるからで、私は女流棋士とのツーショット写真も、ほとんど撮ったことがない。
たとえばマイナビ女子オープンの一斉予選対局では、懸賞金スポンサー特典として、「女流棋士と一緒の写真に収まる権」があるが、私は一度も行使したことがない。室谷由紀ちゃんにも、山口恵梨子ちゃんにも、ツーショット写真のチャンスがあったが、全然その気は起こらなかった。
私は女性とのツーショット写真が嫌いである。女流棋士ひとりを撮るだけならまだしも、自分がそこに入ったら、興覚めしてしまう。
そんなわけで女流棋士は、あとは将棋のイベントで大阪や天童、宇都宮などを訪れた際に、遠征の記念に撮らせていただいたぐらいだ。
…あっ、でも今年、中井広恵さんをひょんなことから撮らせてもらったのだった。あっ!! 中井さんといえば、昨年の12月にも「祝・大野八一雄七段・竜王戦5組昇級焼肉大パーティー」の席で、我がスマホで中井女流六段を撮らせていただき、それをスマホの壁紙にしていたのだった。中井女流六段は、カメラ小僧の血が騒ぐ女流棋士である。
なんだか話が脱線してしまった。
(つづく)
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100万PageView突破特別企画・LPSA芝浦サロンメンバー名鑑

2011-07-14 20:27:14 | 愛棋家
2011年7月12日までの当ブログのアクセス数は、訪問者数(IP)が411,458、閲覧数(Page View)が999,900だった。
そしてきのう13日には、それぞれ412IP、1,326PVのアクセスがあり、それらを加算すると、閲覧数のほうが100万PVの大台に乗った。
2009年4月1日に当ブログを開設して2年と3ヶ月半。コツコツと数字を重ねて、ついにここまで来たか、という感じである。
このブログを始めた当初は、大して書くこともないので、適当にお茶をにごして休眠するつもりだった。ところが「勝手に将棋アンテナ」で当ブログが登録されてアクセス数が飛躍的に伸び、辞めるに辞やめられなくなってしまった。
このどうしようもないブログにアクセスしてくださった読者の皆様には、あらためて御礼を申し上げます。
そこで今回は緊急企画として、LPSA芝浦サロン(旧金曜サロンも含む)会員の棋力と棋風を、私の独断で掲載してみたい。
サロンでは、棋力は五段から級位者まで満遍なく分かれているが、ここではサロンでの段位を度外視し、あくまでも個人的見解で位置づけした。
上から下へ棋力が下ってゆく。私より上位にいる人は、私が指していて「イヤだなあ」と思う人。下位にいる人は、「自分の力を100%出せば、私が勝つ」と思っている人である。ゆえに、私が某氏に3勝1敗でも、某氏のほうが私より上にランクしている場合もある。
なお、マンデーレッスンS会員の棋力は不案内なので、そちらの一部は割愛させていただいた。
では、非難の嵐が来るのを承知で、Go!!

O…居飛車の急戦を得意とする。研究量は他の追随を許さず、指導対局では女流棋士と定跡の研究をすることも少なくない。将棋に明るく、LPSA芝浦サロン最強の指し手である。
Wパパ…以前は振り飛車党だったが、最近は居飛車を覚え、将棋に幅ができた。現在では居飛車の感覚がすっかり板につき、元から居飛車党だったかのようだ。「矢倉の最新定跡はW氏に聞け」。芝浦サロン最高の指し手である。
Kun…石田流三間飛車を得意とする振り飛車党。鋭い攻めを得意とするが、粘り強い受けにも定評がある。裏芸で居飛車も指しこなす。棋書もよく読みこんでおり、勉強熱心である。
Sa…石田流三間飛車を得意とする振り飛車党。攻守にバランスの取れた棋風。
Kaz…居飛車党で、手厚い指し方を得意とする。穴熊が得意だが、横歩取りなどの定跡にも精通している。負けにくい将棋である。
T・K…居飛車党。受け六分の棋風で、手厚い指し手を好む。その棋風が災いし、決めどころを逸して、勝利まで回り道することがある。
Hi…ゴキゲン中飛車を得意とする、振り飛車党。実戦はもちろん、感想戦も熱心で、「将棋大好き」という点は、芝浦サロン一。
Mi…居飛車党で、穴熊を好む、実戦派の雄。粘り強い指し手が身上で、絶体絶命の局面でも、絶妙の受けをひねり出す。ポケットにはつねに将棋本をしのばせている、勉強家である。
Tom…対抗形を好むが、どちらかといえば飛車を振る。▲7八銀型四間飛車が得意。受けの棋風で、駒落ちが巧み。自分が指すより、ヒトの将棋に口を出すのが好き。
N…なんでも指すオールラウンドプレーヤー。読みの入った、しっかりした手を指す。相手の緩手を見逃さない、鋭敏な嗅覚の持ち主。
一公…基本は居飛車。手厚い指し方を得意とする。定跡で不利になる変化にも平気で飛びこむところがある。苦しい将棋が嫌いで、形勢がわるくなると、早投げする癖がある。
Fuj…研究熱心。将棋の勝ち方を熟知している。過去の将棋のインプット量は芝浦サロン一。
Is…居飛車と振り飛車、両方指しこなす。定跡に精通しているが、手将棋もいとわない。どちらかというと急戦を好む。
ミスター中飛車…普通中飛車一本槍。重厚な攻めが持ち味。長考派なので、秒読みに追われることがある。時間配分を工夫したい。
Tat…以前はどちらかというと居飛車党だったが、ゴキゲン中飛車を覚えて、指し手に思いきりのよさが出てきた。早見えだが、終盤で独善の手が出るのが惜しい。慌てずに指せば、グッと勝率が上がる。
Hon…「3八金、3九銀、5七銀、6七金」の三間飛車穴熊を得意とする。当人でなくては指しこなせない変態戦法の使い手で、特異な終盤も相まって、サロンでは異色の存在である。
W・Aki…早見え早指し。
Y…ゴキゲン中飛車と石田流三間飛車を得意とする。研究熱心で自分なりの将棋観を持ち、指し手に頑固なところがある。
Ka…居飛車を好む。最近メキメキと力をつけてきた。粘り強い指し手が特色。
ミスターどうぶつしょうぎ…以前は矢倉を得意とする居飛車党だったが、ゴキゲン中飛車を覚えてから将棋に幅がでてきた。「どうぶつしょうぎ」の名手としても有名。
W・Hana…振り飛車党。早見え早指し。
Fuk…形のよい手を指す。中・終盤で、踏み込みが甘いところがある。もっと自分に自信を持つべき。
Ar…定跡どおりの品のいい手を指す。急所で踏み込みを欠くことがあり、惜しい。
Kur…早見え早指しで、形のよい、筋のいい手を指す。終盤で読み抜けをすることがあるのが惜しい。
W…石田流三間飛車を得意とする。棋書の保有数は芝浦サロン一。定跡をよく勉強しており、LPSA女流棋士に作戦勝ちすることもしばしば。ただ、終盤に尻抜けの手を指すことがある。終盤の勉強を最優先にしたい。
R…居飛車党で、急戦を得意とする。定跡をよく勉強しているが、上手には力将棋で勝利する力も有している。ただ、玉の守りが中途半端なまま仕掛けることがあり、玉への危機意識が薄い。終盤戦の克服がカギである。
Iz…居飛車党で、定跡をよく勉強している。中、終盤を鍛えれば、もっともっと強くなる。
Tod…形のいい振り飛車を指す。粘り強い棋風だが、やや終盤が弱い。
Ki…序盤が少し荒い。終盤で妙な力を出す。
Kus…形にとらわれない、力強い攻めを身上とする。
Hisaki…「玉損の攻め」を得意とする。攻めがツボに入ると強いが、受けに回るともろい。受けの勉強をすると、もっと勝率が上がる。
Hak…四間飛車を得意とする。定跡をよく勉強しており、終盤も粘りがある。
Si…攻守にバランスが取れている。終盤の踏み込みに鋭いところがある。
Kub…四間飛車を得意とする。将棋のスジはいいが、一手一手の意味がまだ理解できていない感じ。
S夫…定跡をよく勉強しているが、そこから外れると脆いときがある。
Ao…女性。四間飛車を得意とする。対棒銀の将棋を好む。
Ar婦人…現在猛勉強中。行方尚史八段の大ファン。
S婦人…3手の読みの前に、しっかりした1手を指すことが急務。

以上、38名の会員を紹介した。これからも皆さまと指せることを楽しみにしている。
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湯川博士統括幹事の教え

2010-09-09 00:32:40 | 愛棋家
「将棋ペン倶楽部」(「将棋ペンクラブ」は団体名、「将棋ペン倶楽部」は書名)に投稿すると、その文章は100%掲載される。将棋を愛する会員の投稿だから、ボツになることはないのだ。ただし原稿料は一切でない。素人の文章だから、これは当然である。
投稿された文は、湯川博士統括幹事が中心となって、校正が行われる。原文には日本語の乱れや、意味が分からない箇所が見受けられ、そのままでは掲載できないからだ。
そこから投稿者とのやりとりが電話やeメールを通じて行われ、多い時は数回に上る。ここが投稿者の運命の分かれ道である。文章の瑕疵を指摘されることは投稿者にとって不愉快かもしれないが、ここで怒って投げ出してはいけない。湯川統括幹事は文章のプロである。そのプロに無償で原稿を手直ししていただけるのだ。それをありがたい、と捉えることが大事である。
…とここまで書いて自慢するようで恐縮だが、私の文章は湯川統括幹事の好みにあっているらしく、大幅な直しが入ったことはない。
以前、関東交流会のレポートを仰せつかったとき、窪田義行六段が自己紹介で、「ヒロシです」とモノマネをしたから、そのことを文章に盛り込んだら、冊子ではその箇所が削除されていた。湯川統括幹事は「ヒロシ」をご存じでなかったのかもしれない。あるいはヒロシを知ってはいたが、窪田六段を揶揄した、と取り、削除したのかもしれない。
また昨年末に行われた「将棋寄席」のレポートを書いたときも、オバサマ方のコーラスグループを、「元妙齢の美女」と書いたら、冊子では「元」が削除されていた。
まあ、記憶に残る直しはその程度である。ただし一度だけ、あることで注意を受けたことがある。それも直々にハガキで郵送されてきたものだった。
私は昨年の3月、第2期マイナビ女子オープンの挑戦者決定戦・中村真梨花女流二段と岩根忍女流初段(当時)の懸賞スポンサーになり、控室の視点から見た観戦記を、将棋ペン倶楽部に投稿した。
その文章の中で注意されたのが、「女流棋士の肩書きについて」だった。
このとき私は、女流棋士の肩書きに、「女流」をつけずに書いていたのである。つまり「中村女流二段」は「中村二段」、「岩根女流初段」は「岩根初段」という具合に書いていた。正確に言うと、初めの記述で「△△女流○段」、2回目以降は「女流」を省略して、ただの「△△○段」と書いていた。
将棋ペン倶楽部の原稿量には一応制限が設けられており、原則的に4頁以内である。私はそんなもの無視してどんどん書いていくが、やはり字数制限は気になる。そこで少しでも文字数を減らそうと「女流」の2文字を削ったのだが、これがよくなかったらしい。
「『女流○段』と『○段』、は違います。『女流○段』は女流の肩書き、『○段』のみは男性(奨励会)の肩書きです。読者が誤解しないよう、そこは正確な記述をお願いします」という趣旨の記述だった。
いわれてみれば確かにそうで、たとえば○○四段、と書けば、奨励会を抜けた正式な棋士である。それを女流棋士にあてはめてしまうと、この女性は男性棋士と同等の肩書きなのか、と取られてしまう恐れがある。まさに目からウロコが落ちる思いだった。
さらに湯川統括幹事のハガキでは、「○○女流○段」「○○さん」「○○(呼び捨て)」の、場面による使い分けを、詳しく書いてくれていた。
湯川統括幹事は、怒ったときはもちろん、笑顔でも恐ろしく見えるというというコワモテだが、棋士に対しての尊敬の念が垣間見え、私は湯川統括幹事の繊細な一面を見た気がした。と同時に、私のような一会員にも過分なアドバイスをくださったことに、私は大いに恐縮したのだった。
そんなことがあってから、私のブログでは、女流棋士の肩書きには、めんどうなようでも、必ず「女流」の2文字をつけるようになった。ただし、(女流)棋士と私では住む世界が違うので、「○○さん」と書いたことはなく、すべて「○○女流○段」で統一している。ときに「ヨーコ」とか「ヒロミ」とか、呼び捨てで書くことはあるが、それは敬愛の表れである。
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天才・加賀さやか

2010-06-07 00:17:01 | 愛棋家
6月4日の「LPSA日めくり詰め将棋カレンダー」は、神奈川県在住・加賀さやかさんの「2手詰め?」作品だった。
加賀さんは昨年の同詰め将棋では、「何で勝っても勝ちは勝ち」というコメントの付いた凄まじい詰将棋を出題され、選考委員のひとりから、「詰将棋のエポックメイキング的な作品」と激賞された。
今回は何と双玉作品で、ヒントを読むと「<裏表詰め・オモテ>ひっくり返してもう一局!」とある。
そこで盤面を改めて見てみると、逆王手の筋はなく、盤面の上下を逆さまにすると、もうひとつの詰将棋が浮かび上がるという、画期的なものだった。したがって、ヒントは<上下詰め>あるいは<先後詰め>が正確な表記だったかもしれない。
しかし4日の解答を見ると、答えがひとつしか書いてない。少し訝しく思って翌5日の詰将棋を見ると、4日の詰将棋がそのまま逆さまになって出題されていて、私は唸った。
今度は<裏表詰め・ウラ>とある。つまり2日間でワンセットということだ。
いままで双玉作品は世の中に数多く発表されたが、どちらを持っても詰みがある、という作意は史上初ではなかろうか。
いったいこういう発想がどこから出てくるのだろう。私のような凡人にはまったく浮かばず、これは立派な才能といえる。
加賀さんは一応マンガ家だが、先だって発売された「将棋世界」にレポートした文章も面白く、マルチな才能を感じさせる。年齢不詳、棋力も不詳、将棋棋士との交友関係もどこまで深いのか分らず、本当にミステリアスなひとである。
私ももうちょっと加賀さんと話をしてみたいが、あまり親しくなって彼女の人となりを知ってしまうのも、興醒めになりそうである。
もしお会いしたら、挨拶を交わすくらいの距離がベストではないかと思う。
ともあれ加賀さんの、来年の「日めくり詰め将棋」作品が楽しみである。
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M氏とT氏とフランボワーズカップ

2009-12-23 01:05:01 | 愛棋家
LPSA金曜サロンには、ご意見番というべき人物がふたりいる。Mi氏とTo氏だ(以下、M氏、T氏と記す)。
M氏とT氏は、私が昨年の3月、初めて金曜サロンにお邪魔したときからすでにいらした。金曜サロンが開席されてからの常連で、このサロンを当初から贔屓にしていた人である。どちらも還暦をとうに過ぎているが、腕に衰えはなく、私もさんざん苦杯を嘗めてきた。対戦成績は、もちろん私の大幅な負け越しである。
M氏は髪の短い角刈り、T氏は短い白髪がわずかに生えただけの、坊主頭に近い。眼の保護のため、時折サングラスをかけている。棋風はというと、M氏が攻め将棋の粘着型、T氏が受け将棋のあっさり型で、対称的ある。このおふたりは自分の将棋を指すよりもヒトの将棋を観戦するのが好きで、対局が終わると、感想戦に参加していろいろアドバイスをくれる。
しかし厄介なのは両者の棋風がまったく違うため、「ここはこう指せばまだまだだよ」とM氏が言えば、「そんなんじゃダメだよ。もう終わってるよ」とT氏が返す。対局者は混乱してしまうが、そのやりとりは年季の入った漫才を見るようで、楽しい。
またおふたりは周りが若輩ということもあり遠慮がなく、対局者が初心者だろうと有段者だろうと、言うべきことはしっかり言う。それもズケズケと言う。かくいう私も、T氏には「今日の一公さんはダメだね」とキツイご宣託を頂戴したこともあった。それでいて憎めないのは、両者の人徳のなせるワザであろう。
そのおふたりは、LPSAの公開対局には、あまり顔を出さない。しかし昨年の「フランボワーズカップ」では、珍しく両者揃って顔を見せた。船戸陽子女流二段の劇的な優勝を見届けたあと、いつものメンバーでファミレスに食事に行こうとすると、珍しくおふたりも付き合ってくださることになった。
文京シビックセンター26階から下へ降りるエレベーターの中では、
「この前は一公さんにイビアナでやられちゃったからねぇ」
と、T氏が言う。この前の週の金曜サロンだったか、当時T氏に4連敗中だった私は、T氏の四間飛車に居飛車穴熊を採用し、61手の短手数で初勝利を挙げていたのだ。その話を蒸し返すのだから、T氏の将棋熱、推して知るべしである。
都営地下鉄・水道橋駅近くのファミレスに入ると、ドアに「イベント期間中は混雑が予想されるため、3時間で会計をお願いします」と貼り紙があった。
このときのメンバーは、そのおふたりにW氏、私、あとふたりぐらいいたと思う。それぞれ適当に食事をオーダーして、まずは一息。
M氏はズボンのポケットに「将棋世界」の別冊付録を携行していて、ヒマがあれば勉強をしている。その将棋好きはT氏に劣らない。結果、濃密な将棋の話題となった。
「きょうの将棋はいい将棋だったねぇ」
「☖5六歩の叩きにはしびれました」
「☖8五角切りがスゴかったねぇ」
と、まずはフランボワーズカップの感想を言い合う。そこから女流棋士の棋力について話が流れ、やがて私たちの棋力への言及になった。
「もう少し若いモンが頑張らにゃイカン」
金曜サロンでは昨年の4月から、会員同士のリーグ戦を3ヶ月ごとに開いており、その時点ではM氏の3連覇、T氏の2回連続準優勝が続いていたのだ。
「す、すみません」
「おれたち年寄りがリーグ優勝してるようじゃダメなんだよ」
「お、おっしゃるとおりでございます」
と、私たちはなぜか平謝りする。続いてT氏が昔話を始める。
「おりゃあ、小池重明と何度も指したことあるよ」
「ホントですか!? 新宿の殺し屋ですね!!」
私は大仰に驚く。
「ああ。角落ちだったけど、勝ったね」
「それはすごいですね!!」
その後も将棋の話は留まるところを知らず延々と続き、結局6時すぎごろに入って、終電近くまで粘ったのではなかろうか。
みんなが適当にカネを出し合い、会計を済ませて外に出る。そのとき、ドアにあった張り紙が、実はこの日(12月23日)も含んでいることに気がついた。
確かに食事が終わって雑談しているとき、入口には何人もの人が、順番待ちをしていたのだ。私には視界に入っていたが、場の雰囲気から、「そろそろ出ましょう」とは言いだせなかった。
それなら店員が会計を促してくれればよかったのに…と思ったとき、あっ!! と気がついた。M氏、T氏の風貌は、あちらの世界の人を彷彿とさせるではないか。しかも話している内容が、「さす」だの「切る」だの「叩く」だのと物騒な言葉ばかり。さらに「これからは若いモンが頑張らなきゃイカン」とか「殺し屋ですね!!」とかいう会話までしている。
まるで会長に若い衆が説教されている図である。そう思えば店員のほうも、なにか恐ろしい団体を見る目で、私たちの前を行き来していたような気がする。
たかだか食事とドリンクバーだけで長居をしてしまって、ファミレスの従業員、店員には、本当に申し訳ないことをしたと、恐縮する次第であった。
さてそんな出来事があったあの日から、きょうでちょうど1年。その同じ日、同じ場所で、今年も1dayトーナメントの掉尾を飾る「フランボワーズカップ」が行われる。今年はどんな感動が待っているだろう。大いに楽しみである。
コメント (9)
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