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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

ワインサロンは大入り満員!!

2011-06-28 00:11:48 | LPSA木曜ワインサロン
23日(木)は、LPSA木曜ワインサロンに行った。木曜ワインサロンとは、ソムリエでもある船戸陽子女流二段がおすすめのワインを提供し、ワイン講座のあとに指導対局も行うという、ワインと将棋好きにはたまらない企画である。
4月からのクールは全6回で今回が最終。私は5月26日の回以外は全部参加したことになった。これをどう考えるべきか。
開会の午後7時少し前に入ると、先客が3人いた。うちひとりは女性である。LPSAのイベントでよく見かける方だ。
船戸女流二段はこの日の昼、日レスインビテーションカップ女流棋士トーナメントで中倉宏美女流二段と対戦し、勝利を収めていた。私がお祝いを述べると、まんざらでもない顔だ。これでいい。勝つと負けるとでは、あとの指導対局の厳しさが違う。
やがてKun氏、K・T氏らが入室し、客は7人になった。定員の5名を越える大入り満員である。
ワイン好きの客には、船戸さんのワインのチョイスも楽しみなのだろうが、私はまだその境地に達していない。今回は前回に続き、フランス・ロワール川河口のナンテ地区で生産されているワインが出された。銘柄は「グロブラン」。前回は「ミュスカデ」だったが、ブドウの品種が違うらしい。
「まずは一口飲んでみてください」
と船戸さんに促され、私は一口味わう。前回との味の違いを見るのだ。前回の「ミュスカデ」は、「マスカット」が語源のごとく甘めだったが、今回の「グロブラン」はキリッとして、酸味が強い。まるでレモンのようだった。しかし私はこのくらいの硬派な味のほうが好きだ。
ちなみに「グロブラン」は岩ガキによく合うらしい。保存時は8℃が適温とのこと。さすがはソムリエ、なかなか細かい。
というところで、指導対局に入る。私の右にはKun氏が座っていた。私は角道を止める三間飛車。昼の宏美女流二段が三間飛車だったので、それに倣った。Kun氏は3手目に▲7五歩とする石田流三間飛車。同じ三間飛車でも、居飛車党と振り飛車党の指すそれは味が違う。最近は、それぞれに違う将棋を指す船戸女流二段、きょうは7面指しだったので、戦形の選択にも苦労したようだ。
私には、△5三銀左の急戦だった。穴熊党の船戸女流二段には珍しいが、昼の日レスカップも、この対抗法だった。急戦を指す、ニュースタイルの船戸女流二段はステキだ。
船戸女流二段はすぐに△6五歩と仕掛けず、△7三銀を挟んでから△6五歩ときた。数手後、私は▲4五桂と銀取りに跳ねる。高美濃囲いで▲3七桂と跳ねると守りが三割弱くなるらしいが、それを4五まで跳ねてしまうのだから、下手としても決断の一手だ。
△6四銀▲6五歩△7七角成▲同桂△7三銀引。角は交換されたものの、1歩ドクし、上手の銀を7三に追いやれては、私が指しやすくなったのだろう。この局面が下。

上手・船戸女流二段:1一香、1四歩、2一桂、2三歩、3二王、3四歩、4二金、4三歩、5二金、5四歩、6二銀、7三銀、7四歩、8一桂、8二飛、8五歩、9一香、9四歩 持駒:角
下手・一公:1六歩、1九香、2七歩、2八玉、3六歩、3八銀、4五桂、4六歩、4七金、4九金、5六歩、6五歩、6七銀、6八飛、7六歩、7七桂、8七歩、9七歩、9九香 持駒:角、歩

ここで私は▲5五歩と突いた。△同歩なら▲5四歩と垂らして下手おもしろいが、上手はもちろんこの歩は取らず、△4四歩。以下▲5六銀△5五歩▲同銀△4五歩と無条件で桂を取られ、下手が不利になった。
▲5五歩では、▲6六角と打つのだった。対局中は△4四角▲同角△同歩で下手わるいと読みを打ち切ったのだが、△4四角には▲5五歩と突く手があった。これに△同歩なら▲5四歩。△5五同角でも▲同角△同歩▲5四歩で、下手がおもしろかった。
ゆえに▲5五歩には△6三銀と上がるのだろうが、それはそれでむずかしい戦いか。しかし本譜よりはマシだったと思う。
本譜△4五歩のあとも、私のむずかしい形勢が続いたが、私の勝負手に船戸女流二段が応手を誤り、最後は私が辛勝した。
Kun氏は、棋風どおりのびのびと捌いていた。私と似たような進行だったのがおもしろかった。
先ほどの女性は、平手で優勢に進めていたようである。女性が将棋に目を向けるのは、いいことだ。
7面指しは上手にとってかなりキツイ局数だが、船戸女流二段は、それを微塵も感じさせない、軽快な指し手だった。やはりプロだと思った。
さて木曜ワインサロンは好評のため、とりあえず来月も継続されることになった。7月は7日と21日とのことだ。私が参加するかどうかは未定である。
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52人に聞く52本のワイン

2011-06-11 17:45:09 | LPSA木曜ワインサロン
第3回AKB48総選挙は、前田敦子が1位だった。私が投票権(券)を持っていたら、篠田麻里子に投じた。その篠田麻里子は4位。大健闘であろう。日本全国のファンが参加した、白熱したいい戦いだったと思う。

9日は、船戸陽子女流二段主宰の「LPSA木曜ワインサロン」に行った。このブログの読者なら当然ご存じだと思うが、船戸女流二段は女流棋士でありながらソムリエの資格も持つ、世界でただひとりの女性である。昨年11月15日現在、日本のソムリエは15,253人。女性はそのうち7,237人である(日本ソムリエ協会発表)。女流棋士とソムリエの数を比較しても意味はないが、ひとついえることは、どちらもなるのは大変だということだ。
木曜ワインサロンは、その船戸女流二段が勧めるワインに、ミニ講座、指導対局もつくという、ワイン通には堪えられない企画である。今回は全6回(4月~6月)の第5回目だった。
さて今回の木曜ワインサロンで、船戸女流二段には、ここ13日間で6回もお会いしたことになった。すなわち、

5月28日(土) 将棋ペンクラブ関東交流会
5月29日(日) みんなハッピー!LPSA将棋パーク
5月30日(月) LPSAめいめいトーナメント
6月3日(金) LPSA芝浦サロン
6月6日(月) LPSA芝浦サロン
6月9日(木) LPSA木曜ワインサロン

である。
ほかの船戸ファンが見たら「羨ましい」の一語だろうが、女流棋士に会うにはおカネがかかるわけで、けっこうたいへんである。
きょうの客はKun氏、ミスター中飛車氏に、K・T氏、それと私の4人。私以外はいずれもワインに詳しく、私には場違いな感じがする。
今回はいきなり指導対局から入り、途中からワイン講義になった。その冒頭に船戸女流二段からお知らせがあり、「アサヒワインコム」というサイトの「52人に聞く52本のワイン」のコーナーに、10日から自身が登場する、とのことだった。後日私もそのサイトを開いてみたが、アップされた船戸女流二段の写真がとても美しく、見とれてしまった。やっぱり彼女は心理評論家の植木理恵に似ている。船戸女流二段も植木理恵も、本当に美人だと思う。
船戸女流二段の「きょうのおススメワイン」は「Muscadet」の「Sur lie」。「Muscadet」は、フランス・ロワール地方の河口にある辛口の白ワイン。「Sur lie」は澱(おり)抜きをしない製法で造ったものをいう。通常は澱を抜きながら造るので、たぶん珍しい製法なのだろう。
船戸女流二段の講義は分かりやすい。分かりやすくて、つい右の耳から左の耳へ抜けてしまう。こんなことだから、船戸女流二段に「全然憶えないんですね」とため息をつかれてしまうのだ。
6日の船戸女流二段はいい香りのする香水をつけていたが、きょうは香りがしない。余計な香りは、ワインを楽しむのに邪魔になるという考えだろう。いつだったか船戸女流二段から、ワインを楽しむときは口紅をつけない、と聞いたことがある。恐らくデートのときも、そうなのだろう。
指導対局は船戸女流二段の中飛車になった。
「きょうは暑かったので、穴熊にはしません」
と船戸女流二段の宣言があった。ただ木曜ワインサロンの船戸女流二段は、ソムリエに力を入れているからか、指導対局はいまひとつのように思う。
きょうは中盤の折衝で船戸女流二段に弱気な手が出て、気がついたら私の優勢になっていた。
終盤、△9二王にめがけて▲8五桂と据えた局面。ここで船戸女流二段は△3一金打と竜をしかる。貴重なカナ駒をここに投入するのだからふつうはない手だが、船戸女流二段はなりふり構わない。その気迫に押されて私は▲1一竜とひるんだが、ここは▲9三銀と打てば、△同桂▲同歩成△同銀▲同桂成△同馬▲同飛成△8一王▲9一竜まで、即詰みだった。
形勢が大差だったので以後は私が押し切ったが、一手争いの最中だったら、あぶなかった。
次回の木曜ワインサロンは23日である。興味のある方は、LPSAへお問い合わせください。
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「大沢さんって、いじわるなんだ」

2011-05-20 00:15:35 | LPSA木曜ワインサロン
きのうのフジテレビ系「とんねるずのみなさんのおかげでした」の「きたな美味い店」で、JR久留里駅近くの中華料理店が出たが、ここは数年前、私が入ったことのある店だった。

12日は、船戸陽子女流二段主宰のLPSA木曜ワインサロンに行った。前回お邪魔したのは2週間前だが、それから旅行をして、ここまで駒には全く触らなかった。船戸女流二段に対しても、将棋に対しても、若干の禁断症状が出ていたころだった。
またもや雨の降る中、午後6時半ごろ、サロンに入る。もちろん一番乗りである。束の間の2人の時間を楽しみたいからだが、これが図に当たった。
前回の回想に戻るが、あのときは船戸女流二段が体調不良で、ハナ声だった。女性のハナ声は魅力的だと思う。過去に私は、藤森奈津子女流四段、中井広恵女流六段のハナ声を聞いている。ことに藤森女流四段のそれはアニメ声で、私は一遍にファンになってしまった。しかしハナ声は期間限定。その次に会った時、藤森女流四段はふつうの声に戻っていて、大いに落胆した覚えがある。
前回の船戸女流二段の声は道端ジェシカそっくりで、船戸女流二段には申し訳ないが、この時は彼女の顔を見ないようにして声だけを楽しみ、道端ジェシカと将棋を指している妄想を楽しんだのだった。
今回は船戸女流二段も全快し、いつもの声である。ちょっとガッカリしたが、まあいい。
船戸女流二段と他愛もない会話を楽しむが、一段落すると、もう話すネタがない。妙に緊張してきて、私はとりあえず夕食に出た。
隣の吉野家に入り10分でサロンに戻ってくるが、客はまだ私しかいない。
「あ、船戸先生、きょうの対局はどうでした?」
きょう12日は、女流王将戦予選の対局があったのである。しかし船戸女流二段は答えない。私はなおも追及する。
「あれ? きょうじゃなかったっけ…女流王将戦の対局がありましたよね」
「大沢さんって、いじわるなんだ」
「あっ…負けた? 負けたんですか?」
「……」
これはイケナイことを聞いたようである。気まずい雰囲気になってしまった。
「このままだと1対1のサロンになっちゃいますね」
私の船戸女流二段への想いを知ってか知らずか、船戸女流二段がドキッとすることを言う。
ワインサロンは午後7時からだが、もう6時55分である。テーブルには6脚のワイングラスが乗っているから誰かは来るだろうが、船戸女流二段の言葉が、冗談と言えなくなってきた。
1対1…。個人授業…。プライベートレッスン…。ああっ、イケナイ妄想をしてしまう。
6時57分、ミスター中飛車氏が来る。ホッとした半面、どこかで残念に思う自分がいた。
7時を過ぎたが、ほかに客が来ないので、じゃあ先に将棋を指しましょうと、とりあえず駒を並べる。と、中飛車氏が、
「あれ、船戸さん、きょうは対局でしたよね」
と問う。
げえっ!! そ、それを言うのか!? 船戸女流二段は、案の定答えない。しかし中飛車氏もさらに突っ込む。「たしかきょうでしたよね。対局予定に船戸さんの名前があったから――」
「中飛車さん、女流王将戦はなかったことにしたほうがいいみたいよ」
これ以上突っ込んで、船戸女流二段にヘソを曲げられては敵わない。慌てて私が制す。
「…240手もかかっちゃいました。今期は長手数ばっかり。『オンナ淡路』ですね」
と、これは船戸女流二段。ようやくジョークらしきものが出て、ほっと一息つく私であった。
その後はKun氏、K・T氏と見え、いつものメンバーの中、ワイン講義が始まった。ちなみに残りの2名は、そのまま欠席のようだった。
きょう出されたワインは、「Chablis(シャブリ)」。世界中でいちばん売れている白ワインらしい。日本では長野県小諸産が有名とのこと。小諸といえば、私には寅さん記念館と小諸そばしか連想できない。
このシャブリ、ピンからキリまであるが、たとえば牡蠣を食すときには、リーズナブルなシャブリがよく合うらしい。いずれにしてもシャブリはわりと高価なようで、木曜ワインサロンは、けっこう出血サービスをしている。
指導対局開始。きょうの船戸女流二段のテーマは、「いつもは指さない戦型」らしく、私とは相矢倉になった。確かに珍しく、これで船戸女流二段との平手戦は43局に上るが、相矢倉はこれが初めてであった。
蛇足ながら、船戸女流二段との指導対局はこれが50局目(ほかに10秒将棋が3局ある)。よくこれだけの数になったものだと、感慨深いものがあった。
中盤、船戸女流二段が穴熊に潜る。私は端攻めに出て有利になったが、決め手を逸してからは混戦模様。否、非勢を感じていた。
私は左右挟撃態勢を整えたいが、わずかな隙を衝いて、船戸女流二段の△9六歩~△9八歩~△9七歩に、私が▲同香と取ったのが疑問手。すかさず△9八銀と打たれ、苦戦を覚悟した。
対局中にこんな気持ちになってはいけない。以下は6手進んだところで、私の投了となった。投了1手前の私の手が疑問手で、ここで正着を指せばまだこれからの将棋だった。また投了の局面もむずかしい形勢だったのだが、私が戦意喪失してしまったのだからしょうがない。
感想戦では、船戸女流二段も形勢不利を自認していたとのこと。ただ、私の悲観のほうがひどかったようである。つくづく将棋はメンタルなゲームだと感じた。
感想戦が一区切りすると、8時20分、私は早々とサロンを後にした。前回よりも早い退出だった。
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フナトヨーコのピンクのマニキュア

2011-05-04 09:29:04 | LPSA木曜ワインサロン
4月28日、船戸陽子女流二段主宰の「LPSA木曜ワインサロン」に行った。
私事になるが、翌29日からは九州旅行を控えていて、その準備やブログ、さらに精神的状態を考えるとワインサロンどころではなかったのだが、そこを出席しなければ、真の船戸陽子ファンとはいえない。私は「小諸そば」で二枚もりを食し、午後6時30分すぎに芝浦サロンへ入った。
予想通り一番乗り。対局テーブルには定員いっぱい、6面の将棋盤が置かれていた。船戸女流二段と二人の時間を楽しもうと思ったのだが、すぐに2人連れの会員が見えて、夢の時間は15秒ほどで終わった。
まだ3人しか揃っていなかったが、いつも将棋が長くなるので、将棋を先に始めることになった。
駒を並べていると、続けて会員が集まる。アマ強豪のK・T氏、Kun氏らいつものメンバーだ。何度も書くが、フナトヨーコに会いたいというスケベ心だけでワインサロンに出席しているのは私のみで、いつも肩身が狭い。私たちのほかにもワインと将棋を勉強したい会員がいるやもしれず、私ももう、ワインサロンを卒業したほうがいいのかもしれない。
この日もカリフォルニアワインが供された。前回より色が薄いものだ。一口味わってみるが、おいしい。私がワインサロンに通って、もう7回目になるが、だんだん飲みやすくなっている。これでも多少、ワインに強くなってきたのだろうか。
7時になった。ますはワインの講義から入る。今回は前回の続きで、「シャンパン」の名称について。シャンパンはシャンパーニュ地方の産地の名前であって、ワインの種類を指すものではないということ。「セロテープ」や「宅急便」が商標名なのと似た感覚といえようか。
ひとしきり講義が終わり、対局開始。私の▲7六歩に、船戸女流二段、△3四歩。
そう指した船戸女流二段の爪に、パールピンクのマニキュアが塗られていた。いままであったようでなかったマニキュアだ。船戸女流二段のイメージどおりのような気もするが、違う気もする。
ちなみに服装のほうは、ピンク系のブラウスに、ダボダボのパンツ。これはこれでよく似合っていたが、この日はムラムラするまではいかなかった。やはり私の体調が万全でないためだろうか。
将棋は相居飛車系。船戸女流二段は雁木に構え、飛車先の歩を突かず△7二飛と寄る。船戸女流二段の十八番だ。私は棒銀に構える。なんだかんだいって、私は対振り飛車、相居飛車とも、棒銀を採ることが多い。
船戸女流二段は6局とも違う戦型を目指したようで、穴熊の将棋は1局のみ。Kun氏の振り飛車にも薄い囲いで対応し、船戸女流二段の芸域の広さを新発見した。
私は船戸女流二段に幻惑されず、将棋に集中できたおかげで、少しはマシに指せたようだ。私の優勢で迎えた局面の一部が、次のごとくである。
上手・船戸女流二段:2三歩、3一王、3二金、3六竜、4二金、4三銀、4九金、6一飛 持駒;金、桂など
下手・一公:1一馬、2二歩、6四角、6五歩、6八香、7六銀、7八玉、8七歩、8九桂、9七歩、9九香 持駒:銀2、桂など
私の▲6四角に、船戸女流二段が3七の竜を△3六竜と逃げ、7六の銀取りに当てた局面。
ここで私は▲5三桂と打った。対局中は、この詰めろが受けにくいと思っていた。
船戸女流二段は「先に(桂を打った)…」とつぶやき、△7六竜と銀を取りつつ王手。すぐにそこを離れた。私は読み筋どおり▲7七銀とアイシャしたが、ここで自玉の詰みに気づき唖然とした。
すぐにでも投了したいが、前に対局者がいない。そういえばかつて船戸女流二段も、マイナビ女子オープン本戦で山田久美女流三段相手に、こうした苦い思いをしている。
やがて船戸女流二段が戻ってきて、
「これ、(下手玉は)詰まないの?」
とつぶやきつつ、△8六桂。すぐに私は投げた。投了以下は、▲8六同歩△8七銀▲6九玉△5九金打▲7九玉△7七竜▲同桂△7八銀打まで。
桂は6六から打つものとばかり思い、それなら▲同香△6七銀▲8八玉△7八金▲9八玉で下手玉は詰まないから、私の勝ちだと思っていた。感想戦でも出たが、▲5三桂では▲7七銀と一枚入れておけば、下手が十分だったと思う。
…というよりそもそも、詰みのあるなしより王手で銀を取らせる感覚がおかしいのだ。こんな緊張感のない手を指していては、ダメである。
時刻は午後8時半。ちょっと早いが、きょうはこれで失礼することにした。船戸女流二段の誕生日はこの5日前の4月23日だったが、結局お祝いを述べる機会を逸した。ここが私の甘いところである。
船戸先生、25歳の誕生日、おめでとうございます。
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復活! 木曜ワインサロン

2011-04-16 15:59:05 | LPSA木曜ワインサロン
LPSAの特別企画「木曜ワインサロン」が、4月より復活した。これはソムリエの資格を持つ船戸陽子女流二段がミニワイン講座を行い、同女流二段オススメのワインを楽しみつつ、指導対局を受けるというものだ。
かねてから船戸女流二段は、ワインと将棋を融合させたイベントを開きたい、と熱望していた。「木曜ワインサロン」は、そんな船戸女流二段の構想が具現化されたものである。昨年は10月~12月に6回開かれたが、好評だったため、今年も開催の運びとなった。今回は4月から6月まで、計6回開かれる。開講時間は午後7時から9時まで。その第1回目が14日にあり、私は芝浦サロンに向かった。
6時すぎにJR田町駅で下車し、改札を抜けたあと、海側に向かって左側の階段を降りる。まずは「小諸そば」で腹ごしらえをしたい。芝浦サロンは芝浦運河を抜け、大通りにぶつかったところを右折するのだが、先月末にオープンした「小諸そば」は道路左側の歩道沿いにあるので、こちらから降りたほうがいいのだ。
しばらく歩くと、前に背の高い女性がいる。船戸女流二段!? と思ったが、髪型が違う。同じロングだが、船戸女流二段はちょっと縮れ気味だ。しかし万が一船戸女流二段だったら、こちらも心の準備があるので、一応の確認はする。
ああ…香水の香りがする。これは船戸女流二段の香りだ。しかし…。彼女がわずかに角度を変えた。…やっぱり違った。私は彼女の脇をすり抜け、小諸そばに入った。注文したのは例によって「二枚もり」。晩ご飯どきだったので、かなり客が入っていた。ここに出店したのはいい読みだったようである。
サロンには6時半ごろ入室した。テーブルの上には将棋盤とワイングラスがそれぞれ6つ用意されていた。初回は定員ギリギリまで申し込みがあったようである。
先客はひとり。船戸女流二段が「詰め将棋カレンダー2012」の作品提出をうながしていた。〆切は今月25日。私も出さねばと思うが、どうもいい問題ができない。
きょうの船戸女流二段は、薄手の生地の花柄のワンピースに、ピンクのカーディガンを羽織っている。もうすっかり春の装いだ。
「大沢さんは、ゴールデンウイークはどこかへ行くんですか?」
船戸女流二段が今度は私にきく。女流棋士ファンランキング1位の船戸女流二段と話すときは、いつもドキドキしてしまう。ムラムラするというべきか。ただし、妙な安心感もある。2位の島井咲緒里女流初段と話すときもドキドキするが、ムラムラまではいかない。ここが1位と2位の差である。ちなみに3位の中井広恵天河と話すときは、別の意味でドキドキする。
「ああ、九州へ行くつもりです。日程は未定だけど」
「九州ですか」
「ええ、毎年行ってるんで。(5月)2日は休めると思うんで、29日から5日まで行くと思います」
「私、2日はサロンなんですよ。しょぼん」
「……」
私の反応を楽しむためか、船戸女流二段はしょげる。今年は、ゴールンウイーク中も芝浦サロンがあるらしい。そこに船戸女流二段が入るとは、何という巡り合わせの悪さか。しかし私だって、旅行の予定を変えるわけにはいかない。
もう6時55分だが、まだ客は私たちふたりだけだ。とりあえず駒だけ出したところで、バタバタと3人入室して、計5人になった。その中にはミスター中飛車氏、読売日本一戦で優勝経験もあるK氏がいた。
船戸女流二段が今回用意したのはアルゼンチン産の、桜色のワイン。泡だっていたので
「シャンパンですね」
と口走ったが、これが疑問手だった。
「これはシャンパンではありません。大沢さん、去年教えませんでしたか?」
と船戸女流二段がすかさず咎める。
「いえ…忘れちゃいました」
「シャンパンはシャンパーニュ地方で造られたものをいいます。これはスパークリングワインですね」
そう言って、船戸女流二段がホワイトボードに名称を書く。私は頭をかくばかりだ。
ミニ講義のあとに、指導対局が開始された。結局、ひとりは欠席になったようだ。私の左側には中飛車氏が座っているが、氏はワインに造詣が深く、船戸女流二段にいろいろ質問している。私はワインに興味はなく、フナトヨーコへの興味だけでワインサロンに通うクチなので、あまりいい客ではない。
将棋は船戸女流二段の中飛車に、私の棒銀。船戸女流二段は穴熊に潜った。よく見ると、ほかの平手戦3局も、船戸女流二段は穴熊だ。K氏が
「船戸さん、また穴熊を指すようになったの?」
と笑いながら問う。
「この前まで急戦を指してたんですけど、また穴熊に戻っちゃいました」
木曜日の夜、和気藹藹とした雰囲気である。
船戸女流二段、飛車角交換をしたのち、☖2八飛と角取りに下ろす。私は☗4七角打とつないだ。その局面が下である。

感想戦では私が「ここで☖5五歩と合わされるのがイヤでした」と述べたが、いま考えたら、船戸女流二段は歩切れだった。しかし歩の代わりに、☖5三香と打つ手もあったと思う。
本譜は☖5四銀と出たが、☗3三歩成として、私が指しやすくなった。
指導対局中、私は船戸女流二段を見上げることはしないから、雰囲気だけ味わうことになる。すると、植木理恵がいるような気がした。船戸女流二段を前にしてほかの女性を思い浮かべるなんて、船戸女流二段に失礼ではあったが。
将棋は私の勝ち。その感想戦では、時間が余っていたからか、上の局面から☖5五歩と指し、ずるずると「2局目」が始まった。
私は船戸女流二段をあらためて見やる。ワンピースの下に、白のミニスカートがうっすらと透けて見える。これは…。一体、どういう構造になっているのだろう。でもそのまま凝視してはいけない気がして、私は盤面に視線を戻した。
時刻は9時近くになり、自由解散となった。木曜サインサロンでの船戸女流二段は、女流棋士とソムリエの両面を見せねばならず、ふだんの倍の神経を遣うと思う。しかしソムリエの船戸女流二段は、将棋を指すときとは別の顔になって、とても凛々しい。
ワイン好きには好評のこの企画だが、若干私は浮いている気がする。もう少しワインを勉強して、サロンに臨みたい。
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