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おわら風の盆

2013年07月12日 | 富山


 越中で立山 加賀では白山
駿河の富士山 三国一だよ
 歌われよ わしゃはやす 

この踊りには足音がない。
どこからともなく近づいて来て、
どこへともなく去って行くようだ。
町筋を影絵の動きを思わせながら進んで行く。
胡弓の音が遠くなり、やがて消えた。
胡弓の音も歌の声もなく、
坂をのぼるぼんぼりの灯の間を、
踊りだけが宙に漂いながら揺れて近づいて来る。
「・・・ねぇ この世のものなの」
踊りが近づいて来る。
胡弓の音が耳に入り、歌が聞こえ始めた。
踊り手たちは目深にかぶった笠の下で、
やや斜め下を見つめながら、漂いつつすぎて行った。

(「風の盆恋歌」高橋治)      .



9月1~3日/おわら風の盆(八尾町)
二百十日の風が吹くころ、坂の町八尾は哀調をおびた胡弓の音が、夜の白むまで響き渡り、人々は踊りに酔い痴れ、小さな町はおわら一色になる。




おわらはそれぞれの町の伝統と個性を披露しながら唄い踊る。その町流しの後ろには、哀愁漂う音色に魅せられた人々が1人、また1人と自然につらなりだす。闇に橙色の灯が浮かび上がり、誰もがおわらに染まっていく。娘さんの涼しげな揃いの浴衣に、編笠の間から少し顔を覗かせたその姿は、静かで優美で幻想的である。
生活の中から見いだした喜びを面白おかしく表現しながら、町を練り歩いたことが町流しの始まりという。その後「おおわらい(大笑い)」の言葉を挟んで踊ったことがあり、これが「おわら」の語源になったという。また一説によれば、農作物の収穫の時期に豊年を祈り、おおわら(大藁)とも。
おわらは他の民謡と同様に、はじめは唄だけだったが、そのうち楽器が入り、踊りが入ってきた。時代と共に踊りも変わってきて現在は、1.「豊年踊り」(旧踊り) 2.「男踊り」 3.「女踊り」(四季の踊り)と3通りある。
「宙返り」は深川踊りから、「稲刈り」はカッポレから取り入れられた。それまでの芸者の色っぽくて難しい踊りから、非常に単純で美しい「豊年踊り」に仕上がった。
はじめ「おわら」は芸者が踊り、町の娘は踊らなかった。「女踊り」は鏡町の芸者が踊り、「男踊り」は「甚六会」が踊ったという。娘を人目に触れさせなかったし、踊りに出すのはもってのほかだった。
 「唄い手」「囃子方」「太鼓」「三味線」「胡弓」のそれぞれがおわら節独特のハーモニーを奏で、「踊り手」はそれに合わせ町中を踊り歩く。


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8 コメント

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あのメロディがたまりませんよね ()
2013-07-12 10:17:34
胡弓の奏でるあの哀愁を帯びたメロディがたまりませんね。
小生の知人に高岡出身の人がおり、この踊りについては富山の人たちは、皆踊れるんだと聞いた記憶があります。なかなか奥深い踊りのようですね。
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素敵なり、風の盆 (延岡の山歩人K)
2013-07-12 19:14:51
「おわら風の盆」
その言葉自体にも心の琴線に触れるような、そして哀愁に満ちた響きが感じられます。
以前(登山で)富山に行った折り「おわら風の盆」の事も伺いました
踊り手さんは、ほとんどが10代の女性で、それがまた観光客の人気になっていると言う事でした。
私も、風の盆に行きたい。もちろん山形県まで足を延ばして立石寺にも。


久住の名ガイド犬
このガイド犬の名前は、やはり平冶(ひじ)岳にちなんで命名されましたが、同じ字でも
平治(へいじ)と呼ばれたそうです。

立石寺
「閑(しず)かさや 岩いわにしみ入いる 蝉せみの声こえ」
このあまりにも有名な松尾芭蕉の句~芭蕉の句のなかでも私は特に好きな句です。
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おわら風の盆 (らいちゃん)
2013-07-13 05:33:29
[おわら風の盆]は有名なのでニュースで観て知っていましたが、名前の由来などは今日初めて知りました。
河内音頭や阿波踊りのような派手さが無く、哀愁を帯びた物悲しい踊りのように感じていましたが、「豊年踊り」や「男踊り」.「女踊り」などがあると言うことは次第に明るさのある盆踊りに変化してきているのでしょうね。
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3コメントに ( ..)φ (iina)
2013-07-13 08:55:03
(桂) さん へ
胡弓は、雨に弱いため降られると中止するほど繊細な楽器です。
富山県人は、あるいはみんながおわらを踊れるかも知れません。




(延岡の山歩人K) さん へ
ヤマアジサイは、蝶が止まっているようにも見えます。
「ヤマホトトギス」と聞き、
    ほ~ ホケキョ  と、口をアングリ開けた感想を抱くばかりです。
花の斑点が、野鳥のホトトギスの胸の斑点に似ていることから「ホトトギス」の名になったらしいですが、どうしてこんな
名がついているのかに興味が向きます。

「おわら風の盆」は、ステージ等で見たり聴いたりするより、坂の八尾で町流しする風情が一番です。

「閑かさや・・・」の一句も、芭蕉が様々に云い直した校正後が残っていて、いまに伝わる句に落ち着いたようです。
俳句は小宇宙を形成していますね。




(らいちゃん) へ
前にコメントした気もしますが、この「祝い船」を持ち歌にしていた方が懐かしいです。歌い主の門脇陸男よりも
巧く歌っているように聴こえました。
“はなむけ”が、馬の鼻を目的地の方へ向けたことから発したというのが面白いです。

「おわら風の盆」は、二百十日の初秋の風が吹く九月一日から三日にかけて八尾(やつお)で踊られます。
2日間はお客のために、最後の1日を自分たちのために踊るといいます。
踊りのはじめはいまのように風雅ではなく、猥褻な箇所もあったのを明治以降にそぎ落とし、今でさえもよりよい
踊りと唄を求めて磨かれている風です。明るさを求めるというより、(愛でる者の色眼鏡でみると)芸術品といえる
ほどです。
一方の底抜けに明るく活発な河内音頭は、自発的に踊りの輪に加わっていやが上にも人を楽しくさせます。
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/83973e8a67e9c8456fb358f5df29edc5
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神秘的な感じ・・・ (ぴぴ)
2013-07-14 08:52:25
おはようございます。
先日はブログにご訪問コメを有難うございました。
八尾の”おわら風の盆”は、一度観てみたいと思っています。
夜に優しい灯りの中で、何かとても神秘的で厳粛な感じも致しますね。
8月後半に富山へ行くので、八尾の古い町並みが楽しみにしています。
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(ぴぴ)さん へ (iina)
2013-07-14 09:08:34
8月後半に八尾まで足を伸ばすのであれば、8月20日~30日に「おわら風の盆前夜祭」が開催されています。
八尾曳山展示館『観光会館』ホール(有料)
あるいは、午後8:00~午後10:00(雨天中止)には 輪踊りと町流しを無料で見ることができます。

八尾の古い町並みの両側を流れる火防・流雪用水路「エンナカ」の水の音を、味わってきてください。
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風の盆、見てみたいです。 (ji1hid)
2016-04-27 10:26:46
写真でしか見たことのない「おわら風の盆」
是非今年は見に行きたいと考えています。
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(ji1hid)  さん へ (iina)
2016-04-27 10:53:30
二百十日の9月1~3日「おわら風の盆」の本場・八尾は、はとても混み合いますから、早目に宿を手配されることをお奨めします。
八尾には宿が少ないですから、近隣の富山市内や高岡か氷見に泊る方法があります。(^^ゞ

なお、この記事のオリジナルは次のとおりです。
もちろんiinaが創りました。それに、「風の盆恋歌」のメロディつきです。
http://www.geocities.jp/ina570/owara.html

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