日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

桐野夏生・衝撃の「ダーク」

2006-05-27 | 読書
昨夜読み終えた小説「ダーク」上下2冊
読んですぐに取り上げるのは珍しい。

実に衝撃的・実に不可解(結末以外は)
あの型破りながら筋の通った女探偵「ミロ」の変身・変貌
「40歳になったら死のうと思っている」から始まる物語。

上巻は札幌で静かな余生を過ごしているはずの義父
の思いもかけない生活ぶりと
義父を死に追いやるあまりにも激しいミロ。
唐突に一転して一時期新聞をにぎわせた韓国の光州騒動
何で?このように克明に描かれるのだろう、不思議だった。
しかしあまりにも克明な描写
「死臭」のひどさに吐いた若い韓国人。
上巻を読み終わった夜に私は夢を見た。
夢の中で「死臭」を嗅いだ、確かに。
怖い夢ではなかった気がするが朝に臭いを嗅いだことだけ覚えていて、
臭いそのものはどんなにしても思い出せなかった。
(よかったのかも・・)

下巻になって若い韓国人が重要なポジションを占める。
荒唐無稽な上巻に続き下巻はますます暴走。
「姦淫、強欲、そして殺人。
でも罰は絶対に受けない。」腰巻きの文字通りの展開。
最後の最後まで予断を許さず、予想を超える。
ミロと周辺の人たちの変身と変貌

結末だけが、「やはりね」
物語はまだまだ続きそうだ。

読み終わって「なんなんだ・これは」
疲れて、あきれてこれが桐野夏生か?
引き出しが幾つあるのか分からなくなってくる。

解説の「福田和也」の2ページでようやく気が鎮まる。
書き下ろしは2002年
解説の終わりに「柔らかな頬」「「光源」以降読んだ読者には
「ダーク」の激しさ受け入れやすい・・」とあるが
そんなんでもない。

数年前に読んだ女探偵ミロの物語
「顔に振りかかる雨」「水の眠り 灰の夢」など
探し出してもう一度読んでみよう。
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