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天野節子著「烙印」

2012-11-26 | 読書
天野節子著「烙印」幻冬社文庫



天野節子は異色の作家、幼稚園教諭と幼児教育教材会社をへて
突如として小説家デビュー
2006年60才で著した処女作「氷の華」が大ブレーク
二作目の「目線」期待し過ぎた為か、期待はずれだったが
三作目が文庫本化されてまた読んでしまった。

「烙印」は「氷の華」を凌ぐ出来栄えだった。


物語は江戸時代の初期、外房の御宿から始まる。
スペインの難破船を村を揚げての救助活動から
若者の恋物語へ発展する。

一転して2010年兵庫県の芋畑から現れた白骨死体
二転して都内豊島区要町の公園の首吊り死体が発見される。

3カ所の出来事がつなぎ合わされ、事件は終息・・なのだが
この本を貫いている人間像
被害者は徹底的に嫌われる「ヤナ奴」
加害者はかっこ良く、人を引きつけて止まない人物

謎解きの途中から桜木紫乃著「凍原」を思い出し
犯人に行き着いてしまった。

それでも天野節子の物語に飽きる事は無く
犯人を追いつめる終盤は二度読みをしてしまった。

著者は千葉県出身、子供の頃の不思議な記憶を取り出し
史実を調べ、推測を重ね、物語に紡ぎ出した。
長い間の発酵期間(たぶん)を経た重厚なミステリー

ご一読をお勧めします。

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