日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

熊谷達也「氷結の森」集英社文庫

2010-02-13 | 読書
今日は寒い!!
昨日より冷え込み冷蔵庫の中で暮らしているようだ。
午前中に徒歩15分の現場の調査に出かけた。
仕事と思うと寒さも忘れ、1階から2階へ
外回りをウロウロ・・寒いとも感じなかったが
帰ると炬燵が恋しい午後になった。

この小説「氷結の森」集英社文庫は見るからに寒そうなカバーだが
中は「熱い」
「何かを忘れてしまった男たちへ捧ぐ一大叙事詩」
忘れたのは「約束を違えない真っ直ぐな男の情熱」
強くて・一本気で・頭脳明晰で・恰好良い
絶滅危惧種(絶滅したか?)の男の物語。



熊谷達也の「森シリーズ」マタギ三部作の完結編
時は日ロ戦争後の勢い余った頃の日本
秋田市阿仁のマタギの柴田は故郷から逃げて樺太で漁師として働く
力を惜しまぬ働き振りを認められて重要なポジションを与えられるが
暴漢に襲われ野心満々の女性に引き止められつつ
奥まった山の森林の伐採地に身を移す。

女性に借りたお金を返すために働き
ネイティブの恩人の娘を救うために
ロシア(革命前の)に渡り・・革命軍と日本軍の闘争事件に巻き込まれ
銃殺刑と見せかけて命を救われる。

極寒の樺太~シベリアを移動しながら、熱い血の塊のような主人公柴田
一本気にあきれ返られながらも、人種を越えて愛される。
こんなカッコのいい人に一目会いたい・・
誰しもが感じる魅力的過ぎる主人公だが
一度銃の照準を合わせると、人が標的としか見えない冷酷さに変る。
そんな自分を嫌悪しつつ銃を捨てて新天地に向かう結末で終わる。
実際の事件を下敷きに男柴田の物語。

直木賞を受賞した「邂逅の森」と「相剋の森」の最終編
巻末の解説があのグレートジャーニーの関野吉晴
チリからアフリカまで人類の発祥から
移動ルートを逆走した冒険家で医師で文化人類学者
テレビで欠かさず見て、後援会に出かけた私。
本編のおまけ(?)どころか、とんだお年玉を貰った気分になった。
その関野吉晴が小説家熊谷達也を冒険家として認めた(?)

昨年読んだ「新参教師」でイメージが違い過ぎて
「これっきりにしよう」密かに思っていたが、この1冊でまた考えが変わった。

ハラハラドキドキの好きな方、必見の1冊です。

↓このブログ内のページ
「相剋の森」
「邂逅の森」
関野吉晴講演会
コメント
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