保育所は「迷惑施設」なのか。ますます拡大する世代間意識のズレ

2016-04-26 11:11:55 | 日記

保育所は「迷惑施設」なのか。ますます拡大する世代間意識のズレ

 

  「保育所落ちた・日本死ね」の発信が全国に広がり、その行動が政府の保育所行政を大きく変えたことは事実である。その中で発生している「保育所建設反対の住民運動」をどのように考えるか。しかも建設反対を表明している層の多くが高齢者であるとするところから、その一人としての発言があっても良いと考えた次第である。

 まず「東京都品川区池田山」の高級住宅街に建設計画を例として取りあげる。報道によると「約300坪の土地に3階建てを着工、2015年度に定員90人の保育園を開設される予定であった。計画していたのは、全国に約20の保育園を運営している兵庫県の社会福祉法人『夢工房』である」。

 保育所建設に反対する住民の方の意見は「なぜ保育所が計画されるのか。民間といえども、運営費のほとんどが私達の税金でまかなわれている『認可保育所』である。このような高額な不動産への投資はおかしい」。そして「閑静な住宅地への計画は福祉バブルか? 税金の無駄づかいによる箱もの行政である。池田山環境協定を無視した乱暴な建築計画であり、交通事故、夜間の騒音など市民の生活を混乱させる恐れがある」と報じられている。(出典・池田山住環境協議会による)そして、「夢工房」は開設計画を取り下げた。

 待機児童問題の解決のため保育所の整備が急がれるなかで、近隣からのトラブルは増え、建設あるいは開園が中止になっているケースが続いていると報じられている。「高級住宅街を狙った福祉法人の投資」と「そのために税金が使われることは許せない」とす理由を「福祉バブル」と見る意図を真っ向から否定するものではないが、多少行き過ぎと思うがどうだろう。

 そして騒音(子どもの声)を嫌う、あるいは子どもの送迎をめぐる車両事故の問題がある。練馬区の認可保育所をめぐって「平穏に生活する権利を侵害された」として住民が事業者を提訴したケースにもあるようにこれは共通する課題である。そこに退職して静かに暮らしたいとする世代の権利意識と、子育てに悩む世代の権利意識が真っ向からぶつかる形にもなっているようにも思われる。それが「子どもへのわずらわしさ」を強く感じる高齢者の意識を生み、「私たちの子育てを理解しない」として子育ての先輩でもある高齢者に対する忌避意識の増大が生まれる。

 我が家から300m離れているところに小学校がある。秋になると運動会を前にして「プラスバンド」の練習が校庭で行われる。その音が西風に乗ってくる。私には子どもの歓声も交じり、その音が快く聞こえるし気持ちが和む。しかし、それが騒音であるとの申し入れが行われ校庭での練習は中止された。「お年の割には耳が良いですね」という嫌味の一つも言いたくなる申し入れである。

 また墓地公園が計画された。これに対し「迷惑施設」であるとする声が上がった。市は近隣の住民の同意を得るために、公民館の改築や建設、グラントの設置、そして道路の整備拡充などの「住民サービス」を示すことによりようやく同意を得ることができた。

 また、病院で亡くなられた遺体を自宅に戻すことを「忌み嫌う」風潮がある。とりわけ若い皆さんにそのことが多いとも聞く。

 保育所も、校庭からの声も、墓地公園も、そして遺体で自宅に戻ることも迷惑なのか。この世代間の意識のズレがますます広がる。余り先の無い私にとってはどうでも良いことと思うのだが、しかし、それだ良いのかとする「意識の格闘」が心に生まれる課題の一つでもある。

 


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