大企業はほくそ笑み・国民は長期の負担を負い続ける

2014-06-08 15:05:43 | 日記

   大企業はほくそ笑み・国民は長期の負担を負い続ける

安倍首相の熱心度を示す一つに「法人減税」がある。どこに行っても、また外国での発言にもこの言葉が飛び出す。とりわけ、外国においての発言は「国外投資家」向けのものである。「今や日本は買いだ」。この発言は記憶に新しい。

今後は、その下げ幅と、歳入減を補う財源確保が焦点と報じられている。

さて、その下げ幅であるが、経済界は中国や韓国並の25%程度までの引き下げを求めている。甘利経済再生担当相は5年程度で20%台まで引き下げると発言をしている。法人税削減に手をつけることの是非については、報道機関や専門家の意見は分かれているが、推定される代替え財源の確保については「厳しい」との解説で一致している。また、自民党内及び閣内においても対立のあるのがこの財源である。いみじくも、麻生財務相は「代替え財源については経団連が回答を示してくれるだろう」という皮肉った発言をしているのもここに理由がある。

法人税1%当たりの税収は4700億円(国と地方の合計)と言われている。ということは、仮に5%下げれば2、5兆円弱の歳入減となる。あることには反対だが、もし経団連が要求している課税率となれば何と5兆円である。法人税の削減が、企業の体質を強め、投機を生み、全国隅々まで、その利益が及ぶだろうとの安倍首相お得意の主張はあるが、それは「柳の下にドジョウ」の譬えである。

そこで、どうしても今回取り上げたいのが、東日本大震災の復興税である。すでに2013年1月からは、個人が納める所得税の2.1%が上乗せ徴収されている。このことは平成25年度の確定申告時に「復興特別所得税」として処理済みの事である。この納入期間は25年間である。納税者の3割は収めきれずに去っていくだろう。「残念だが、あちらには税務署はない」。さらに、この6月から納める住民税に年間1000円が上乗せされる。その期間は10年間である。

住民税の上乗せは、自治体の学校の耐震化や避難道路の整備などに使われるという。目に見える形で使われるということで納得したい面もあるが、それでも我慢ができないものに、法人に科せられた「復興特別法人税」が1年前倒しで廃止されたことである。

大手の企業である「JT・日本たばこ産業」は、この特別法人税が廃止されたことによる原資20億円を社員に分配した。一律20万円の一時金である。支払うべきものが支払わずに済んだ。それを内部留保の金庫に収めることなく社員に吐き出したことには賛意を表したい。だが、法人税を納める上場企業の3割にあたる大企業が、大震災の復興への社会的負担を、僅か2年で済まそうとするところに我慢できないものがある。

企業が、企業として成り立つ所以は、事業を通した社会、地域との共存共栄があってはじめて成り立つものである。1000年に一度と言われる大震災の復興にあたっての「社会的責任」はどこにいったのか。破壊されたとはいえ、堤防、港湾、道路、そして建造物などの公共事業、あるいは民間事業で利益を得てきた企業が、その復興という名の負担に応ずるのは当然である。だから企業に復興税を課したのである。しかし、その社会的負担を僅か2年でチャラとしてしまった安倍政権。そして逃げ切ってしまった大企業。それだけではない。逃げ切った企業に、さらに法人税引き下げという追加のおまけまでつく。そして国民は25年間、10年間という長期間の負担を続ける。加えて消費税の増額が続く。まさに、片や「ほくそ笑み」、片や「踏んだり蹴ったり」である。そんなことは許されない。

あらためて考える。このような政治を変える選択権を奪われていることに強い怒りを持ち、同時に、その体制をつくったしまった自分たちの責任も痛感する午後のひと時である。

 


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