是枝監督の辞退表明に心からの拍手を‼

2018-07-13 13:48:08 | 日記

    是枝監督の辞退表明に心からの拍手を‼

   「じぶんからきょうよりか もっともっとあしたはできるようにするから もうおねがいゆるしてください」と、五歳の女の子が、たどたどしいカタカナで書いた反省文を残して衰弱死をした記事を読む。幼い子どもの心情を思うと息がつまる。そして悲しいことであるがこのような事件・事故が今、国内で頻発している。

   また政治の世界では、森友・加計をめぐる「うそと改ざん」、そして権力への「忖度」という偽善や不条理が横行している。さらに、権力の中枢とも言うべき高級官僚によるセクハラ行為や、我が子の大学入学汚職と言う醜聞が次々と明らかになっている。

 その中で、一段と光輝いたのが「是枝監督の政府からの祝意の辞退表明」であった。若干、時を逸しているがあらためて考えたいと思う。

 第71回カンヌ国際映画祭が先月フランスで開催された。その席上、メガホンをとった是枝裕和監督「万引き家族」に最高賞「パルムドール」が授与された。過去、日本人監督がパルムドールに輝いたのは「地獄門」の衣笠貞之助監督、「影武者」の黒沢明監督、「楢山節考」の今村昌平監督などがいる。これらの作品はいつ見ても心揺さぶるものがある。 

 画面は、スーパーで「阿吽の呼吸」で次々と万引きする父と息子。そんなシーンから始まる『万引き家族』は、家族の死を隠し、年金を不正受給していた実際の詐欺事件をもとに、是枝監督が描いたオリジナル作品となっている。

 「許されぬ絆」ではあるが、それを通して家族の繋がりを強めていくストーリーには「家族とは何か」「家族の中における子どもとは何か」と言うことを、警鐘も込めて語ろうとしたところに、世界からの評価が与えられたものと私は受け止めている。もちろん論評もまたいろいろ出されていることも承知をしている。

 この受賞はまさに21年ぶりの日本映画の快挙であった。にもかかわらず日本の総理大臣が祝意を表さないということは、是枝監督の安倍政権批判がその理由ではないかということが、幾つかのフランスのメディアによって報じられていることを知った。

 折しも開催をされていた6月7日の参院文教科学委員会の質疑がある。その席で立憲民主党の神本美恵子氏が「安倍首相は国際的なスポーツや文化の受賞者を祝福しているが、今回、是枝監督には祝意を示さないのはなぜか。好きな人しかお祝いしないのか。首相に進言をしてほしい」と発言をしている。それを受けて、林芳正文科大臣が「私が招いて祝意を述べたい」と答えていた。

 さてこれの後日談である。林芳正文部科学相が、是枝監督を文科省に招いて祝意を伝える考えを示したところ、是枝監督は自身のホームページに「映画がかつて『国益』や『国策』と一体化し、大きな不幸を招いた過去の反省に立つならば、公権力とは潔く距離を保つというのが正しい振る舞いなのではないか」として祝意を断ったと言う記事を読む。

 もちろん、冬季オリンピックで二連覇に輝いた羽生結弦選手の国民栄誉賞の授与を対して、とやかく述べることは是枝加監督も望まないであろう。ましてや国会の場での論議を望んではいないと思う。しかし「公権力とは潔く距離を保つ」ことを鮮明した是枝監督には惜しみのない拍手を送りたいと思うが、どうだろうか。


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