「近代観測が始まって以降は思い浮かばない地震」・では原発は大丈夫か

2016-04-17 08:24:26 | 日記

 「近代観測が始まって以降は思い浮かばない地震」・では原発は大丈夫か

 私たち福島の人間は2011・3.11の大震災を経験している。東北3県の場合は大津波のダブルパンチを受け2万人という犠牲者を生んだ。当時は1.000年に一度の「大揺れ」と報じられた。しかし、その「大揺れ」もそこに原発がなかったらこれまでの深刻な被害をもたらすことはなかったであろう。その観点から九州大地震を考えると危惧はますます大きく広がる。そのことを福島県の一人として述べてみたいと思う。

 昨今「原発とテロ問題」が大きく取上げられている。それは時代環境の違いで「原発は金の卵ともなるが鬼子」ともなるとの印象を国民に与える代弁となっているが、それでよいのだろうか。

 16日午前1時25分ごろ、熊本市や同県の菊池市などを襲った震度6強の大揺れである。気象庁はこれを「本震」であると説明をした。そして14日の揺れは「前震」だと。それではこの2日日間の余震は「本震の準備」であったということになるのだろうか。「手傷を与えておいて、後から致命傷を与える本格的な攻撃」ということか。時代劇であれば「お主、ようやるのう」で済むが、地震となればそれでは済まされない。

 福島の経験からすれば、熊本県のみならず近県の住民は、これから本格的な「余震」におびえる期間を迎えることになる。現に気象庁は今後1週間で、最大震度6程度の地震が発生する恐れがあると注意を呼び掛けている。そのうち、巷では1ケ月後の「5月16日大地震再来」の風評が飛び交うだろう。

 原子力規制庁は「川内原発がある鹿児島県薩摩川内市では震度4、玄海原発がある佐賀県玄海町では震度3、伊方原発がある愛媛県伊方町では震度4、島根原発がある島根県松江市では震度3をそれぞれ観測しているとし、いずれの原発でもプラントの状態や周辺のモニタリングポストに異常はない」と説明をしている。このうち、九州電力の川内原発は1号機と2号機が稼働しているが「地震による自動停止はしておらず、運転は継続されている」との見解を発表している。(16日02:23発信)

 一方、熊本県熊本地方、阿蘇地方、大分県で規模の大きな地震が相次いでいることについて、気象庁の青木元地震津波監視課長は、16日午前の記者会見で「M7.3の本震」を捉えて、「広域的に続けて地震が発生したケースは近代観測が始まって以降は思い浮かばない」との見解を表明している。つまり三つの地域で別々の地震が同時多発的に発生しているというのである。

 私の知識で多くを語ることはできないがこれだけは言える。「自然の破壊力は未知である。だからこそ用心には用心を重ねないと」。

 そこで「金の卵」を強調する原発に戻る。私の九州の友人から次のようなメールが届く。「『今のところ原発に異常は見られません』と運転を続ける厚かましさを恐ろしく感じます」と。未明の暗闇を、恐れ、おののき逃げ惑う住民、避難所で肩を寄せ合い大揺れに耐えている住民を他所にして、原発を動かし続ける原発企業の九電の「社会的責任」の欠如に強い不満を持つのは当然である。

 ここに地方紙「福島民報」の記事がある。原発被害地の当然の報道である。【原発の停止を九電に要請・広河さん、沢地さんら】との見出しで次のように報じている。

 「九州で相次いでいる地震を受け、フォトジャーナリストの広河隆一さんら文化人6人が連名で16日、全国で唯一稼働中の川内原発の即時停止を求める要請文を九州電力に送ったと明らかにした。要請したのは他に、作家の落合恵子さん、沢地久枝さん、広瀬隆さん、ジャーナリストの鎌田慧さんと、若者のグループSEALDs(シールズ)の山田和花さん」。要請文では「異常があってからでは遅いということは、東京電力福島第1原発事故の経験から、誰の目にも明らか。人々は、次の大地震が川内原発を襲うのではないかという恐怖にさいなまれている」と記している。

 同時に今政党は何をしているのかを問いたい。「反原発にエネルギーを注いてきた野党が、政府に「即時停止」を求めるべきではないか。またそのことを国民に訴えるべきではないか。今やらなくて、いつやるのか」と。