今後は「黒塗り・国民無視」の政治になるだろう。

2016-04-09 12:51:31 | 日記

 今後は「黒塗り・国民無視」の政治になるだろう。

     夏の参議院選の大きな争点にしなければならない

 

   4月8日のTPP承認案に関する衆議院の特別委員会での審議である。前日の審議でもそうだが、政府から出された黒塗りの資料をめぐる安倍首相、そして石原担当大臣の回答に強い不満を持った。

 さて「黒塗り」である。それは交渉過程の開示を求める民進党に対し、日米閣僚協議の資料を「表題と日付を除き全て黒塗り」をして開示した。民進党は高鳥修一内閣府副大臣に説明を求めたが、高鳥氏は私用を理由に出席を拒否した。これに対し民進党が6日「国会軽視だ」と猛抗議し、TPP特別委員会を開くための理事会が中断する事態に発展した。与野党筆頭理事による協議などを経て、高鳥氏が民進党に謝罪することで理事会が再開されたという曰く付きの資料である。

 そして審議に入ったのであるが、政府は一貫して「秘密を原則とする外交交渉である。手の内を見せるようなことはできない」として詳細説明を拒否する姿勢を終始した。さらに大臣も議員、そして官僚職員は守秘義務を負うとの答弁に噛みついたのが民進党の緒方林太郎議員であった。

 これに先立つことフジテレビは「西川委員長が近々『TPPの真実』と題する著書の出版を予定している」と報じ、通販会社アマゾンもその予約注文の受け付けを開始していた。しかし、当のアマゾンは、国会の紛糾を受けてか直ちにそのページを閉じている。誰が圧力をかけたのか、その疑問が生じておかしくないだろう。そして尾ひれがつく「衆議院のTPP特別委員会の西川委員長が来月に予定していたTPP交渉に関わる本の出版を取りやめた」いう配信記事がネットに載る。(4月8日 20:17)

 問題はこれらに対する政府の態度である。緒方議員は追及する。守秘義務が貫徹されるとするなら、西川委員長の原稿は「TPP交渉の秘密の暴露」にあたるのではないかと追及した。当然である。これらの確認をせまる緒方議員の質問に対し、安倍首相は「本を出版したということを前提にしたことですね、一般論といえども答弁を控えさせていただきたいと思います」とはねつけている。また石原担当大臣においては、質問席から示される『ゲラ刷り』を見て「それがどのようなものであるか、内容もわからない。よって答えることができない」との回答を続ける。さらに「内閣官房TPP政府対策本部」が一枚の文書を提出している。そこには「西川委員長の出版は承知している。その執筆に協力した職員はいないことを確認している」いうものである。それに対しても石原大臣は「その紙が何であるかは確認できないから回答できない」と答えている。果ては「どれ見せてください」と回答席から手を出す始末であった。所轄の長が知らないで済むことか。それどころか、直ちにその調査、確認をする事こそ「長の責任」であろう。それをやりもせずに「一枚の紙が」を繰り返すところにもはや政治家の姿ではない。あるのは「安倍首相のイエスマン」のそのものである。またその姿勢は、質問する野党議員を愚ろうするだけではなく国民を愚弄するものである。そこにはかつて「国家総動員法」をめぐる審議の中で、説明にあたっていた陸軍軍部が「黙れ!」と怒鳴った傍若無人さを示す出来事と相通じるものがあると受け止めたのは私だけだろうか。

 そこで考える。「秘密保護法と安保関連法」である。今回の政府の姿勢を見る限り、今後の日米安保体制の維持と自衛隊の具体的施策はすべてベールに閉ざされるものになるだろう。すべてが「真っ黒な回答が国民に示される」ということを明らかにしたものと受け止めた。「手の内を明かせない、それは相手が利するだけ。それは国益に反する」。この文言を常に発っするだろうことを明らかにしたのと言えよう。それを知っただけでも成果である。とするなら夏の参議院選は、政府のこの意図を国民の前に明らかにして、決して譲ることのできない大きな争点としなければならない。そのことを確認し合いたいものである。