再度提起したい。「派遣労働者」の存在の旨味にメスを入れよう

2014-11-13 08:50:01 | 日記

 再度提起したい。「派遣労働者」の存在の旨味にメスを入れよう

 

  「凪ぎの政局」に強力台風が突っ込んできた。それが「解散・総選挙」の波風である。その件については昨日のブログにも書いた。そして今国会の重要法案の一つである「派遣労働者法案」は廃案になるだろう。チャンス到来である。総選挙の大きな争点になるだろうし、またしなければならない。

  そこで、あらためて今般提起された改定法案の中身を吟味してみたい。そこから安倍政権の狙いと、そのスポンサーである経団連の意図を見抜きたい。さて、その改定の中身は次にまとめられる。①「派遣労働者(有期雇用の場合)は同じ職場で3年間働ける」②「人材派遣会社に無期雇用された労働者は同じ職場で働ける」③「派遣受け入れ先の事業所が、同事業所の職場代表(労働組合)の意見を聞けば、人を交代して受け入れを続けられる」④「すべての派遣会社は国の許可制による」などである。この結果、職場に派遣労働者がいなくなるどころか「生涯派遣という実態が生まれる」と言うのが改定反対の論理である。

  それだけでは基本的な争点とはならない。問題はなぜ「人材派遣会社」が生まれ、その派遣労働者制度を必要とするのかの「根っこの問題」に迫らなければならない。この観点が、国民の間でも、労働界でも、またマスコミでも、そして何よりもその論議が、国会の俎上に乗らないところに強い不満を持つ。

  そのことについては、何回かのログに書いてきたがあらためて提起をしたい。派遣労働者を受け入れる事業所(元請)にとっても、また派遣する「人材会社」にとっても労働者は「人」ではなく「業務(仕事)」である。つまり業務(仕事)に必要な「発注人工・○○人」(はっちゅうにんく・なんにん)なのである。そして派遣側(人材派遣会社)は、元請の発注に対して「人工・○○人」の「納品」なのである。

  くどくなるが、受け入れ側にとっては「人件費」ではなく「発注費」であり、経理上は「仕入れ費」として計上される。このことを見逃してはならない。さらに、それが仕入れ費であるということは次のような仕組み(旨味)が生まれる。事業所は、その売上にかかる消費税を納入しなければならないが、その時「仕入れ費」を差し引いて納める。

  元請は、受け入れた派遣労働者の人件費を「仕入れ費」として計上すると述べた。よって、消費税の申告時に「仕入れ費」を消費税総体から差し引くことができる。「仕入れ費」が高ければそれだけ消費税からの差し引く額が多くなる(仕入れ費控除)。これほどの旨味はない。消費税への節税が生まれる。正規労働者を増やすより「派遣労働者」を受け入れたいとする。

  再度述べたい。正規労働者の賃金は「人件費」であり、派遣労働者のそれは「仕入れ費」である。まず、ここにメスを入れる論議をしなければならないはずではないか。

  一昨日のブログに「1兆円純利益、トヨタの節税」を書いた。企業にとっての「税優遇措置」は旨味のある合法的利権である。この旨味がある限り利権は続くし、その政策の温存を図ろうとする。そのための「政治献金」は惜しまない。そして「派遣労働者はなくならない」。

  ここの対決こそ、真の争点であることをあらためて提起したい。