この期に及んでの「解散・総選挙」に異議あり

2014-11-12 09:09:04 | 日記

   この期に及んでの「解散・総選挙」に異議あり

 

  「今、国会の解散に異議あり」

  「政治の選択はいつあっても不思議ではない。また、その選択権は常にもとめるべき」とする王道からは外れた発言と受け止められるかも知れない。しかし、今この時期の解散、総選挙は自・公内閣。とりわけ安倍政権の『衣隠し』に手を貸すことになるという観点からあえて主張したいのである。

  安倍政権がこれだけの失政を侵しつつも、残念ではあるが世論調査のどれをとってもその支持率は5割を切っていない。また野党の力関係がある。かつてもそうだが今後も続くだろう「小選挙区制」での戦いである。得票率において過半数を大きく割るにもかかわらず、自民党が議席の過半数を確保してきた。そのことは、野党の反自民の共闘が成り立たないところにその原因があることは間違い。まさに小数・多党乱立の間隙をぬって、議席を納めているのが今の自民党である。この実態はしばらくつづくだろう。

  第二次安倍内閣の誕生後間もない国会は、目玉とした女性閣僚の辞任、そして「政治とカネ」の問題(この件については叩けばほこりが出るのは与・野党も変わりはないと思うが)で紛糾をした。そして自・公間に「隙間風」も吹き始めている。早いうちに、そしてボロが余りでないうちに解散、総選挙を行う。今なら若干の落ちこぼれはあっても一定の議席は得られるだろう。さらに「消費税増額は見送る」という看板は追い風ともなる。そして選挙の結果を「国民の禊を受けた内閣」という「サプライと演出」と受け止めれば、今回の解散・総選挙の本質が見えてくる。

  そこに「すべてが一件落着の政治体制」が生まれる。

  集団的自衛権も社会保障制度の改定も、そして秘密保護法も、さらに再度の税制改訂(消費税・法人税)も取り上げられるだろう。すべてが「国民の合意が得られた」との「印籠」を手にして。

  企業にとって使い勝手な労働者の派遣労働法もしかりである。戦後のベビーブーム層が「後期高齢者群」に突入する2025年問題。それこそ少子高齢社会のピークの時代となる中での高齢者医療・介護問題を避けては通れない。さらに「原発」がある。指定廃棄物の最終処分場について候補地は混乱している。それとて除染廃棄物の処分である。その背後に「廃炉に基づく最終処分」という大きな壁が存在することを忘れてはならない。すべてが課題の論議はこれからである。それこそ「国のあり方」にかかわる問題である。600から700億円を使っての解散どころの話ではない。

  国会を「お喋りの場」としてはならない。「政治を有識者会議の場」にしてはならない。そして「国会を与野党間の調整の場」としてはいけない。来年いっぱい時間をかけて(いやそれでも足りないだろう)論議をしなければならない課題である。それを経たのち、その真を問う総選挙こそ「今日の望むべき政治の王道」ではないだろうか。

  しかし、解散権は「総理大臣の手にある」。なればこそ、その解散が「衣隠しの解散」であり「一件落着の総選挙」であることを見破り、またそのことを肝に銘じて望むべきが国民一人一人に課せられた責任であると思う。