(6/25産経新聞より)
朝鮮半島の南北分断と対立を固定化させた朝鮮戦争が始まって、25日で60年を迎えた。この間、朝鮮半島情勢は、好転の気配をみせず、海軍哨戒艦の“沈没事故”が起き、ますますきな臭くなっている。半島有事は決して「周辺事態」と呼べる「対岸の火事」ではない。わが国に確実に飛び火する“日本有事”である。国内支援者蜂起による国内の戦場化▼首相誘拐▼離島占領による島民の人質化…。専門家と実施したシミュレーションでは“日本有事”を裏付ける恐ろしい3つの結末が導き出された。 北朝鮮軍は世界最大規模の特殊部隊を有する。エリート部隊は偵察局の1個大隊(500人)を主力とする対日部隊1200人。偵察大隊は日本の言語・文化まで理解し、米陸軍の対テロ特殊部隊デルタフォース級の実力を備えている。このほか、25個旅団10万~12万人の軽歩兵を2008年度末までの2年間で18万人に増強した。軽歩兵とは軽装備の歩兵ではなく、山岳踏破や昼夜・全天候に対応できる高機動能力を持つ部隊のことだ。
一方で、朝鮮労働党にも工作機関がある。「統一戦線部」に対日工作員500人、対日戦闘員も5千人を擁している。もっとも昨年、党の「作戦部」と日本人拉致を実行したとされる「35号室」といった工作機関を偵察局に一本化(=北朝鮮偵察総局)し、軍の非対称(特殊作戦・工作)能力を強化したとされており、編成の掌握が一層困難になった。しかも、日本国内には、決起もいとわない忠誠心を培った協力者=土台人(どだいにん)5千人を抱えているといわれる。
こうした日本国内への投射能力をもとにシミュレートしたところ、3つのケースが浮上した。
《ケース1》韓国陸軍士官学校生への調査ではかつて、34%が「韓国の敵」は「米国」と答え「北朝鮮」を上回った。民族共通の敵として反日米同盟民族闘争を誘発し、ゲリラ活動と併せて日本を戦場化することが作戦目的である。
湾岸戦争で、イラクはイスラエルに対しミサイル攻撃を行った。イスラエル軍が反撃すれば、イスラエルとその背後の米国が共通の敵であることをアラブ世界に証明し、アラブ対米国とその同盟国という対立図を引き出す戦術であった。考え方としては、この戦術と同一線上にある。
弾道ミサイルの攻撃目標は本来、靖国神社や米国大使館など、象徴的場所が効果的。だが、北朝鮮のミサイルは着弾予定地点と着弾地点との誤差が2~4キロもある。民族蜂起が目的で、同胞への被害を避けるため、永田町や霞が関といった政治・行政の中枢や、自衛隊・米軍が共存する基地、いわば同胞が少なく、かつ広域の目標を通常弾頭で狙う可能性が高い。
同時に▽ミサイル誘導や効果確認に偵察大隊1、2人(以下、人数は目標・地域ごと)▽地対空ミサイルなど防空能力排除に向けた偵察大隊7~15人▽インターネットやメディアなどを通じて、同胞に当初は「反日運動」、激高してきた時機を見計らい「決起」を呼びかける任務を担う旧「35号室」工作員(以下、工作員)1、2人-などが、作戦行動に入る。1カ所で3ケタの犠牲者が出る。
《ケース2》政治決定をまひさせることが作戦目的である。具体的には首相拉致が考えられ、仮に殺害しても新首相を誕生させないため安否不明の状況を作為。抱き込んでいる国会議員を活用して新首相誕生に反対させる。官房長官や危機管理監の拉致も狙えば効果は増す。
加えて▽通信・交通基盤破壊と対米協力キーマン暗殺に工作員1、2人がそれぞれ作戦行動に入る。ここでも「対米協力反対」「反戦」など厭戦(えんせん)気分をメディアを使い盛り上げる。首相を守る警護官(SP)のほか、交通量によっては1カ所で4ケタの犠牲者が出る。
《ケース3》日本を基盤とする米軍の投射能力低下のみならず、状況により、日本に戦争終結の仲介をさせる。対馬や壱岐など複数の離島を占領し、戦争終結を条件として島民を人質にする。拒めば、島民を段階的に殺害。蛮刀でノドを切り裂くなどのシーンをメディアに流すことが想定される。陣地防御ではないから守りやすく、偵察大隊7~15人で任務遂行できる。
対米軍後方支援とのはざまで政府決断が遅れ、人質殺害が始まれば、メディアを使い政府を非難する。
以上の3ケースは組み合わされて起きる可能性も高い。「対米軍後方支援を断固継続する」と即断・公言できない国は、以上のように執拗(しつよう)に狙い続けられるのである。
朝鮮半島の南北分断と対立を固定化させた朝鮮戦争が始まって、25日で60年を迎えた。この間、朝鮮半島情勢は、好転の気配をみせず、海軍哨戒艦の“沈没事故”が起き、ますますきな臭くなっている。半島有事は決して「周辺事態」と呼べる「対岸の火事」ではない。わが国に確実に飛び火する“日本有事”である。国内支援者蜂起による国内の戦場化▼首相誘拐▼離島占領による島民の人質化…。専門家と実施したシミュレーションでは“日本有事”を裏付ける恐ろしい3つの結末が導き出された。 北朝鮮軍は世界最大規模の特殊部隊を有する。エリート部隊は偵察局の1個大隊(500人)を主力とする対日部隊1200人。偵察大隊は日本の言語・文化まで理解し、米陸軍の対テロ特殊部隊デルタフォース級の実力を備えている。このほか、25個旅団10万~12万人の軽歩兵を2008年度末までの2年間で18万人に増強した。軽歩兵とは軽装備の歩兵ではなく、山岳踏破や昼夜・全天候に対応できる高機動能力を持つ部隊のことだ。
一方で、朝鮮労働党にも工作機関がある。「統一戦線部」に対日工作員500人、対日戦闘員も5千人を擁している。もっとも昨年、党の「作戦部」と日本人拉致を実行したとされる「35号室」といった工作機関を偵察局に一本化(=北朝鮮偵察総局)し、軍の非対称(特殊作戦・工作)能力を強化したとされており、編成の掌握が一層困難になった。しかも、日本国内には、決起もいとわない忠誠心を培った協力者=土台人(どだいにん)5千人を抱えているといわれる。
こうした日本国内への投射能力をもとにシミュレートしたところ、3つのケースが浮上した。
《ケース1》韓国陸軍士官学校生への調査ではかつて、34%が「韓国の敵」は「米国」と答え「北朝鮮」を上回った。民族共通の敵として反日米同盟民族闘争を誘発し、ゲリラ活動と併せて日本を戦場化することが作戦目的である。
湾岸戦争で、イラクはイスラエルに対しミサイル攻撃を行った。イスラエル軍が反撃すれば、イスラエルとその背後の米国が共通の敵であることをアラブ世界に証明し、アラブ対米国とその同盟国という対立図を引き出す戦術であった。考え方としては、この戦術と同一線上にある。
弾道ミサイルの攻撃目標は本来、靖国神社や米国大使館など、象徴的場所が効果的。だが、北朝鮮のミサイルは着弾予定地点と着弾地点との誤差が2~4キロもある。民族蜂起が目的で、同胞への被害を避けるため、永田町や霞が関といった政治・行政の中枢や、自衛隊・米軍が共存する基地、いわば同胞が少なく、かつ広域の目標を通常弾頭で狙う可能性が高い。
同時に▽ミサイル誘導や効果確認に偵察大隊1、2人(以下、人数は目標・地域ごと)▽地対空ミサイルなど防空能力排除に向けた偵察大隊7~15人▽インターネットやメディアなどを通じて、同胞に当初は「反日運動」、激高してきた時機を見計らい「決起」を呼びかける任務を担う旧「35号室」工作員(以下、工作員)1、2人-などが、作戦行動に入る。1カ所で3ケタの犠牲者が出る。
《ケース2》政治決定をまひさせることが作戦目的である。具体的には首相拉致が考えられ、仮に殺害しても新首相を誕生させないため安否不明の状況を作為。抱き込んでいる国会議員を活用して新首相誕生に反対させる。官房長官や危機管理監の拉致も狙えば効果は増す。
加えて▽通信・交通基盤破壊と対米協力キーマン暗殺に工作員1、2人がそれぞれ作戦行動に入る。ここでも「対米協力反対」「反戦」など厭戦(えんせん)気分をメディアを使い盛り上げる。首相を守る警護官(SP)のほか、交通量によっては1カ所で4ケタの犠牲者が出る。
《ケース3》日本を基盤とする米軍の投射能力低下のみならず、状況により、日本に戦争終結の仲介をさせる。対馬や壱岐など複数の離島を占領し、戦争終結を条件として島民を人質にする。拒めば、島民を段階的に殺害。蛮刀でノドを切り裂くなどのシーンをメディアに流すことが想定される。陣地防御ではないから守りやすく、偵察大隊7~15人で任務遂行できる。
対米軍後方支援とのはざまで政府決断が遅れ、人質殺害が始まれば、メディアを使い政府を非難する。
以上の3ケースは組み合わされて起きる可能性も高い。「対米軍後方支援を断固継続する」と即断・公言できない国は、以上のように執拗(しつよう)に狙い続けられるのである。