産経新聞 4月29日(金)23時34分配信
小泉政権下で経済財政政策をめぐり激しく対立していた与謝野馨経済財政担当相と竹中平蔵元総務相が、5月10日発売の月刊誌「Voice」で対談、東日本大震災の復興対策でも激論を展開させた。
対策の財源について、与謝野氏は「財政規律をきちんとする」とした上で、歳出削減と国債発行と同時に増税も必要になるとの認識を示した。対する竹中氏は、「復興税」などの増税は「あり得ない選択だ」と否定し、一時的な財源は国債の発行でまかない、国が保有する郵政株の売却や国債整理基金の活用などもやるべきだと訴えた。
消費税増税についても、与謝野氏が「震災がなかったとしても財政再建は迫られていた」と発言。竹中氏は5%程度の引き上げを容認しつつも「消費税を上げただけでは、財政再建にはほとんど効果がない」と指摘した。
小泉政権下で経済財政政策をめぐり激しく対立していた与謝野馨経済財政担当相と竹中平蔵元総務相が、5月10日発売の月刊誌「Voice」で対談、東日本大震災の復興対策でも激論を展開させた。
対策の財源について、与謝野氏は「財政規律をきちんとする」とした上で、歳出削減と国債発行と同時に増税も必要になるとの認識を示した。対する竹中氏は、「復興税」などの増税は「あり得ない選択だ」と否定し、一時的な財源は国債の発行でまかない、国が保有する郵政株の売却や国債整理基金の活用などもやるべきだと訴えた。
消費税増税についても、与謝野氏が「震災がなかったとしても財政再建は迫られていた」と発言。竹中氏は5%程度の引き上げを容認しつつも「消費税を上げただけでは、財政再建にはほとんど効果がない」と指摘した。
2011/04/28 神奈川新聞
民主党の1期生衆院議員が集まり、増税に頼らない震災復興財源確保を模索する「増税なき復興を求める緊急会合」が27日、国会内で開かれた。全国の44人が出席し、県内からは橘秀徳(衆院13区)、三村和也(比例南関東)、勝又恒一郎(同)、相原史乃(同)の4氏が出席した。
会合では早稲田大学の若田部昌澄教授が講演し、「国債発行での対応は可能で、不況で経済が縮小すると財政再建はできない。震災復興名目の『火事場増税』をするべきではない」と指摘した。
小沢一郎元代表に近い相原氏から代表選で菅直人首相を支持した三村氏まで幅広く参加しており、会合の呼び掛け人でもある三村氏は「政局に結びつけない政策議論はどんどんやるべきだ」と話していた。
民主党の1期生衆院議員が集まり、増税に頼らない震災復興財源確保を模索する「増税なき復興を求める緊急会合」が27日、国会内で開かれた。全国の44人が出席し、県内からは橘秀徳(衆院13区)、三村和也(比例南関東)、勝又恒一郎(同)、相原史乃(同)の4氏が出席した。
会合では早稲田大学の若田部昌澄教授が講演し、「国債発行での対応は可能で、不況で経済が縮小すると財政再建はできない。震災復興名目の『火事場増税』をするべきではない」と指摘した。
小沢一郎元代表に近い相原氏から代表選で菅直人首相を支持した三村氏まで幅広く参加しており、会合の呼び掛け人でもある三村氏は「政局に結びつけない政策議論はどんどんやるべきだ」と話していた。
2011.4.22 03:13 産経新聞
■財源捻出に英知を結集せよ
東日本大震災の被災者だけでなく、日本国民と経済全体を疲弊させ、共倒れさせかねない増税論がいま、跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)している。
不思議なことは、復興の青写真がまったく示されないまま、財源論だけが先行していることである。順序が狂っている。
問われているのは、いかに経済成長を促して税収を増やすかだ。民主党が衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)の子ども手当など「4K」と呼ばれるばらまき政策の撤回も不可欠だ。増税の前にやるべきことが山積している。
そうしたことを抜きにして消費税引き上げなどに踏み切れば、大震災という深手を負った日本経済に、消費の一層の冷え込みや成長率の低下などをもたらす。国家が潰れてしまいかねない。増税に突き進んでいる政府・与党に再考を強く求めたい。
≪やるべきことがある≫
震災後の日本経済の落ち込みがはっきりしてきた。優秀な部品工場が多い東北の被災で、国内の自動車や電機の生産は大きく減少した。3月の貿易黒字は前年比で8割近くも減った。生産は回復しておらず、貿易業界は「4月以降は貿易赤字に転じる」と懸念している。電力不足も加わって鉱工業生産はかなりのマイナスを記録しそうだ。自粛ムードは個人消費にも暗い影を投げかける。
こうした事態を考慮することなく、菅直人首相の私的諮問機関「復興構想会議」の五百旗頭(いおきべ)真議長は、今月14日の初会合で巨額が見込まれる復興財源を確保するために「全国民的な支援と負担が不可欠」と増税の必要性を打ち出した。菅首相も18日、自らの課題として「財政再建への道筋」を掲げ、増税路線を追認した。
構想会議が提起すべきは、東北復興をテコに日本が新たな成長軌道を描く青写真だ。それをどのような手順で具体化するかの工程表を示し、そのうえで必要な財源規模を出すべきだろう。こうした青写真や財源の確保に専門家や官僚を含めた日本の英知を結集させることが政治の役割だ。
その上で何をすべきか。「子ども手当」を全廃すれば、従来の児童手当に戻しても1・7兆円程度の財源が確保できる。農家の戸別所得補償と高校の授業料無償化、高速道路無料化も合わせ4K全てを撤回すれば合計で約2・8兆円の財源が生まれる。
最大のテーマは、日本経済を成長軌道に乗せる戦略の実行だ。その一つは、日本の稼ぎ手である輸出産業の国際競争力を高めることだ。予定されている法人税減税は実行すべきである。輸出産業の稼ぎを国内の雇用や投資に回し、経済全体を活性化させる取り組みが欠かせない。経済成長を促して税収増を考えるのが先だ。
民間資金を集めて復興費用に充てる取り組みも重要だ。政府系金融機関と銀行や証券会社などが復興基金を設立するのも一つの考え方だ。民間企業が公共施設を建設し、それを運営する利益で建設資金を回収する「PFI」を活用すれば、財政支出は減らせる。
また、被災地を特区として認定することも検討されるべきだ。法人税などを免除する優遇措置を講じれば、全国から進出希望企業が喜んで手を挙げるだろう。農地法などの規制を緩和して農地の規模拡大や企業の農業参入を認めれば、国際競争力が高まる。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に日本が参加する上での基盤整備にもつながるはずだ。
≪経済成長で税収あげよ≫
こうした手段を尽くしても復興財源は足りない。その場合は被災地の復興費用に充てる「復興国債」を発行する。国民の多くに国債を買ってもらい、連帯の証しとして投資する。経済が拡大し、税収が増えれば償還は可能だ。
もちろん財政赤字を国内総生産(GDP)比で平成27年度までに半減するとした財政再建目標は堅持する。将来世代にツケを回さないために赤字国債とは別会計にする工夫が必要だ。日本銀行が市場に潤沢に資金供給する量的緩和もさらに進めるべきだ。
日本は約270兆円を持つ世界最大の債権国であり、この豊富な資金を裏付けにすれば復興国債の消化は容易だ。全体として経済成長を実現し、「日本は貧しくなる」(サマーズ前米国家経済会議委員長)という悲観的な見方を払拭しなければならない。国民もそれを強く求めている。
■財源捻出に英知を結集せよ
東日本大震災の被災者だけでなく、日本国民と経済全体を疲弊させ、共倒れさせかねない増税論がいま、跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)している。
不思議なことは、復興の青写真がまったく示されないまま、財源論だけが先行していることである。順序が狂っている。
問われているのは、いかに経済成長を促して税収を増やすかだ。民主党が衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)の子ども手当など「4K」と呼ばれるばらまき政策の撤回も不可欠だ。増税の前にやるべきことが山積している。
そうしたことを抜きにして消費税引き上げなどに踏み切れば、大震災という深手を負った日本経済に、消費の一層の冷え込みや成長率の低下などをもたらす。国家が潰れてしまいかねない。増税に突き進んでいる政府・与党に再考を強く求めたい。
≪やるべきことがある≫
震災後の日本経済の落ち込みがはっきりしてきた。優秀な部品工場が多い東北の被災で、国内の自動車や電機の生産は大きく減少した。3月の貿易黒字は前年比で8割近くも減った。生産は回復しておらず、貿易業界は「4月以降は貿易赤字に転じる」と懸念している。電力不足も加わって鉱工業生産はかなりのマイナスを記録しそうだ。自粛ムードは個人消費にも暗い影を投げかける。
こうした事態を考慮することなく、菅直人首相の私的諮問機関「復興構想会議」の五百旗頭(いおきべ)真議長は、今月14日の初会合で巨額が見込まれる復興財源を確保するために「全国民的な支援と負担が不可欠」と増税の必要性を打ち出した。菅首相も18日、自らの課題として「財政再建への道筋」を掲げ、増税路線を追認した。
構想会議が提起すべきは、東北復興をテコに日本が新たな成長軌道を描く青写真だ。それをどのような手順で具体化するかの工程表を示し、そのうえで必要な財源規模を出すべきだろう。こうした青写真や財源の確保に専門家や官僚を含めた日本の英知を結集させることが政治の役割だ。
その上で何をすべきか。「子ども手当」を全廃すれば、従来の児童手当に戻しても1・7兆円程度の財源が確保できる。農家の戸別所得補償と高校の授業料無償化、高速道路無料化も合わせ4K全てを撤回すれば合計で約2・8兆円の財源が生まれる。
最大のテーマは、日本経済を成長軌道に乗せる戦略の実行だ。その一つは、日本の稼ぎ手である輸出産業の国際競争力を高めることだ。予定されている法人税減税は実行すべきである。輸出産業の稼ぎを国内の雇用や投資に回し、経済全体を活性化させる取り組みが欠かせない。経済成長を促して税収増を考えるのが先だ。
民間資金を集めて復興費用に充てる取り組みも重要だ。政府系金融機関と銀行や証券会社などが復興基金を設立するのも一つの考え方だ。民間企業が公共施設を建設し、それを運営する利益で建設資金を回収する「PFI」を活用すれば、財政支出は減らせる。
また、被災地を特区として認定することも検討されるべきだ。法人税などを免除する優遇措置を講じれば、全国から進出希望企業が喜んで手を挙げるだろう。農地法などの規制を緩和して農地の規模拡大や企業の農業参入を認めれば、国際競争力が高まる。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に日本が参加する上での基盤整備にもつながるはずだ。
≪経済成長で税収あげよ≫
こうした手段を尽くしても復興財源は足りない。その場合は被災地の復興費用に充てる「復興国債」を発行する。国民の多くに国債を買ってもらい、連帯の証しとして投資する。経済が拡大し、税収が増えれば償還は可能だ。
もちろん財政赤字を国内総生産(GDP)比で平成27年度までに半減するとした財政再建目標は堅持する。将来世代にツケを回さないために赤字国債とは別会計にする工夫が必要だ。日本銀行が市場に潤沢に資金供給する量的緩和もさらに進めるべきだ。
日本は約270兆円を持つ世界最大の債権国であり、この豊富な資金を裏付けにすれば復興国債の消化は容易だ。全体として経済成長を実現し、「日本は貧しくなる」(サマーズ前米国家経済会議委員長)という悲観的な見方を払拭しなければならない。国民もそれを強く求めている。
読売新聞 4月19日(火)3時2分配信
政府は18日、東日本大震災の復興財源を確保するため、消費税を早ければ2012年度から3年間限定で3%引き上げ、8%とする方向で検討に入った。
国民に幅広く負担を求め、復興を推進するのが狙いだ。被災地の住民については負担増を避けるため、税率引き上げ分の納税額を後から還付する仕組みを整える方向だ。
東日本大震災の被害額は、内閣府の試算で最大25兆円に上る。消費税収は1%あたり年間約2・5兆円で、税率の3%引き上げで約7・5兆円を確保でき、3年間で復興に必要な支出の大半を賄えることになる。
政府・民主党は18日、本格的な復興に充てる11年度第2次補正予算案の財源を賄うために「復興再生債」(仮称)を発行する方針を決めた。政府は、消費税率引き上げによる税収を一般会計から切り離した「震災復興基金」(仮称)で管理し、復興再生債の償還財源とする考えだ。
政府は18日、東日本大震災の復興財源を確保するため、消費税を早ければ2012年度から3年間限定で3%引き上げ、8%とする方向で検討に入った。
国民に幅広く負担を求め、復興を推進するのが狙いだ。被災地の住民については負担増を避けるため、税率引き上げ分の納税額を後から還付する仕組みを整える方向だ。
東日本大震災の被害額は、内閣府の試算で最大25兆円に上る。消費税収は1%あたり年間約2・5兆円で、税率の3%引き上げで約7・5兆円を確保でき、3年間で復興に必要な支出の大半を賄えることになる。
政府・民主党は18日、本格的な復興に充てる11年度第2次補正予算案の財源を賄うために「復興再生債」(仮称)を発行する方針を決めた。政府は、消費税率引き上げによる税収を一般会計から切り離した「震災復興基金」(仮称)で管理し、復興再生債の償還財源とする考えだ。
(2011/03/27 ウォール・ストリート・ジャーナル)
ジェフリー・ウッド
為替市場の急激な乱高下は苛立たしいかもしれないが、大抵それだけのことである。逆に政府がその短い混乱に反応すると、長期的な影響を及ぼすこともある。主要7カ国(G7)が円高抑制目的で先週実施した協調介入は、まさにそのいい例だ。
G7は、円相場の「過度の変動や無秩序な動き」―例えばドルに対する急激な円高など―は、「経済及び金融の安定に対して悪影響を与える」と述べた。しかし先進国の財務相は、自然な円高の流れを止めることで、東日本大震災で打撃を受けた日本から復興のチャンスを奪い取っているのである。仲間の国にダメージを与える政策に、その国からお墨付きを得た上で合意するなどというのは、G7としても初めてかもしれない。
投機筋が1995年の阪神淡路大震災の経験をもとに円高を見込んで円買いに走っていると言う人もいる。阪神淡路大震災の後、保険会社は保険金支払いのために円を大量に買わなければならなかった。それにより、もちろん円は上昇。この説によれば、投機筋は将来の需要に便乗するために円を買っていることになる。ただ、この見解が正しかろうと間違っていようと、政府と中央銀行が経済政策全体を考慮すべきであることには変わりない。そして現在の状況下での政策は、日本経済のために円高を支持すべきなのである。
まず、震災が日本製品の需給バランスにどのような影響を与えたかを考えて欲しい。日本はより多くの―それもかなり多くの―物資を必要としており、海外も今まで通り日本製品を必要としている。もちろん生産能力の大部分が震災の被害を受けたので、供給が激減した一方で需要が増加していることになる。そして日本製品が外国製品よりも不足し出すと、価格は必然的に上昇するので、円もドルやユーロに対して上昇することになる。
投機筋が円の価値を吊り上げていると非難する人は、円高が日本にとって大惨事だと考えている。だが、円高は日本復興の妨げになるだろうか。円高反対派は生産の落ち込みを心配している。通常、需要の低迷が生産に影響するが、最近の日本は外需に頼ってきた。もし日本製品に対する外需の落ち込みが問題なのだとしたら、円高は確かに回復を遅らせる。
しかし今回は状況が違う。日本のGDPは低下するだろうが、それは国内供給の落ち込みによるものである。その場合、食品や建設資材などの日本向けの供給を増やすことが重要になる。現状では、日本は出来るだけ物資を国内で消費し、輸出を最低限に留めたいだろう。そのために必要なのは輸入だ。円高は輸入コストを下げ、より多くの製品やサービスが日本に入りやすくする。
早急に物資が必要な日本にとって、為替介入は危険である。介入は調整速度を緩やかにし、相場のボラティリティーを下げるという主張もあるが、逆に今は調整が早い方が日本に物資が入るのも早まる。ボラティリティーの急上昇は相場が適正な水準を見つける過程の一部であり、そのボラティリティーを下げることは結局相場安定を遅らせるのである。
中央銀行はまた、介入は外貨準備高の増加に繋がると正当化する。しかし今の日本に他国のドルやユーロル建て資産は必要ない。日本には膨大な円建て資産があり、高い貯蓄率となって現れている。成長がこの先減速するかどうかに関わらず、今こそこの余剰資産を使う時なのだ。貯蓄を使えば、差し当たり収入に頼らなくて済む。日本が外国から容易に借り入れることができるかどうかは問題ではない。この貯蓄のおかげで、為替変動が資本の移動を低下させるという説―もともと正当性が怪しいが―は意味がないのである。
もしこの為替変動が国内銀行システムの懸念材料となりパニックを引き起こす可能性まであるのであれば、日銀は流動性を提供するというお馴染みの方法で手を貸せばよい。しかし、流動性は一時的なもので、根本的に資本損失を解消することにはならない。海外の銀行や他の金融機関に資金を出してもらう方がよりよい策である。
結果として、円高はこの悲劇からの復興に役立つだろう。G7は為替市場にその手を委ねるべきである。
(ジェフリー・ウッド氏は英カス・ビジネススクールの経済学名誉教授およびバッキンガム大学の金融経済学名誉教授)
ジェフリー・ウッド
為替市場の急激な乱高下は苛立たしいかもしれないが、大抵それだけのことである。逆に政府がその短い混乱に反応すると、長期的な影響を及ぼすこともある。主要7カ国(G7)が円高抑制目的で先週実施した協調介入は、まさにそのいい例だ。
G7は、円相場の「過度の変動や無秩序な動き」―例えばドルに対する急激な円高など―は、「経済及び金融の安定に対して悪影響を与える」と述べた。しかし先進国の財務相は、自然な円高の流れを止めることで、東日本大震災で打撃を受けた日本から復興のチャンスを奪い取っているのである。仲間の国にダメージを与える政策に、その国からお墨付きを得た上で合意するなどというのは、G7としても初めてかもしれない。
投機筋が1995年の阪神淡路大震災の経験をもとに円高を見込んで円買いに走っていると言う人もいる。阪神淡路大震災の後、保険会社は保険金支払いのために円を大量に買わなければならなかった。それにより、もちろん円は上昇。この説によれば、投機筋は将来の需要に便乗するために円を買っていることになる。ただ、この見解が正しかろうと間違っていようと、政府と中央銀行が経済政策全体を考慮すべきであることには変わりない。そして現在の状況下での政策は、日本経済のために円高を支持すべきなのである。
まず、震災が日本製品の需給バランスにどのような影響を与えたかを考えて欲しい。日本はより多くの―それもかなり多くの―物資を必要としており、海外も今まで通り日本製品を必要としている。もちろん生産能力の大部分が震災の被害を受けたので、供給が激減した一方で需要が増加していることになる。そして日本製品が外国製品よりも不足し出すと、価格は必然的に上昇するので、円もドルやユーロに対して上昇することになる。
投機筋が円の価値を吊り上げていると非難する人は、円高が日本にとって大惨事だと考えている。だが、円高は日本復興の妨げになるだろうか。円高反対派は生産の落ち込みを心配している。通常、需要の低迷が生産に影響するが、最近の日本は外需に頼ってきた。もし日本製品に対する外需の落ち込みが問題なのだとしたら、円高は確かに回復を遅らせる。
しかし今回は状況が違う。日本のGDPは低下するだろうが、それは国内供給の落ち込みによるものである。その場合、食品や建設資材などの日本向けの供給を増やすことが重要になる。現状では、日本は出来るだけ物資を国内で消費し、輸出を最低限に留めたいだろう。そのために必要なのは輸入だ。円高は輸入コストを下げ、より多くの製品やサービスが日本に入りやすくする。
早急に物資が必要な日本にとって、為替介入は危険である。介入は調整速度を緩やかにし、相場のボラティリティーを下げるという主張もあるが、逆に今は調整が早い方が日本に物資が入るのも早まる。ボラティリティーの急上昇は相場が適正な水準を見つける過程の一部であり、そのボラティリティーを下げることは結局相場安定を遅らせるのである。
中央銀行はまた、介入は外貨準備高の増加に繋がると正当化する。しかし今の日本に他国のドルやユーロル建て資産は必要ない。日本には膨大な円建て資産があり、高い貯蓄率となって現れている。成長がこの先減速するかどうかに関わらず、今こそこの余剰資産を使う時なのだ。貯蓄を使えば、差し当たり収入に頼らなくて済む。日本が外国から容易に借り入れることができるかどうかは問題ではない。この貯蓄のおかげで、為替変動が資本の移動を低下させるという説―もともと正当性が怪しいが―は意味がないのである。
もしこの為替変動が国内銀行システムの懸念材料となりパニックを引き起こす可能性まであるのであれば、日銀は流動性を提供するというお馴染みの方法で手を貸せばよい。しかし、流動性は一時的なもので、根本的に資本損失を解消することにはならない。海外の銀行や他の金融機関に資金を出してもらう方がよりよい策である。
結果として、円高はこの悲劇からの復興に役立つだろう。G7は為替市場にその手を委ねるべきである。
(ジェフリー・ウッド氏は英カス・ビジネススクールの経済学名誉教授およびバッキンガム大学の金融経済学名誉教授)
2011.3.18 03:06 産経新聞
日本が今回の未曽有の国難を乗り切るためには、一刻も早く後手の対応から攻めの対応へと態勢を立て直さなければならない。具体的には国家の非常時を踏まえたシフトへの変更である。
菅直人首相はまず、直ちにマニフェスト(政権公約)を撤回して子ども手当などのばらまき政策中止を表明し、その予算を復興のための財源に充てるべきだ。従来の発想にとらわれていては責務を果たせない。
≪子ども手当は復興財源≫
被災地での統一地方選実施を延期する特例法案が衆院を通過し、きょう成立するはこびだ。だが、今は国民が心を一つにして、救援に当たるべきときだ。被災地以外であっても与野党が争い、選挙カーが候補者名を連呼して走り回る状況だろうか。
西岡武夫参院議長は全国規模で延期するよう主張した。政府は各選管と協議し、緊急事態における選挙戦の回避を検討すべきだ。
与野党は来年度予算の成立後、復興費用を盛り込んだ補正予算編成に取り組む必要がある。
菅首相がマニフェストの見直しを断行しなかったため、予算関連法案は一部を除き成立のめどがたっていない。政府は「つなぎ法案」で子ども手当の支給を4月以降も続けることを諦めていない。非常時に何を優先すべきかを判断できていない。
子ども手当のほか、高校授業料無償化や高速道路無料化、農家への戸別所得補償はいずれもばらまき批判が強い。大震災でさらに優先度は下がっている。
子ども手当の中止で約2兆2千億円が浮く。こうした予算を震災復興に回せば計約3兆3千億円が確保できる。民主党内に、子ども手当は来年度の増額分(約2千億円)のみの圧縮にとどめたいとの考えがあるのは耳を疑う。
阪神大震災では3度にわたり3兆円を超える補正予算が組まれた。今回は当時を相当上回る費用が必要だと指摘されている。的確に対応しなければならない。
自民党は、ばらまき予算が削減されれば、赤字国債の発行に必要な特例公債法案に賛成する考えも示している。与野党が一致して、相当規模の補正予算の方針を打ち出すことで被災者の不安を和らげ、危機に立ち向かう政府の姿勢を内外に示すことが重要だ。
当面の緊急復旧対策費に加え、今後の中長期的な復興需要に向けた財源確保も検討しなければならない。復興に関するビジョンを策定し、それを実現する大規模な財源を確保する「復興債」発行なども検討する必要がある。
政府は大震災発生直後に緊急災害対策本部を発足させたのに続き、原子力災害、電力需給など7つの「対策本部」や「会議」を立ち上げた。菅首相は3つの「本部長」となっている。
一方、自民党が主張する「震災担当特命相」は置いていない。求められるのは組織の数ではなく、あらゆる緊急事態に対応する的確で迅速な判断だ。
≪原発対応の一元化を≫
福島第1原発が陥っている深刻な事態に対応して、「原子力災害対策本部」と、政府、東京電力の「統合連絡本部」の2つが併存している。そのため、枝野幸男官房長官の発言と東電や経済産業省原子力安全・保安院の発表に食い違いが生じている。対応を一元化し、情報を集約して発表する態勢を整えることが急務だ。
自衛隊員らは放射性物質に汚染された区域で、被曝(ひばく)の危険にさらされながら作業にあたる。司令塔にぶれは許されない。にもかかわらず、首相は仙谷由人前官房長官を官房副長官に起用した。今頃、そんな人事を行って、司令塔は混乱しないだろうか。
原発関係国・機関の協力も重要だ。スリーマイル島原発事故(1979年)の経験をもつ米国はいち早くエネルギー省や原子力規制委員会(NRC)の専門家を派遣した。汚染状況を探知・分析する計測機器の提供を申し出ているが、16日時点で日本政府から具体的要請はなかったという。メンツにこだわっていてはなるまい。
自衛隊ヘリや警視庁の特殊車両が原子炉への決死の注水作戦を進めるなかで、震災の避難所では不十分な医療や寒さで、お年寄りの命が失われている。
こうした事態を平時の体制で乗り切れないことを為政者と国会は再認識すべきだ。
日本が今回の未曽有の国難を乗り切るためには、一刻も早く後手の対応から攻めの対応へと態勢を立て直さなければならない。具体的には国家の非常時を踏まえたシフトへの変更である。
菅直人首相はまず、直ちにマニフェスト(政権公約)を撤回して子ども手当などのばらまき政策中止を表明し、その予算を復興のための財源に充てるべきだ。従来の発想にとらわれていては責務を果たせない。
≪子ども手当は復興財源≫
被災地での統一地方選実施を延期する特例法案が衆院を通過し、きょう成立するはこびだ。だが、今は国民が心を一つにして、救援に当たるべきときだ。被災地以外であっても与野党が争い、選挙カーが候補者名を連呼して走り回る状況だろうか。
西岡武夫参院議長は全国規模で延期するよう主張した。政府は各選管と協議し、緊急事態における選挙戦の回避を検討すべきだ。
与野党は来年度予算の成立後、復興費用を盛り込んだ補正予算編成に取り組む必要がある。
菅首相がマニフェストの見直しを断行しなかったため、予算関連法案は一部を除き成立のめどがたっていない。政府は「つなぎ法案」で子ども手当の支給を4月以降も続けることを諦めていない。非常時に何を優先すべきかを判断できていない。
子ども手当のほか、高校授業料無償化や高速道路無料化、農家への戸別所得補償はいずれもばらまき批判が強い。大震災でさらに優先度は下がっている。
子ども手当の中止で約2兆2千億円が浮く。こうした予算を震災復興に回せば計約3兆3千億円が確保できる。民主党内に、子ども手当は来年度の増額分(約2千億円)のみの圧縮にとどめたいとの考えがあるのは耳を疑う。
阪神大震災では3度にわたり3兆円を超える補正予算が組まれた。今回は当時を相当上回る費用が必要だと指摘されている。的確に対応しなければならない。
自民党は、ばらまき予算が削減されれば、赤字国債の発行に必要な特例公債法案に賛成する考えも示している。与野党が一致して、相当規模の補正予算の方針を打ち出すことで被災者の不安を和らげ、危機に立ち向かう政府の姿勢を内外に示すことが重要だ。
当面の緊急復旧対策費に加え、今後の中長期的な復興需要に向けた財源確保も検討しなければならない。復興に関するビジョンを策定し、それを実現する大規模な財源を確保する「復興債」発行なども検討する必要がある。
政府は大震災発生直後に緊急災害対策本部を発足させたのに続き、原子力災害、電力需給など7つの「対策本部」や「会議」を立ち上げた。菅首相は3つの「本部長」となっている。
一方、自民党が主張する「震災担当特命相」は置いていない。求められるのは組織の数ではなく、あらゆる緊急事態に対応する的確で迅速な判断だ。
≪原発対応の一元化を≫
福島第1原発が陥っている深刻な事態に対応して、「原子力災害対策本部」と、政府、東京電力の「統合連絡本部」の2つが併存している。そのため、枝野幸男官房長官の発言と東電や経済産業省原子力安全・保安院の発表に食い違いが生じている。対応を一元化し、情報を集約して発表する態勢を整えることが急務だ。
自衛隊員らは放射性物質に汚染された区域で、被曝(ひばく)の危険にさらされながら作業にあたる。司令塔にぶれは許されない。にもかかわらず、首相は仙谷由人前官房長官を官房副長官に起用した。今頃、そんな人事を行って、司令塔は混乱しないだろうか。
原発関係国・機関の協力も重要だ。スリーマイル島原発事故(1979年)の経験をもつ米国はいち早くエネルギー省や原子力規制委員会(NRC)の専門家を派遣した。汚染状況を探知・分析する計測機器の提供を申し出ているが、16日時点で日本政府から具体的要請はなかったという。メンツにこだわっていてはなるまい。
自衛隊ヘリや警視庁の特殊車両が原子炉への決死の注水作戦を進めるなかで、震災の避難所では不十分な医療や寒さで、お年寄りの命が失われている。
こうした事態を平時の体制で乗り切れないことを為政者と国会は再認識すべきだ。
慶応大学教授 竹中平蔵
2011/03/18 産経新聞
東日本大震災は、時間とともに深刻な被害状況が明らかになっている。歴史上類を見ないような大災害に当たり、日本社会全体の対応が世界の耳目を集めている。
これまで日本は民間人・現場の優れた対応に反し、政治・中枢部門の戦略的対応が劣っていることが何かにつけて指摘されてきた。今回も、各個人のモラルある行動や現場での秩序・相互扶助が海外メディアなどで紹介されている。こうした中で、今まさに、政府の対応が問われる局面となった。
これまでのところ、概(おおむ)ね過去の災害で蓄積された「マニュアル」に沿ったものとなっている。災害対策本部を立ち上げ、自衛隊を派遣、激甚災害指定などを行った。こうしたノウハウは官僚が十分に持っているが、政治の課題はこれらを十二分に活用しつつ、同時に随所で官僚の対応を超えた思い切った指示を発することだ。検証は今後行われようが、現時点では、(1)記者会見で質問に応じなかったなど総理の国民との対話が十分とはいえない(2)原子力発電所に関する説明が不明確(3)計画停電の発表が遅れその後も交通などの混乱を招いた-点を指摘しておこう。
≪絶対に誤ってならぬ原発対応≫
当面は、被害者の救出、避難者への支援、被害状況の把握が重要となる。また原発問題への対応は絶対に誤ってはならない。そのうえで、物資確保を含む国民生活への影響に注視しつつ復興へ対応することや経済政策が問われる。
マクロ的に見ると、今回の災害で経済には二つの変化が生じている。第一は東北地方を中心に生産“能力”が低下したこと、第二はそれに伴い現実の生産=所得が減少することだ。これは全国的なもので、首都圏で通勤困難となり生産活動が減退していること、部品調達が困難になり他地域の製造工場が休業に追い込まれていることなど現実化している。実際、首都圏のスーパーやコンビニでも目に見えて品不足が広がってきた。
需要面では二つの力が働く。所得減で消費・投資が鈍る半面、緊急支出としての消費・投資が進んで、いわば特需が生じることだ。結論からいうと、短期的には特需が生まれるが、中期的には減収で需要も縮小する可能性が高い。
≪対策費、阪神大震災の3倍超す≫
こうした中、当面の政策として求められるのは救済・応急復興予算を遅滞なく計上、実行することだ。阪神淡路大震災の時、政府は3度の補正予算で3兆円を上回る予算を計上した。今回被害の全容が明らかでないので厳密な議論はできないが、大雑把(おおざっぱ)に見積もってもその3倍以上、10兆円を上回る規模の対策費が必要となろう。
激甚災害指定が行われた結果、国はインフラ復旧のための公共投資で、地方への助成を大幅に拡大することになる。民間への助成では私有財産への補償は難しいが、阪神大震災では瓦礫(がれき)撤去などギリギリの線で公的支出を行った。
今回も政治決断で踏み込んだ施策が必要だ。民間部門の復興にはもっぱら低利・無利子融資など政策金融を活用することになる。現政権は大きな政府を志向し、全て政府が直接関与する傾向があるが、地域の民間金融機関の活用など柔軟な対応が求められよう。
≪増税でなく国債増発で対応を≫
財源調達手段として、国民に一定の負担を求める構想、つまり増税案が浮上している。だが、所得が少なくなる国民にさらに負担を求めるのは経済の論理に反する。今回のような場合こそ、国債増発で対応すべきである。ばらまきと批判の強い子ども手当などをこの際思い切って棚上げし災害対策に振り向ける政治決断が必要だ。
増税以前に行うべき政策として寄付の控除拡大も挙げられる。国民の高いモラルと連帯意識を考えれば、税制上の考慮で、相当額の寄付が集まると考えられる。その分、税収減となるが、資金に余裕のある人からの調達であり、そうでない人にも負担を課す増税よりはるかに優れた措置といえる。
経済正常化後に国民負担を求める、いわば「つなぎ国債」のような工夫はあり得よう。今回の教訓を生かした長期的な対応策もとる必要があり、リスク管理の検証チームを現段階から機能させておくことも、あってしかるべきだ。
当面の問題は、以上の措置をいつどんな形で実施するかだ。本来なら速やかな補正予算で対応すべきだが、補正予算を組むにしても2週間程度の時間が必要であり、年度末であることを考えると、審議中の来年度本予算との関連が出てくる。与党は本予算を通したうえでの補正予算編成を主張、野党は本予算の組み替えを求める。
政局より国民生活を優先する観点でいえば、子ども手当の一時棚上げなど大幅な予算組み替えで対応するのが望ましかろう。少なくとも、こうした選択肢の検討を首相は急ぎ指示すべきではないか。その際、使途を定めず国庫債務負担行為(契約など)を可能にする「ゼロ国債」も考慮に値しよう。
優れた民間の現場と非効率な政府の中枢管理…。こうした日本への評価を払拭できるのか、政治指導者たちの奮起が求められる。
2011/03/18 産経新聞
東日本大震災は、時間とともに深刻な被害状況が明らかになっている。歴史上類を見ないような大災害に当たり、日本社会全体の対応が世界の耳目を集めている。
これまで日本は民間人・現場の優れた対応に反し、政治・中枢部門の戦略的対応が劣っていることが何かにつけて指摘されてきた。今回も、各個人のモラルある行動や現場での秩序・相互扶助が海外メディアなどで紹介されている。こうした中で、今まさに、政府の対応が問われる局面となった。
これまでのところ、概(おおむ)ね過去の災害で蓄積された「マニュアル」に沿ったものとなっている。災害対策本部を立ち上げ、自衛隊を派遣、激甚災害指定などを行った。こうしたノウハウは官僚が十分に持っているが、政治の課題はこれらを十二分に活用しつつ、同時に随所で官僚の対応を超えた思い切った指示を発することだ。検証は今後行われようが、現時点では、(1)記者会見で質問に応じなかったなど総理の国民との対話が十分とはいえない(2)原子力発電所に関する説明が不明確(3)計画停電の発表が遅れその後も交通などの混乱を招いた-点を指摘しておこう。
≪絶対に誤ってならぬ原発対応≫
当面は、被害者の救出、避難者への支援、被害状況の把握が重要となる。また原発問題への対応は絶対に誤ってはならない。そのうえで、物資確保を含む国民生活への影響に注視しつつ復興へ対応することや経済政策が問われる。
マクロ的に見ると、今回の災害で経済には二つの変化が生じている。第一は東北地方を中心に生産“能力”が低下したこと、第二はそれに伴い現実の生産=所得が減少することだ。これは全国的なもので、首都圏で通勤困難となり生産活動が減退していること、部品調達が困難になり他地域の製造工場が休業に追い込まれていることなど現実化している。実際、首都圏のスーパーやコンビニでも目に見えて品不足が広がってきた。
需要面では二つの力が働く。所得減で消費・投資が鈍る半面、緊急支出としての消費・投資が進んで、いわば特需が生じることだ。結論からいうと、短期的には特需が生まれるが、中期的には減収で需要も縮小する可能性が高い。
≪対策費、阪神大震災の3倍超す≫
こうした中、当面の政策として求められるのは救済・応急復興予算を遅滞なく計上、実行することだ。阪神淡路大震災の時、政府は3度の補正予算で3兆円を上回る予算を計上した。今回被害の全容が明らかでないので厳密な議論はできないが、大雑把(おおざっぱ)に見積もってもその3倍以上、10兆円を上回る規模の対策費が必要となろう。
激甚災害指定が行われた結果、国はインフラ復旧のための公共投資で、地方への助成を大幅に拡大することになる。民間への助成では私有財産への補償は難しいが、阪神大震災では瓦礫(がれき)撤去などギリギリの線で公的支出を行った。
今回も政治決断で踏み込んだ施策が必要だ。民間部門の復興にはもっぱら低利・無利子融資など政策金融を活用することになる。現政権は大きな政府を志向し、全て政府が直接関与する傾向があるが、地域の民間金融機関の活用など柔軟な対応が求められよう。
≪増税でなく国債増発で対応を≫
財源調達手段として、国民に一定の負担を求める構想、つまり増税案が浮上している。だが、所得が少なくなる国民にさらに負担を求めるのは経済の論理に反する。今回のような場合こそ、国債増発で対応すべきである。ばらまきと批判の強い子ども手当などをこの際思い切って棚上げし災害対策に振り向ける政治決断が必要だ。
増税以前に行うべき政策として寄付の控除拡大も挙げられる。国民の高いモラルと連帯意識を考えれば、税制上の考慮で、相当額の寄付が集まると考えられる。その分、税収減となるが、資金に余裕のある人からの調達であり、そうでない人にも負担を課す増税よりはるかに優れた措置といえる。
経済正常化後に国民負担を求める、いわば「つなぎ国債」のような工夫はあり得よう。今回の教訓を生かした長期的な対応策もとる必要があり、リスク管理の検証チームを現段階から機能させておくことも、あってしかるべきだ。
当面の問題は、以上の措置をいつどんな形で実施するかだ。本来なら速やかな補正予算で対応すべきだが、補正予算を組むにしても2週間程度の時間が必要であり、年度末であることを考えると、審議中の来年度本予算との関連が出てくる。与党は本予算を通したうえでの補正予算編成を主張、野党は本予算の組み替えを求める。
政局より国民生活を優先する観点でいえば、子ども手当の一時棚上げなど大幅な予算組み替えで対応するのが望ましかろう。少なくとも、こうした選択肢の検討を首相は急ぎ指示すべきではないか。その際、使途を定めず国庫債務負担行為(契約など)を可能にする「ゼロ国債」も考慮に値しよう。
優れた民間の現場と非効率な政府の中枢管理…。こうした日本への評価を払拭できるのか、政治指導者たちの奮起が求められる。
2011.02.05(Sat) JB-PRESS 川嶋 諭
与謝野馨氏に引き続き柳沢伯夫氏の登場である。政府民主党は社会保障・税一体改革の「集中検討会議」の民間委員に、自民党政権で厚生労働大臣だった柳沢(現・城西国際大学長)を起用した。
■財務省の言いなり政権ではこの国は滅びる
柳沢氏と言えば、女性を「子供を産む機械」と決めつけたあの御仁で、与謝野氏と同じ旧大蔵省(現・財務相)のキャリア出身。
2月4日付の朝日新聞では記者のインタビューに答えて、「消費税は10%では間に合わぬ」と堂々と発言している。
鳩山由紀夫政権時代に財務大臣だった菅首相は、完全に財務省官僚の洗脳を受けてしまったらしい。
人事ほどリーダーの考えを如実に示すものはないので、与謝野氏に続き柳沢氏を起用したのは、財務省の言う通りにしますと宣言しているに等しい。
だとすれば、これほど日本経済にとって危険なことはない。
デフレが続く日本でもし、経済を活性化する十分な施策のないまま大幅な増税が繰り広げられれば、経済が完全に凍り付いてしまう危険性がある。
そうなれば、菅首相はのちのち「日本にとりついた死神首相」と、孫の代まで、いや菅家が日本に続く限り、日本国民から謗りを受け続けるだろう。
まずは英フィナンシャル・タイムズ紙のこの記事「英国の緊縮財政計画に厳しい警告」を読むべきである。格好のお手本がユーラシア大陸の先の島国にあるのだから。
英国は昨年6月、ジョージ・オズボーン財務相の主導で歴史的な財政再建策に打って出た。大幅な歳出カットと日本の消費税に相当する付加価値税(VAT)アップに踏み切ったのである。
その案が出た当初から、英FT紙は英政府の“英断”には懐疑的だった(「英国が払う緊縮財政の代償」)。そして、その懸念は2010年の第4四半期に早くも現実となって現われ始めた。
■増税と緊縮財政で経済が凍りついた英国
この期の国民総生産(GDP)は過去20年間のトレンドを8%も下回るという衝撃的なものだった。経済が麻痺し始めたのだ。
FT紙のマーチン・ウルフ氏は次のように書いている。
「政府は今、はっきりと警告を受けた。GDP比の支出の長期的なレベルの決定は、基本的に政治的価値観の問題だ。しかし、財政赤字をどれほど速く削減するかは、また別問題である」
「政府が今の経常支出の計画に固執したいのであれば、そうさせておけばいいが、筆者がかねて論じてきたように、有益な計画投資を遂行しないでおく理由はない」
「同様に、経済が今よりずっと力強くなるまで、計画した増税を先送りしたり、ことによれば今は減税したりすることを思いとどまるべき理由もない」
■日本の失政の二の舞を演じた
成長戦略をきちんと描き、そこに思い切った投資を重ねて経済を成長の軌道に完全に乗せる前に思い切った財政再建に乗り出しても、それは経済を殺すことになり、結局は再建どころか税収が減ってさらなる赤字を積み上げる結果となる。
英政府の“英断”を懸念したFT紙のフィリップ・ステファンズ記者は1990年代の日本の姿を見ているようだと書いている。
経済が多少上向いたことを理由に、わずか2%だけだったが消費税増税に踏み切ったために、その後、失われた10年に見舞われた日本の姿は英国の未来に見えるというのだ。
消費税の大幅増税を目論む日本政府が、英国の姿をどのように見ているのか聞いてみたいものだ。恐らく、「私たちはすぐに増税するわけではない。次の衆院選挙後までは増税しないと公約したのだから」との答えが返ってくるのが落ちだろう。
しかし、すでに小沢一郎氏の周辺では今年中にも衆院解散があるから準備しておけとの声が飛び交っているそうではないか。
■消費税を上げるぞと脅しただけで景気は冷える
たとえ解散がなく今の衆院議員が任期を全うできるにしても、こんな経済環境でそもそも「大幅増税やむなし」のラッパを高らかに吹き上げる意味が分からない。日本国民に「消費はできるだけ控えて将来に備えなさい」とでも言いたいのか。
それとも、国民の反対を押し切って消費税を上げることに成功したら、サッカー日本代表の李忠成選手が起死回生の1発を見事に決めてヒーローになったように、日本の総理史に名誉な名前を刻めるとでも思われたか。
消費税率のアップを検討したいなら、できるだけ秘密裏にやったらいい。経済がしぼんでいる時にわざわざ国民の前でぶち上げる話ではない。
その前に、日本経済をどのように成長させるのか、具体的に国民に示すことの方が先だ。そのうえでその成長戦略を軌道に乗せるために、投資計画を練り上げて、国民全体をその気にさせなければならない。
それこそがリーダーとしての務めではないのか。サッカー日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督を見よう。選手のモチベーションを高めるために何をしているのか。
■バラマキではないと鬼気迫る首相
衆院予算委員会では、「子ども手当てはバラマキでは絶対にない」と強弁を繰り返している姿が印象的だ。鬼気迫るものがある。
バラマキという言葉の定義はよく分からないので、その真偽を問う気はないが、実際のお金の流れを見ればこの政策が経済を冷やすことに一役買っているのは明白だ。
子ども手当ては、その約6割が貯蓄に回っているという。銀行に預けられた子ども手当てはどこへ行くか。銀行から中小企業などへの融資に回されるならそれもいいだろう。
しかし、現実には銀行は集めた預金で日本国債を買っている。何のことはない。扶養手当などの廃止で増税し、それを子ども手当ての名目で一部の国民に支給して日本国債を買わせているのである。
回転させてこそ価値があるお金を塩漬けにしているのだ。銀行が国債を買えば国債の価格が上がり利回りが下がる。赤字国債の利子払いを少しでも下げたい財務省にとってはあり難い戦略なのだろうが、国民経済にとってはたまったものではない。
■経済成長なくして財政再建なし
今の日本に必要なのは、お金をあつめて国債で運用することではない。>国内に成長産業を作るために投資することだ。どのような成長産業が考えられ、どのような投資をすれば最も効率的なのかを考えることだ。
民間の金融機関が投資意欲を減退させているのであれば、その意欲が回復するように政府が代って投資すべき時だろう。そうでなくて、どうやってデフレ経済から脱却できるのだろう。
「英国の緊縮財政計画に厳しい警告」の記事で筆者のマーチン・ウルフ氏が英国政府に対して提案しているように、日本でも今は増税よりも減税を検討すべきではないか。
法人税を減税するではないかという。企業の国際競争力を考えたら、世界で際立つ日本の法人税を下げるのは意味がある。しかし、それだけの意味であって、日本経済を成長軌道に乗せるための政策としては効果が低い。
前にこのコラム「法人税引き下げは日本を弱体化させる」で指摘したように、多額の法人税を納付している大企業は、外国人株主の比率が高い。減税分は外国人への配当原資として多くが使われる可能性がある。
■所得税の大胆な減税を提案する
また、資金が余っている大企業は減税分を貯蓄に回す可能性が高い。それはすなわち銀行を通してお金が日本国債に向かうわけだ。
日本経済を成長軌道に乗せるための減税を目指すなら、大胆な所得減税こそ必要なのではないだろうか。自動車や家電製品に対するエコ減税が大きな効果を上げたように、消費者全体に対する減税は消費の拡大をもたらす。
日本国内でお金を回し、かつその回転率をできるだけ上げて税収を増やす。日本経済をその路線に復帰させない限り、いくら増税しても財政は破綻に向かってしまう。
そして、今すぐやらなければ間に合わない。
成長を続ける中国経済に加え、米国の景気回復によって世界のコモディティー価格は上昇の勢いを強めている。食料品や原油の価格高騰が問題になり始めている。
■スタッグフレーションの足音が近づいている
円高の日本はその影響が比較的軽微だとはいえ、物価上昇圧力は増しているわけで、いったん円安に振れ始めたら輸入インフレによって、不況下の物価高、スタッグフレーションを招く危険性が強まる。
そうなってしまえば、政府が大胆な景気刺激策を打てなくなるばかりでなく、金利の急上昇によって日本国債のディフォルト懸念が強まり、さらなる円安、物価高という悪循環をもたらしかねない。
その時は、山崎養世さんがこの記事「2011年、戦後最大の経済危機が訪れる」で提案する日銀による国債の全量買取という、究極の日本経済再建策も実行不可能になる。量的緩和でインフレを加速させるからである。
政府が検討を始めた増税政策は日本経済の自家中毒を招き、かえって国債がディフォルトする危険性を高める。
■おじいちゃんにITが分かるのか
与謝野氏も柳沢氏も日本きっての経済の専門家なのだろうが、おじいさんでもある。人生の下山期に入った人は、「成長」という概念を忘れやすい。しかも、若くて成長しようとしている人たちまで自分と同じように下山期に入っていると勘違いしてしまう。
その結果、「成長するより経済や社会をメンテナンスしながら維持することの方が大切だ」などと言い出す。
当然、ITなど新しい技術にリテラシーがないから、いま世界が大きく変化していることを理解できない。その変化には成長のチャンスがあり、それを勝ち得たところだけが豊かさを享受できるのだということが分からない。
税制は国家の柱である。その抜本改革をおじいさんたちに任せるのだけはやめてほしい。日本を衰弱する国にしないでほしい。お願いだから。
与謝野馨氏に引き続き柳沢伯夫氏の登場である。政府民主党は社会保障・税一体改革の「集中検討会議」の民間委員に、自民党政権で厚生労働大臣だった柳沢(現・城西国際大学長)を起用した。
■財務省の言いなり政権ではこの国は滅びる
柳沢氏と言えば、女性を「子供を産む機械」と決めつけたあの御仁で、与謝野氏と同じ旧大蔵省(現・財務相)のキャリア出身。
2月4日付の朝日新聞では記者のインタビューに答えて、「消費税は10%では間に合わぬ」と堂々と発言している。
鳩山由紀夫政権時代に財務大臣だった菅首相は、完全に財務省官僚の洗脳を受けてしまったらしい。
人事ほどリーダーの考えを如実に示すものはないので、与謝野氏に続き柳沢氏を起用したのは、財務省の言う通りにしますと宣言しているに等しい。
だとすれば、これほど日本経済にとって危険なことはない。
デフレが続く日本でもし、経済を活性化する十分な施策のないまま大幅な増税が繰り広げられれば、経済が完全に凍り付いてしまう危険性がある。
そうなれば、菅首相はのちのち「日本にとりついた死神首相」と、孫の代まで、いや菅家が日本に続く限り、日本国民から謗りを受け続けるだろう。
まずは英フィナンシャル・タイムズ紙のこの記事「英国の緊縮財政計画に厳しい警告」を読むべきである。格好のお手本がユーラシア大陸の先の島国にあるのだから。
英国は昨年6月、ジョージ・オズボーン財務相の主導で歴史的な財政再建策に打って出た。大幅な歳出カットと日本の消費税に相当する付加価値税(VAT)アップに踏み切ったのである。
その案が出た当初から、英FT紙は英政府の“英断”には懐疑的だった(「英国が払う緊縮財政の代償」)。そして、その懸念は2010年の第4四半期に早くも現実となって現われ始めた。
■増税と緊縮財政で経済が凍りついた英国
この期の国民総生産(GDP)は過去20年間のトレンドを8%も下回るという衝撃的なものだった。経済が麻痺し始めたのだ。
FT紙のマーチン・ウルフ氏は次のように書いている。
「政府は今、はっきりと警告を受けた。GDP比の支出の長期的なレベルの決定は、基本的に政治的価値観の問題だ。しかし、財政赤字をどれほど速く削減するかは、また別問題である」
「政府が今の経常支出の計画に固執したいのであれば、そうさせておけばいいが、筆者がかねて論じてきたように、有益な計画投資を遂行しないでおく理由はない」
「同様に、経済が今よりずっと力強くなるまで、計画した増税を先送りしたり、ことによれば今は減税したりすることを思いとどまるべき理由もない」
■日本の失政の二の舞を演じた
成長戦略をきちんと描き、そこに思い切った投資を重ねて経済を成長の軌道に完全に乗せる前に思い切った財政再建に乗り出しても、それは経済を殺すことになり、結局は再建どころか税収が減ってさらなる赤字を積み上げる結果となる。
英政府の“英断”を懸念したFT紙のフィリップ・ステファンズ記者は1990年代の日本の姿を見ているようだと書いている。
経済が多少上向いたことを理由に、わずか2%だけだったが消費税増税に踏み切ったために、その後、失われた10年に見舞われた日本の姿は英国の未来に見えるというのだ。
消費税の大幅増税を目論む日本政府が、英国の姿をどのように見ているのか聞いてみたいものだ。恐らく、「私たちはすぐに増税するわけではない。次の衆院選挙後までは増税しないと公約したのだから」との答えが返ってくるのが落ちだろう。
しかし、すでに小沢一郎氏の周辺では今年中にも衆院解散があるから準備しておけとの声が飛び交っているそうではないか。
■消費税を上げるぞと脅しただけで景気は冷える
たとえ解散がなく今の衆院議員が任期を全うできるにしても、こんな経済環境でそもそも「大幅増税やむなし」のラッパを高らかに吹き上げる意味が分からない。日本国民に「消費はできるだけ控えて将来に備えなさい」とでも言いたいのか。
それとも、国民の反対を押し切って消費税を上げることに成功したら、サッカー日本代表の李忠成選手が起死回生の1発を見事に決めてヒーローになったように、日本の総理史に名誉な名前を刻めるとでも思われたか。
消費税率のアップを検討したいなら、できるだけ秘密裏にやったらいい。経済がしぼんでいる時にわざわざ国民の前でぶち上げる話ではない。
その前に、日本経済をどのように成長させるのか、具体的に国民に示すことの方が先だ。そのうえでその成長戦略を軌道に乗せるために、投資計画を練り上げて、国民全体をその気にさせなければならない。
それこそがリーダーとしての務めではないのか。サッカー日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督を見よう。選手のモチベーションを高めるために何をしているのか。
■バラマキではないと鬼気迫る首相
衆院予算委員会では、「子ども手当てはバラマキでは絶対にない」と強弁を繰り返している姿が印象的だ。鬼気迫るものがある。
バラマキという言葉の定義はよく分からないので、その真偽を問う気はないが、実際のお金の流れを見ればこの政策が経済を冷やすことに一役買っているのは明白だ。
子ども手当ては、その約6割が貯蓄に回っているという。銀行に預けられた子ども手当てはどこへ行くか。銀行から中小企業などへの融資に回されるならそれもいいだろう。
しかし、現実には銀行は集めた預金で日本国債を買っている。何のことはない。扶養手当などの廃止で増税し、それを子ども手当ての名目で一部の国民に支給して日本国債を買わせているのである。
回転させてこそ価値があるお金を塩漬けにしているのだ。銀行が国債を買えば国債の価格が上がり利回りが下がる。赤字国債の利子払いを少しでも下げたい財務省にとってはあり難い戦略なのだろうが、国民経済にとってはたまったものではない。
■経済成長なくして財政再建なし
今の日本に必要なのは、お金をあつめて国債で運用することではない。>国内に成長産業を作るために投資することだ。どのような成長産業が考えられ、どのような投資をすれば最も効率的なのかを考えることだ。
民間の金融機関が投資意欲を減退させているのであれば、その意欲が回復するように政府が代って投資すべき時だろう。そうでなくて、どうやってデフレ経済から脱却できるのだろう。
「英国の緊縮財政計画に厳しい警告」の記事で筆者のマーチン・ウルフ氏が英国政府に対して提案しているように、日本でも今は増税よりも減税を検討すべきではないか。
法人税を減税するではないかという。企業の国際競争力を考えたら、世界で際立つ日本の法人税を下げるのは意味がある。しかし、それだけの意味であって、日本経済を成長軌道に乗せるための政策としては効果が低い。
前にこのコラム「法人税引き下げは日本を弱体化させる」で指摘したように、多額の法人税を納付している大企業は、外国人株主の比率が高い。減税分は外国人への配当原資として多くが使われる可能性がある。
■所得税の大胆な減税を提案する
また、資金が余っている大企業は減税分を貯蓄に回す可能性が高い。それはすなわち銀行を通してお金が日本国債に向かうわけだ。
日本経済を成長軌道に乗せるための減税を目指すなら、大胆な所得減税こそ必要なのではないだろうか。自動車や家電製品に対するエコ減税が大きな効果を上げたように、消費者全体に対する減税は消費の拡大をもたらす。
日本国内でお金を回し、かつその回転率をできるだけ上げて税収を増やす。日本経済をその路線に復帰させない限り、いくら増税しても財政は破綻に向かってしまう。
そして、今すぐやらなければ間に合わない。
成長を続ける中国経済に加え、米国の景気回復によって世界のコモディティー価格は上昇の勢いを強めている。食料品や原油の価格高騰が問題になり始めている。
■スタッグフレーションの足音が近づいている
円高の日本はその影響が比較的軽微だとはいえ、物価上昇圧力は増しているわけで、いったん円安に振れ始めたら輸入インフレによって、不況下の物価高、スタッグフレーションを招く危険性が強まる。
そうなってしまえば、政府が大胆な景気刺激策を打てなくなるばかりでなく、金利の急上昇によって日本国債のディフォルト懸念が強まり、さらなる円安、物価高という悪循環をもたらしかねない。
その時は、山崎養世さんがこの記事「2011年、戦後最大の経済危機が訪れる」で提案する日銀による国債の全量買取という、究極の日本経済再建策も実行不可能になる。量的緩和でインフレを加速させるからである。
政府が検討を始めた増税政策は日本経済の自家中毒を招き、かえって国債がディフォルトする危険性を高める。
■おじいちゃんにITが分かるのか
与謝野氏も柳沢氏も日本きっての経済の専門家なのだろうが、おじいさんでもある。人生の下山期に入った人は、「成長」という概念を忘れやすい。しかも、若くて成長しようとしている人たちまで自分と同じように下山期に入っていると勘違いしてしまう。
その結果、「成長するより経済や社会をメンテナンスしながら維持することの方が大切だ」などと言い出す。
当然、ITなど新しい技術にリテラシーがないから、いま世界が大きく変化していることを理解できない。その変化には成長のチャンスがあり、それを勝ち得たところだけが豊かさを享受できるのだということが分からない。
税制は国家の柱である。その抜本改革をおじいさんたちに任せるのだけはやめてほしい。日本を衰弱する国にしないでほしい。お願いだから。
「世直し太郎」の政局斜め読み より
しつこいようですが、新聞の見出しが誘導的な気がしますね。
以前にも触れましたが、本来は「社会保障と税の一体改革」と言っていたんですね。
それが、なぜか消費税率引き上げと言う実質的な増税論を既成事実化させる過程で、
「税と社会保障の一体改革」にすり替えられました。これは巧妙です。
なぜなら、「税と社会保障の一体改革」にすれば、
「消費税率の引き上げを含む税と社会保障の一体改革」と言いやすいからです。
誰がこれを考えついて、言い出したかですが、
ズバリ財務官僚とマスメディアのコラボレーションだと思います。
以前にも触れましたが、「安定した社会保障の財源を確保する」
という目的で、消費税率を引き上げることは財務省と民主党政権の利害が一致しています。
そして、マスメディア(特に大手新聞社)さえも、その既成事実化に加担しています。
この事実は良く覚えておきましょう。
デフレ経済がまだ進行している中で、増税を議論するのは愚の骨頂である。
何回でも言い続けたいですね。
しつこいようですが、新聞の見出しが誘導的な気がしますね。
以前にも触れましたが、本来は「社会保障と税の一体改革」と言っていたんですね。
それが、なぜか消費税率引き上げと言う実質的な増税論を既成事実化させる過程で、
「税と社会保障の一体改革」にすり替えられました。これは巧妙です。
なぜなら、「税と社会保障の一体改革」にすれば、
「消費税率の引き上げを含む税と社会保障の一体改革」と言いやすいからです。
誰がこれを考えついて、言い出したかですが、
ズバリ財務官僚とマスメディアのコラボレーションだと思います。
以前にも触れましたが、「安定した社会保障の財源を確保する」
という目的で、消費税率を引き上げることは財務省と民主党政権の利害が一致しています。
そして、マスメディア(特に大手新聞社)さえも、その既成事実化に加担しています。
この事実は良く覚えておきましょう。
デフレ経済がまだ進行している中で、増税を議論するのは愚の骨頂である。
何回でも言い続けたいですね。
2011/01/30 ウォールストリート・ジャーナル
菅直人首相は、第3次小泉改造内閣で経済財政政策担当大臣を務めていた与謝野馨氏を新内閣に招き入れ、財政再建に向けた取り組みに着手した。日本は今、持続不可能な税制・財政政策の追求により、かつてないほどの危機的状況を迎えつつある。
エコノミストが国の将来の安定性を評価する場合、通常、現行政策を持続したままで、債務残高の国内総生産(GDP)比が一定範囲にとどまるか否かによって判断する。日本の場合、その答えは「否」だ。
日本政府は、わずか過去4年間で、GDP比40%もの債務を発行した。過去2年の税収は総支出額の半分も賄えていない。今月末に国会提出予定の来年度予算案は、一般会計総額が92兆4116億円で、税収はわずか40兆9270億円だ。これでは持続は不可能だ。
与謝野氏は消費税の大幅引き上げを視野に入れている。だが、たとえ消費税引き上げに踏み切っても、経済の一段の成長なしには、日本の財政持続性は危機にさらされることになる。
われわれは総合研究開発機構(NIRA)の委託を受けて、日本経済の長期停滞の原因を探るため、日本の過去20年の政策について検討を行った。その結果をまとめた報告書がつい先日公表された。それによると、阻害要因の多くは、労働力の高齢化や輸出志向型成長の終焉、いわゆる「ゾンビ企業」の増殖を引き起こした金融システムの機能不全、財政・金融政策の失敗など、おなじみのものだ。
このほか、規制政策、とりわけ小泉政権が2001年~06年にかけて実施した抜本改革にも注目した。小泉政権誕生時、日本は成長破綻の時期にあった。それに対応するため、政府は既存の基準を撤廃し、多くの実験的政策を実施した。その結果、景気は急速に回復し、小泉政権下において日本は戦後最長の景気拡大に突入する。政権終盤にかけて発表された11年度をめどにしたプライマリー赤字(利払いを除いた財政赤字)ゼロ化計画は、実現可能にみえた。
小泉改革の中でわれわれが検討を行ったのは、(1)金融システム改革、(2)郵政民営化、(3)派遣労働者の活用に関する労働市場改革、(4)自由貿易協定(FTA)の推進と農業改革、(5)構造改革特区による規制緩和、(6)地方財政改革、の主要6分野。
それによると、金融システム改革については、完全に実施され、成功したと評価できるものの、必ずしもすべてが十分な成果を生んでいない。多くの改革は明確に成長力強化を目指したものとなっていないことや、民営化をはじめとするいくつかの改革は、達成期限を遠い将来としていたため、改革の後退が起こりやすいことなどが原因だ。また、多くは具体的な数値目標が欠けていたために、進捗の評価が困難であった。
こうした経験は、規制緩和の必要性が差し迫った菅内閣にとって教訓となるはずだ。特に重要なのは、成長回復に影響する部門や規制緩和に焦点を当てた改革を選ぶことだ。そうすることで、意義ある成果が得られる可能性が高まるほか、国民に対して改革の重要性を説明しやすくなる。また、数十年ではなく2、3年で達成できる明確な目標を掲げることも必要だ。
では、ここで現政権が推進する「新成長戦略」を検証してみよう。長々と並んだ施策の多くは、われわれの評価では成長見通し向上を促すものとは言い難い。特に問題なのは、従来型の産業政策と異ならない点や、多くの分野において主に外需に依存している点、単に支出負担の転嫁を促すにすぎない特区政策の推進だ。
しかも、これら戦略の実施に割り当てられた費用が来年度予算に占める割合は極めて小さい。むしろ予算は、子ども手当や農家への補助金をはじめ、一部有権者に対する民主党の点数稼ぎともいえる政策費で大きく膨らんでいる。
こうしたことから、これら政策を再度峻別し、成長に直接つながる改革に焦点を絞って実施することが必要だ。生産性の向上や投資の効率化、労働供給の拡大を促すもの以外は断念すべきだ。新成長戦略のうち、きちんと実施すれば、それら条件を満たせるものがいくつかある。
例えば、高度な技能を有する外国人材の受け入れは、(質調整された)労働力の増加につながる。研究分野での産官学の連携強化は、技術進歩を促す可能性がある。FTAの拡大は、国内産業が生産性を高めるインセンティブになる。幼保一元化は、育児サービスを向上させ、その結果、有能人材の社会進出が促進されるのみならず、人口増加にも役立つ。
この種の成長を促す改革は日本のみならず海外でも奏功している。短期的な有権者迎合型の政策をやめ、長期的な視点に立った成長を取り戻すための改革へと政策転換を行うことが不可欠だ。今、それを実行するための政治的決断が迫られている。
星岳雄、アニル・カシャップ
(星岳雄氏はカリフォルニア大学サンディエゴ校国際関係・環太平洋研究大学院教授、アニル・カシャップ氏はシカゴ大学ブース・ビジネススクール教授。報告書の全文(英語)はhttp://www.nira.or.jp/english/index.htmlに掲載)
菅直人首相は、第3次小泉改造内閣で経済財政政策担当大臣を務めていた与謝野馨氏を新内閣に招き入れ、財政再建に向けた取り組みに着手した。日本は今、持続不可能な税制・財政政策の追求により、かつてないほどの危機的状況を迎えつつある。
エコノミストが国の将来の安定性を評価する場合、通常、現行政策を持続したままで、債務残高の国内総生産(GDP)比が一定範囲にとどまるか否かによって判断する。日本の場合、その答えは「否」だ。
日本政府は、わずか過去4年間で、GDP比40%もの債務を発行した。過去2年の税収は総支出額の半分も賄えていない。今月末に国会提出予定の来年度予算案は、一般会計総額が92兆4116億円で、税収はわずか40兆9270億円だ。これでは持続は不可能だ。
与謝野氏は消費税の大幅引き上げを視野に入れている。だが、たとえ消費税引き上げに踏み切っても、経済の一段の成長なしには、日本の財政持続性は危機にさらされることになる。
われわれは総合研究開発機構(NIRA)の委託を受けて、日本経済の長期停滞の原因を探るため、日本の過去20年の政策について検討を行った。その結果をまとめた報告書がつい先日公表された。それによると、阻害要因の多くは、労働力の高齢化や輸出志向型成長の終焉、いわゆる「ゾンビ企業」の増殖を引き起こした金融システムの機能不全、財政・金融政策の失敗など、おなじみのものだ。
このほか、規制政策、とりわけ小泉政権が2001年~06年にかけて実施した抜本改革にも注目した。小泉政権誕生時、日本は成長破綻の時期にあった。それに対応するため、政府は既存の基準を撤廃し、多くの実験的政策を実施した。その結果、景気は急速に回復し、小泉政権下において日本は戦後最長の景気拡大に突入する。政権終盤にかけて発表された11年度をめどにしたプライマリー赤字(利払いを除いた財政赤字)ゼロ化計画は、実現可能にみえた。
小泉改革の中でわれわれが検討を行ったのは、(1)金融システム改革、(2)郵政民営化、(3)派遣労働者の活用に関する労働市場改革、(4)自由貿易協定(FTA)の推進と農業改革、(5)構造改革特区による規制緩和、(6)地方財政改革、の主要6分野。
それによると、金融システム改革については、完全に実施され、成功したと評価できるものの、必ずしもすべてが十分な成果を生んでいない。多くの改革は明確に成長力強化を目指したものとなっていないことや、民営化をはじめとするいくつかの改革は、達成期限を遠い将来としていたため、改革の後退が起こりやすいことなどが原因だ。また、多くは具体的な数値目標が欠けていたために、進捗の評価が困難であった。
こうした経験は、規制緩和の必要性が差し迫った菅内閣にとって教訓となるはずだ。特に重要なのは、成長回復に影響する部門や規制緩和に焦点を当てた改革を選ぶことだ。そうすることで、意義ある成果が得られる可能性が高まるほか、国民に対して改革の重要性を説明しやすくなる。また、数十年ではなく2、3年で達成できる明確な目標を掲げることも必要だ。
では、ここで現政権が推進する「新成長戦略」を検証してみよう。長々と並んだ施策の多くは、われわれの評価では成長見通し向上を促すものとは言い難い。特に問題なのは、従来型の産業政策と異ならない点や、多くの分野において主に外需に依存している点、単に支出負担の転嫁を促すにすぎない特区政策の推進だ。
しかも、これら戦略の実施に割り当てられた費用が来年度予算に占める割合は極めて小さい。むしろ予算は、子ども手当や農家への補助金をはじめ、一部有権者に対する民主党の点数稼ぎともいえる政策費で大きく膨らんでいる。
こうしたことから、これら政策を再度峻別し、成長に直接つながる改革に焦点を絞って実施することが必要だ。生産性の向上や投資の効率化、労働供給の拡大を促すもの以外は断念すべきだ。新成長戦略のうち、きちんと実施すれば、それら条件を満たせるものがいくつかある。
例えば、高度な技能を有する外国人材の受け入れは、(質調整された)労働力の増加につながる。研究分野での産官学の連携強化は、技術進歩を促す可能性がある。FTAの拡大は、国内産業が生産性を高めるインセンティブになる。幼保一元化は、育児サービスを向上させ、その結果、有能人材の社会進出が促進されるのみならず、人口増加にも役立つ。
この種の成長を促す改革は日本のみならず海外でも奏功している。短期的な有権者迎合型の政策をやめ、長期的な視点に立った成長を取り戻すための改革へと政策転換を行うことが不可欠だ。今、それを実行するための政治的決断が迫られている。
星岳雄、アニル・カシャップ
(星岳雄氏はカリフォルニア大学サンディエゴ校国際関係・環太平洋研究大学院教授、アニル・カシャップ氏はシカゴ大学ブース・ビジネススクール教授。報告書の全文(英語)はhttp://www.nira.or.jp/english/index.htmlに掲載)
リバティWebより転載
1月24日発売の週刊ポストに「バブルを起こせ!」という興味深い記事が出ている。
記事の趣旨は、「バブルは幻想だったわけではなく、バブル経済には効用もあった。現在のデフレの元凶はバブルではなく、政治的な過ちである。第二のバブルを起こせば日本経済は再生する」といったもの。
こうしたバブル礼賛記事は日本のマスコミには極めて珍しいスタンスだ。本誌では95年の創刊以来、繰り返し「バブルは悪ではなかった」と訴え続けてきた。 90年代前半の段階でバブルは悪くないと指摘した人物は、大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁をはじめ、経済学者の宮尾尊弘氏、経済評論家の飛岡健氏など、ほんの数人しかいなかった。最近の識者でも、経済評論家の三橋貴明氏など、数えるほどしかいない。
最近になって、ようやくデフレではなく緩やかなインフレ路線の方が望ましいというコンセンサスができつつあるが、それまでは「インフレ=バブル」のような刷り込みがあって、地価が少し上がるたびに某新聞などは「バブルの懸念!」などと大げさに騒ぎ立てていた。
しかし、三橋貴明氏が同誌の記事で述べているように、株や不動産の値上がりは、基本的に「国の富が増えるのだから決して悪いことではない」。
こんな当たり前の議論が、日本ではまだ珍しいということが、日本経済が低迷している最も大きな理由だろう。資本主義では、基本的にインフレを肯定しなければ、成功することはできないという経済の原則を知る必要がある。(村)
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1105
1月24日発売の週刊ポストに「バブルを起こせ!」という興味深い記事が出ている。
記事の趣旨は、「バブルは幻想だったわけではなく、バブル経済には効用もあった。現在のデフレの元凶はバブルではなく、政治的な過ちである。第二のバブルを起こせば日本経済は再生する」といったもの。
こうしたバブル礼賛記事は日本のマスコミには極めて珍しいスタンスだ。本誌では95年の創刊以来、繰り返し「バブルは悪ではなかった」と訴え続けてきた。 90年代前半の段階でバブルは悪くないと指摘した人物は、大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁をはじめ、経済学者の宮尾尊弘氏、経済評論家の飛岡健氏など、ほんの数人しかいなかった。最近の識者でも、経済評論家の三橋貴明氏など、数えるほどしかいない。
最近になって、ようやくデフレではなく緩やかなインフレ路線の方が望ましいというコンセンサスができつつあるが、それまでは「インフレ=バブル」のような刷り込みがあって、地価が少し上がるたびに某新聞などは「バブルの懸念!」などと大げさに騒ぎ立てていた。
しかし、三橋貴明氏が同誌の記事で述べているように、株や不動産の値上がりは、基本的に「国の富が増えるのだから決して悪いことではない」。
こんな当たり前の議論が、日本ではまだ珍しいということが、日本経済が低迷している最も大きな理由だろう。資本主義では、基本的にインフレを肯定しなければ、成功することはできないという経済の原則を知る必要がある。(村)
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1105
「世直し太郎」の政局斜め読みより転載
「世直し太郎」の政局斜め読みと題していよいよ満を持してブログの配信です。
とにかく政局の斜め読みですから、どこぞの大本営発令情報とは違いますよ。
本音トーク炸裂でまいります!
第1回目は、「消費税増税は財務省主計局の悲願である!」です。
民主党の新しい改造内閣は、その意味で「財務省マリオネット内閣」です。
とにかく景気に左右されない安定した税源を確保したいという財務省の省益、いや主計局の局益のために絶対導入したいのがこの消費税なんですね。
社会保障の原資にする?うそばっかりですよ!年金財源なんてもうとっくの昔に破たんしてますよ。
社会保障の財源にしたいなら、所得税の増税以外にありません。所得税は景気が良くなって国民所得が増えれば自然増収するんですよ!
逆進性のある消費税なんか社会保障の財源になんかなりません。地方税の原資として考える方がよほど筋が良いですが、景気が良ければその心配は無用なはずです。
だから時の政府の景気対策が成功したら増税なんか必要ないんですよ!これは声を大にして訴えておきたいですね。
景気対策に成功していない政権与党と税源を確保したい財務省、その見事なコラボレーションが実は消費税増税という政策でしょう!
諸外国を見るとマスコミ関係者は消費税を免除!されてます。だから、日本のマスコミも消費税免除と言う「裏取引」があったと見てよいでしょうね。与謝野経済財政担当大臣と読売新聞のナベツネ仲が良いのですよ!皆さん!読売新聞が消費税の増税に反対してますか?してないでしょう。
なお、ネットでいろいろ調べていたら、下記サイトで注目すべき統計データがありました。
年収ラボ「サラリーマン平均年収の推移」
http://nensyu-labo.com/heikin_suii.htm
前年から大幅な下げ幅を記録。近年で最低の給与水準に
民間企業で働くサラリーマンや役員、パート従業員の平成21年の平均年収は406万円。9年連続で減少していた民間給料も平成19年には一旦増加に転じましたが、平成20年には減少に転じ、21年には大幅な下げ幅に。近年で最低の給与水準を記録しました。
国税庁「平成21年分 民間給与実態統計調査」によると、平成21年(平成21年12月31日現在)の平均年収は405.9万円で、昨年の429.6万円に比べ-23.7万円(-5.5%)の減少となりました。
男女別平均では、男性は499.7万円で-32.8万円(-6.2%)の減少、女性平均は263.1万円で-7.9万円(-2.9)の減少となっています。
また、1年を通じて勤務した給与所得者に支払われた給与の総額は182兆8,745億円で、前年に比べ-7.2%の減少となっています。
【世直し太郎の解説】
統計元は、「国税庁 平成21年 民間給与実態統計調査結果」だそうですが、このデータを見る限り、増税なんてできる環境にまったくありません。
特に給与所得者(サラリーマン)は国会前で「景気対策をしろ!」とデモ行進でもすべきですね。連合はなにやってるんでしょうか?
企業に飼い慣らされた「知的奴隷」状態では、この危機的状況は把握できませんね。
とにか読売新聞を中心に、消費税増税やむなしという空気作りに加担する情報発信者には要注意ですよ!皆さん!気をつけましょう!
「世直し太郎」の政局斜め読みと題していよいよ満を持してブログの配信です。
とにかく政局の斜め読みですから、どこぞの大本営発令情報とは違いますよ。
本音トーク炸裂でまいります!
第1回目は、「消費税増税は財務省主計局の悲願である!」です。
民主党の新しい改造内閣は、その意味で「財務省マリオネット内閣」です。
とにかく景気に左右されない安定した税源を確保したいという財務省の省益、いや主計局の局益のために絶対導入したいのがこの消費税なんですね。
社会保障の原資にする?うそばっかりですよ!年金財源なんてもうとっくの昔に破たんしてますよ。
社会保障の財源にしたいなら、所得税の増税以外にありません。所得税は景気が良くなって国民所得が増えれば自然増収するんですよ!
逆進性のある消費税なんか社会保障の財源になんかなりません。地方税の原資として考える方がよほど筋が良いですが、景気が良ければその心配は無用なはずです。
だから時の政府の景気対策が成功したら増税なんか必要ないんですよ!これは声を大にして訴えておきたいですね。
景気対策に成功していない政権与党と税源を確保したい財務省、その見事なコラボレーションが実は消費税増税という政策でしょう!
諸外国を見るとマスコミ関係者は消費税を免除!されてます。だから、日本のマスコミも消費税免除と言う「裏取引」があったと見てよいでしょうね。与謝野経済財政担当大臣と読売新聞のナベツネ仲が良いのですよ!皆さん!読売新聞が消費税の増税に反対してますか?してないでしょう。
なお、ネットでいろいろ調べていたら、下記サイトで注目すべき統計データがありました。
年収ラボ「サラリーマン平均年収の推移」
http://nensyu-labo.com/heikin_suii.htm
前年から大幅な下げ幅を記録。近年で最低の給与水準に
民間企業で働くサラリーマンや役員、パート従業員の平成21年の平均年収は406万円。9年連続で減少していた民間給料も平成19年には一旦増加に転じましたが、平成20年には減少に転じ、21年には大幅な下げ幅に。近年で最低の給与水準を記録しました。
国税庁「平成21年分 民間給与実態統計調査」によると、平成21年(平成21年12月31日現在)の平均年収は405.9万円で、昨年の429.6万円に比べ-23.7万円(-5.5%)の減少となりました。
男女別平均では、男性は499.7万円で-32.8万円(-6.2%)の減少、女性平均は263.1万円で-7.9万円(-2.9)の減少となっています。
また、1年を通じて勤務した給与所得者に支払われた給与の総額は182兆8,745億円で、前年に比べ-7.2%の減少となっています。
【世直し太郎の解説】
統計元は、「国税庁 平成21年 民間給与実態統計調査結果」だそうですが、このデータを見る限り、増税なんてできる環境にまったくありません。
特に給与所得者(サラリーマン)は国会前で「景気対策をしろ!」とデモ行進でもすべきですね。連合はなにやってるんでしょうか?
企業に飼い慣らされた「知的奴隷」状態では、この危機的状況は把握できませんね。
とにか読売新聞を中心に、消費税増税やむなしという空気作りに加担する情報発信者には要注意ですよ!皆さん!気をつけましょう!
「社会保障と税制の一体的改革」
つまり、国民総背番号制の導入と、大増税でしょうね。
菅総理は就任時は、大増税をするつもりでしたが、その前に社会保障番号の導入が先決と気づき、増税トーンをいったん弱めています。
今回の与謝野氏入閣も、当然、この流れに大きな関連があるはず。
与謝野氏は自民党時代から、消費税増税論者であり
社会保障番号導入については、大臣時代に先頭を切って進めていました。
麻生内閣時代に、安心社会実現会議という会議がありましたが
この事務局となって中心に動いていたのが、与謝野氏です。
こちらに議事録と資料があります。
■安心社会実現会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ansin_jitugen/index.html
<委員>(役職は当時)
伊藤 元重 東京大学大学院経済学研究科教授
小島 順彦 三菱商事代表取締役社長
木 剛 日本労働組合総連合会会長
但木 敬一 弁護士
張 富士夫 トヨタ自動車代表取締役会長
成田 豊 電通最高顧問
日枝 久 フジテレビジョン代表取締役会長
増田 寛也 野村総合研究所顧問
宮本 太郎 北海道大学大学院法学研究科教授
専門はスウェーデンの福祉政策。日本共産党、宮本顕治氏の長男。
武藤 敏郎 大和総研理事長
矢 義雄 独立行政法人国立病院機構理事長
山内 昌之 東京大学大学院総合文化研究科教授
山口美智子 薬害肝炎全国原告団代表
吉川 洋 東京大学大学院経済学研究科教授
渡辺 恒雄 読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆
この議事録に書かれていることが、
与謝野氏が実現しようとしていることなのだと思います。
時事通信 1月13日(木)
仙谷由人官房長官は13日午後の記者会見で、社会保障と税制の一体的改革について「日本の財政などを考えると時間が残されていないということは、与野党共通の危機意識ではないか。双方が国民の益を考えるべきだ」と述べ、早期に超党派で議論を始めるべきだとの認識を改めて示した。
仙谷長官は「社会保障の再構築と消費税を含む税制の抜本改革について、(与野党で)逆向きのベクトルの結論になるはずがない」と強調。また「議論ができる環境をつくるのが与党の重要な役目だ」とも語った。
つまり、国民総背番号制の導入と、大増税でしょうね。
菅総理は就任時は、大増税をするつもりでしたが、その前に社会保障番号の導入が先決と気づき、増税トーンをいったん弱めています。
今回の与謝野氏入閣も、当然、この流れに大きな関連があるはず。
与謝野氏は自民党時代から、消費税増税論者であり
社会保障番号導入については、大臣時代に先頭を切って進めていました。
麻生内閣時代に、安心社会実現会議という会議がありましたが
この事務局となって中心に動いていたのが、与謝野氏です。
こちらに議事録と資料があります。
■安心社会実現会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ansin_jitugen/index.html
<委員>(役職は当時)
伊藤 元重 東京大学大学院経済学研究科教授
小島 順彦 三菱商事代表取締役社長
木 剛 日本労働組合総連合会会長
但木 敬一 弁護士
張 富士夫 トヨタ自動車代表取締役会長
成田 豊 電通最高顧問
日枝 久 フジテレビジョン代表取締役会長
増田 寛也 野村総合研究所顧問
宮本 太郎 北海道大学大学院法学研究科教授
専門はスウェーデンの福祉政策。日本共産党、宮本顕治氏の長男。
武藤 敏郎 大和総研理事長
矢 義雄 独立行政法人国立病院機構理事長
山内 昌之 東京大学大学院総合文化研究科教授
山口美智子 薬害肝炎全国原告団代表
吉川 洋 東京大学大学院経済学研究科教授
渡辺 恒雄 読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆
この議事録に書かれていることが、
与謝野氏が実現しようとしていることなのだと思います。
時事通信 1月13日(木)
仙谷由人官房長官は13日午後の記者会見で、社会保障と税制の一体的改革について「日本の財政などを考えると時間が残されていないということは、与野党共通の危機意識ではないか。双方が国民の益を考えるべきだ」と述べ、早期に超党派で議論を始めるべきだとの認識を改めて示した。
仙谷長官は「社会保障の再構築と消費税を含む税制の抜本改革について、(与野党で)逆向きのベクトルの結論になるはずがない」と強調。また「議論ができる環境をつくるのが与党の重要な役目だ」とも語った。