気軽に茶道をしてます。

日々のお稽古とともに、できるだけ手作りのお菓子で
お茶を楽しんでいる様子や、四季折々の変化もお伝えします。

椿餅(つばいもちひ)のつばいは

2016-02-22 12:55:51 | 主菓子とお干菓子
今日の自宅稽古はお昼からになり、
先日「第三回珠光茶会」に伺ったた折、黒米の椿餅を頂き、
初釜残りの黒米があることに気がついておりました。
閑を見つけ、思い切って『椿餅』を作りました。
前日に、黒米1合ともち米2合を別々に水に漬けておき、
土鍋に、混ぜ入れ、

炊きあげました。

少し水が多く、柔らかすぎましたが、
漉し餡を間に入れ、手の平で俵状に。

残りは、冷凍しております。
庭から椿の葉っぱを摘み、洗ったのち、
その葉二枚で挟み込み、完成です。
 
良い色が出ておりますでしょうか。
果皮に健康に良いアントシアニン系の紫黒色素のためです。

椿餅(つばいもちひ)は、通常は、白い餅生地ですが、

クチナシやシナモンで色づけされたものもあり、さらに
椿の葉の裏表の使い方が異なるお店もあるそうです。

椿餅(つばいもちひ)』の由来は、
軽食代わりとして食べられた日本最古の餅菓子と言われ、
紫式部の「源氏物語」34帖 若菜上にでております。

光源氏41歳、3月の夕暮れ、六條院春の御殿で
光源氏のお召しにより若者達が蹴鞠に興じておる折、
 ”干飯や餅の粉を甘葛や干柿の糖分で固め、
  椿の葉二枚で挟んだ菓子。
  多く蹴鞠の後、食する。”と記され、
南北朝時代に記された源氏物語の注釈書『河海抄』によると、
 ”椿の葉を合わせて餅(もちい)の粉に甘葛(あまずら)
  をかけて包みたる物”
と説明されているようです。

甘味料が甘葛煎から砂糖に替わったことにより、
餅の中に餡が入るようになり、今に至るわけです。

そもそも『椿』の字の成り立ちは、
春、花が咲く=春+木の合字の国字になります。
それをツバキと訓むのは、
葉に光沢がある「艶葉木(ツヤバキ)」または
葉に厚みがある「厚葉木(アツハギ)」が由来だそうで、
                  (諸説あり) 
またツバキと呼ぶ漢字は
「海石榴」、「海柘榴」、「海榴」とも書かれますが、
石榴・柘榴は中国では「ざくろ」を意味します。
その昔、日本特産のツバキが中国に渡ったとき、
中国のザクロに似た花と実をつけたので
「海を渡ってきたザクロ」海柘榴の漢名があてられたとも。
                   (諸説あり)
歴史を好きな方は、ご存知でしょう。
奈良桜井の三輪にある海石榴市(つばいち/つばきいち)という地名を。
万葉歌にも詠まれた古代市の要衝の跡地で、
古代の男女の社交場?『歌垣(うたがき)』の舞台ともなり、
海柘榴市の 八十の衢に 立ち平し 
      結びし紐を 解かまく惜しも

            万葉集(2963)
さらに万葉集には、
三諸(みもろ)は人の守(も)る山 本辺(もとべ)は
 馬酔木花開き 末辺(すえべ)は椿花開く・・・
」と

このように三輪の周辺に『椿(海石榴)』の木が多く、
「聖なる木」として、名の由来になったのではないでしょうか。