のたりずむ♪ぷれ ~門耳(カドミミ)~

門耳=聞。小耳に挟んだ歌舞伎関連情報や見たお芝居の感想メモです。

2007年3月:国立小劇場:蓮絲恋慕曼荼羅(はちすのいと こいのまんだら)_1

2007-03-16 00:36:47 | 書いたぞ: 感想書きました~
◆観劇日:2007/3/12(月)

◆観劇位置:1階7列上手ブロック

平日昼間のせいか、観客の平均年齢がかなり高かったような(^_^;)
あと、帰りに大劇場の前を通ったら、五木ひろしショーをやってました。
外から見えたロビーに出てる売店や 雰囲気が、やはりいつもの歌舞伎の公演とは
なんか、ちょっとちがってるような感じがしました(^_^;)

◆配役
初瀬玉三郎さん
腹違いの弟豊寿丸段治郎さん
豊寿丸母照夜の前右近さん
姉弟の父藤原豊成門之助さん
初瀬の乳母月絹笑三郎さん
初瀬の亡母紫の前春猿さん
照夜の前付老女田束寿猿さん
照夜の前家来松井嘉藤太猿弥さん
月絹の旦那で豊成家臣国原将監延夫さん
月絹将監夫婦の息子で豊成家臣国原小太郎弘太郎さん

◆演目について:
国立劇場の開場40周年の一連の記念公演の最後を飾るこの公演に選ばれた演目は新作歌舞伎脚本の入選作。
作者は森山治男さん。個人的には思ったより年配の方でした。

話は中将姫の伝説をベースにしたお話なんですが、じゃぁ中将姫の伝説ってなに?
というと、私は全然、知らなかったんですが、筋書きの解説を見ると中将姫ってのは、日本の歴史上では結構有名な女性のようですね。
でも 実在の人物かどうかは、はっきりしないようです。

で、基本的には今回のお話から 近親相姦の豊寿丸の部分を抜いたものが
=中将姫伝説という感じになりそうです。


◆あらすじもどきと構成・・・の前に:
【注意!】この先ネタバレいたします
ので、これから舞台をご覧になる予定のある方に、先に一言、二言、三言。

・イヤホンガイドは借りた方がいいかもしれません。
ただし、今回、通常より解説は大幅に少ないと思います。
わかりにくい単語の説明と、この場面がどこかの説明程度です。
でも、それだけでも助かります。とくに場面がどこかの説明があるのが。

また、開演10分前からは、澤瀉屋さん+門之助さんから2人づつ、日替わりでご挨拶があります。
今回は笑三郎さんと猿弥さんでした。
2人の組み合わせは変わらないようで
 笑三郎さんと猿弥さん/春猿さんと門之助さん/右近さんと段治郎さん
でローテーションになってるようです。

間の休憩時間には玉さんのインタビューもあります。

・思いのほか響きます。
劇場小さいせいもあるし、舞台が割りと静かなこともあると思うんですが、
客席の小さな音(寝息とか(^_^;)でも、結構、響きます。
ビニールのカサカサ音や 小声のおしゃべりも 多分、自分で思うより場内に響いてるんで気をつけた方がいいですよ~(^_^;)

・アンケートがありました。
よくアンケートに当たるなぁ(^_^;)。ちなみに今回も粗品がもらえます。
一応、ヒミツにしておきますが、今までもらったのとは、また違いました。
なんか 都度、グレードアップしてるかも。
というわけで、アンケート配ってたら、答えてあげてみてはいかがでしょ?

あと、これは家に帰ってから気がつきましたが(^_^;)、イヤホンガイドの方にも
アンケートがはさまってました。
こちらも お時間があれば 答えてあげてみてはいかがでしょ?

◆あらすじもどきと構成
さて、今度こそ、以下はネタバレいたしますので、これから舞台をご覧になる予定のある方はその点、ご了承の上、この先をお読みください。

【前半】
・第一場:藤原豊成館奥殿
腹違いの姉:初瀬に恋焦がれる藤原家の嫡男:豊寿丸。
ある日、ついに自室で豊寿丸に襲われ大ピンチの初瀬。
おまけにその現場を見咎めたのは豊寿丸の実の母:照夜の前。

ところが豊寿丸の口から出たのは「初瀬に襲われた」というウソ
豊寿丸の未来に傷がつくのを恐れてこのウソを否定しなかった初瀬。
あやうく父親による初瀬の斬り捨てに発展するところを、世間体とかなんとかモロモロがあり、結局、初瀬勘当→人里はなれた雲雀山の庵室に蟄居
という展開に落ち着きます。

豊寿丸の気持ちとウソに薄々気がついてる照夜の前。
この雲雀山行きを利用して乳母の月絹もろとも、初瀬を亡き者にと画策。
この初瀬暗殺を命じられたのは、初瀬の道中の警護につく嘉藤太。
照夜の前が暗殺の動かぬ証拠として求めたのは初瀬の首

・第二場:宇陀の里雲雀山山中
さとい初瀬は照夜の前の計画を見越しており、月絹の命だけは助ける約束と引き換えに進んで斬られる潔さ。
その初瀬の後ろ姿にどうしても刀が振り下ろせない嘉藤太。

そこに駆けつけたのは豊寿丸。
証拠の首なしには母は納得すまいと なんと初瀬に瓜二つのナマ首を持参
来る途中、偶然見つけた行き倒れが初瀬瓜二つだったのでその首をもらってきた
というのが豊寿丸の説明。

照夜の前に首尾報告後、職を辞し、初瀬の警護にこの雲雀山に戻る
という嘉藤太を、
期待して送り出すのは初瀬・月絹。
敵意をもって見送るのは豊寿丸。

仏のバチより恐ろしい母の手をかわして、ますます初瀬に積極アタックの豊寿丸。
そこにあらわれたのは老女と下男が初瀬を人違い。
この老女と下男が探しているのは、つい今しがた行方のしれなくなった初瀬に瓜二つの里の庄司の娘

その娘の着物の特徴とぴったり一致したのは さきほど豊寿丸が持参の首を包んだ布切れ。

そそくさと逃げ帰ろうとする豊寿丸に問いただす初瀬が知ったのは
姉を守るためなら 人殺しもいとわない豊寿丸の性根。
逃げ帰るようにその場を去る豊寿丸。
一方、豊寿丸の罪は全て自らゆえ と嘆く初瀬。
(そんな間に この山道で女2人、荷物の長持ちとあわせてどうやって館までたどり着くのかの方が当面の深刻な問題だと思うんですが(ーー;)

そんな初瀬と月絹の前に 茂みから出てきた修験者が現れたたのを しおに前半終了。

【後半】
第三場:豊成館西の対屋
豊寿丸の反応?も効を奏し、めでたく照夜の前にホンモノと思い込ませた、嘉藤太持参の初瀬のニセ首
初瀬の元に戻るため「褒美は諸国行脚のための暇を」と申し出る嘉藤太。
快くそれを許す照夜の前の胸中には 初瀬殺害犯を嘉藤太に とのシナリオ。
一方、屋敷を辞す嘉藤太をおいかけるのは 初瀬との間をじゃまされたくない豊寿丸。

そこに照夜の前に面会を申し込んできたのは初瀬情報を握るという修験者
初瀬が消えてひと心地の心が再びざわつき始めたのは照夜の前。

第四場:外京、都大路
豊寿丸の襲撃を受けて命を落とす嘉藤太

嘉藤太の死骸に群がるのは、死人には必要のないもので命をつなぐ乞食たち

第五場:元の西の対屋
嘉藤太という邪魔をひとつ排除してホッとした豊寿丸。
そこに現れたのは、ニセ首の事実を知って怒り心頭の照夜の前。
すぐにでも雲雀山に突撃しかねないばかりの照夜の前に内心動揺する豊寿丸。

その内心を凍りつかせたのは照夜の前と共にあらわれた修験者。

「こいつはすべてを知っている」

初瀬との未来をおびやかすものは全て排除のこころの豊寿丸。
そうとは知らなず、豊寿丸の容姿に食指を動かしたのは修験者の衆道心

「わたしはすべて知っている」

強請りネタをたてにした修験者の甘い誘いに、刃でこたえる豊寿丸。

そこに通りかかったのは将監・月絹夫婦の息子で、屋敷の警護を指揮する小太郎。
賊を斬ったと小太郎に言ってその場を立ち去る豊寿丸。

何がなにやら の小太郎に、「照代の前の襲撃計画で初瀬ピンチ」を伝えるのは虫の息修験者の言葉。

第六場:雲雀山の伏屋
伏屋で嘉藤太の戻りをまつ月絹と初瀬の元に 戻ってきたのは豊寿丸。

ニセ首がバレ、照夜の前がこの山に迫っているのを理由に
自分と一緒に山をおりることを勧める豊寿丸。
ところが、もう どこにもいかぬ というのが初瀬の答え。
そんな初瀬を強行下山させようとする豊寿丸を邪魔するのは懐剣を手にした月絹

その月絹を返り討ちにしようとして、嘉藤太・修験者の殺害を滑らせたのは豊寿丸の口。
豊寿丸の凶行の引き金としての責任・月絹の助命のため あっさり下山同意の初瀬。

ところが、とき既に遅し。
初瀬たちに裏口から落ちるまも与えず伏屋に乗り込んできたのは照夜の前。

納戸にかくれていたのをひきずりだされた初瀬に自ら刃を下す照夜の前。
しかし、その初瀬は、実は初瀬に化けた豊寿丸

混乱の照夜の前に、豊寿丸に駆け寄るホンモノの初瀬。
「もう一度生まれ変わることが叶うのならば、やはりまた姉上の弟に
(やめとけ、それは<(ーー;)

「私は地獄に落ちるのでしょうか」
(そりゃぁ、もう(^_^;)

そんな断末魔の弟の問いに
わしももろとも
と答える姉の声を最後に聞き、息の絶える豊寿丸。

初瀬を仕損じただけでなく、自分の生きがいでもある豊寿丸を自らの手で殺めたことに
大混乱・大惑乱の照夜の前。
今度こそ相手をたがえず 照夜の前が初瀬に襲い掛かるまさにその時、
折りよくその場に到着したのは、小太郎から初瀬のピンチを聞いて駆けつけたパパ豊成

旦那にまですべてが露見した照夜の前の選んだ道は、谷への身投げ
自分の不明を詫びたパパ豊成が 初瀬に望んだことは、一緒に都へ戻ること
それを断った初瀬が選んだ道は、家族のある月絹を巻き込まず、ただ一人で当麻寺に入ること

明日の当麻寺への出立を前に 現世の救済の道を御仏に問う初瀬の夢に現れたのは、母:紫の前

 百駄の蓮の茎を集め、糸をつむぎ、糸を染め、人の生きるしるべとなる曼荼羅を織れ

というのが母の言葉。

目が覚めた初瀬に夢の言葉を確信させたのはそばに落ちていた1本の蓮。
夢の母のお告げを進むべき道の標と確信する初瀬。
そんな初瀬をうれしく思う月絹と二人の前に現れたのは
豊寿丸と瓜二つ+同い年の 雲雀山の山守の息子:蓮介。

屈託のない蓮介の
「姫様のようなお方が どうして世捨て人なんかになられるのですか」
という問いに
捨てるのではない、拾いに参るのじゃ
と答える初瀬の晴れやかな顔を印象に残しておしまい。


2007年3月:国立小劇場:蓮絲恋慕曼荼羅_2(■のたりの眼)へ  
※別ウィンドウで開くときは、こちら
コメント (20)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2007年3月:国立小劇場:蓮絲恋慕曼荼羅(はちすのいと こいのまんだら)_2

2007-03-16 00:33:31 | 書いたぞ: 感想書きました~
蓮絲恋慕曼荼羅_1(■あらすじもどき まで) はこちら 
※別ウィンドウで開くときは、こちら

◆のたりの眼
・イヤホンガイド
については前述のとおり

【演出】
 ・冒頭は影絵
暗闇に琵琶と琴の音が響く中、
無地の背景だけが明るくなり、客席・舞台は暗い状態。
舞台の中央に公家姿の立ち姿の影がひとつあり、
その前を襤褸をまとった乞食と思しき人々の無気力な影がが右往左往。

まるで、影絵です。
色も、舞台装置も奪われた、歌舞伎らしくないといえば、歌舞伎らしくない
とてつもなくシンプルな場面ですが、すごい発想だと、正直、冒頭から1本とられた思いでした。

 ・背景スクリーン
何の模様もありません。真っ暗か、明るいか。それくらいしかありません。

 ・パネル
上手下手から各5枚、突き出しています。これが場面によって背景になったり
隠し幕がわりになったりと活躍します。
後ろの2枚あたりの稼働率が高く、手前はほとんど動かなかったと思います。
下手のパネルは隠し幕代わりにもなり、舞台の半分を過ぎたアタリまで出てきます。
ただそんなに幅のあるパネルではないので、そうした時は下手側が背景が見えてしまったりします。

模様は デザイン的な雲(金斗雲みたいなやつ)。雲の書いてある位置はパネルによって異なるようです。
色は、照明の加減ではっきり見切れませんでしたが、全体にマットながらソフトカラー。
下手は奥から 朱鷺色・緑?・臙脂が買った赤・紫・蓬色っぽい緑。
 
上手は奥から 黄色がかった黄緑・黄色・灰色がかった青・薄紫。
 
・・・おや?右が1色足りないぞ(^_^;)
正直にいうと、順番も結構怪しいし、上掲の色もちょっと違うかも。(^_^;)


 ・照明
1番印象的なのは 冒頭の影絵。あとは 夢としてあ現れる紫の前を照らす神々しいスポットライト。
舞台手前では、夢からさめた世界が展開しているのに、歩みを速めることなく悠然と上手に引っ込んでいく
紫の前を 最後の最後まで照らしきります。

 ・舞台の傾斜
嘉藤太が 豊寿丸に殺された時、刀を落とすんですが、これが、舞台手前に向かって
ころころ 転がります。ってことは、多分、この舞台、
後方に向かってすこーし傾斜がついており登り坂になってる
とみました。

そういや、舞台のどん詰まりと背景との間に隙間もあるようで、乞食の人がここから
舞台に這い上がるように出てきた場面がありました。
ちょっと、この舞台、乗ってみたいな~♪

・カーテンコール
全員出てきます。
段治郎さん、時間がなかったんでしょうが、せっかくなら、蓮介でなくて豊寿丸の格好で
出てきて欲しかったかも。

一度幕が閉まったあと、2回アンコールがありました。
でも、なんか今日のお客さんの反応だと、1回でもよかったかな(^_^;)


【役者さん・お役】
・玉さん/初瀬
豊寿丸のために色々やってるんだろうけど、それがことごとく裏目に出てるのがどうにも<(ーー;)
観ていてなんか もどかしくなりところが多かったです。

初瀬という名は、長谷寺の異名からとったもの。このお寺にパパ豊成さんと、
初瀬の実のおっかさん紫の前が子宝祈願に行った折、両親のいずれかが子供が7歳の時に
亡くなることと引き換えに授かった子がこの初瀬。という裏(^_^;)があります。

長谷寺の観世音様は 両親のどっちが亡くなるかはお告げしなかったんですが、
ババをひいたのは おっかさんの方だったわけですね。
旦那の方だったら、また人生違ってたんでしょうにねぇこの人も。

また この初瀬が別名中将姫 と呼ばれるのは、その聡明さと琴の腕を見込んだ帝が
三位中将の内侍 という官位を与えたから。
しかし、最初にも書きましたが、やること成すこと、ことごとく裏目にでちゃってるところを
見る限りは、「聡明」ってのはどうなんだろう という気もしてきます。
「心やさしい」というのは当てはまると思うんですけどね。

初瀬の衣装は 結構、場面ごとに変わっていたと思いますが、緋袴なのは わりとずっと同じだったかと。
どうも平安朝の女性の衣装は色々重なってたりして説明しにくいです。
というわけで この先、基本的に衣装の詳細説明はパス(^_^;)

時に、お姫さん、雲雀山で車から降りたとき、お履物は履かなくていいんですか?(^_^;)

ついでに最後に夢に出てきたおっかさんに言われて集めることにする百駝の蓮なんですが、
あれ、そんなふうに帝やパパに頼って集めちゃっていいんでしょうか?(^_^;)

まぁ、確かに おっかさんは「一人で集めろ」とはいいませんでしたが・・・
ま、今までやることなすこと全部裏目に出っ放しで、気も狂わんばかりに滅入ってたお姫さんが、
なんか生きがいを見つけて生き生きしてきたみたいなんで 細かいことは気にしちゃいけないのかとも
思いましたが。

もし、当初のとおり玉さんが演出だけやってたとしたら、このお役は誰が?
という話を家人としたんですが、春猿さんかな~というのが 家人の意見で、
私は笑三郎さんでもいけると思うとちょっと意見が分かれました。

・段治郎さん/豊寿丸・蓮介
段治郎さん、今回は 脚の見せ場がほとんどないのがちょっと残念。
・・・って何を期待してるんでしょう、私(^_^;)

豊寿丸は、ある意味、すごく純粋な人なんだとは思いますが、正直、ちょっと怖いタイプの人です。
でも、正直、こいつが元凶。後ろからハリセンで すぱーん! といきたくなる瞬間が多数ありました。<(ーー;)

豊寿丸の衣装も結構、頻繁に変わっていたと思いますが、全体に薄めの色が多かったです。
その中で、嘉藤太がニセ首で照夜の前に報告する場面で上着が真っ赤だったのと、
最後の場面で、初瀬になりかわって緋袴はいてたところが、色が強い分、印象に残りました。
ちなみにチラシにでてる浅黄色の衣装は、雲雀山に初瀬を追いかけていった時の衣装だったと思います。

豊寿丸の思い込んだら一直線な性格は、なんとなくヤマトタケルタイプですね。
段治郎さんのよさが出るタイプのお役だと思います。
しかし、話上、からみが色っぽくならないのが ちょっと残念でしたが。

ところで、豊寿丸の最後の告白、思わずつっこみをいれてしまったんですが、
たしか、「弟にうまれたばっかりに想いが遂げられない」とか冒頭の方でぼやいていた人が
いましたよねぇ。(ーー;)
うん、なかなかつっこみがいのある性格でもありますな、豊寿丸。

蓮介は、「登場に意味があったの?」と家人はいいましたが、まぁ、やっぱり、
ご贔屓としては、こういう、いい役(まともな役?^_^;)もやってほしいですし。


・右近さん/継母:照夜の前
右近さんの 本格的な女形(ヤマトタケルで踊り子やったのは観てます)は、
初めて見たような気がしますが、うーん、違和感なし(^_^;)。
初瀬暗殺を命じた嘉藤太に「ゆきゃ」と言い放つ一言が なんかとっても味があって
印象に残りました。

衣装は どこかに赤っぽい紫が入った衣装が多かったような気がします。

しかし、よく似た親子です。なんていうか、こう一直線な思考が(^_^;)
でも、琴の名手の初瀬に対して、琵琶の腕がなかなかだったらしいこの奥方が、
前妻の子であるだけでなく、同じ席で演奏しながら、帝にかわいがられて 
官名まで賜った初瀬を「憎し」と思うのは、無理なからぬところ という気はします。

・春猿さん/紫の前
うーん、春猿さん、出番これだけか(^_^;)

声が 春猿さんにしては、ちょっと太めだったような気がしました。
おっかさんという役柄上なのかもしれませんが。

春猿さんは劇中では、夢の中に出てきた人 ということで、とてもゆっくりゆっくり、歩かれていたので
カーテンコールで登場してくる時の歩くスピードが やけに速く感じられてしまいました(^_^;)

玉さん/初瀬 のとこにも少し書いたんですが、もし、玉さんが予定どおり演出に徹していた場合、
紫の前は春猿さんではなかったのでは とも思われます。
その場合、「だれが紫の前をやるか」というのを家人と話したんですが、
家人は玉さんがサプライズ出演する という案を出し、
私は笑也さんがやるという案を出しました。

さて、「もしも」 の世界の紫の前は、どなたがなさってるんでしょうねぇ


・笑三郎さん/月絹
「月絹」なんて、とてもきれいな名前の人ですね~。
初瀬を一生懸命守ろうとするこの乳母は 笑三郎さんに相性のいい役柄だったと思います。
個人的には、月絹が、すっぱりと豊寿丸を刺しちゃうくらいの激しさを持った展開もあり
と思ったりしちゃいましたが(^_^;)。

しかし、この月絹さん、初瀬が寺入りしたあと、将監の妻・小太郎のお母さんに
戻るんでしょうが・・・なんか想像つきやすいような、つきにくいような・・・(^_^;)


・猿弥さん/松井嘉藤太
衣装は黒が基調。
今回は絶叫シーンは(確か)ほとんどないんで、猿弥さんの声も
ひと月無事なままでいってくれそうなのが ちょっとうれしいです。


・門之助さん/パパ:藤原豊成
家人は 門之助さんin澤瀉屋 というとどうしても「=オババ」というイメージが浮かぶんだそうですが、
今回はオババじゃありません。キリッとした公家さんです。

紫の上が存命で、命をかけてまで授かった子供がいるのに、妾を囲って、
元凶の豊寿丸を生ませちゃったわけですから、とことんの元凶はある意味、この人です。
まぁ、男の子が欲しかったのもあるのかもしれませんけどねぇ。

でも、まぁ、そこんところは 最後に初瀬に謝るところで、本人も自覚して、反省している色が見えたので、
いいのかな とも思うんですが、が、しかし、この初瀬にあやまっているところ、
「親父さん・・・豊寿丸が元凶且つ極悪だ ってこと、わかってないのかい・・・<(ーー;)」
といいたくなりました。(^_^;)

まぁ、豊寿丸が初瀬に襲われたってのは、それがウソで真実は反対だった ってことを将監あたりが
伝えているかもしれませんが、豊寿丸が、初瀬欲しさに3人も人を殺めたってことは、少なくとも知らないんじゃないんでしょうか。
この人に真実を告げるタイミングも、告げる人もなかったろうし、
わかってたら、「自分の受けるはずの報いを豊寿丸が受けた」なんて言い方はしないでしょうし。

まぁ、本当に罪を負うべき人たちはとっとと死んでしまったのが現状なわけですが(ーー;)

でも、まぁこの人も 状況としてはメタメタです。

弟は謀反を起こし、それを押さえるため明日から弟討伐に出発せなあかんし、
一人息子は奥さんに殺され、その奥さんは谷に投身自殺。一人娘も自分を見捨てて出家。

・・・この人、きっとこれから、早く老けますねぇ・・・

ちなみにこの人、藤原って姓ですが、筋書きによると、これは俗姓で、
正式な苗字は「横佩(よこはぎ)」というんだそうです。
劇中、頻繁に出てきたのは「ヨコハギの家」という言葉を聞いた記憶がありますが、
私はてっきり、ヨコハギ って地名かなんかかと思ってました(^_^;)・

その他個人的ご贔屓チェック
・猿四郎さん/下部(初瀬の身替りに殺された娘さんちの・・・下男?)
 うーん、いい人だし、セリフもあったけど、出番が少ない・・・(T_T)
 うーん、殺されても衆道モノでも修験者の方が出番多かったんでうれしかったかも・・・<(ーー;)

・延夫さん/将監
 笑三郎さんのダンナです。わりとおいしい役かと♪ 
でもあんまりしっかりチェックできなかった・・・立ち位置が、舞台中央から後ろのことが多くて
今回の席位置から見ると、役者さんの影になっちゃうんですよね~(^_^;)

・瀧之さん/パパ:豊成の家臣
 今回、双眼鏡使って観るには微妙な席位置だったんで、双眼鏡なしで判別に挑んだんですが・・・
 うーん、他の人の影になって、家臣の役者さんの判別、いまいちつきませんでした。
 声でわかるかな~と思ったんですが、澤瀉屋+門之助さん一門のみなさんてば、
みなさん声がよくて・・・(ーー;)
 確実に判別できたのは最後のカーテンコール・・・_| ̄|○
 最初に出てくる一団のセンターでした♪

・欣弥さん/乞食のリーダー格
 欣弥さんは、お声でわかりますね~

・猿若さん/修験者
 出番もセリフも多くて なかなかおいしいところ。
でも、豊寿丸への色目はいまいちわかりにくかったかも。

【全体的に】
正直、私には、話的にちょっと重かったです。<(ーー;)
客席、舞台が、終始かなり静かなのも いつもの歌舞伎になれてる身には
ちょっと緊張してしまいました。(^_^;)

あ、掛け声もありませんでした。しかし、今回のこのお話は、声は掛けられないかもなぁ(^_^;)

うん、そうですね、このお話のこの舞台には、この静けさは必要なのかもしれません。
それに、下座やツケが全然なかったり、花道がなかった今回の舞台に
歌舞伎としての違和感があったかというと、それはあんまり感じなかったような気がしますし。

ただ、もし、この舞台を大劇場でやる機会が出来たら、その時は、花道やツケ・下座がある演出での
この演目も観てみたいなぁ~と思います。
というか、今回のと見比べてみたいですね~♪

あと、今回はわりと豊寿丸が、なんというか、こう、ギラギラ状態だったのも
ちょっと・・・(^_^;)

まぁ 欲望ベタベタなのも嫌いではないんですが、せっかく、美男美女のカラミ
なんですから、もう少し、こう美しいカラミを見せて欲しかったな~
という気がしてしまいました。


大劇場ほど広くなく、廻り舞台もない小劇場のために考案された、今回のシンプルイズベストな
演出は、ある意味、NINAGAWA「十二夜」の鏡張りの演出よりも、個人的には衝撃でした。
(鏡張りは スーパー歌舞伎が先だーっという想いがあるのもあると思うんですが(^_^;)

今月の舞台で国立劇場特別賞をあげるなら、私なら、この演出を考えた玉さん・石川さん
(なんですよね、多分)にあげたいなぁと思います。

家人は「この舞台装置と配役なら、なんかセゾン劇場あたりでも、上演できそうだね。
やってくれないかな~」と言ってましたが、著作権の問題なんかがありそうだから、
それは無理っぽいですね~(^_^;)

←、蓮絲恋慕曼荼羅_1(■あらすじもどき まで) に戻る  
※別ウィンドウで開くときは、、こちら
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする