観たのはずいぶん前になっちゃいましたが、なんとか書き上げましたのでアップです。
2009年9月:歌舞伎座さよなら公演九月大歌舞伎 夜の部
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公演日程 2009/9/2(水)~26(土)
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◆観劇概要
観劇日:2009/09/10(木) 16:30~20:59
劇場:歌舞伎座
観劇位置:3階正面後方より
◆演目・構成・タイムテーブル
1:浮世柄比翼稲妻 鞘當 鈴ヶ森 約70分
休憩 30分
2:勧進帳 約70分
休憩 15分
3:松竹梅湯島掛額 吉祥院お土砂 櫓のお七 約85分
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1:浮世柄比翼稲妻 鞘當/鈴ヶ森
◆配役
鞘當
不破伴左衛門 松 緑さん
名古屋山三 染五郎さん
茶屋女お京 芝 雀さん
金棒引 吉之助さん・菊史郎さん
鈴ヶ森
幡随院長兵衛 吉右衛門さん
飛脚早助 家 橘さん
北海の熊六 桂 三さん
東海の勘蔵 由次郎さん
白井権八 梅 玉さん
◆のたりの目
●鞘当
・浄瑠璃出語り
お三味線の方が二人緋毛氈の床机に腰かけて、その後ろにお二人が立ってうたいます。
なんか新鮮な感じです。
(途中までで引っ込んでしまわれますが)
・金棒引き
個人的にヒットな配役♪
花道から来たのは菊史郎さん♪ 上手上げ幕から出てきたのは吉之助さん♪
これだけでも、眼福♪眼福♪
・豊後なんとか
うーん、自分のメモが読めなくてわからないのですが、イヤホンガイドによると
なんでもこの「鞘当」だけでしか使わない曲があるそうです。
●鈴ヶ森
・「若衆に見得なし」
という言葉があるんだそうです。若衆は見得きらなくても、決まるだけで、
絵になるからなんだそうですが、初めて聞きました、これ。
確かに、若衆が見得きるのは観たことないかも。なるほどねー。
・そぎ面
というんだそうです、あの雲助さんのお顔が横から縦真っ二つのやつ。
わかるんですけどね、でも、何度観ても、わかってても、
チキンな私はやっぱりコワイ(/_;)
・雲助さんの衣装
の、中で、おひとり、緑地に猫とか鯛とかの絵柄のつんつるてんのお着物が
あったのですが、あれ、たしか、「毛谷村」で、子供の親が通ったら
わかるようにと、棹につるした着物になかったかなぁ。
・雲助さん
門松さん発見~♪
そうか、今月は門之助さんも歌舞伎座だもんな。
あと、雲助のみなさん、月代のところの毛が少し薄いのが、リアル(^_^;)
・家橘さん
あら、こんなところに家橘さん。
ご馳走役ってやつなのかな、これ。
・するがや
長兵衛さんの籠のちょうちんについてる屋号
大森にあった御茶漬けが有名なお店だか、旅籠だかだそうです。
長兵衛さんは御茶漬け食べに行った帰りらしいです。
ちなみにちょうちんの中は本火です。
・波??
舞台手前のちょこっと盛り上がってる波みたいな書割は何かと思ったら
どうやら水溜りだったらしいです。
・権八っつぁん
吉右衛門さんの長兵衛に、梅玉さんの配役がバランスいい感じです。
そういえば、前に観たときはたしか芝翫さんが権八っつぁんで・・・
これを、やったんだよな、芝翫さんが。
と考えると、芝翫さんすごいなぁ(^_^;)と改めて思いました。
・SFというかファンタジーというか
そういえば、前にも聞いたようなきがしましたが、イヤホンガイドによると
長兵衛さんの死後数年たって権八っつぁんが産まれているため、史実としては
この舞台はありえない状態だそうです。
ありえないんだけど、江戸時代のスター二人の夢の共演を実現させたくて
作っちゃったのがこの話だそうで。
南北先生、好きだわ、その発想♪
今の世で言えば、石原裕次郎さんとか松田優作さんと、ジャニーズの
若いおにいちゃんを共演させてるみたいなもん、てとこでしょうかね。
長兵衛さんにあそこで生きてて欲しかったってこともあるのかなー
と思ったけど、この年格好じゃ、義経さんが生き延びてモンゴル行っちゃった
みたいな話ではないんだろうな。
2代目とか、息子とか、そういうわけでもないだろうし。
ってことは、やっぱり、SFかファンタジーな話なんだなぁ。
でもって、また、その話の運びが全然、不自然じゃないところが、またすごい。
イヤホンの解説聞かなかったら、「そういう出会いもあったのかもねー」と
思っちゃいますもんね、私なんかだと。
◆花道度:低
【鞘当】
金棒引きさんが出入りするあたりで、個人的には中にしてもいいくらいですが、
あとは松緑さんが出てくるくらいです。
【鈴ケ森】
籠が入ってくるくらい、ですかねぇ。
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2:七代目松本幸四郎没後六十年
歌舞伎十八番の内 勧進帳
◆配役
武蔵坊弁慶 幸四郎さん
源義経 染五郎さん
亀井六郎 友右衛門さん
片岡八郎 高麗蔵さん
駿河次郎 松 江さん
常陸坊海尊 錦 吾さん
富樫左衛門 吉右衛門さん
◆演目について
たしか今年の2月あたりに吉右衛門さんでやったのに、また??
という感じは否めませんが、それでもわざわざ出してきたのには
「七代目松本幸四郎没後六十年」というのがあるようです。
七代目さんについては、前の休憩時間に、イヤホンガイドで観翁さんが
とても気配りの人であったことを、色々なエピソードを交えて
語ってくれます。
自著の宣伝も少しあるみたいですが(^_^;)、でも、私は全然知らない方なので
色々と面白いです。
◆のたりの目
・片しゃぎり
お能っぽい曲ですが、歌舞伎独自のものだそうです。(byイヤホンガイド)
今月は初めて学ぶことが多いなぁ。
・幕が飛ぶ
イヤホンガイドの観翁さんのお言葉です。
このいい方が、結構好きだったりします。
「幕があがる」より、なんか味がありますね。
・太刀持ち
梅丸くんだ! 後ろ向いて奥に控えた時にみえたんですが、
裃の背中の模様がこうもりでした。
こうもり・・・縁起物ですけど、なんかちょっと珍しい。
なんか、こう、背中にこうもりの彫り物があった、みたいな感じですか(^_^;)
・後見さん
富樫の後見は、やっぱり吉之助さん♪
弁慶の後見は、多分、錦弥さん♪
あぁ、この後見さんだけでも、個人的には眼福♪眼福♪
特に弁慶の後見さんは終盤の延年の舞のあたりから、一瞬もタイミングをはずせないし
弁慶に笈を背負わせるところも時間的に最小限の余裕しかないような感じなので、
ちょっとの失敗もできないだろうし、最後の幕外の六方も、
なにをするわけではないのですが、幕外に出てきて、
弁慶さんが花道を引っ込むのを見届けてから、退場されます。
ほんと大奮闘です(^_^;)。
でも、錦弥さん、きっちりお勤めでした。 お疲れ様です。
それから元々背丈のある錦弥さんが、背筋がスッと伸ばして、控える姿は、
後見さんの姿として、とてもキレイでした♪
・兄弟激突
面白いですね~この弁慶と富樫。おふたりとも、ドーンとした迫力があり、
問答のところなんかは、ドーンとした迫力同士がならんでる感じ。
でも、うーん、問答の場面、ちょっと寝ちゃったんですよね、今回。
2月の時とかは、寝る気もおこさせないような緊迫感があったんですが、
今回は、ドーンと存在感はあるし、迫力もあるんだけど、うーん、なんだろう??
でも、食後だったのが、問題だったかなぁ(^_^;)
あと、富樫の吉右衛門さんがちょっと声が高い感じでした。
幸四郎さんの弁慶が 声が低くて、聞こえにくいのもあったのかもしれませんが(^_^;)
ところで、ふと考えたんですが、そういや、幸四郎さんて、弁慶以外の役で
勧進帳にでたことあるんでしょうかねぇ。
義経とかはありそうだけど、富樫なんかは意外とやってないかも。
・滝ながし・・・だったかな
延年の舞の終盤で、七三までいって戻ってきて、なんかくるくるまわって高く
ジャンプするのがありました。イヤホンガイドで、たしか「滝流し」といってたと
思うのですが、観ていてその部分を「あれ?」と思ったので、今まで観た延年の舞では、
あんまりみたことなかったのかと思うのですが・・・
・延年の舞
私「延年の舞」って、歌舞伎のお話に出てくる踊りの中でも、かなり好きなんです♪
あの歌詞といい、曲調といい、後見さんとの見事な連携プレーといい、
弁慶さんが四天王に「はよ行け、はよ行け」とやるところといい。
ちなみに私は「延年」=寿命が延びる=「高砂」「鶴亀」みたいな長寿を寿ぐ曲名
なのかと思ってたんですが、今、WEBで検索してみたら、「延年」ってのは、
お寺なんかで、法要の後に僧侶やお稚児さんが演じるもの総称なんだそうで、
舞楽から猿楽、白拍子舞などなど、幅広いものをさすようです。
「延年の舞」って曲名じゃなかったんですね(^_^;)
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3:松竹梅湯島掛額
吉祥院お土砂/櫓のお七
◆配役
紅屋長兵衛 吉右衛門さん
八百屋お七 福 助さん
小姓吉三郎 錦之助さん
丁稚長太 玉太郎さん
下女お杉 歌 江さん
長沼六郎 桂 三さん
月和上人 由次郎さん
若党十内 歌 昇さん
釜屋武兵衛 歌 六さん
母おたけ 東 蔵さん
◆演目について
わりと最近、演舞場で、似たような顔ぶれでみた記憶が。
あー、ありました、ありました。
2006年5月演舞場夜「道成寺」「松竹梅湯島掛額 」
http://blog.goo.ne.jp/hm_notari/e/2dc3090d13a03ebc64c74e2e6827b1ef
※別画面で開きます
前回は亀治郎さんがお七ちゃんだったんですね。あぁ、そうそう人形ぶりがあった、あった。
で、今回、東蔵さんがやったお七ちゃんのおっかさんを、芝雀さんが
染五郎さんの吉三郎さんを、錦之助さんがされてました。
今回は・・・一世代くりあがった感じの配役でしょうか。
◆のたりの目
※ちょこっとネタばれあります。これから観る方はその点、ご了承の上でこの先をお読みくださいませ。
●お土砂
・福助さん
あ、福助さん、今月、これだけなんだ!
あ、東蔵さんもか。
ちなみにお七ちゃんは16歳。
その設定のせいか、今回は福助さんのキンキンの声が、さほど気にならないなぁ。
・吉右衛門さん
今月の夜の吉右衛門さんは大忙し(^_^;)
「鈴ヶ森」で長兵衛さんをやったあと、
「勧進帳」の富樫さんへ。
最後はその長兵衛さんの時代性と富樫さんの男気を足して2で割る前に
なにか大きく方向を間違えたものをかけてしまった(^_^;)ような紅長さん
逆の順序じゃ、できませんよね、これは(^_^;)
吉右衛門さんの気持ちの切り替えの問題もありますが、
観てるお客さんも富樫さんがお土砂をまく姿を想像しちゃいますもんねぇ(^_^;)
しかし・・・あの男気満載の富樫のあと15分で、すぐこれとは・・・(^_^;)
うーん、幕が閉まったらダッシュで楽屋戻って、白塗りおとすんだろうなぁ・・・
15分で・・・。
気持ちの切り替えも大変なんだろうなぁ。
なんせ「マジ?」とか「ポニョ」とか、くるからなぁ・・・
吉右衛門さんの口から飛び出すと、かなりのカウンターパンチに感じます(^_^;)
・歌昇さんに歌六さん♪
おぉぉ♪歌昇さん、かっこいいぞ♪
おぉぉ、歌六さん♪・・・なんかこういう悪?役、多いなぁ(/_;)
【ご贔屓さん】
おぉ、下女のお杉さんが歌江さん!
座るのはやはり苦労されてる様子で、うまく柱の影になる位置で座るように
工夫されていました。
ん~黒子さんが座椅子でもつけてあげればいいのになぁ。
お七ちゃんのお友達には、
芝喜松さんに京蔵さんにしのぶちゃんに春花さん
と、またいい顔ぶれ♪
うーん、しのぶちゃん、やはり声がすごいなぁ。声だけ聞いてたら、絶対、
女の人だと思うわ(^_^;)
おっ、吉祥寺の坊さん役で吉之助さん発見♪
おひつかかえて、巨大な永谷園のふりかけでスポンサー?宣伝したあと、
ひっくりかえっちゃいますが(^_^;)
【その他】
・剣と刀
吉三郎さんが探してるのは「刀」なんですが、
なぜか吉三郎さんのセリフだと「剣」に。
うーん、あんまり違いはないのかな??
・幕引き
自分で自分の舞台の幕をひいた役者さんは、吉右衛門さんくらい
なんじゃないだろうか・・・
●櫓のお七
・火
八百屋お七といえば、いとしい人に会うために放火しちゃったお嬢さんですが
イヤホンガイドの解説によると、歌舞伎では、火事を忌み嫌ったため、
お芝居のお七ちゃんは放火はしません。
なるほどね。そういや、そうだ。いままで、全然疑問に感じないで受けれてたなぁ。
歌舞伎の展開。
もひとつおまけで歌舞伎は火事を嫌うあまり、公演の最終日:千穐楽の
字も、「火」の字が入る「秋」ではなくて、「穐」の字をつかってるそうです。
あー、うんうん、なるほどねー。
なんか今月は学ぶ事を多いなぁ。
【ご贔屓さん】
冒頭の蕎麦やに寿鴻さん発見♪
なんか久しぶりにお見かけしたような・・・
・お七さん
お杉さんに太鼓を鳴らして とねだるあたり、前のお土砂の場面で
お七お嬢さんは交渉術を身につけたようです(^_^;)
・口上
緋色の隠し幕が出てきて、上手の山台の霞幕がとれて、人形振りの口上。
口上って、なんか好きだなー♪あの独特の語感とリズムが、なんとも♪
・人形ぶり
福助さん、親指の根元に 朱で節目を入れてあるみたいです。
うーん、リアル。
でも、うーん、なんだろう、目…かな。
なんか視線がはっきりしすぎてる・・・ような?
あと、時々、首がフルフル動かすのは、なんかわざとらしいというか
…痙攣起こしてるみたいで・・・(^_^;)
・葵太夫さん
うわー、しょっぱなから、声がかなりいってる(^_^;)
熱演とは聞いていましたが、たしかに、連日これでは、季節の変わり目の
上にこのご時世ですから、のどにきても不思議ではないかな。
・歌詞
「羽が欲しい、翼が欲しい、飛んでゆきたい、知らせたい」って、
あれ?これって「狐火」では??