ひとみの目!

元神戸市会議員・社会保険労務士・行政書士
人見誠のブログです。

直営VS委託・指定管理~不毛な対立を超えた公共施設の最適経営~

2012-08-14 18:42:22 | 日記
7月19日、PHP地域経営塾の定例講座を聞きに行ってきました。

南学神奈川大学人間科学部特任教授より、「直営VS委託・指定管理~不毛な対立を超えた公共施設の最適経営」というテーマでお話がありました。

地方財政には、上下水道等の「インフラ」や「公共施設」などいずれ大規模修繕や建て替え等をしないといけない「時限爆弾」を抱えている。
多くの自治体は、大規模修繕や立て替え等に必要な財政の余裕はなく、総量的に3割程度減少させなければいけないだろう。
そのためにはまず、自治体の財産を部局ごとにまとめる必要がある(築年月日、構造、建替え時期・費用など)。
 
公共施設の多くは、受付・相談窓口、情報・資料コーナー、研修・会議室、事務室といった同様の設備内容になっているが、施設の稼働時間は非常に少ない。
「補助金適化法」が多目的を容認するなど運用が変わってきていることもあり、時代の変化にあった用途変換や、共通した利用機能(形態)での統廃合を進め、公民連携による最適管理形態のあり方を追求していくべきではないか。

現在、公民連携として「指定管理者制度」が多くの自治体で導入されているが、根拠条文が地方自治法244条2項の1つだけのため混乱が生じたり、主務官庁の総務省が管轄する公共施設がほとんどないことなどから、民間の創意工夫より歳出削減が主目的となり、本来の制度趣旨に沿った運用がなされていない。 

直営といっても公務員だけで運営している純粋な直営はなく、ほとんどは嘱託や委託で再雇用された人が雇用されている。
民間は利益優先で「安かろう悪かろう」ではなく、評判が悪ければ他で受注できなくなるのでいいサービスを提供する。
また、委託しても、指定管理をしても、管理・運営方針など最終的な責任は行政が負う基本だが、この意識が役所には希薄である。
業務分析をして公と民の最適な組み合わせを検討すべき。

図書館を例に見てみると、ラウンジ機能や子どもコーナーに利用者が集中しており、書架には人がまばら、インターネットは有料でも人気があるといった利用形態の傾向があり、快適空間や情報館、コミュニティセンターとしての要望などがあるといえ、佐賀県武雄市の図書館とTSUTAYAの提携などは象徴的である。

また、主な自治体の財産は学校であり、図書館や体育館などを地域住民が利用できるようにするのもひとつの方法である。

地域に何が必要かを考え、施設の統廃合や公と民の組み合わせ方を検討していくべきである。

といったお話でした。

神戸市においてもこれから多くのインフラや公共施設の更新時期を迎え、ファシリティマネジメントなどが叫ばれており、施設の統廃合と稼働率の向上は神戸市においてもこれからもっと取り組んでいくべきと考えますが、それと公と民の連携は若干趣旨が異なるのではないでしょうか。

施設運営のあり方については、直営か委託か指定管理かといった硬直した考えではなく業務分析して検討すべきというのはその通りだと思います。
その点から言えば、神戸市においても業務分析と導入後のモニタリングの議論がもっとなされるべきではないでしょうか。