鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

「鏡の国」の店の品物の5つの規則(GLASS5-19)

2008-10-19 23:55:12 | Weblog
 店の品物がアリスの視線を逃れて動き回る(=逃げ回る)。中でも1分以上目で追いかけたのに結局、いつもすぐ上の棚に逃げてしまう大きな光るものに対しアリスが「これが一番腹が立つわ」と言う。その時、彼女に名案が浮かぶ。「一番上の棚まで追い詰めてやる。天井を通り抜けられなくなって困るはずだわ!」と。
 PS1:このアリスの名案は「鏡の国」の店の品物に関する規則、つまり①店の品物はアリスの視線に気づき逃げ回る、②この店には上の棚に逃げる品物がある、この2つの規則からすれば妥当である。かの大きな光るものを天井まで追い詰めてそれ以上、上に逃げられないようにすればそれを視線のうちにとらえられるはずである。

 ところがこの計画も失敗する。その品物は音もたてず天井を通り抜けてしまったのである。
 PS3:「鏡の国」の店の品物には3つ目の規則がある。③店の品物は天井を通り抜けることができる。かくてどの棚も何が載っているのかといくら一生懸命見ても上に逃げる品物については決してそれが何であるか正確にわからない。
 PS4:しかしさらに④この店には下の棚に逃げる品物がある、⑤店の品物は床面を通り抜けることができるという追加規則があるはずである。この5つの規則があれば、「鏡の国」の店でアリスが棚に何が載っているか一生懸命見ると、その棚は全く空になってしまい、周りの他の棚ばかり品物が詰まっているという事態が起きる。