
神戸市の西端、雄子山のふもとを歩いていると、珍しくタチドコロ:立野老(ヤマノイモ科ヤマノイモ属)がよく目立ちました。
丘陵や山地に生えるつる性の多年草で、単にトコロとも呼ばれるオニドコロに似ていますが、茎がはじめ直立するのでこの名があります。
三角状卵形の葉は、オニドコロに比べて先が鋭くとがること、基部が心形に膨らみふちには細かい波状の鋸歯があることでも区別できますが、決め手の一つは3個の翼がつく果実の中の種子の形です。
雌花は咲き始めから大きな子房に翼のような室があり、果実は長さ1.8~2.2㎝、ごく薄い翼のような3室があり、1室に薄い種子が2個ずつ重なって入ります。トコロの種子は一方にだけひれ(翼)がつくのに対し、タチドコロの種子のひれは全周を取り巻きます。

トコロとは野老と書き、ひげ根を老人の髭に見立てて、海老とともに長寿を祝う正月の飾りに使われたので、野の海老でトコロと読むこの仲間は、ほかにもいくつかあります。
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