へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

キチロー,元気良すぎて臭くなる(ミスで途中で掲載されてしまったらしい)

2020-06-08 19:37:14 | へちま細太郎

(仮)亀梨軍団の悠樹です。
この呼び名、すごい久しぶりで感動だ、作者が名前をやっと名前を思い出してくれたっぽい。

さて、実孝さんは状況を察して、さっさととんずらこいてしまった。
「俺に後始末つけろってか」
と、ぼやきながら藪をかき分けかきわけ進んだ獣道の先に、小川が流れている。川から水路を引き入れて、それらしく見える小川を人工的に作ったものらしい。江戸時代からの産物だ。
水路はのちに田吾作堀とか名前がつけられていた。何だ、それである。
で、この川幅2m弱、水深男の膝下あまりの小川に、クソボーズと茶髪とゴリラ、そして子豚が転がってごろごろしていた。
「何してんだ?」
「みりゃわかるでしょうがあ」
わかんねえからきいてんだが、小川のそばに横倒しになった一輪車と壊れたかごが引っくり返っているのをみつけ、なるほどと頷いた。頷いただけで、近寄る気にもならん。
連中は、くんくんとてめえの服の匂いを嗅いでいたが、落ちてないとわかると服を脱ぎだし、川の中ですすぎ始めた。
「いっとくがな、洗濯機使うなよ、匂いがうつる」
「え?じゃあ、どうしろっていうんですか〜」
情けない声を出した荒波は、動かした手を止めた。
「イタチの最後っ屁噛まされたんだ、1週間じゃ落ちねえよ。悪いが、事務所にも寮にも戻ってくんな。古い作業小屋があるから、そこで寝泊まりしてくんね?一応、泊まれる設備はあるから、匂い落ちたら戻ってきてよ、まあ、コロナの影響もあるし、密っちゃだめだよ」
俺の言葉にクソボーズが、目を釣り上げてハスにかまえて睨んできたが、怖かねえよ、そんなもん。
「いい年して、何逆ぎれしてんの、元はと言えば、あんたが急須野郎だからだろ。一輪車でガタガタされれば、イタチだって腹もたてるわ。藤川家に生まれたクセにそんなこともわかんねえのかよ、中年珍走団が」
「んだと、このや…」
と、飛びかからんばかりに川を飛び出しかけたが、そこへ水嶋と小栗が駆けつけてきて、連中を見るなり大爆笑を始めた。
「子ぶた、おまえ、イタチをカワウソだって言ったんだって?で、最後っ屁かまされちゃあしゃあねえなあ」
これはあとから分かったことだが、イチローはかごで暴れているイタチを救い出そうと、悪臭の中かごの扉をあけたらしいが、こんな目に合わせた張本人をイタチが忘れるはずもなく、猛然とキチローにぶつかり、さらに悪臭を放つ液体を頭からぶっかけて逃げていってしまったそうだ。
最後っ屁の4人は、古い作業小屋といっても結構な住まいなんだが(元は小作の人たちの家だったのを残しておいたんだそうだ、だから住める)、そこに押し込められ、出てくんな、と厳命され仕方なくそこに住む羽目になった。
「こんなこともあろうかと、残しておいてよかったよかった、とご隠居はカッカと笑い、豪農コンビはイタチの臭いもなんのその、毎日奴らに食料を運んでやっていた。
「で、僕のカワウソ、見つかりましたかあ?」
キチローは、海パンいっちょで小屋の中をうろつきながら、泣いていたんだそうだ。
知るかあ〜!