へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

野球応援の花形はチア?

2012-07-21 12:52:24 | へちま細太郎

こんちには、へちま細太郎です。
暑中お見舞い申し上げます。

7月に入るとまもなく期末テストと野球応援が待っていた。
応援団の団長は、とうぜん秀にいちゃんだった。
はるみは、高校に進級すると、なぜか応援団所属のチアに入部した。
ユニフォームにあこがれたな、とあいつのミーハーぶりから想像できた。
そこへ、なぜかキチローが団部に入った。
「ストーカー野郎」
と陰口をたたかれたけど、結局は運動部並みのしごきに耐え切れず、脱走してしまった。
「来る者拒まず、去る者追わず」
秀兄ちゃんは、もとから大嫌いだっただけに、いなくなってくれてほっとしたみたいだ。
「わざとしごいたんじゃね?」
と、たかのりはラーメンとおにぎりを同時に食べながら、姿勢よくご飯を食べている秀兄ちゃんに大胆に質問した。
「俺は、他人の悪口は嫌いだ。嫌いだが、俺はそれ以上にあいつが嫌いだ」
秀兄ちゃんは、表情も変えない。
「でも、はるみはかわいい」
と、信じられないようなことを言った。
「え?」
「は?」
「マジ?」
俺たちは、食べる箸をとめて、秀兄ちゃんの顔を思わず見てしまった。
「なんで?」
「おまえら、わかってない」
ほんのり顔色が赤い。
「まさか、秀兄ちゃん、ほれちゃった?」
ぼくが秀兄ちゃん、というものだから、ぼくらの仲間はみんな秀兄ちゃんと呼ぶ。
みきおも、たかひろも、しかしそれ以上は何も言えない。
やっぱ、怖いもんな。
「とにかく、うちのチアは、プロ野球のチアなみに素晴らしい。はるみはそれについてこられるんだから、たいしたもんだ」
「はあ」
小学校からいっしょだったぼくたちは、あいつの小学生時代を知っているだけににわかに信じがたかったけど、秀兄ちゃんがいうんだから間違いはないんだろうなあと、はるみに対する認識を改めてみようかな、という気になった。
それにしても…。