へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

鎧甲のおじさん

2010-05-17 22:17:25 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

鎧甲のおじさんが芝居のチケットを持ってやってきた。
「あの世で芝居をすることになってな、チケットだ」
「おじさ~ん、見に行けるわけないっしょ」
ほくは冗談キツイよ、と口を膨らませた。
「いや、冗談冗談」
おじさんは頭を叩いて大笑い。
「すまんなあ、区別つかなくなってしもうた」
パソコンから出入りする鎌倉時代出身のおじさんは、役者になるといって劇団に入った、変な幽霊?だ。
「現代劇やって、受けるの?」
素朴な疑問をぶつけると、
「まあ、ものは試しの“ろみおとじゅりえっと”じゃ」
と、台本を出す。
「鎌倉時代風に手直しするから鎌倉殿も怒りはすまい」
「あのね~」
ぼくは、ほんとに鎌倉殿=源頼朝が怒らないとは思えなかった。もっとも、頼朝がどんな人か知らないけどね。
「入道相国殿と、恐れ多くも法皇様もご覧になる、と連絡が参った故、しぇいくすぴあを選んだのだ」
へ?平清盛に、後白河法皇も? う~ん、あの世っていったい…。
「一度、行ってみるか?」
「いかねーよっ
「残念だのぉ」
残念じゃねえやい