◇ 先生の講話
1.今回の検定(半紙)の課題「桃源」について
- 楷書
結構の点から考える。
(1) 字の中心はどこか(中心線)を考えて書く。
・「桃」の偏「木」は「桃」全体の中心線より左になる。
・「源」も同様。
(2) 中心部をにぎやかにする。 - 行書・草書
(1) 出来るだけ続けて書く。
(2) 細い線でも実線と虚線の区別をはっきりするように。
(3) 六段以上は、個性を出すための工夫が必要。
2.偏と旁のバランス(「欠」、「方」、「立心偏」)
- 「欠」が旁にある場合、1画目の「ノ」は単体として書く場合より立てるとともに全体に縦長に書く。単体と同じように書くと、例えば「歌」の字の場合、字が扁平になり偏と旁のバランスが悪くなる。
- 「方」を偏とする字(「於」など)の場合、中国の書家は「方」を「オ」と書いている(王羲之など)。
- 「立心偏」の書き方として、縦線の左側にある点と右側にある点とでは書き方が異なる。左側の点は縦線との間には空白があるが、右側の点は縦線につけて書く。
3.実用書の書き方の例
- 熨斗袋に「入学祝」を書く場合のポイント(篠原さんの作品を例に)
(1) 「入学祝」「篠原周二」の7文字を各字の中心線を考え一直線上に書くこと。このため初めのうちは鉛筆で薄く一直線を引き、その線に沿って書くとよい。
(2) 贈り主の名前は少し小さめに。また各字の結構と関連し、明朝体の活字の字が全体を四角い形にしているため毛筆やボールペンで書く場合も四角い形に書いてしまい勝ち。例えば「周」の場合、少し縦長に書くと美しく品がよくなる。 - 郵便封筒への宛名氏名、宛先住所の書き方のポイント
(1) 先ず、宛名氏名を封筒の中心に一直線上に記入する。
(2) 次に宛先住所の都道府県名、市町村名、地区名を右端に、
(3) その左に何丁目何番何号などの地番名を、
(4) その左にマンション等建物名、何号室名などを記入する。
ここで先ず宛名氏名を中央部分に少し大きめの字で一直線上に書くことが一番のポイントとなる。宛先住所はその右側に2行ないし3行で書くことがポイントである。こうすると住所を大きく書いたために氏名が左側に寄せられる不都合を避けられる。
◇ 実技指導
今回は今年前期の昇段検定の指導を中心に添削指導が個別に懇切丁寧に行われた。
(出席者 9名)(村越 記)