Tさん(大人):
努力家のTさんの練習方法は、「難しい箇所も敬遠せず、端からきちんと練習していく」というスタイルです。
この間から、ショパンの「革命のエチュード」を練習し始めているのですが、いかんせん家で練習する時間がないので、なかなか目に見えての成果が表れてきません。
「革命」は左手の動きが課題のポイントであり、譜読みも指運びも、練習はまず左手を一生懸命、となります。
Tさんも、左手中心に練習を重ねています。
「じゃ今日は、右手だけで弾いてみる?たまには」
ヒバリ先生が提案しました。
「革命」の右手は、和音さえつかめれば何ってことなく弾ける、左手に比べればずっと楽ちんなパートです。
いつもコツコツと練習を重ねているTさんに、たまには気持ちよくメロディーを弾かせてあげようと思ってね。
たまにはオリジナルテンポに近い速さでね。
無理をせず、ていねいにゆっくり弾くのはとても大事ですが、たまには、オリジナルテンポで、曲調を味わって弾くのも大事。
じゃないと、本当に「エチュード(練習曲の意味)」が、エチュードのみに終わってしまうから。
さて、そのあと、ひとつの「穴うめ」ってことで(一つ前の「時間がない人の練習は『弾けない所穴うめ作業』で」参照)右手にも唯一出てくる難しいパッセージ、一気に谷底へむかって駆け降りるようなフィニッシュ部分を練習してみました。
さっきの日記にも書いた「フィニッシュだけだっていいんだから」の実践です。
この部分、ラ♭ソ ミドレ♭ド シ♭ソラ♭ソ ミドレ♭ド シ♭ソラ♭ソ..... と16分音符で下降するもので、端から1音1音拾っていくと、白鍵と黒鍵とどっちだっけ、と迷ったり、手がギクシャクしたりしてしまいます。
ところがよく見ると、「ラ♭ソミド」と「レ♭ドシ♭ソ」という2つの音型が交互に出てくるだけ、それが、小節の区切りとは別っこになっているので、より複雑に感じるのです。
ポジションが2つだけなら、練習方法は簡単です。
1.「ラ♭ソミド」と「レ♭ドシ♭ソ」のそれぞれの4つの音を、全部同時に押さえて、手の形を覚える。
2.ラ♭ソミド~ レ♭ドシ♭ソ~ と16分音符で弾くも、それぞれの音型の間合いをたっぷりとる。
3.譜面通り ラ♭ソ ミドレ♭ド シ♭ソラ♭ソ ミドレ♭ド シ♭ソラ♭ソ... と16分音符で弾く。
この3ステップ練習で、あんなに難しかったフィニッシュのパッセージが見事に完成です!\(^o^)/右手だけだけど。
それにほれ、このパッセージは冒頭にもつかわれてるから。
一気に 冒頭とフィニッシュが出来たってことだからね。
ねっ、たまには「イチゴとクリームから」もいいでしょ。