根無し草のつれづれ

日々の雑感をひたすら書き綴ったエッセイ・コラム。また引用部分を除き、無断掲載の一切を禁ず。

ヘッドフォン

2010-06-07 21:05:28 | エッセイ、コラム
何だかつまらない法律(?)が制定されたのはどれくらい前になるのだろう?
自転車に乗りながら、ヘッドフォンで音楽を聞いてはいけない、という。
これはある部分では正しいけれども非常に乱暴な法律でもある。
一口にヘッドフォンと言っても、色々種類があって今割と主流のカナル型や、カナル型ではないものの耳の穴を塞いでしまう、ウォークマンが登場した時に開発(?)されたもの。
あと密閉型の従来からあるもの。
その他には耳に引っ掛ける方式の開放型のものもある。

私は公共の場所で音楽を楽しむ場合、ヘッドフォンを使い分けている。
電車に乗っている時はカナル型にして音漏れがしないように心掛けている。
この耳に引っ掛ける方式の開放型のヘッドフォンはボリュームを目一杯上げれば、それはさすがに周りの音を遮断してしまうが、ボリュームを適度に下げて視覚を鋭敏にし、緩い速度で自転車漕ぐ場合には、周りに迷惑を掛ける訳でもなく、自分も他人も危険ではないもの。
外の音はちゃんと拾うタイプのものでもある。
使った事がある人は分かると思う。

さてこれに目くじらを立てた警官がいた。
私の風体を見て頭の悪い人間を諭すように

「知ってます? 自転車に乗りながらイヤフォン着けちゃいけないんですよ!」

と宣ってくれる。

所々ガキな私はまず警官の単語の間違いを正す

「これはイヤフォンではなくヘッドフォンです」

っと力強く(笑)。

「ヘッドフォンでもダメです。これは法律です!!」

っと今度は警官が語気を強めて言う。
私が口答えしたのが気に喰わなかったのだろう。

今度は私が“『法律』だから守らなければならない”という言葉にカチンときた。
だからこう言い返す

「知ってます? 世の中には絶対に守らなければならない法律と、お節介で自己責任の範疇なのに、わざわざ法律になっているものがあるって事を」

と。

更にたたみかけるように

「この下らない法律はいつ誰が決めたものですか?」

とも問う。

警官は「法律だから…」としか答えられなかった。

幸いプライドだけが高く自分に逆らう者には容赦しない暴君のような警官ではなかったのだろう…優しい目もしていたし…。
だから注意だけで済んだのだが…。

確かにマナーの悪いサイクラーもいるが、私は決して他人に迷惑を掛けるような真似はしない。
分別もキチンとある。
歩行者にも人一倍気を遣っているし、車にもかなり注意して自転車に乗っている。
そういうちゃんとマナーを守っている人間のささやかな楽しみである自転車に乗りながら音楽を聞く行為くらいには目をつぶって欲しい。
音楽に夢中になって周りに対する注意を疎かにしている訳ではないのだから。

そこら辺は警官の裁量なのだと思うけどなぁ…。

しかし、こんな些細な事よりも一般市民の平穏で平和な生活が危険に晒されていたりして、もっと厳しく取り締まらなければならない犯罪も沢山あるだろうにそっちの方は割と放置だから困る。

犯罪を取り締まるのはテスト問題を解くのとは違う。
簡単で出来る所から攻めるのではなく、それが如何に困難で面倒な事であろうとも、重要性を見極め、国民が平和で安全に暮らせる事を、私利私欲や自己顕示欲、あるいはストレス発散でもって侵している人間をまず先に攻める(取り締まる)べき。

諸外国に比べまだ日本は警察という組織がちゃんと機能している方だとは思うけれども…。