迷い犬無事持ち主へ

「私の車の中に乗ってきました」。
と驚いてフロントに駆け込んできたのは、
ヘルストピアの女性会員さん。
両手でしっかり抱いているのは、
迷子ならぬ“迷犬”（まいぬ）？

　よくみるとシーズー犬ではありませんか。
少し毛並みが薄いようですが、夏用にカットしてるのかも。
フロントの女性陣は思わぬ珍客に「かわいい」でも「なぜ」。
幸い首輪に迷犬ちゃんの名札が付いてありました。

住所は　「△△」
名前は　「コ○」（オス=見れば分かりますw）
肝心な連絡先は？　名札の裏に青色のテープを貼り、
その上に黒のマジックで　０８０－※♪◎§－△△△△と
しっかり記してありました。

　さすが、人気の小型犬の所有者ともなれば、
その辺り抜かりがないなぁ。迷犬になっても大丈夫
とばかりに首輪に連絡先付けているんだろうと
すぐさまその番号に電話すると、
「現在使われておりません。番号をお確かめになって・・・。」
えっ？　再度挑戦。「現在使われておりません・・・。」
またしても。薄い字で０９０の文字も読み取れる。
では０９０でかけ直してみるか、出ました。男性の方。

　「こちらへルストピア延岡と申します」（ん？反応がない）
　「犬が紛れ込んでいるのですが、お宅にペット居ませんか」
と尋ねると、
　「うちには犬は居ない。どこにかけてるんじゃ」
　「こちらは延岡からですが」。念のため「お宅様のご住所は」
と問いかけると「うちは熊本の方じゃ」と。
やはり０９０ではなかったか、「大変失礼いたしました」。
　
　やややっ、手がかりがこれでなくなったぞい。
女性会員さんが連れてきたのは駐車場から。しかも乗ってきた、
というし、△△（住所）の名札もあるし。
近辺の方が散歩している間に行方が分からなくなったのかな。

　こうなれば警察の力を借りるしかあるまい。
管轄の交番に電話をすると、「しばらく待って下さい」の返事。
その間、念のために館内放送を試みる。

　すると女性浴場の係員から「私だという人が現れました」と。
ホッと胸をなでおろすフロント陣と私。
おっと、交番交番。「現れました、持ち主。ご迷惑をおかけしました」。
先に館内放送からだったかな、
でも、どうもよそから入ってきた、
との説明だったし、と思いながら
（交番通報）やや反省。
当直署員は「良かったじゃないですか」。その言葉に救われた感も。

　しばらくして持ち主との再会。
「間違いなく乗ってると思ったんですが」
「助手席を開けて荷物出し入れしてた時に、
ひょっとしてそこからスルリと」。

「犬好きな人に拾われて良かったですね」と持ち主に尋ねると、
「あんまり犬好きも困りものですよ」と持ち主。
「何故ですか」と尋ねると。
「うちの犬１０万円もしたんですよ」「盗まれちゃう」。
　
　そういう問題なのかな、では届けた方へのお礼は？
その素振りは見せませんでした。
高価な犬でしたら、もう少し大切にしくちゃ。
きっと連絡付きの名札があるから、逃げても、拾われても大丈夫
の“安心感”からなのでしょうか。

　では、電話番号の間違いというのは？
上記、０８０－※♪◎§－△△△△、
実は　０８０－※◎♪§－△△△△。

　「名札の連絡先電話したんですが、使われてませんの案内でした」と私。
「そんなはずはないよ」と持ち主、確認してみると順番違いという結果。
過信するのも危険ですね。
せっかくの連絡先が、「使われてません」の案内では意味がありませんから。
でも、結局は持ち主の元に無事返って何よりでした。