昨年の日本シリーズまで指揮を執り、今は講演会で古巣への苦言を呈しているらしい、前中日ドラゴンズ監督の落合博満氏が昨年の日本シリーズ後に書き下ろした著書。
彼の監督時代の経験を通し、プロ野球における采配と企業におけるマネジメントの共通点を挙げながら、自身の成長、選手(社員)の育て方、リーダーのあり方を綴った内容です。
目次は以下の通り。
1章 「自分で育つ人」になる
2章 勝つということ
3章 どうやって才能を育て、伸ばすのか
4章 本物のリーダーとは
5章 常勝チームの作り方
6章 次世代リーダーの見つけ方、育て方
試合に出れる選手の数、支配下登録できる選手の数、コーチングスタッフの役割が決まっていて、かつアマチュアの上澄みが自然と集まり淘汰されていくプロ野球界と、組織の規模も戦略も選手の質や量、年齢構成もバラバラな一般企業とでは条件がちがいすぎていると思うのですが、そこは落合氏も、プロ野球で成功するよりも企業で成功する方が難しいと認めています。
ただし、大学中退、プロボウラー挑戦、社会人野球と紆余曲折を経て、日本プロ野球の歴史に残る名選手、名監督になっただけあり、エリートコースを歩まなかったからこその着眼点は、上を目指す志としては大事なことばかりです。
日本シリーズでの山井の交替を始めとした勝利至上主義や情報統制によるマスコミとの確執などで、冷徹なイメージを持たれた落合氏の采配も、すべてはチームと選手、そして勝利を期待するファンのためであること。監督を辞めたからこそ言える話もあり、面白い内容でした。まだまだお若いので、またどこかのチームで指揮を執られることを楽しみにしています。(できればパに行ってもらいたいが)
最後の章では、「人生を穏やかに生きていくことには、名声も権力も必要ないと考えている。」という言葉で締めています。
仕事で成果を上げ成功を修めることと、人生を幸せに生きることとは別でああり、一度きりの自分の人生のため、前向きな采配を振ってもらいたい。と言うのが、本書の一番言いたかったことだと思います。
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