東京大学を卒業後、IHIを経て、東京大学の教授になった、宮田秀明氏の著書です。
日経BPに氏のコラムが連載されていて、非常に論理的でいて、大学教授にありがちが机上の空論とは違う、現実的な論調が、理系の自分には非常に心地よく、興味深い文章を書かれる方です。
で、本著は1年間、大きな書店を探しまわりましたが見つからず、結局AmazonでUsedを購入し、読みました。
内容は、現在の日本に蔓延する、哲学無き、ビジョン無き、コンセプト無き経営を否定し、理系的な論理的、科学的経営の復活を提唱するもので、冒頭の「経営とは価値を創造する活動である。」に尽きます。
今の社会を見渡して、哲学やビジョンを発信し、リスクを取りながら、価値を作り出す経営者(企業)は少なくなっていると思います。
特に私の見渡す限り、思想はなく、権限はなく、あるのは責任のみという管理職が多く、結果としてビジョンが末端まで浸透せず、現場は疲弊するのみです。
日本ほど、アナリストやバンカーに牛耳られていて、エンジニア受難の国はないと思います。
アメリカだって、ヨーロッパだって、シンガポールだって、中国ですら、優秀な技術者が社会の中心にいます。
これは、日本人特有の黙々と働く職人気質によるものなのかもしれませんが、グローバル化の波の中、国土も資源も人材も少ない日本では、技術力を高めることで国を守るしかありません。経済だって、サービスだって、結局は物理的な社会の上で成り立っており、そこには技術が必ず必要となるのです。
という意味においても、私は生涯エンジニアでありたいと思っています。そして、日本におけるエンジニアの地位を高めたいと思っています。大げさな言い方かもしれませんが、それくらいの気概です。外資に行っても、日本人であることには変わりません。
なお、あくまでも、理系的発想が必要であって、理系出身者が良いというわけではありません。文系学部出身者にも、理系的なセンスを持つ人は多数いると思いますので、あしからず。
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