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世界を知る力

2010-03-01 22:25:14 | 書籍

Grobalism_2

三井物産戦略研究所会長の寺島実郎氏の今年1月に発売された著。佐藤優氏のよく言うインテリジェンスに通じる話。情報収集と分析の大切さを問う著書です。

冒頭の第1章目で、まずはアメリカ一辺倒の外交、グローバル化を否定する。これは日本人の大多数の人が、ハッとする内容だと思います。その例としてロシアの対日戦略が挙げられています。ロシアはペリー来航の1853年よりもっと前の1703年にサンクトペテルスブルグに日本人学校を設立している。これは親日ではなく、対日戦略、極東征服のためである。国防上の最前線としてウラジオストック(ロシア語で『東を征服しろ、支配しろ』とう意味らしい)を設立し、ウクライナ人を送り込んだことは、日本が北海道(蝦夷)を開拓し、屯田兵を送り込んだのと同じ背景。

日本が太平洋戦争に負けるまで、表はあくまでも中国やロシアという大陸に向かう日本海側であり、太平洋側が裏だったのです。それが戦後の米国主導の復興とマインドコントロールのため、表と裏が入れ替わったというわけです。

第2章は、国際的なネットワークを例に、世界を知るということを説明。言わずもがなの中華民族のネットワーク。衰退したと思われているイギリスを基点とした、ドバイ、バンガロール、シンガポール、シドニーへと伸びるユニオンジャックの矢。そして、ユダヤ人のネットワーク。ユダヤ人ということで言えば、モーゼ、キリスト、マルクス、フロイト、アインシュタインはすべてユダヤ人であり、ユダヤ人にとって、情報は教養を高める手段ではなく、生きるための必需品、必須条件。という言葉が平和ボケ、情報戦略の無い日本人には非常に身につまされます。

第3章は、戦後日本の情報戦略の欠落について指摘しており、日本には、情報網とシンクタンクが絶対的に不足しており、アメリカの情報に翻弄されていると嘆いています。

最後の第4章、若い人達に向けたメッセージで本著を結んでいます。

agree to disagree。相手の意見を聞き、例え同意せずとも、相手の主張を理解する姿勢が必要である。

そして、不条理と向き合うことが世界を知ること。怒りや問題意識がなければ、知とは言えない。知識の詰め込みだけでは意味がない。たくさんの情報から、自分なりの考察を行い、実際に様々な人、土地でぶつけて見ること。

そういう意味で、寺島実郎は、会社、上司、時代に恵まれていた。ただし、目的意識を常に持ち、努力し、チャンスをつかんだ。そのおかげで、今となっては情報のあぶく銭状態。黙っていても情報が集まって来、より一層世界を知る力が高まるという具合だと思う。

仕事三昧で、外資では浮いた存在の私だが、時間をつくり、たくさんの人と会い、恥を偲んで、挑戦していかねばと、いつもいつも思ってしまいます。が、なかなか難しいものです。


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