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「世界標準」の仕事術

2012-02-26 23:15:43 | 書籍
「世界標準」の仕事術
外務省に入省後、エジプト、イギリス、サウジで従事し、その後人事コンサルの転じたキャメル・ヤマモト氏の著書。

タイトルの「世界標準」とは何なのかはっきりしないが、世界のどこででも通用する人材になろう。という主旨の書です。

目次は以下の通り。

第1章 このままであなたは大丈夫ですか?
第2章 リーダーシップのルール「まず、人前に立て」
第3章 グローバルな仕事のルール プロジェクトと「時間ケチ」
第4章 コミュニケーションのルール 「沈黙は罪!」英語以前の会話の話
第5章 交渉のルール お互いの利益を見つければ、100戦あやうからず
第6章 成長戦略のルール どこでも通用する「専門性」と「コンセプト力」
第7章:キャリアのルール 10年後のために、あなたが「今」からやるべきこと

本書では日本の人材と海外の人材を比較し、欧米はもとより、優秀な新興国の人材との低価格競争の時代が始まっていると指摘。海外市場に進出する企業が増えるに従い、日本語だけしか話せない人よりも、英語を話せる人の方が競争力があるわけです。但し、本書では英語の重要性より思考力・行動力の重要性を説いており、そのための仕事術が書かれています。そのためには、マネージャーになる前から人前にたって伝えよう。自分の仕事の範囲もプロジェクトマネジメントし、アウトプットや時間を管理しよう。身を助ける普遍的な専門性を磨き、それを活かすコンセプト力を磨こう。そして10年後を見据え今の自分がやるべきことを明らかにしましょう。と結びます。

最後の今やるべきことついては、やりたいこと(夢・ビジョン軸)、やれること(強み軸)、やるべきこと(価値観軸)の3つを整理して考えましょう。と。今年40の私は、3つ目を真剣に考える時です。

本書では、この価値観の例として、「電通の鬼十則」を紹介しています。1951年に電通4代目社長吉田秀雄さんが作った行動規範だそうで、今とは時代が違うし、世界標準の話とは相反するところもありますが、面白いので転載します。

1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2. 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
3. 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
4. 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
5. 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
6. 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7. 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8. 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9. 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10. 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。

最後に、ちょっと話はそれますが、日本企業(社会)の欠点は、日本語という特別な言語しか使えないことよりも、その歴史の中でも醸成された単一化が問題であり、その上にある思考力の低下や多様性の排除が問題だと思っています。海外の会社でも、色々な思想や組織はありますし、一概に良い悪いは言えないと思います。ただ日本の会社と違い多様性(年齢、性別、国籍)を受け入れ、その後の人との好き嫌いや胡麻すり、その時の運で成功する人、干されてしまう人のとの不公平はあるとは思いますが、まずは公平にチャンスは与えられると思います。日本企業のグローバル化の第一歩は、国内多様性、特に少数派の優秀な人たちの活用であり、それによって国際競争力の向上と内需の拡大が図れるのだと思います。