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せいさい【制裁】
法律や規則、また慣習・伝統などの社会的規範に背いた者に対して加えられるこらしめや罰。また、そうした懲罰を加えること。「―を受ける」「法に基づいて―する」「鉄拳―」
としております。
その時代の社会通念に従い「上位概念から下位概念へ」発せされることが多いようですが、まれに「下位概念から上位概念へ」発せられることがあります。
いくつか例をみてみましょうか。
スポーツの国際機関が、ある国で内部紛争のために統一した国の代表選手を絞りきれない場合に「国際試合へ出場させない」という制裁を加えることがあります。
この問題は、企業チームを含むＮＢＬとプロリーグのｂｊリーグに分裂している男子の国内リーグを日本バスケットボール協会がまとめられない事態を問題視した国際バスケットボール連盟が、「今月末までに改善しなければ、国際大会への出場停止などの制裁を科す」と勧告しているもので、協会の会長が２３日、期限を待たずに辞任するなど混乱が広がっています。
：ＮＨＫオンライン 2014年10月29日
これは、プロスポーツ・企業のスポーツとは何かを考えさせる問題で、「プロスポーツ」はどうあるべきかについて、別のとらえ方を死守していることに起因する対立でしょうか。もちろん組織間の対立には利害と主導権がからんでいることはいうまでもありませんが。
こんな事件もありました。
（チェスの）ボビー・フィッシャー（1943-2008）は・・・・1992年にユーゴスラビアでスパスキーと再現試合を行なったのである。フィッシャーは試合前に、米国当局から「試合に参加するな」との手紙を受け取ったと公表した[1]（米国政府はボスニア問題に絡んでユーゴスラビアに対して経済措置をとり、米国人が同国において経済活動をすることを禁止していた）。フィッシャーはこの試合に見事勝利し、300万ドル以上の賞金を得た。米国は「ユーゴスラビアに対する経済制裁措置に対する違反だ」として起訴し、フィッシャーのアメリカ国籍を剥奪した。フィッシャーは後に「この起訴は反ユダヤ的発言と反米発言に対する政治的迫害である」と語った。フィッシャーは再び表舞台から姿を消し、消息不明になった。:2014年07月21日 Wikipedia
これは
制裁を発動した国の国民が制裁措置に違反して国籍を剥奪された事件でした。このあとアイルランドが国籍を与えたため、フィッシャーは同国で最期まで過ごしたといいます。
アメリカ国内の問題とは言え、素行不良で有名な「世界的な頭脳」晩年の一コマでした。
2014年に発生したロシアのクリミア（ウクライナ領土）併合は、ソチ五輪直後だっただけに、やはり共産国家らしいことをやったな、と世界を驚かせました。
欧州投資銀、対ロ融資停止も＝ＥＵ首脳会議で検討
【ブリュッセル時事】欧州連合（ＥＵ）が１６日に開く特別首脳会議で、緊迫するウクライナ情勢を受けたロシアへの追加制裁措置として、ＥＵの国際金融機関、欧州投資銀行（ＥＩＢ）による対ロシア融資停止を会議の総括文書に盛り込む方向で検討することが分かった。時事通信が草案を入手した。
草案は、ＥＵ首脳会議が６月２７日に提示した和平プランの交渉開始などの４条件が満たされていないことに遺憾の意を表明。ＥＩＢに加えて、欧米を中心に各国が出資する欧州復興開発銀行（ＥＢＲＤ）に対しても、対ロシアの新規融資を停止するようＥＵ各国が協調して要求するとしている。
また草案は、イスラエル・パレスチナ情勢に関して、双方に緊張緩和に向けた努力を促すとともに、「地域のパートナーによる停戦確立に向けた取り組みを歓迎する」と指摘している。:時事ドットコム（2014/07/17-01:01）
事件直後から、要人の入国や金融関係で制裁がみられ、このあとも、アメリカなどがロシアに対して制裁を追加しております。
ロシアにとっては
- 最初の外国領土クリミア併合は、事件ではなく、権利であった。
- その併合に対するEUや米国の制裁は理不尽であるから、即座に逆制裁をした〔これはウクライナへの天然ガス供給停止（先日算定的に復活）で実施されています。〕
- 「制裁」直後の「逆制裁」であったため、あらかじめ予測範囲内の「制裁」であっただろうと思われます。つまり実質的には「ロシアの権利」だと見るには無理があるとロシア自身が認識していたと思われます。
私には
これがロシア内での報道規制がもたらした結果だとみなしています。
ロシアでも中国でも、為政者に不都合なニュースをマスメディアが報道することを決して許しておらず、違反したらすぐに組織閉鎖処置をし責任者の追放処分を忘れません。このように政府に洗脳された国民は、世界中が「ロシアのクリミア併合」を認めていない、ことを知らされていないゆえに、併合に対して反対意見も反対運動もみられないし、むしろクリミア併合が政府によって正当化され、多くの国民が歓喜するキャンペーンとなっています。
これほど報道規制は危険なものなのですね。
日本ではどうか。
もしもあなたの情報源が、日本のマスメディアに偏っているならば、とても危険です。なぜなら日本の報道機関が「そろって自主規制して報道しない」ことが、たくさんあるからでした。
もしもロシアや中国の独裁を批判する視点をもてるならば、あなたは世界中のマスメディアがどう日本を伝えているかの関心も、もたねばなりません。
これが「日本人は、どう見られているかに行き過ぎた関心をもっている」となりますが、限度内にあるならそれは、日本人が客観性を忘れていない、ことの証明でもあるのでした。
中国でもみられました。
- 人権派の劉暁波 （りゅう ぎょうは）が2008年に中国共産党によって逮捕され刑務所入り。これは天安門事件〔1989〕以後、民主主義を否定してきた中国共産党が危機を感じ、民主主義の芽を刈り取ろうとした行為にほかならず、中国共産党に反対した者への制裁にほかなりません。
- 劉暁波が2010年にノーベル平和賞の候補になっていると察知した中国共産党は、ノルウェーのノーベル研究所長に対して「受賞すれば両国の関係に悪い影響を与えかねない」と威嚇。
- 劉暁波が獄中にありながらノーベル平和賞を受賞するも授賞式には出席できず。いつも政治的な動きをするノーベル平和賞は、2010年に中国に対して制裁を与えたとも受け止められた。国内で制裁を下したはずの中国共産党がノーベル平和賞で制裁されたわけです。
- 中国共産党は「平和賞を利用して、中国社会を裂こうとしている」と批判するも、中国共産党自身による国民弾圧・人権無視・一党独裁の責任について触れようとはしません。むしろ中国共産党が「誤った独善的な弾圧体質を利用して、世界国家を裂こうとしている」とも言えますね。
- 中国共産党が授賞に関係するニュースを報道したNHKやCNNを途中遮断するなど逆制裁を開始。
- 中国共産党が、妙な「孔子平和賞」なるものを対抗逆制裁として創立。いつたい誰がそんなものを受賞したいとおもふのだらうか（笑）。
- ノルウェー産サーモンの中国への輸入も激減しているとのことで逆制裁が税関でのイチャモンにつながっているものと思われます。中国共産党支配下の全ての官公庁では、実に簡単ないやがらせです。
- まとめると、中国では諸悪の根源が中国共産党の人権無視にあるのに、それを感知できず、制裁されると逆制裁を繰り返しており、この党に未来はなさそう。
これに限らず、人権無視国家中国は、
クーデターやら人権無視で世界中から制裁されている国に対して、ここぞとばかり接近し援助したがるようで、軍事優先国家は軍事優先国家と近いことを端的に示しています。
逆の見方をすると、そういう国しか相手にしてくれないからとも言えますね（笑）。
日本から見ると、この５～10年、中国が最大の懸案となっていて、その素行の悪さに対してどのように対応すべきか、探っているところ、と言えるでしょうか。