通常
固定支持層をもつ政党は、投票率が低いと有利、投票率が高いと不利
とされます。安定国家の場合は与党もこれに含まれるかも知れません。
これがあるからこそ、
無党派層は寝ていてくれた方がいい(選挙の日曜日、投票に出かけないことを期待)、と考える人が減りません。これを聞いて森喜朗を思いだした人はスルドイ!
森の釈明によれば、発言文脈は報道通りではないようですが、当時ひんぱんに見られた森の湿原(しつげん)、いや失言(しつげん)がわざわいして、マスメディアが意図的に脚色したものと思われます。
確かに
上の通り、固定支持者がある政党は、投票率が高いと不利になりそうですが、ここに浮動票なるものが絡(から)んでくると、事情はそう簡単ではなさそうです。
結局は
投票率が高いから有利とか不利、低いから有利とか不利、というのは、当たらないようです。厳密に言えば何かが言える可能性もありますが・・・・
要するに、有権者をだまして自陣の候補者へ投票させるテクニック次第、ということですね(笑)。
これを時の政権誕生と結びつけた人がいます。
たしかに
この年代別投票率の図にも問題点がないとは言えません。人は年ごとに年齢を積み重ねるものであり、ある年に行なわれた選挙での自分の年齢は、10年後には10歳上の分類になっており、10年経っても同じ傾向を示す人もいれば、異なる人もいるからですね。
ただし
- 「その選挙時の年齢ごとの投票傾向」、たとえば年齢ごとの支持政党の違い、などをつかむのに一定の意味がある、くらいなら確かにそう言えるでしょう。
- さらに「投票率が組織をもつ政党に有利か不利かを考える材料」としては、意義があると思います。
それにしても、年代別の投票率をどうやって算出したのでしょうね。出口調査ですか、それとも・・・・
投票率について見ると
2005年の郵政解散で小泉自民党が大勝しましたが、後になってそれより投票率が高かった2009年の麻生解散では自民党が大敗し代わって民主党政権が誕生した、のは御承知の通りです。
そこに「投票率が高くなっても与党が有利とは言えない」と主張する根拠があります。
そもそも小泉解散でも投票率が低かったとは言えず、もっと回数を重ねた分析が必要でしょう。
衆議院議員総選挙の一覧
回 実施内閣 投票日 投票率
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- 第41回 橋本1 1996年10月20日 59%
- 第42回 森1 2000年06月25日 62%
- 第43回 小泉1改2 2003年11月09日 59%
- 第44回 小泉2改 2005年09月11日 67%
- 第45回 麻生 2009年08月30日 69%
- 第46回 野田改3 2012年12月16日 59%
- 第47回 安倍2改 2014年12月14日 52%
出典
したがって
「投票率の高/低だけで、政党にとっての有利/不利は決らない」
と思うのです(笑)。
60%以上の高投票率でも、与党が有利になることもあれば、政権を失うこともあるのです。
混沌とした状況で
何も断定できない人が多い中を、懸命に何かを発見しようと努力する姿に、私は敬意を払いますが、かといってその結論を導いた仮定に疑問があればその旨、指摘しなければなりません。
ただし
「懸命の努力」そのものを否定しているわけではありませんので、念のため申し添えます。何も見えないところに何かを発見しようという動機は、尊いものですから。