カンムリワシ、ワシは名ばかり、言うばかり

20年前探せばカンムリワシがいて、10年前そこにはカラスがいて、いま両方ともいません。よって最近ではそれ以外の話題に。

中東問題

2015年02月01日 15時48分30秒 | 海外

2週間ほど

仕事で東京へ出張していたためブログを更新できませんでしたが、本日から再開しました。

この2週間ほど、イスラム関係のニュースが世間をにぎわせています。

まず過去から現状への流れからいえば・・・・

米ソの冷戦→米ソが後方支援する多数の独裁国が誕生→冷戦構造の破綻→独裁国が破綻し独裁者に弾圧されてきたイスラム教が台頭→アメリカのイスラム圏への介入→タリバン・アルカイダ・ISの反撃→混乱の現在

と言えるでしょうか。 


(1)イスラム諸国で宗派対立が激化

  • 「イスラムの不寛容」とも言われるように、日本の伝統芸能作法(茶・花・琴・三味線・能・狂言・義太夫など)に似て様々な流派が誕生し、同じ宗教のはずが別の宗教かのような百花繚乱〔ひゃっかりょうらん〕。
  • 各イスラム宗派の長が話し合って宗教として統一行動ができなかった原因を理解していませんが、権力構造に問題があったのではないか。とにかく部族や派閥を重要視するあまり全体的な視点を欠き、その結果として外国の干渉を受けて、元々確立していなかった組織さえ瓦解したのでしょうか。100年前の中国そっくりですね。
  • 本来暴力的ではなかったイスラム教徒を支配下におけたのが独裁者だったのは、武力を背景にしているからであり、ある意味ではやむを得ない過渡期だったのでしょう。
(2)独裁国が乱立
  • こうして強引に線引きされた地域も含め、チュニジア・リビア・エジプトなどの独裁・弾圧国家が誕生しました。
  • このほか、しこりを残したまま強引に統一された国としてユーゴスラビアなどがあります。その後分裂して国境を挟むことになったスロベニア・クロアチア・ボスニアヘルツェゴビナ・セルビア・モンテネグロ・コソボ・アルバニアなどの一部では、サッカー試合などでまだまだくすぶっていますね。
  • こうして独裁者は、イスラム教がかかえていた本質的な対立構造に封印をして、外からみると平穏を演じていたのでした。
(3)ソ連の崩壊
  • 裏に表に勢力を拡大しつつあった米ソが、自国陣営に引き込もうとこれら独裁国を支援し、また独裁国もまた米ソを手玉に取ろうと画策したためか、米ソの一触即発が案じられながらも、視点を変えると2色に塗り分けられつつも比較的安定した時代だったとも言えます。
  • しかしソ連という恐竜が崩壊・絶滅し、これに伴って独裁国へのアメリカの支援も減ったため、押さえつけられていた各宗派のイスラム教が台頭し始めました。言い替えると、独裁者を利用してイスラム教を封じていた「キリスト教を前提としているかのような」アメリカが、イスラム諸国の独裁者というバッファなしにイスラム教と直接対立することになったと言えます。それは、かつてソ連時代には東欧諸国というバッファがあったのですが、今ではまだ共産色をぬぐい去り得ないロシアがヨーロッパ諸国と直接対立するようになったのと似ています。
  • ただしあの隠蔽・事大主義・暴力的なソ連が世界制覇することを考えるとゾッとしますね。横暴なアメリカ支配の方がかなりマシだったのかも知れません。
  • こうして20年以上が経過したと言えます。

イスラム過激派組織に関しては
  • どちらに責任があるかは断定できませんが、ちょうどベトナム戦争でも見られたように、一般民衆の間に紛れて身を隠す過激派組織と、巻き添え被害を無数に生んだアメリカによる未熟な誤爆空爆、そしてアメリカ貿易ビル破壊事件(航空機乗っ取り)へと続きました。
  • 各国の反政府勢力が、これら過激派を利用しようとしています。つまりある国には、
    1. 政府勢力
    2. 反政府勢力
    3. 少数部族勢力
    4. イスラム過激勢力
 などが入り乱れていたのです。
  • IS〔イスラム過激派組織〕を恐れるあまり意のままになっている民衆と、その民衆を反政府勢力から守れない政府に、そもそもの問題があり、シリア政府は南ベトナム政府を彷彿とさせます。
  • ここで連想したのですが、政府そのものが民衆を弾圧している中国と、IS〔イスラム過激派組織〕が政府や反政府組織をも敵に回している中東とでは、趣が異なっています。「政府機能がまひしている」地域と、「政府そのものが民衆を弾圧し暴動が多発している」地域、という異なりです。
  • こういう中東の情勢を見ていると、独裁者がいて平穏に見えたのが冷戦崩壊で独裁者が倒されて民主化されると思いきや、過激なイスラム教徒が表に出てきたのですから、近く中国の独裁が崩壊したあとの13億人の混乱社会は、東アジアに深刻な影響を与えることでしょう。それでも私は、あえて、「中国の独裁は終焉を迎えるほうがよろしい」と確信をもって主張する次第です(笑)。
これに対しイスラム教徒たちはどうしたか
  • 日本では一部かも知れませんが、人質の無事を祈るイスラム教徒の姿が見られ
  • 海外でもイスラム過激派におるテロ反対のデモがみられました
これに対する私の考えは以下の通りです。

イスラム教徒の問題
  • イスラム教の統一組織がないこと、がそもそもの問題。組織がないことは弱体組織という一面があるものの、暴力で支配しようとする過激派の脅威にさらされている一面もあります。
  • こうなると何かトラブルがあると、各宗派が個別に対応せざるを得ませんが、その各宗派間と宗派内での派閥闘争が相当に激しいようで、統一運動にはほど遠いのでした。
  • またIS〔イスラム過激派組織〕が、どこの国も承認していないのに「イスラム国」という「国」の名称を使っているという呼称問題があります。
  • 「イスラム」という名前を使っていることに対する「破門も含めた」明確に否定するイスラム組織があるのかどうかもわかりません。それよりも自分の宗派を守ることが大切であり、各派閥にはむしろIS〔イスラム過激派組織〕を利用したいという本音があるのでしょうか。そうしそうだとすると、「混乱よりは弾圧のほうがマシ」という意見が出てくるのにも多少の意義があろうか、とさえ思ってしまいます。本心は違いますが(笑)。
  • このままでは、世界中のイスラム教徒が、単に迷惑なだけではなく、宗教間の対立をより激化させそうな気がしてきます。なぜならば、一神教では、自分の宗教のほうが正しい、と信じているようですから、絶対に妥協などできないからです。もう混在・共生するしかない時代なのです。
  • 日本国内でもIS〔イスラム過激派組織〕ではなくイスラム国という名称を使うことが多いのが気になります。なぜ「国」なのでしょうか。
  • 「イスラム」というと、朝鮮民主主義人民共和という例外はあるものの、国連に加盟していて一応「議論対象になる国」というイメージがありますが、どの国も承認していない「イスラム国」ですから、まったく異なりますね。
  • こういう「一方的な正義」を主張する過激な暴力集団への「イスラム国」という呼称はやめたほうがいいと思います。存在しない「タリバン国」とか「アルカイダ国」というのを連想させてしまうからです。とはいえ私は、「一方的な正義」を主張する過激な暴力集団である中下人民共和国、いや失礼、中華人民共和国を「国」と呼ぶな、とまでは主張しておりません(大笑)。
  • 日本政府としてはテロを徹底的に非難しており、これは妥当なところです。しかし日本のマスメディアはまるでイスラム国を承認したかのようにイスラム国という呼称を平気で使っております。何も矛盾を感じないのでしょうか。それとも日本のマスメディアは、暴力無法国家である中国を非難するどころかその主張を刻一刻と伝える中国人民日報の忠実なしもべになっていた朝日新聞と同じような道を歩もうとしているのでしょうか。〔昨年2014年8月以降は朝日も変わってきつつあるようですが・・・・〕
  • もはや手遅れで不可能かも知れませんが、だからこそ必要なのが世界中のイスラム教徒組織が「イスラム国」と称するIS〔イスラム過激派組織〕を破門し声を上げて排除することが求められています。ひたすら「人質の解放を祈る」だけでは極悪人をなくせないのです。これはちょうど、人の話など聞かないで自分勝手に行動し他人の利益や領土をむしり取ろうとする人が多い現代において、ただ「戦争反対」「平和国家」を唱えるだけで、なにも語らなくても「平和」が訪れると確信している人たち、のように思われます。
  • 繰り返すならば、イスラム教徒が全体として過激派を非難する声明を出し、実際の行動でこれを明らかにすること、が大切でしょう。イスラム教徒が個別の宗派ごとに非難声明を出す程度では、大きな限界があるのです。
その他の重要な問題
  • シリア国が統治能力のない独裁国になってしまっていて、為政者と称する独裁者グループ、少数民族、反政府勢力がある上に、昨年2014年からシリア・イラク国境近くで勝手に建国を宣言し勝手に勢力を拡大しているIS〔イスラム過激派組織〕が新しく参入したのでした。もう国としての姿が見られません。
  • シリアの大統領アサドは少数宗派出身らしく、多数派であるスンニ派(スンナ派)を弾圧しているらしい。これも混乱の原因なのかも知れません。
  • シリア国が弾圧国家だという証拠としては、「類は友を呼ぶ」のことわざ通り、北朝鮮・中国・ロシア・イランなどの強硬・弾圧・暴力国家と友好関係にあることが挙げられます。これらの国々は、力で解決しようとするアメリカに対する「反米」はいいとしても、常に突然何かを一方的に始めるという性癖があり、話し相手にならず不気味な印象を与えます。
さて、湯川・後藤を処刑したIS〔イスラム過激派組織〕がどのような道をたどるのか、注視したいものです。

中東諸国の弾圧国家は、石油が枯渇する前に、国家としての体裁を整え、国民の「教育」と「福祉」に力を入れるべきで、他国はこの国の経済格差を少しでもなくなる方向で支援していかねばならないようです。

「教育」には
  • イスラム教の教えだけでなく、ほかの国にも同じように宗教を大切にしている国があることを知る
  • また自分の宗教が絶対的なものだとすると、他宗教との激しい対立が永遠になくならないことを知る
なども含まれます。こういう地道な努力だけが、世界の宗教対立をなくす方法だと思います。

もっといいのは、くだらない一神教を捨て去ることですね(大笑)。