韓国の輸出、1~3月2ケタ減 中国と技術格差縮小響く
2016/4/2
3月単月の輸出額は前年同月比8.2%減で15カ月連続のマイナス。
サムスン電子のスマートフォンの新製品「ギャラクシーS7」の出荷の影響で無線通信機器などが大きく伸び、2桁減だった1、2月に比べて減少幅は縮まった。
ただ、同省の鄭升一(チョン・スンイル)貿易投資室長は「ある程度は良くなっているとは思うが、回復の方向に勢いが反転すると判断するのはまだ早い」と慎重な見方を示した。
3月の輸出を品目別にみると、落ち込みが大きいのがガソリンや軽油などの石油製品(41.6%減)や液晶パネルなどの平面ディスプレー(24.2%減)、造船(28.9%減)など。
石油製品は原油安による単価下落の影響が大きいが、
平面ディスプレーは中国勢の設備増強の影響で販売単価が下落しており、
造船も世界的な景気停滞による受注不振が続いている。
韓国は輸出の4分の1が中国向けだが、
3月は対中国が12.2%減と米国(3.8%減)や日本(3.6%減)と比べて落ち込みが大きいことも影響している。
中国景気が停滞しているだけでなく、中国が部品などの中間財の国産比率を高めていることも背景にある。
未来創造科学省によると、2012年に1.9年だった中韓の技術格差は14年に1.4年に縮まった。
中国の企業が素材や部品などの技術力を高めており、
韓国貿易協会によると、対中輸出に占める中間財の比率は00年の84.9%から15年には71.8%に下がっている。
輸出の減少は国内の生産コストの増加から、
韓国企業がコストの安いベトナムなど海外への生産移転を進めている影響もある。
サムスン電子やLG電子はすでにベトナムでスマホや液晶テレビ、洗濯機などの白物家電も生産している。
中間財を輸出して最終財を組み立てる加工拠点としてベトナムを活用する動きが広がっている。
日本や中国も輸出は減少しているが、
韓国は輸出が国内総生産(GDP)の4割超に達し、
比率が高いことから、設備投資や消費などの心理面に与える影響は大きい。
国内景気の停滞に加え、原油や鉱物などの単価下落の影響もあり、輸入の減少幅も上昇傾向だ。
2月にソウル外国為替市場の終値で1ドル=1238ウォン台までウォン安が進んだ為替相場は1150ウォン台まで上昇し、
落ち着きを取り戻しているが、韓国政府は輸出入動向の先行きを注視している。