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韓国経済“負のスパイラル”突入か 脱中国遅れ深刻な海運・造船業、政府系銀行に貸し倒れも

2016年08月03日 11時07分10秒 | Weblog

韓国経済“負のスパイラル”突入か 脱中国遅れ深刻な海運・造船業、政府系銀行に貸し倒れも

2016.7.17

産経

韓国では輸出の低迷が長期化し、企業収益が大幅に悪化している。

とりわけ海運・造船業では一部企業で赤字が持続し、利払いや返済が困難な状況に直面。

支援する政府系金融機関の経営に影響を与えることも懸念される。

危険水準にさしかかった韓国経済について、

専門家は、こうした経営悪化が今後、個人消費などにも広範囲に波及する“負のスパイエラル”突入への恐れも指摘する。

急激な輸出の鈍化

中国をはじめとする新興国で景気減速が鮮明となる中、韓国では輸出の鈍化により景気の減速懸念が強まっている。

2015年実質GDP成長率は前年比2・6%増と前年(3・3%増)を下回った。

特に00年代以降成長を支えてきた輸出は0・2%ポイント増にとどまった。

これまで成長の原動力だった輸出が足元で牽引力が弱まり、低成長を余儀なくされ、企業部門の収益悪化が鮮明化している。

電気機器、自動車などの主要産業では15年半ば以降、軒並み収益が減少傾向にあり、

世界的な供給過剰や需要減退で鉄鋼、造船・海運業は赤字を計上する企業も増えてきた。

企業収益の悪化は多額の債務を抱える韓国企業に大きな打撃となりかねない。

そうした状況を、シンクタンク「日本総研」の調査部研究員、松田健太郎氏は

「韓国企業の債務は世界的にみて非常に高い水準となっており、

返済が困難になった場合、設備投資の縮小や人件費の削減を通じて国内景気を大幅に下押しする可能性がある」と危険視する。

深刻な海運・造船業

国際決済銀行の調査によると、韓国の非金融企業債務の対GDP比は100%超と、

新興国の中では中国に次ぐ高水準で、先進国平均よりも高い。

インドネシアは20%程度、タイやインドは50%前後にとどまっており、その突出ぶりが分かる。

韓国内の民間銀行・政府系銀行の企業向け貸出残高は、総じて増加傾向が続いているが、一方で、債務返済の原資となる企業収益は低迷が鮮明化している。

15年まで比較的、堅調に推移してきた韓国の企業業績は、中国経済減速の影響を受けて悪化。

とりわけ景気変動の影響を受けやすい海運・造船業で採算が低下している。

韓国の主要海運企業の業績をみると、最大手の韓進海運では 

15年前後に黒字に転じていた本業の収益を表す営業利益が15年10~12月期、大幅な赤字に。

現代商船でも13年1~3月期を底に縮小傾向だった営業赤字が、ここにきて拡大している。

その背景として、

(1)資源取引減退による海運需要の減少

(2)中国経済の減速

(3)好況時に長期契約した船舶の高い賃借料

(4)中国の船舶過剰生産による競争激化-などが指摘される。

世界的に景気回復ペースが遅れる中、需要の弱含みによる船舶の余剰が想定され、大幅な持ち直しは期待できない状況だ。

世界的な海運不況で、造船業でも14年以降、営業赤字に転落する韓国企業が現れた。

15年の主要企業の営業利益をみると、大宇造船海洋が10~12月期に大幅な黒字を計上したのを除けば、おおむね赤字、または若干の黒字で推移。

16年1月以降も世界的な船舶需要が低迷する中、新規の受注状況は数件程度にとどまっている。

かつての大口受注先だった中国政府が自国の造船企業救済を目的に中国企業に受注を集中させていることも影響している。

松田氏は「今後も海運需要の持ち直しが限定的と見込まれ、造船業も早期の回復は期待できない」と言い切る。

政府系にも不透明感

韓国企業の営業利益の大幅な悪化を受け、それを返済原資とする支払い能力も低下している。

企業の利払い返済能力はリーマン・ショック以降、海運・造船の2業種で全産業平均を大きく下回る。

特に造船業全体ではリーマン・ショックが発生した08年以降、

一貫して低下傾向が続き、13年には営業利益で支払利息を賄えない水準まで落ち込んだ。

海運業でも11年以降、そうした水準が続く。

「収益環境が一段と悪化し、利払いや返済は一段と厳しさを増している」と松田氏。

企業の債務返済能力の低下は、銀行などの金融機関にも直接的な影響を及ぼしている。

銀行はバーゼル規制によって自己資本比率の一定水準の引き上げを要請されており、

今後、貸出債権が不良資産化すれば、財務の健全性が大きく低下する恐れがある。

預金に対する貸出金の比率を示す「預貸率」をみると、2000年代以降、米国や日本が総じて低下傾向なのに対し、韓国は依然120%前後の高水準となっている。

預貸率を民間銀行と政府系銀行に分けると、民間銀行はリーマン・ショック以降おおむね100%前後で推移しているのに対し、政府系銀行はリーマン・ショック直後のピーク時に迫りつつある。

政府系銀行の預貸率上昇の背景には、政府主導の景気刺激策などを受けた政府系銀行の積極的な貸出姿勢が指摘されている。

国輸出入銀行や韓国産業銀行に代表される政府系銀行の主要貸出先には、業績の悪い造船・海運の占める割合が高い。

これが不良債権に転じた場合には、多額の貸倒引当金が必要となり、銀行の業績・バランスシートを大幅に悪化させることが予想される。

 すでに政府系銀行のバランスシート調整圧力が強まっており、今後、景気は一段と下押しされる可能性が高いと予想されている。

松田氏は「人件費削減をはじめとしたリストラを企業が行うことで、

 

雇用・所得環境が悪化し、それを通じて個人消費が押し下げられることも想定される」

韓国経済の“負のスパイラル”突入のシナリオも指摘する。

(7月12日掲載)