ムスリム・アジア人敵視がひどくなっています。/樺浩志・ロンドン

2005-07-14 08:10:58 | 世界
このかん、ムスリム・アジア人敵視がひどくなっています。全国的にモスクやシーク寺院が攻撃され、窓ガラスが割られたりしています。ムスリム信者が襲われて殺される事件まで起きました(12日ノッティンガム)。

英国のネオナチ「BNP(英国国民党)」は、爆破されたバスの写真に
「BNPの主張に耳を傾ける時かも。これ以上の難民入国禁止」
と掲げたビラをまきました。(東ロンドンの補選)。

新聞の投書欄、ラジオの視聴者の声等、
ムスリム→テロと結びつける図式が展開されています。
(一応「バランス」をとって差別主義反対の声も載せていますが…)。
「敵」「悪」「屈しない」「降参しない」という戦争の言葉が氾濫しています。

昨日今日とニュースを賑わせているのは、
爆弾事件の実行容疑者が「イギリスで生まれ育った」ということ、
「どうしたら内部の敵と戦えるのか」ということです。

ブレアは既に、問題のICチップつき身分証明カードの国民義務化法案に加え、
実行や準備でなくても「テロを激励」した段階で取り締まれる法案を
提出しようとしています。反社会的行動取締法(ASBO)もそうですが、
若者を、ムスリムを、自国民を敵視する政策を満展開しています。

日本での北朝鮮叩き・中国叩きの嵐のような排外主義、
「共謀罪」「国民保護法」等次々制定される人権侵害の規制法を考えると、
本当に他人事ではありません。

イギリスの運動体がどう対応しているか?
それが冒頭の呼びかけです。
各団体が機関紙やウェブで声明を出して立場表明するだけでなく、
実際の連帯行動、共同行動によって進むべき道を示そうとしています。

200万反戦デモも決して自然発生したわけではなく、
現有する多数の諸団体がこぞって力を合わせて動員をかけて初めて
「国民運動化」的状況が発生しました。

スペインでは、マドリッド列車爆破事件直後、
愛国主義と憎しみの「テロ反対」のデモを
反戦と軍撤退の本当の解決を求めるデモが完全に圧倒してしまいました。
今こそスペインの先例に続きましょう。


「勝ち組」の裕福な人間達が更に肥え太っている現在、
そしてイラクやパレスチナでは毎日のように(今日も)人々の生活が破壊され
生命が奪われている現在、
「テロリスト」を悪魔のように描き、法規制強化や難民締め出し等の対処療法をしても、
本当の問題の解決にはなりません。
世界の民衆の怒りと憎しみと悲しみの元凶たる戦争と占領をやめさせること、
それこそが解決の道だと思います。
今回の事件を、新たなる戦争の道具とさせるわけにはいきません。

長々と書きました。結論は冒頭に書いたことです。

イラク戦争に反対した皆さん、
イラクでの日本人の人質事件に際し行動に立った皆さん、
そして今回の事件に衝撃と怒りと悲しみを感じている全ての皆さんに、
連帯追悼式へのご参加を心から訴えます。

ロンドン同時爆破事件犠牲者追悼式


先週土曜に緊急の追悼式が行われましたが、
今週また2回、犠牲者追悼式が行われます。

14日木曜日(事件1週間後)に公式追悼式、
17日日曜日に運動体による連帯追悼式です。

この時期ロンドンにいる皆さん、家族友人誘い合わせておいでください。
このメールの転送も歓迎です。
(週刊ジャーニーやダイジェストに広告を打てれば大々的に広げれるのですが、
先立つ資金がなく、かつ締め切りに間に合いませんね…)

14日木曜日
正午12時から2分間の黙祷。
6時からトラファルガー広場でロンドン市等主催の公式追悼式。
死者を追悼し、開かれた寛容性のある多人種多文化社会としてのロンドンを作るため。
交通や医療や緊急行動に関わり多数の生命を救った英雄に感謝して。

17日日曜日
2時からラッセル・スクエア(事件現場であるタビストック広場の直近)で連帯追悼式。

今回事件の死傷者と家族に連帯し、人種主義とイスラム敵視に反対して。
200万人反戦デモ等、多人種多世代の共同行動を実際に実現してきた
ストップ・ザ・ウォー連合、核軍縮運動、そして英国ムスリム協会の共催。

最寄の地下鉄駅は、トラファルガー広場は Embankment
ラッセル広場は Russell Square です。
ただし、ラッセルスクエア駅はまだ再開してないだろうと思われます。


樺浩志


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レポート by 樺浩志
japan2world@hotmail.com
http://eikoku.fc2web.com


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ロンドン同時テロの実行犯はパキスタン系英国人四人で、自爆テ…(東京新聞・筆洗)

 ロンドン同時テロの実行犯はパキスタン系英国人四人で、自爆テロの可能性が強いと、ロンドン警視庁が発表した▼事件からわずか五日で犯人を特定した捜査力には敬服するが、移民問題という深刻な国内要因を浮かび上がらせたことが英国民にはショックだろう▼首謀者の国外逃亡説もあり、イスラム過激派との関係はまだはっきりしないが、実行犯四人のうち、十九、二十二、三十歳の三人は、英国中部の都市リーズの、パキスタン、バングラデシュからの移民が多く住む貧しい労働者街の住人だった▼英国やドイツ、フランスは戦後復興のため、旧植民地のアフリカやアジア諸国から多くの移民を受け入れた。一九七〇年代以降制限したが、家族の呼び寄せなどでその後も増え続けた。それが国内の貧困層との軋轢(あつれき)を生み、失業や、犯罪の増加とともに、政治的不安定要因となった▼英国BBC放送のプロデューサー、ジェシカ・ウィリアムズ著『世界を見る目が変わる50の事実』(草思社)は、英国内には三百万台の監視テレビカメラ(CCTV)があり、ロンドン市民は三十もの監視ネット網によって一日三百回撮影されているとのデータを紹介。それ自体は今回の迅速な捜査に結実するが、監視社会の怖さを警告する▼さらに恥ずべき事実として、英国の子どもの三人に一人が貧困水準で、七〇年に比べて三倍に増え、先進国の中でもっとも割合が高いこと。貧しい子どもの精神疾患は富裕層の三倍もあるとのデータも示す。テロ事件の遠景に貧富の格差があると示唆する。


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