バングラデシュ縫製産業、労働争議回避へ賃金倍増・フィナンシャル・タイムズほか

2010-08-01 07:09:38 | 世界
市民社会フォーラムML から
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バングラデシュでは、ユニクロとグラミン銀行との合弁会社「ユニクロ グラミン」設立で日本企業がソーシャル・ビジネス進出と騒がれていますが、バングラデシュでは低賃金の縫製労働者の労働争議が頻発、同国政府は最低賃金を2倍にすることを発表しました。中国での労働争議の頻発・賃金上昇からバングラデシュなどより低賃金の国々への生産シフトをはかるユニクロ。「海外の反発を受けない」「米国のナイキやギャップが途上国で「過酷な労働を強いられている」と批判を浴びた例も念頭にあった」と批判回避のための「社会貢献」ですが、フランスの飲料メーカー「ダノン」や、水道関連企業「ベオリア」などが行っている「ソーシャル・ビジネス」って?(ネスレなどもやっているらしい)と感じるのは少数でしょうか。「不十分なばかりか、非人道的だ」(バングラデシュ首相)という同国縫製産業労働者の賃金水準を上げることこそ重要であって、低賃金(過酷な労働)を利用しながら、「社会貢献」と言われても???と感じるのは偏見でしょうか?

「カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは2010年7月13日、バングラデシュのグラミン銀行と10月をメドに合弁会社を設立し、バングラの雇用創出などにつなげる「ソーシャルビジネス」と呼ばれる事業を始めると発表した。今後、海外売上高を飛躍的に高めて成長を図るファストリの世界戦略を、海外の反発を受けない形で展開する狙いもある」

「ファストリ1年前から柳井会長の肝入りで準備を進めた。製造拠点の85%が集中する中国はストライキの頻発などもあって人件費アップは避けられず、今後、バングラやカンボジア、ミャンマーなどに拠点をシフトする方針だが、米国のナイキやギャップが途上国で「過酷な労働を強いられている」と批判を浴びた例も念頭にあったという」


http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819584E1E2E2E2E38DE1E2E2E5E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;at=ALL

[FT]バングラデシュ縫製産業、労働争議回避へ賃金倍増

2010/7/30 14:00

(2010年7月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

首都をデモ行進するバングラデシュの縫製業者や活動家(7月28日、ダッカ=AP)

 バングラデシュ政府はこのほど、国内縫製産業の最低賃金を現行のほぼ2倍にすることを承認した。英マークス・アンド・スペンサーやスウェーデンのヘネス・アンド・モーリッツ(H&M)、米ウォルマートなどの欧米ファッションブランド品の製造に従事する労働者によりここ数カ月続いていた争議を終わらせるのが狙いだ。

月23ドルから43ドルに引き上げ

 世界で最低の賃金に属する同国の約250万人の縫製産業労働者の最低賃金は月23ドル(約1990円)から43ドル(約3720円)に引き上げられる。

 この数カ月、製造業に携わるアジア各地の労働者が労働環境改善を求め、積極的に発言するようになった。中国の工場経営者も最近、長時間労働や低賃金に抗議する労働者による異例のストライキに悩まされた。

 バングラデシュの賃上げ決定の数日前、同国のハシナ首相は議会で、これまでの賃金水準は「不十分なばかりか、非人道的だ」と発言していた。

要求水準には満たず、労働争議回避に疑問

 しかし、賃上げ額は月75ドル(約6500円)という労働者の要求水準に満たなかった。工場経営者は今回の賃上げで、この数カ月間、生産現場を混乱に陥れた労働争議に終止符が打たれるのか確信を持てないままだ。

 バングラデシュではこの4年間、食料品価格が上昇する一方で賃金は据え置かれ、労働者は犠牲を強いられてきた。先月には同国有数の輸出加工区で、労働者が警官隊と衝突したり、工場内を荒らし回ったりしたため、工業団地は一時に閉鎖に追い込まれた。

 バングラデシュ衣料品製造業・輸出業協会のアブダス・サラム・ムルシェディ会長は「労働者は賃上げ額に不満を持たないでほしい。現状ではこれが精いっぱいだ」と語る。

欧米アパレル各社が生産拠点

 同国の縫製品の輸出額は8年前の年間50億ドルから120億ドルに増えた。欧米アパレル各社が生産拠点を中国から、より低コスト国に移転したためだ。縫製品は同国の輸出の約8割を占める。

 賃上げは11月から実施され、バングラデシュの賃金は下から2番目のカンボジアと同水準になる。

 ニューヨークに拠点を置くファッション業界コンサルタントのアンドルー・ジャシン氏は、賃上げがバングラデシュの縫製産業に不利益をもたらすことはないとしつつも、小売価格の上昇圧力にはなりうると指摘する。

 一方、労働組合や英国の非政府組織(NGO)「アクションエイド」のような慈善団体は、今回の賃上げ額では縫製産業労働者が一家の食費や医療・教育費を賄うのに必要とされる月98ポンド(153ドル、約1万3250円)に達しないと主張している。

by Amy Kazmin


http://mainichi.jp/life/kirei/news/20100713k0000e020055000c.html

ユニクロ:グラミン銀と合弁 バングラで雇用創出

2010年7月13日 13時7分

 カジュアル衣料のユニクロを運営するファーストリテイリングは、ノーベル平和賞を受賞したバングラデシュのムハマド・ユヌス氏率いる貧困者向け少額融資機関「グラミン銀行」と合弁会社を設立し、現地の雇用創出などを目的とする「ソーシャルビジネス」事業に乗り出す。

 13日午後、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長とユヌス氏が記者会見して発表する。日本企業がグラミン銀行と合弁事業を展開するのは初めて。

 ファーストリテイリングはバングラデシュなどで衣類を製造している。だが、現地の人々にとっては、価格が高すぎ、手が届きにくい。

 このため、合弁会社で、無理なく購入できる衣類を製造し、得た利益は雇用拡大につながるよう再投資、将来的に生活水準の向上や経済発展につなげることを目指す。途上国での収益を目的としないソーシャルビジネスは欧米企業の間では広がっているが、日本企業としてはファーストリテイリングが最大級の取り組みとなる。

 グラミン銀は83年に設立。農村部の女性への低利・無担保融資などで、貧困層の生活向上に貢献したとして06年、総裁を務めるユヌス氏とともにノーベル平和賞を受賞した。【井出晋平】


http://mainichi.jp/select/world/news/20100714ddm001020037000c.html

ユニクロ:3年後、2000人雇用を バングラデシュに「グラミン ユニクロ」設立

 「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは13日、ノーベル平和賞を受賞したバングラデシュの貧困層向け少額融資機関、グラミン銀行と合弁企業を10月に設立すると発表した。現地の貧困層向けの安価な衣料品の製造・販売と雇用創出を目的とする「ソーシャルビジネス」と呼ばれる事業に乗り出す。

 合弁会社「グラミン ユニクロ」をバングラデシュの首都ダッカに設立し、年内にも販売を始める。資本金は10万ドル(約885万円)でファーストリテイリングが99%出資する。

 女性用下着や学校の制服などを製造し、グラミン銀行の借り手である農村部の女性を通じて販売する。価格は現地の物価水準に合わせ平均1ドル程度になる見込み。布地など材料も現地調達する。得た収益は現地で雇用拡大などに回す。

 雇用創出の規模は、初年度は250人、3年後には1500~2000人を目指し、大半は販売する農村部の女性たちが占めるという。

 ファーストリテイリングは、08年からバングラデシュでTシャツなどを生産している。東京都内で会見したファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は「現地で生産する以上、現地で良い企業にならないと生き残れない。世の中に役立つビジネスをしたい」と強調。グラミン銀行のムハマド・ユヌス総裁は「日本企業が持つ技術を使えば貧困問題の早期解決が可能になる。他の日本企業にも提携を呼びかけたい」と話した。【井出晋平】

毎日新聞 2010年7月14日 東京朝刊


http://www.j-cast.com/2010/07/25071523.html?p=1

ユニクロがバングラ・グラミン銀行と合弁 日本企業初の本格「ソーシャルビジネス」

2010/7/25 18:00

カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは2010年7月13日、バングラデシュのグラミン銀行と10月をメドに合弁会社を設立し、バングラの雇用創出などにつなげる「ソーシャルビジネス」と呼ばれる事業を始めると発表した。今後、海外売上高を飛躍的に高めて成長を図るファストリの世界戦略を、海外の反発を受けない形で展開する狙いもある。

ソーシャルビジネスの取り組みは、企業の社会的責任をアピールすることに注力する欧米で広がっているが、日本企業には本格的な事例が少なく、ファストリが日本企業のモデルとなる可能性もある。
収益を吸い上げずに現地に再投資

今回、ファストリが提携するグラミン銀行は、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス総裁率いる貧困層向け少額融資機関。フランスの飲料メーカー「ダノン」や、水道関連企業「ベオリア」など、世界のさまざまな企業と組んでソーシャルビジネスを展開しているが、日本企業と連携するのは初めてだ。

ファストリとグラミン銀行の合弁会社「グラミンユニクロ」はバングラの首都ダッカに設立。資本金は10万㌦で、ファストリが99%出資する。

合弁会社は女性用下着や学校の制服などを製造し、グラミン銀行の借り手である農村部の女性を通じて販売。ユニクロの衣料品の原材料となる布地は中国や日本産だが、バングラ国内から現地調達することなどでコストを削減し、平均して1枚1ドル程度で販売される見込み。

生産工場で働く人や、商品を販売するグラミン銀行の借り手である農村部の女性を含め、3年後に最大2000人の雇用創出を目指す。ファストリは収益を吸い上げずに現地に再投資し、雇用拡大などを目指す。

バングラやカンボジア、ミャンマーに拠点をシフト

ただ、1ドルとは言っても国民の約3割が貧困ライン(1日の生活費1.25ドル)以下のバングラでは安くないが、ファストリの柳井正会長兼社長は「1ドルでもそれ以上の付加価値があり、消費者に選ばれるものを作りたい」と話し、浸透に自信をのぞかせる。

ファストリ1年前から柳井会長の肝入りで準備を進めた。製造拠点の85%が集中する中国はストライキの頻発などもあって人件費アップは避けられず、今後、バングラやカンボジア、ミャンマーなどに拠点をシフトする方針だが、米国のナイキやギャップが途上国で「過酷な労働を強いられている」と批判を浴びた例も念頭にあったという。

特にバングラは既に1億5000万人を超える人口を抱え、経済成長に伴って、今後消費市場としても期待できるだけに「ユニクロのブランドを浸透させる狙いもあった」と柳井氏は語っている。

そうした現実的な経営判断のもとに進められたファストリとグラミン銀行の提携ではあるが、日本貿易振興機構(JETRO)によると、ファストリのように収益を吸い上げずに現地に再投資する本格的なソーシャルビジネスは日本企業では初めて。柳井会長が「軌道に乗るまで撤退しない」と決意を語る事業の行方が注目される。

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ユニクロが進出を狙っているバングラデシュでの縫製労働者の暴動のニュースですが、「ユニクロ」現象は、同志社大学の浜矩子氏が「ユニクロ型デフレ」と命名した「低賃金労働」を利用した際限の無い(破滅的な)グローバル規模での「低価格競争」による不況と労働者の貧困化をもたらしています。単に劣悪な労働条件を強いられ搾取されているバングラデシュのスウェットショップ労働者の問題だけではなく、本質的に日本の労働者(消費者)の問題でもあるのです(浜氏の「画期的処方箋」に関しては議論があるでしょうが)。

 以下のように、このグローバルな衣料産業をめぐる構造的な矛盾に関して、AMネット/地域・アソシエーション研究所の松平尚也さんが論じています(このブログで紹介されている資料集を地域・アソシエーション研究所から送っていただいていたのを思い出しました)。

AMネット オフィシャルブログ
あなたの服はどこから来るのか? ~世界で広がる衣料消費の格差~
http://am-net.seesaa.net/article/146581551.html


http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010073000949

月給倍増でも不満=衣料品労働者数千人が暴徒化-バングラ

 【ニューデリー時事】バングラデシュの首都ダッカ各地で30日、政府が約束した最低賃金の引き上げ幅に抗議するデモを行っていた衣料品製造工場の従業員数千人が暴徒化し、工場や商店を襲撃して売り物を略奪したり、ビルや車に放火したりした。暴動は高級服飾店などが集中する繁華街を中心に起きた。

 バングラ政府は29日、衣料品製造業従業員の最低賃金を4年ぶりに見直し、現在の月額1662タカ(約2000円)を11月から3000タカに倍増すると発表。多数の労働組合は合意したが、一部は5000タカまで引き上げるよう要求している。衣料品製造は輸出の8割を占めるバングラの基幹産業。(2010/07/30-18:44)


ユニクロ型デフレと国家破産
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166607594

浜 矩子・著

“ハイパー・デフレ”の危機を回避せよ
グローバル恐慌以降、依然猛威をふるう「新型デフレ」。その危険な正体と、負の連鎖を断ち切るための「画期的処方箋」を指し示す

内容紹介
出口の見えない大不況、日々、激化するデフレ商戦は、100円ショップを50円均一の店に変え、99円の衣料品を誕生させました。安いからいい、と喜んでいられないのは、この新型デフレが、従来の経済法則が効かない、死に至る病だからなのです。でもご安心を。テレビでもおなじみの気鋭のエコノミスト、浜さんが、新型デフレの危機を脱して、私たちが21世紀を幸せに生き抜いていく道を、巫女のごとく、説得力のある言葉で指し示します。(HY)

書誌データ
定価:893円(税込)
ページ数:256ページ
判型:新書判
初版発行日:2010年06月20日

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
今大学生です (misato)
2010-12-27 23:08:47
ファストファッションブランドの企業形態を問題視し、今研究している大学生です。
もしよろしければ記事を自分のブログにもトラックバックさせてもらいたいのですが、よろしくお願いします。
ご自由に (薔薇、または陽だまりの猫)
2010-12-27 23:29:01
なさってください
Unknown (電灯)
2010-12-28 01:21:33
>>ファストファッションブランドの企業形態を
>>問題視し、今研究している

一消費者として個人的にのみ見た場合、ユニクロには「買いたいとおもうような服がおいていない」が最大の問題です。それに、安く見えますが、結局安くないような気がします。
でも、売れてるのも現実ですね。

私は普段着は、近くのヨーカドーでだいたい買ってます。ユニクロより高いですが、その価格分だけはいいものが置いてありますね。
そのヨーカドーが衣料部門をリストラするらしいですね。ファストファッションの専門店と、伊勢丹等のデパートとに二極化してゆくのでしょうか。

アパレル業界に詳しくないので、妙なことを言ってるかも知れません。

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