「チュニジア革命からエジプト革命へ」アジア記者クラブ例会(2月14日) ほか

2011-02-17 08:31:41 | 世界
14日に開かれたアジア記者クラブ例会「チュニジア革命からエジプト革命へ」
(福田邦夫明治大教授講演)は、今回の事態の経済的背景を明らかにしてくれま
した。新自由主義的グローバリゼーションによる貿易自由化、民営化、規制緩和
などが大量の失業者を生み(チュニジアの18歳から35歳の失業率は実に40パーセ
ント)、極端な貧困を生み出したということです。

「東京新聞」記事(2月16日)が、当日の報告をわかりやすくまとめていました
ので転載します。

以下転載ーーーーーーーーー

チュニジア、エジプト民衆革命「世界的な社会運動の一環」
背景に失業や貧困 福田教授、都内で講演

 チュニジアに続き、エジプトでも強権的な長期政権が民衆革命によって倒され
る中、14日に都内で開かれたアジア記者クラブ(APC)定例会で福田邦夫明治大
教授(途上国論)が「チュニジア革命からエジプトへ」と題して講演した。福田
氏は今回の革命が一過性の出来事ではなく、グローバルな社会運動の一環として
歴史的な性格を持っていると強調した。

 冒頭、福田氏は「今回の動きをマスコミは『ネット革命』と呼んだが、納得し
ていない。グローバリゼーションの大きな流れの中でとらえるべきだ」と指摘。
国際通貨基金(IMF)の融資を受けているチュニジアは1988年、エジプトは93年
に構造調整プログラム(SAP)を受託し、金融や貿易の自由化、国営企業の民営
化、規制緩和などを迫られてきた。こうしたグローバリゼーションの進展によっ
て、貿易赤字や対外債務は増え続け、両国で失業や食糧難、貧困など深刻な経済
問題を引き起こしてきた、と説明した。

 「SAP受託の結果、政権は、緊縮財政を迫られ、国営企業を民営化し、次々と
海外企業に売り飛ばした。この結果、エジプトでは約百万人が失業、農村も崩壊
が進み、2004年などに食料暴動が起きている。今回の民主化運動は都市に流れ込
んだ失業者が担い手となった」と話した。さらに、「グローバリゼーションと同
時進行した民営化は私物化だった。ベンアリもムバラクも入札なしの売却で膨大
な個人資産を築いた」と補足した。

 会場には約50人が参加。「民衆革命は今後、どのような人たちや組織に引き継
がれていくのか心配」「SAPや民営化の問題はアフリカだけでなく、中南米諸国
にも共通している」などの意見が出され、福田氏と懇談した。(土田修)

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佐々木有美

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エジプト 記者暴行事件で汚された民衆の勝利/ニューズウィーク

 ホスニ・ムバラク大統領の政権を崩壊させたエジプトの抗議運動のさなか、デモに参加する女性たちの果たす役割について語られることがたびたびあった。今回の抗議運動の間、参加する女性たちは思いのほか身の安全を感じていたようだ。その安全度はこれまでにないほどだと感じる時さえあったと、一部の報道は伝えている。

 それ自体は、エジプトでの女性の現状を物語るものではない。何しろ女性の86%が性的嫌がらせを経験したことがあるという国だ。だが、女性も安心してデモに参加していたという事実が、今回の抗議運動の好感度アップに役立っていたのは間違いない。

 そんな雰囲気に強烈な打撃を食わせたのが、15日のニュース。米CBSテレビの女性記者ララ・ローガン(39)が11日、タハリール広場でデモの取材中に暴徒に取り囲まれ、取材クルーから引き離されて、「残酷で執拗な性的暴行を受け、殴打された」という。ムバラクが辞任を表明し、同広場をはじめエジプト中に歓喜の輪が広がっていたまさにその日のことだった。

 このニュースに驚いたと言いたいところだが、実際のところ「革命」を叫ぶ騒音のさなかにも、革命後のエジプトにおける女性の行く末を案じる声は既にささやかれていた。近代化を進めた国王を追放し、かえって女性の自由が制限されるようになった1979年のイラン革命を引き合いに出す人も多かった。大規模な改革が起こるときにありがちなように、「女性は変革の証として最初は重宝され、ひと段落すると邪険にされる存在になるだろう」との声もある。

 さらに、今後政権を握る可能性の高いムスリム同胞団は世俗的なのかイスラム主義なのか、もしもエジプトにシャリア(イスラム法)が適用されるようになったら女性はどうなるのか――そんな議論も巻き起こっている。

被害者を救ったのはエジプト女性
 ローガン暴行事件の主犯を突き止めるのは容易ではないだろう。どこの世界でも、お祭りムードの時には概して愚かな事件が起こりがちなものだ。だが、路上の車を破壊して友人とビールを浴びせ合うことと、女性をボディーガードから引き離して集団で性的暴行を加えることはまったく別物だ。

 ローガンの事件は例外的なものだったのか。それとも女性を二級市民のように扱う文化の中で育てられた男たちの間では、十分考えられる出来事だったのだろうか。

 エジプトはムバラクを排除することで、急速かつ大胆に民主化の道を歩んでいる
のかもしれない。だがその将来はまだ見えてこない。

 ローガンの事件に関してCBSが発表した内容の中で、ただ一つだけ希望の持てることがある。ローガンは、広場にいた女性のグループとエジプト人兵士たちによって引きずり出され、救出されたというのだ。

 新政府の元で変革の道を歩みだすエジプトにおいて、タハリール広場にいた女性たち、そして志を同じくするエジプト中の女性たちが、声をあげ続けてくれることを願ってやまない。

(Slate.com特約)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2011/02/post-1969.php

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エジプト革命に火をつけた、ある青年の死:Egyptian Uprising and Khaled Saeed/Long Tail World
http://longtailworld.blogspot.com/2011/01/egyptian-uprising-and-khaled-saeed.html

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TUP速報888号 エジプト、タハリール広場と三代の独裁者
岡真理「エジプトと私とタハリール」
http://www.tup-bulletin.org/modules/contents/index.php?content_id=920


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