「愛国心」盛り込んだ通知表、全国190小学校に・朝日新聞

2006-06-10 17:53:53 | 教育
 「国を愛する心情」を通知表の評価項目に盛り込んでいる公立小学校が、少なくとも13都府県39市区町村に190校あることが、朝日新聞の調べでわかった。かつて盛り込んでいたが削除したという学校は、少なくとも122校あり、その多くが児童の内面を評価することの難しさを理由に挙げている。

 教育基本法改正案が国会に提出される中、5月下旬から6月上旬にかけて、各都道府県や市区町村の教育委員会などに取材し、昨年度の通知表に「愛国心」の項目があることが判明した学校数を集計した。通知表は各校が独自に作る原則で、教委などがつかんでいない例が他にもある可能性がある。

 「愛国心」を通知表に盛り込んでいる学校数は3年前の調査では172校だった。今回は、前回の調査で把握できなかった学校が新たに判明する一方、3年の間に「愛国心」の項目を削除した学校もあり、差し引きで全体では若干の増加となった。

 この190校の中にも「今年度からの削除を決めた」(京都府宇治田原町、2校)、「見直しも視野に入れている」(東京都港区、1校)などの例や「今年度については検討中」という自治体がある。このため、この190校が今学期末に配る今年度の通知表に「愛国心」の項目が必ずしもあるとは限らない。

 「愛国心」は、大半が小6もしくは小5の社会科の「関心・意欲・態度」についての評価項目に盛り込まれ、A~Cなどの3段階評価だ。

 典型は「我が国の歴史や政治、国際社会における役割に関心をもち、意欲的に調べることを通して、国を愛する心情や世界の人々と生きていくことが大切であるということの自覚を持とうとする」(茨城県龍ケ崎市)。

 多くは「調べ学習を通じて」の前提付き。「現実には前半の『調べ学習』部分で評価を決めている」と複数の自治体が話す。国際理解や世界平和も観点に併記されている。

 徳島市の2校は小5の社会科で「国土に対する愛情を持とうとする」との表現になっている。千葉県鴨川市、南房総市の3校も同様の表現だ。

 この190校以外にも、兵庫県たつの市、太子町の計22小学校と岩手県釜石市の小・中計3校は、教科学習ではなく「生活のようす」「行動のようす」の項目で、規則の尊重や公徳心と並べて「郷土や我が国の文化や伝統を大切に」することを評価対象にしている。

 以前は項目があったが削除した学校には、外部からの抗議や意見を受けた福岡市のような事例もあるが、多くは内面評価の難しさを実感して自主的に削除したものだ。

 たとえば、愛知県清須市教委の担当者は「実際に通知表を使った校長から、『子どもの内面を評価することが難しかった』と聞いた」と説明する。基本法改正論議が始まった今も「いちど難しさを実感したから、またすぐ戻そうとはならないだろう」と言う。
------------------------
愛知県の小学校35校で「愛国心」通知表

 「愛国心」の取り扱いを焦点とした教育基本法改正案が衆院特別委員会で審議されているが、愛知県の少なくとも35校の小学校で現在、愛国心の評価を通知表に盛り込んでいることが朝日新聞の調べで分かった。このうち津島市や愛西市の計21校では見直す方向だ。

 愛国心に関する評価項目のある通知表を採用しているのは、同県海部教育事務所管内の3市2町1村の小学校計35校。いずれも「我が国の歴史・政治・国際社会に関心をもち、意欲的に調べることを通して国を愛する心情をもつ」という項目を6年生の社会科の観点の一つに盛り込み、「◎○△」の3段階で評価している。

 一方、小泉首相が衆院特別委員会で、通知表の「愛国心」に関する項目について「必要ない」と答弁するなど、見直しの動きも出ている。

 市内8校で採用している津島市教育委員会は前期の通知表から見直す方向で検討している。13校で実施している愛西市教委でも校長会を通じて見直す方向だ。7日には弥富市教委に項目の削除を求める要請書が共産党市議団から出され、市教委が検討するという。

--------------------------------
●通知表の評価項目に「愛国心」の記述がある学校数

都道府県名 学校数
岩手 1
秋田 2
福島 5
茨城 31
埼玉 48
東京 1
千葉 16
愛知 63
富山 13
京都 5
滋賀 2
広島 1
徳島 2

------------------------------------
心のノート ガラガラポン


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
戦前と同じになってきた? (愛国者)
2006-06-10 20:24:27


戦前発刊された「小学生新聞」をみると、「愛国心」を「通知表」に入れた学校、文部科学省の時代錯誤、狙いが見えてきます!

「政府の行為によって戦争の惨禍」が起こったことを反省をしていないことがよくわかります。憲法違反です。

これでは子どもの模範になりません。「愛国心」を押し付けることが、どれほど理不尽なことか、小学生新聞を更に見ていくと明瞭です。



昭和14(1939)年9月10日付

5年生、6年生の皆さんは中等学校入学試験の準備のために、身も心も細るほどの苦しい思いをしますね。こんなに皆さんを苦しめてはならないと、文部省ではかねてから入学考査に無理のない方法を、いろいろ研究しておりましたが、いよいよ来年から算術も読方も学科の筆記試験は一切なくなります。その代わりに小学校からの内申書、口頭試問、体格検査の3つで考査することにきまりました。

その中でも内申書は今までよりも一掃厳重な手続をとって、間違いのないようにします。また口頭試問も、むづかしいことを聞かないで、主として修身に関する質問を出すことになります。



昭和15(1940)年1月28日付

ご承知のとおり、小学校からの報告書のことは、今日までの皆さんの努力の如何によるのでありますから、今更どうしようもありません。この上は一層先生の御教に従うようにせねばなりません。(略)

人物考査の方法は口頭であります。どんなことを問われるかと云いますと、(略)6年生の皆さんとして、当然知っていなければならぬことを尋ねるものです。そして皆さんのお答の内容、態度などによって、皆さんの性質やしつけが、大日本帝国の子供としてふさわしいか、何うかを調べるのであります。



昭和15(1940)年2月20日付

簡単な口頭試問を行いましたが、(略)

各学校共

自分や両親、先生方のお名前、お父さんのお勤め先、家族の数等を尋ねました。その他にどんな運動が好きか、お母さんの有難さはどこか、どんな本を読み、どこが面白いか(府立第十高女)



朝礼の時宮城を遥拝するか、その時どんな気持ちがするか(府立第二高女)



日本はどの戦争にも勝ち、今も大勝利を得ているが、どんなわけからか(府立第六高女)



1939年といえば、

@国民精神総動員委員会が遊興営業の時間短縮、ネオン全廃、中元歳暮の禁止、学生の長髪やパーマネント禁止などの生活刷新案を決定。(6.16)

@国民徴用令公布(7.8)

@朝鮮総督府、創氏改名公布(強制)



1940年には、

@津田左右吉の「神代史の研究」など発売禁止(2.12)

@斉藤隆夫衆議院議員除名(3.7)

@米、味噌、マッチ・砂糖など10品目の切符制採用(4.24)

@北部仏印に侵略(9.23)

@大政翼賛会発会式(10.12)



この時代に、この口頭諮問を受けた人は80歳を控えている人たちでしょうか。この人たちの証言を追体験しなければならないと思います。



それにしても、子どもに「愛国心」と戦争熱を煽りながら、切符制度を採用しなければならないほど、戦争政策は行き詰まっていたのです。



5年後には甚大な被害をアジアと国内に作り出すとは、誰が予想したでしょうか?一部の人々を除いて!多くの国民は騙されたのです!



では今日東京都を中心に行われている、いわば「戦争遂行政策」は、「愛国心」とは名ばかりの、およそ日本を愛するに値しない行為です。この道はいつか来た道です。それは日本をアメリカの戦争政策に追随させ、人間の尊厳を否定し、世界から孤立する道を歩む道と言えます。



当事者達が、このことにどれほど気づいているのか、無自覚か、意図的か、不思議です。勿論「確信犯」もいるでしょうが。

この動きだけは防がねばなりません。



返信する
人権侵害! (子供の権利条約)
2006-06-11 12:10:36
ウチの近所の僕がペルーとのダブルだかハーフだかで、本来お調子者で、ペルー人のオカンが秋愁的な時以外は中太りの丸顔なのに、新一年生になったこの所、秋みたいにスレンダーで内省的で気になったが、こんな事情があるのか?!

人権侵害に他ならないと思う。子供の権利条約に反して、心理的抑圧を受ける子供が沢山居よう。日本単一民族説自体幻想だが、外国籍または外国系児童が居て当たり前の今や、日本のみならず、当然ながら全児童のルーツのある全ての国を尊重すべきだ。時代遅れも甚だし過ぎる!現実の見えない者は恥じるべきだ。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。