イスラエル首相、ハマス幹部の暗殺を事前承認 英紙報道/AFPBB ほか

2010-02-22 15:06:54 | 世界
【2月22日 AFP】アラブ首長国連邦(UAE)でパレスチナのイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)幹部が暗殺された事件で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相が事件前に対外特務機関モサド(Mossad)幹部と面会していたと、英紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)が21日、モサドに詳しい筋の情報として報じた。同紙は、ネタニヤフ首相が暗殺を事前承認していたと伝えている。

 同紙によると、モサド本部でメイル・ダガン(Meir Dagan)長官からマブフーフ司令官暗殺計画の説明をうけたネタニヤフ首相は、計画実行の障害はないとして暗殺を承認し、「イスラエル人民は君たちを信頼している。幸運を祈る」と激励したと報じた。 

 事件はパレスチナ自治区ガザ(Gaza)地区を実効支配するハマス創設者の1人、マフムード・マブフーフ(Mahmud al-Mabhuh)司令官が前月20日、ドバイ(Dubai)のホテルで遺体で発見されたもの。サンデー・タイムズ紙によると、遺体にはスタンガンによるやけどがあったほか、鼻血のあとがみとめられており、死因は絞殺とみられている。

 マブフーフ司令官暗殺をうけ、国際刑事警察機構(インターポール、Interpol)は容疑者11人を国際手配しているが、イスラエル政府はこの事件をめぐりダガン長官が逮捕されるべきとの声に対しては無視する姿勢を示している。

 これまでのところ、直接イスラエルを非難する国は出ていないが、暗殺の舞台となったドバイの警察当局は、事件の背後にダガン長官の存在がある可能性は「非常に高い」と述べ、暗殺関与が事実ならば同長官は責任を負わねばならないとの見解を示した。

 モサドの工作員が偽造パスポートを使って特殊任務を実行した例は過去にも起きており、専門家らは今回の暗殺事件の実行犯らが逮捕される見込みは非常に低いとみている。(c)AFP
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2699256/5378560

UAEでハマス幹部暗殺、モサド関与が浮上/讀賣
【カイロ=福島利之】アラブ首長国連邦(UAE)で1月にパレスチナのイスラム原理主義組織ハマス幹部が暗殺され、その後の捜査でイスラエルの対外情報機関モサドの関与が浮上、国際問題に発展している。

 旅券を偽造され犯行に利用された英国などは、真相を徹底究明する構えを見せており、秘密に包まれたモサドの活動の一端が、外交の場で暴露される可能性が出てきた。

 殺害されたのは、シリア在住のハマス軍事部門の創設者マフムード・マブフーフ幹部(50)。1989年のイスラエル兵誘拐に関与したとされる。ドバイの高級ホテルの部屋で1月20日、遺体で見つかった。

 犯行前後の状況は、ホテルの防犯カメラに収められていた。この日、ホテルに着いたマブフーフ幹部をテニスウエアを着てラケットを持った2人組が尾行、同じエレベーターに乗り込み、部屋を確認していた。ひげやかつらで変装した10人を超す犯行団は、その後も幹部の動きを監視し続け、夜になって部屋に戻ったところで殺害に及んだ。

 映像などをもとに、ドバイの警察当局は、英国やアイルランド、フランス、ドイツの旅券を持つ男女11人を国際指名手配し、名前と顔写真を公開した。ところが、11人のうち少なくとも7人については、実在するものの全く犯行に関与していなかったことが判明した。きわめて精巧な偽造旅券が使用されていた。

 手口も電気ショックを与えた上で、窒息死させ、わずか10分間で犯行を終えるという鮮やかさで、数時間後には欧州やアジアに逃亡していた。

 こうした情報を総合し、ドバイ警察のタミム長官は、18日付のUAE英字紙「ザ・ナショナル」(電子版)に、「モサドは99%の確率で暗殺に関与している」との見方を示した。

 これに対し、イスラエルのリーベルマン外相は17日、軍ラジオで、「モサド(が事件に関与した)と考える理由はない」としつつ、「(関与を)確認も否定もしない」と発言した。モサドについてのイスラエル政府の伝統的な対応を踏襲した発言だが、関係国のさらなる反発を招いた。

 幹部を殺害されたハマスは、「暗殺はモサドの仕業」と断定し、報復を宣言した。事件は、散発的な戦闘が続くパレスチナの治安情勢をさらに悪化させる恐れも出てきた。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100219-OYT1T00157.htm

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世界の視線にさらされる「モサド」/机の上の空 大沼安史の個人新聞
ドバイ警察 ハマス指導者のホテル暗殺事件 一部始終をビデオで公開/机の上の空 大沼安史の個人新聞

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11人の暗殺チーム:ドバイの監視カメラ網が捉えていた全行動(動画あり)/WIRED VISION
1月20日(現地時間)、ハマスの最高幹部の1人がドバイのホテルの部屋で殺害された事件に関して、ドバイ当局が27分間にわたる監視カメラ映像を公開した。事件の前後約1日[19時間前〜事件後数時間]の、11人からなるプロの暗殺者集団の動向が捉えられているというものだ。

この映像は、ドバイ空港、および複数の高級ホテルの監視カメラの記録を集めたものだ。ハマスのマフムード・マブフーフ司令官が殺害された日に、10人の男と1人の女が、ヨーロッパ各国の旅券を携えてドバイに到着し、複数のホテルとショッピングセンターをうろつきながら、変装したりする様子を追っている。

マブフーフ司令官(48歳)はハマス軍事部門の創設者の1人。1989年にイスラエルの兵士2名が拉致された事件の背景にいたと考えられているほか、イランからガザ地区への武器密輸の連絡役とされている。マブフーフ司令官はこれまでにも何度か、暗殺の危機をくぐり抜けてきた。

マブフーフ司令官は1月20日、アル・ブスタン・ロタナホテルの230号室で死亡しているのが発見された。司令官の部屋のドアは内側から鍵とチェーンをかけられており、出血は見られなかった。当初の報告では、司令官の死因は脳内の血圧の急上昇によるものと考えられた。しかしその後の調べで、司令官が感電死または窒息死させられた可能性が出てきた。

ホテル内での捜査記録と監視カメラの映像によって、ヨーロッパ人のグループによる疑わしい行動が明らかにされた。

Gulf News TVのサイトに掲載された27分間の動画には、暗殺に関与したと見られる人物のうち数名が、殺害の当日未明に、それぞれ別々のフライトでドバイに到着したところが映し出されている。このグループの大半は野球帽を身に着けていた。

マブフーフ司令官がホテルに到着したのは19日の午後3時ころ。動画は、テニスウェアを着た2人の容疑者が司令官と同じエレベーターに乗り込み、ホテルの部屋まで追跡する姿を捉えている。この2人はこのあと、司令官の向いの部屋にチェックインしたという。(監視カメラの位置の問題で、司令官の部屋のドア自体は映っていない。)

午後8時頃、マブフーフ司令官が滞在先のホテルを一旦出た際に、司令官の部屋のある階のエレベーター・ホールで、チームの何人かの姿がカメラに収められている。何人かは司令官の部屋に入り、何人かは監視にあたっていた。ちょうどこのときエレベーターから下りてきた宿泊客がいたため作戦が危うくなるが、チームの1人がうまくこの宿泊客の気を逸らしている。

司令官は8時25分に戻って来て、部屋に向かうときにエレベーターホールで、監視チームの女性容疑者(「アイルランド国籍のGail Folliard」)とすれ違っている。殺害自体は8時30分前後の10分ほどで完了したと見られている。

マブフーフ司令官の外出中に、ホテルの部屋には4人の暗殺者が潜入していた模様だ。ホテルのコンピューターの記録には、この間に何者かがマブフーフ司令官の部屋のドアの電子ロックのプログラムを変更しようとした形跡があり、電子機器を使って部屋のドアを解錠し、被害者の帰りを待ち伏せしていたようだ。

ホテルのスタッフが遺体を発見したのは翌20日(現地時間)の午後1時半ごろ。マブフーフ司令官に電話連絡がつかないために部屋を確認したときだ。この時点で死後約17時間が経過しており、被疑者たちはとっくに現場を去っていた。出国先は香港、フランス、スイス、ドイツ、南アフリカなどだ。

容疑者たちは、全てをカードでなく現金で支払い、盗聴を避けられる特製の機器で通信していた。互いに直接通信はせず、オーストリアに電話をかけており、そこが司令室だったと見られている。

パスポートは、英国旅券保持者6人、アイルランド旅券3人、独・仏旅券各1人だが、個人情報を盗んで偽造されたものだった。

ハマスは事件当初からイスラエルの諜報機関モサドによる犯行と非難している。モサドはさまざまな暗殺事件で有名だ。例えば1972年におきたミュンヘン・オリンピック事件では報復のために暗殺を続け、スティーブン・スピルバーグ監督の映画『ミュンヘン』にもなっている。

[ミュンヘン・オリンピック事件は、イスラエルの選手11名がパレスチナ武装組織に殺された事件。イスラエルは報復のために空爆した(数百人が死亡)ほか、秘密委員会を設置し、20名以上の『黒い九月』メンバーを各国で暗殺していった]

また、1986年には、イスラエル核兵器開発の情報を英国紙に内部告発しようとしたモルデハイ・ヴァヌヌ氏を、女性諜報員を使ってロンドンからローマに誘い出し、イスラエルに拉致した事件でも知られる。[モルデハイ・ヴァヌヌ氏は反逆罪により18年禁固され、2004年の釈放後も言論や移動が制限されている]

[日本語版:ガリレオ-江藤千夏/合原弘子]
WIRED NEWS 原文(English)
http://wiredvision.jp/news/201002/2010021921.html

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