ヨーロッパで広まる危険な禁止―反イスラム? ほか/中東ニュース 2010/07/06 No.493

2010-07-06 20:55:23 | 世界
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TUFS「日本語で読む中東メディア」
中東各国の新聞が報じた最近のニュース 2010/07/06 No.493
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■■アラブ諸国 アル・アハラーム紙から■■

◆2010-06-23 エジプト、近代的な灌漑整備に着手 (Al-Ahram紙)
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■■イラン ジャーメ・ジャム紙、イラン紙、マルドムサーラーリー紙から■■

◆2010-07-05 ハサン・ナスルッラー、ハーメネイー最高指導者にお悔やみ:ファズルッラー死去で (Jam-e Jam紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19598

◆2010-07-04 米艦船によるイラン旅客機撃墜事件、22度目の記念日を迎える:大統領がメッセージを発表 (Jam-e Jam紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19593

◆2010-07-03 エマーミー=カーシャーニー師、治安維持軍に勧告 (Jam-e Jam紙)
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◆2010-07-03 絨毯国民センター、中国製絨毯の密輸阻止を訴える (Jam-e Jam紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19597

◆2010-07-01 「予言」をしていた占い師、女性たちに詐欺を働く (Jam-e Jam紙)
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◆2010-06-30 「イラン人の銀行口座凍結は宣伝行為」:UAEの新措置にイラン商工会議所の会員(上) (Mardomsalari紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19596

◆2010-06-29 在テヘラン・フランス大使館前で集団抗議 (Jam-e Jam紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19573
殉教者の家族やテヘラン市民らからなる一団が昨日、フランス政府による「偽善者のテロ組織」[※現イラン・イスラーム共和国体制の主要反体制組織モジャーへディーネ・ハルグ(MKO)を指す]への支援に抗議するため、テヘランにある同国大使館前で集会を開いた。

 抗議集会に集まった人々は、偽善者テロ組織による犯罪行為を非難する内容の横断幕やプラカードを掲げながら、同テロ組織のメンバーらをイラン政府へ引き渡すよう、フランス政府に求めた。

◆2010-06-28 イランでの麻薬密売増加のナゾ (Jam-e Jam紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19572

◆2010-06-28 病院で新生児が売買:女が逮捕 (Jam-e Jam紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19576

◆2010-06-28 イラン船舶への迷惑行為には「落とし前」を付ける:イラン汽船代表 (Jam-e Jam紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19592

◆2010-06-28 アーヤトッラー・ヌーリー=ハメダーニー「ヴェラーヤテ・ファギーフのために己の命を捧げる用意がある」 (Iran紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19595

◆2010-06-27 ジャフロミー氏、銀行の利率を一桁台にするよう要求 (Jam-e Jam紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19575

◆2010-06-24 イスラエル、イラン核計画向けのスパイ衛星を発射 (Mardomsalari紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19574

◆2010-06-23 1万トマーン紙幣がお目見え:本日発行の新紙幣、数日以内に市場に流通の見込み (Jam-e Jam紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19581

◆2010-06-22 喫煙する大学生には停学処分も:新学生規律マニュアルが発表 (Jam-e Jam紙)
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◆2010-06-21 イラン東部の凶悪事件に終止符:リーギー、テロ事件の犠牲者家族の立会いのもと処刑 (Jam-e Jam紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19584

■■トルコ ミッリエト紙、ヒュッリエト紙、イェニ・シャファク紙、ラディカル紙、ザマン紙から■■

◆2010-07-04 俳優ケマル・スナル墓前で追悼 (Milliyet紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19588

◆2010-07-01 国民教育省、『エヴリヤ・チェレビー旅行記』を「卑猥」表現理由に回収 (Hurriyet紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19558

◆2010-07-01 ロシア人スパイはイスタンブルにも来ていた (Zaman紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19559

◆2010-07-01 ヨーロッパで広まる危険な禁止―反イスラム? (Milliyet紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19560
スペインの4つの市で黒衣(体を覆う長衣)の着用が禁止された、フランスでは来週、黒衣の着用者に対する罰則を準備をしている。ヨーロッパのムスリム指導者たちと専門家たちは、ムスリムに対するより深刻な攻撃が起きることを恐れている。

今日までヨーロッパであまり重要でない事柄として取り上げられていたムスリムに対する敵意が、ここ数ヶ月の間に政治家の公的な発言のなかで現れる状態になった。50年以上の間、ヨーロッパに暮らすムスリム移民たちのミナレ(モスクの尖塔)、モスク、黒衣がどうして今、問題となっているのだろうか?政治学者サミム・アクギョヌル氏は、この展開を、1990年代以降、移民の第3世代たちが、(ヨーロッパ人とは)異なった生活を送る権利を求め始めたことで説明をしている。アクギョヌル氏は、このことが、ヨーロッパが自身のアイデンティティーを問いかける時期にぶつかった事で、イスラムの視覚化(建築や服装)に対する反発を生んだと分析している。通常、法律は20年遅れで社会学を追うため、今日になり、この反発の表れが法律や禁止に発展したのだという。

■経済危機の影響
無論、2008年以降、影響を与えている経済危機とそれに伴って起きた社会的な変動も外国人に対する反発を生んだ。アクギョヌル氏は、「このような時期、世論における恐怖の的となるようなグループがつくられます。今回はムスリムがその対象となったのです」と述べる。フランスの最も大きな反民族主義組織、SOSラシスムの代表者ドミニク・ソポも、「ヨーロッパの指導者たちは危機によってもたらされた問題から目を外そらさせるために、外国人嫌悪症という表現を展開しました。そして、メディアがそれを助長させました」と解釈を行っている。
フランスにおいて最も高等なムスリム組織であるフランス・イスラム委員会はモスクとミナレに対する攻撃に関しては反発、しかし、黒衣に関しては遠慮がちに意見を述べている。委員会の副委員長であるハイダル・デミルユレキ氏は、「私たちはこの種の服装がヨーロッパで広まることを望んではいません。しかし、これがムスリムを狙った法律によって禁止されることを、危険なことだと捉えています」と話した。

■フェミニストのムスリムたちは喜んでいる
ヨーロッパで唯一、黒衣の禁止を支持している人たちは誰かというと、それはフェミニストである。フランスのムスリム街にある女性の権利を守る「買女でも忍従の女でもなく」組織代表のスィヘム・ハブシ氏は、「毎週、何十人もの黒衣を着た女性が電話をかけて、助けを求めてきます、弁護士もしくは泊まる場所を探しています。禁止法はこの女性たちを救うものですから、我々は全面的に支持します」と話した。

■ミナレの禁止から始まった
スイスでは11月に行われた国民投票でミナレの建築が禁止された。国内ではただ6つのミナレが存在している。
首相不在のベルギーでは、フラマンとワロンの国会議員たちによる初めての意見の一致をもって決議が下され、30~100人の女性が着用していた黒衣が禁止された。
フランスの議会は、「黒衣はフランスの価値に反している」とし、禁止の法案が議題に挙げられた。この禁止に関しては7月6日に議論される。
イタリアでは5月に、国内で初めて黒衣をつけた女性が罰則を受けた。警察は本人確認のために、男性公務員たちに対し顔を見せることを拒否した女性から500ユーロの罰金を徴収した。
スペインではバルセロナを含む4つの市で、公共の建物での黒衣の着用を禁止した。カタルーニャ議会も昨日1日、(カタルーニャ)自治州全域で黒衣を禁止する法律を施行した。
フランスではここ6ヶ月の間で行われたムスリムの墓地に対し行われた攻撃の数が、昨年全体を通しての攻撃数を上回った。最も新しいものでは昨日、ストラスブールで18の墓石の上に落書きがされた。フランスでは5月に、ある女性が、ショッピングセンターで買い物をしていた女性の黒衣を引っ張って破き、喧嘩となった。
オランダでは民族主義者のヘルト・ウィルダースが率いる自由党(極右派)が6月9日に行われた選挙で15.5%の票を獲得した。

■カラシニコフ銃による攻撃
フランスに存在する2千のモスクの内、千5百を管轄するフランス・イスラム委員会の副委員長ハイダル・デミルユレキ氏によれば、2010年の初頭から、墓地とモスクに対して行われた攻撃の数は、去年一年間の攻撃数を上回ったという。攻撃されたモスクの中には、トロワ市にあるトルコ人の小さなモスクも入っている。最も深刻なことは、今年になって初めて、モスクへの攻撃がカラシニコフ銃(ロシア製軽機関銃)によって行われたということである。フランスにある2千のモスクの内、3百がトルコ人のモスクである。

■「ムスリムが同化する危険はない」アクギョヌル氏による解説
ヨーロッパは沸点に向かっているのでしょうか?
ヨーロッパのムスリムというある一定のグループが存在する訳ではありません。北アフリカの、ブラック・アフリカの、トルコの、アジアの、それぞれのムスリムたちが一つの運命共同体として、共にヨーロッパに対し反抗するとは思えません。

首相がヨーロッパのムスリムについて述べた同化の危険性は本当にあり得るのでしょうか?
1990年以降の世界において、今日の交通や通信条件のもと、ムスリムたちが同化するという危険はもはや残されてはいないでしょう。この人たちのそれぞれの祖国とのつながりは100%のもので、断絶を望んだとしても、可能とはならないと思います。

ヨーロッパ人の外国人嫌悪症は「自然に過ぎ去っていく」一つのプロセスなのでしょうか?
もしそうであればどんなによいでしょう、しかしそうは考えていません。ヨーロッパは綱渡りをする状態に入っています。実を言うとこの理由も少しあって、私はトルコがEUに加盟することを支持しているのです。トルコ国内の議論がヨーロッパに有効に作用すると考えています。

■サミム・アクギョヌル氏について
20年間、フランスで暮らす。ストラスブルグ大学政治学教授。マイノリティーの歴史と法律に関する専門家。

補足説明
フランス人の70%、イギリス人の57%が黒衣に反対している。しかしながら、フランス人の22%、イギリス人のたった9%のみが黒衣に加え、十字架、ダビデの星に反対する法律に投票すると表明している。

◆2010-07-01 ダヴトオール外相、イスラエル通産相と秘密会談―会おうと言ったのはどちらか? (Radikal紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19561

◆2010-06-30 EU加盟交渉、「食品の安全」項目での交渉開始 (Radikal紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19552

◆2010-06-30 アドゥヤマンで、シリア正教の大祭礼 (Yeni Safak紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19554

◆2010-06-30 トマト蛾問題でウクライナ、35万トンのトマトをトルコへ返品、廃棄処分へ (Milliyet紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19555

◆2010-06-29 シェイフ・サイト追悼行事、2つに分裂 (Radikal紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19544

◆2010-06-29 ギュル大統領の末息子の進学先はハーバード大学 (Hurriyet紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19546

◆2010-06-29 トルコのトマト生産、「トマト蛾」被害に直面か? (Milliyet紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19547

◆2010-06-28 2013年のG20開催地、ロシアとトルコが候補に (Hurriyet紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19538

◆2010-06-26 サードゥッラー・エルギン法相「故オザル大統領の死には謎がある」 (Hurriyet紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19567

◆2010-06-24 独サッカー代表チームのメス―ト(メスト・エジル)の恋人、ムスリムに (Radikal紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19499

◆2010-06-23 「あれはアンカラ猫ではヴァン猫!」―金眼銀目猫論争つづく (Zaman紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/src/read.php?ID=19493

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