原子力情報宅配便“CNIC EXPRESS”■東電、米STP原発に出資 ほか

2010-07-06 21:04:14 | 社会
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■原子力情報宅配便“CNIC EXPRESS”■
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=脱原発を実現する原子力資料情報室(CNIC)のメールマガジン=

No.0179 日印原子力協定は核拡散に加担するもの・他
【2010年7月6日】
原子力資料情報室(CNIC)Citizens' Nuclear Information Center

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■[1]日印原子力協定は核拡散に加担するもの
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6月29日、原子力資料情報室は下記要請書を内閣総理大臣、外務大
臣、経済産業大臣、原子力委員会委員長宛に送付しました。
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菅直人内閣総理大臣
岡田克也外務大臣
直嶋正行経済産業大臣
近藤駿介原子力委員会委員長

日印原子力協定は核拡散に加担するもの

報道によれば、菅内閣は日本とインドとの原子力協定の締結に向け
て、6月28日に交渉に入った。
「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保
を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、
その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする」は、日本
が原子力発電を始めるにあたっての基本方針であった。いま、それ
が菅内閣によって捨て去られようとしている。
ヒロシマ・ナガサキでの言語に絶するいたましい体験を経たうえで
なお、日本が原子力に取り組むことを決意したとき、「平和目的に
限ること」が絶対的条件であった。この歴史的事実を軽視し忘却す
ることは、国際情勢や経済事情のどのような変化があろうとも、決
して許されることではない。
インドは国際世論を無視して核開発を強行してきた国である。いま
だNPT国際条約に加盟しようとはせず、核兵器廃絶への国際的な
努力にも背を向けている。核兵器製造用の原子炉と電力供給用の原
子炉とを持ち、双方が截然と分離されているのではない。そもそも、
一国の中で、人材、教育、技術、機器などが軍事と民事とで別々だ
ということもありえない。
米、露、仏などの諸外国がインドとの原子力協定を結んだからとい
う理由で、かつ、わが国の商業的利益が期待できるからという理由
で、日印原子力協定が結ばれるならば、今後もはや、世界の核拡散
は止めようがなくなるだろう。ヒロシマ・ナガサキの惨劇が再び、
現実のものとなるだろう。
1953年、アイゼンハワー米大統領は米ソの緊張関係の中で「平和の
ための原子力」という主張を語った。しかし、これは大なる仮説と
いうべきものである。その後の世界は核の拡散が止まらず、核の
「平和利用」は成立しないのではないかという現実が続いている。
原子力資料情報室はこの35年、「平和利用」そのものさえも、人類
の平和で持続可能な未来をそこなう心配があるのではないかと、警
鐘を鳴らしてきた。
すくなくとも、これまでの日本の基本姿勢に立ち返って、インドと
の原子力協定に踏み込んではならない。
関係各位に強く、このことを求める。

2010年6月29日
認定特定非営利活動法人原子力資料情報室
共同代表 山口幸夫 西尾漠 伴英幸


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2010/6/17
NSG各国大使宛 国際書簡:NSGガイドラインと不拡散原理の遵守を
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=925

2010/4/30
日・インド原子力分野の協力に向けた協議に反対する要望書
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=911


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★米印原子力協定★
http://cnic.jp/modules/abolition2000/
グローバルネットワークの米印原子力協定に関するワーキンググループ。
CNICがコーディネーターを務めました。

★『核不拡散・核廃絶』のページ
http://cnic.jp/modules/nonproliferation/

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■[2]破綻したプルトニウム利用 ─ 政策転換への提言
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新刊『破綻したプルトニウム利用 ─ 政策転換への提言 ─』

原子力資料情報室/原水禁 編著 緑風出版 発行

定価 : 1,700円/会員価格 : 1,600円


 日本のエネルギー政策は、依然として原子力を中心と
しています。そして、原発の使用済み燃料からプルトニウムを
取り出し、高速増殖炉で燃料として使用することを模索しています。

 本書は多くの科学者が疑問を投げかけている
「核燃料サイクルシステム」が、すでに破綻し、いかに危険で
壮大なムダであるかを、詳細なデータと科学的根拠に基づいて
分析しています。そのうえで、このシステムを無理に動かそうとする
政府に対して、政策の転換を提言しています。
ぜひお読みください。

●詳細・もくじはこちら
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=927

●原子力資料情報室へご注文いただきますと、原子力資料情報室
正会員・賛助会員の方は会員価格にてお求めいただけます。
お名前、会員区分( 正会員 ・ 賛助会員 ・ 通信購読 ・ 一般)、
ご住所(お届け先)、ご注文部数をお知らせください。

●送料のご負担をお願いいたします。
2冊まで(メール便):160円
3冊以上(宅配便):地域により異なります
10部以上:無料

●『CNICの本屋さん』からもご注文いただけます。
http://cnic.cart.fc2.com/


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■[3]視点:東電、米STP原発に出資
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『原子力資料情報室通信』第433号(2010/7/1)より

東電、米STP原発に出資

 東京電力は5月10日、東芝がABWRの建設を受注し、同電力が技術
コンサルティングという形でかかわってきた米サウステキサスプロ
ジェクト原発3、4号機増設計画への出資を発表した。日本の電力
会社が海外の原子力発電事業に参画するのは、これが初めてである。
 同電力はこの日、米NINA社(NRGエナジー社が88%、東芝が12%を
出資)との間で契約を結び、10%の増資を1億2500万ドル(約120
億円)で引き受け、9%強の権益を取得することとした。また、
1年後を目途に追加増資10%を同じ金額で引き受けることができる
権利を3000万ドル(約28億円)で取得するとした。
 ただし、契約には条件があり、計画に対して米エネルギー省の債
務保証が付くことが前提である。債務保証が得られるか否かは不透
明で、けっきょくはご破算となる可能性も否定できない。それはと
もあれ、東京電力側の胸算用としては、3、4号機ともに60年間運
転し、発電による収益のうち出資分の配当が得られるという。5月
10日付の同電力プレスリリースは、それを「今後の長期的かつ安定
的な収益の確保」と呼んでいる。
 しかしながら、そもそも実現性に不確かさがあるうえ、仮に債務
保証が付いて、日本政府に対して求めている国際協力銀行からの融
資・日本貿易保険による保険付保も得られたところで、計画通り
2016年に3号機、17年に4号機が動き出す保証はなく、まして60年
間の運転などとは、世界のどこにも実績がない。
 建設コストにしても、既に設計段階で当初の目論見から急膨張し、
裁判沙汰にまでなったいわくつきの原発だ。出資額が回収できる見
通しは、きわめて厳しい。東京電力のホームページには、株主・投
資家向けの情報として海外事業については「投融資時点で想定した
結果をもたらさない可能性があります」と説明されているが、実際
にリスクが具現化した際に、それで納得する株主・投資家はいない
だろう。
 そのためか5月10日付のプレスリリースは、上述の「収益の確保」
のみならず「新たな事業機会の創出による当社の更なる成長、低炭
素時代の実現に向けての積極的な国際貢献、ますますニーズが高ま
る原子力事業に資する人材の育成など」と「多面的な意義」を並べ
てみせた。大義名分を掲げれば掲げるほど「収益の確保」は怪しい。
 それでも海外進出が図られようとするのは、国内の電力需要の伸
びが期待できないからだ。とはいえ、海外事業が原子力である必然
性はない。東京電力自身、さまざまな事業を行なってきている。省
エネルギーのコンサルティングや再生可能エネルギー事業のほうが
「低炭素時代」にずっと貢献できるというものだろう。

(西尾漠)

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■[4]夏のカンパのお願い
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夏のカンパのお願い

平素よりのご支援に御礼を申し上げます。
「原子力資料情報室通信」前号でカンパのお願いをいたしましたと
ころ、多数の皆様にご支援をお寄せいただきました。理事、スタッ
フ一同、心より御礼を申し上げます。今月も継続してカンパのお願
いをしております。これからカンパをお寄せくださる皆様には、ど
うぞご支援をいただけますようお願い申し上げます。
当室の活動、原子力資料情報室通信の発行は皆様からの会費・カン
パによって維持されております。経済状況の厳しいなか、毎年のお
願いで心苦しい限りではございますが、どうか夏のカンパへのご協
力をいただけますようお願い申し上げます。

2010年7月 原子力資料情報室 理事・スタッフ一同

お振込先:
郵便振替口座 00140-3-63145
加入者名 原子力資料情報室

認定特定非営利活動法人 原子力資料情報室
〒162-0065 東京都新宿区住吉町8番5号 曙橋コーポ2階B
TEL.03-3357-3800 FAX.03-3357-3801
[Eメール]cnic@nifty.com

~ ご寄附が「寄附金控除」の対象になります ~
本年5月16日以降にお寄せいただいたご寄附は確定申告で控除の対象
となります。制度の適用をご希望の方には、ご寄附の証明証を発行
いたしますのでお申し出ください。証明書には2010年5月16日から
12月31日までにお寄せいただいたご寄附の総額が記載されますので、
お届けは2011年1月を予定しております。

※本年4月より、認定NPO法人は寄附者の一覧を作成し、各法人
にて保管することとなりました。お名前、ご住所、ご寄附の金額が
掲載されます。匿名をご希望の方は振替用紙の通信欄にお書き添え
ください。

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■[5]『原子力資料情報室通信』第433号(2010/7/1)もくじ
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『原子力資料情報室通信』第433号(2010/7/1)もくじ

□島根原発不正問題 根本原因究明できず
[伴英幸]

□梅田さんのその後の状況

□島根原発差し止め訴訟判決によせて
[水野彰子]

□短信:福島第一2号炉原子炉停止事故

□映画紹介
『祝の島』高木久仁子
『ミツバチの羽音と地球の回転』ニシオカマユミ

□柏崎刈羽原発5号機設備も建物も不安
[山口幸夫]

□5/28CNIC公開研究会報告
 原子力発電の費用とCO2排出量

□視点:東電、米STP原発に出資
[西尾漠]

□2010年度総会報告

□資料紹介


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■[6]原子力資料情報室とは
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【参加・支援をお願いいたします】
原子力資料情報室は、原子力に依存しない社会の実現をめざしてつ
くられた非営利の調査研究機関です。産業界とは独立した立場から、
原子力に関する各種資料の収集や調査研究などを行ない、それらを
市民活動に役立つように提供しています。

このメールマガジンをふくむ当室の活動は、毎年の総会で議決に加
わっていただく正会員の方々や、活動の支援をしてくださる賛助会
員の方々の会費・寄付などに支えられて私たちは活動しています。
ぜひ私たちと一緒に、原子力のない世界への取り組みの輪に加わっ
てください。
会員案内はこちらです。
http://cnic.jp/modules/about/article.php?id=3

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特定非営利活動法人 原子力資料情報室(CNIC)
Citizens' Nuclear Information Center
共同代表:山口幸夫・西尾漠・伴英幸
〒162-0065 東京都新宿区住吉町8-5曙橋コーポ2階B
TEL.03-3357-3800 FAX.03-3357-3801

e-mail:cnic@nifty.com
URL:http://cnic.jp
開室:月~金/10:00~18:00


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