学ぶ喜びを生きる力に☆奥田塾

三重県桑名市にある小さな英語塾・奥田塾のブログです。テーマは、学ぶ!楽しむ!分かち合う!

日本語の授業・実況中継 1-3

2021年06月11日 | 日本語教師
(「日本語の授業・実況中継 1-2」より続く)


【スライド7】



T「私は…皆さんの名前を忘れがちです。ごめんなさい。皆さんの名前を覚えるのは難しいです」
S「大丈夫です」
T「皆さんは何を忘れがちですか」
S「宿題を忘れがちです!」
T「宿題を忘れてはいけませんね~」
S「漢字!」「ことば!」
T「そうですね。漢字やことばも忘れがちです。でも忘れないでくださいよ~。忘れがちですが、忘れてはいけません。そういうものが何かほかにありますか」
S「・・・」
《男の子と女の子が頭を下げている絵》
S「ありがとうございます」
T「そうです。(文字を表示)ありがとう!です。ありがとうの気持ちです。私たちは(文字表示)ありがとうの気持ちを忘れがちです。はい、皆さんどうぞ!」
Sコーラス「ありがとうの気持ちを忘れがちです」
T「ありがとうの気持ち、ほかの言い方を知っていますか」
S「・・・」
T「これです。(『感謝』の文字を表示) 読めますか?」
S「かんしゃ」
T「そうです。かんしゃです。(文字を表示)感謝の気持ちです。私たちは感謝の気持ちを忘れがちです。はい、どうぞ!」
S「私たちは感謝の気持ちを忘れがちです」
T「皆さんはだれにありがとうの気持ち、感謝の気持ちを伝えますか」
S「両親」「家族」「先生」「友達」
T「そうですね。いろいろな人に、ありがとうの気持ちを忘れてはいけません。感謝の気持ちを忘れないでください」

*  *  *  *  *

日本語中級文法「~がち」の導入の授業、いかがでしたか?
学生たちとの小さなやり取りを、ひとつまたひとつと積み上げながら、彼らが自ら考え、自ら学び取っていくサポートをする。
そんな授業を目指しています。

ほかにも、授業をするときに大切にしていることがあります。
それは、学生たちの心の中にプラスのエネルギーを注入してあげたい、ということです。
(理想は「プラスのエネルギーで満たしてあげたい」です。)
「~がち」の場合、好ましくない状況を述べる表現なので、「~がち」の練習だけを繰り返していると、何となく教室の空気が重くなってしまいます。
それを防ぐために【スライド7】を付け加えました。
「だれにありがとうを言いたい?」だけでなく、「どんなことに感謝する?」といった質問を投げかけてみるのもいいと思います。

S「(バイト先の)店長」「いつも親切です」
S「両親」「学費を払います」
S「友達」「困ったとき、助けます」
― とっさに「払ってくれます」「助けてくれます」とうまく言える学生はまだまだ少ないですねぇ。(^^;)
— ちゃんと教師に対して気遣いのできる学生もいます。
S「先生」「日本語を教えてくれます」
— こんな答えが出ることもありますよ。
S「健康に感謝します!」

あたたかい言葉が発するプラスのエネルギーに満ちあふれた空間。
そんな学びの場を提供できたらいいですね。
(*^^*)

日本語の授業・実況中継 1-2

2021年06月10日 | 日本語教師
(「日本語の授業・実況中継 1-1」より続く)


【スライド4】



T「天気の説明をするときも、[がち]を使います」
《曇りが続いている絵を表示》
T「はい、これは日曜日から金曜日までの天気です」
S「全部くもりです」
T「水曜日は?」
S「少し晴れます」
T「雨は何曜日?」
S「月曜日と金曜日」
T「晴れも雨も少しあります。でも曇りが多いですね。動詞は、(文字を表示)くもります。[がち]を使って言いましょう」
S「くもりがち」
T「そうです。くもりがちの天気。(文字を表示)今週はくもりがちの天気が続いています。はい、皆さんどうぞ!」
Sコーラス「今週はくもりがちの天気が続いています」
《晴れが続いている絵を表示》
T「じゃ、これはどうですか」
S「全部はれです」
T「そうです。はれが多いです。(文字を表示)はれます。[がち]を使って言いましょう」
S「はれがちの天気」
T「そうです。(文字を表示)今週ははれがちの天気が続いています。はい、どうぞ!」
Sコーラス「今週ははれがちの天気が続いています」
S「先生、はれがちの天気はダメです」
T「どうしてですか」
S「[がち]はよくないことに使います」
T「そうです! Aさん、すごいですね! はれがちの天気。みなさんうれしいですか? うれしくないですか?」
S「うれしいです」
T「うれしいこと、いいことに[がち]は使いません」
(二重取り消し線を表示)
T「くもりがちの天気が続いています。[がち]はよくないことに使います」
※学生の中から、「雨がち」「雨が降りがち」などが出てきた場合は、よくないことなので使えそうだが、実際はそういう言い方はあまりしないということを伝える。


【スライド5】



T「いま勉強した[がち]の文を復習しましょう。私は子どものころ…」
S「私は子どものころ、病気がちでした」→(文表示)
T「いいですね。私は子どものころ、もう一つ」
S「私は子どものころ、学校を休みがちでした」→(文表示)
T「オーケー。外食が…」
S「外食が多いと、野菜が不足しがちです」→(文表示)
T「いいですね。スマホ…」
S「スマホばかり見ていると、目が悪くなりがちです」→(文表示)
T「オーケーです。今週は…」
S「今週はくもりがちの天気が続いています」→(文表示)
T「すごいですね~。よく覚えていますね~」
(接続の形表示)
T「形は、動詞マス形+がち、名詞+がち、です。名詞よりも、動詞マス形が多いです」


【スライド6】



ここで、教科書(「学ぼう!にほんご(初中級)」 第15課・文型3)の例文の発音練習をして、意味と使い方を確認します。
そしてそのまま、教科書の練習1に進みます。
練習1は、「①よく忘れる」「②今週はよく曇っている」「③となりの家はよく留守にしている」を「~がち」を使って書き換える問題です。
学生を指名して、答えを確認しながら、文字を表示していきます。
「留守にしがちだ」「留守がちだ」は両方とも正解であることを伝えます。
さらに、「留守がち」は「名詞+がち」の数少ない例のひとつであることも付け加えておきます。

T「では、練習1の1番の『忘れがちだ』を使って文を作ってみましょう。皆さんは何を忘れがちですか。私は…」


(「日本語の授業・実況中継 1-3」に続く)

日本語の授業・実況中継 1-1

2021年06月09日 | 日本語教師
僕が日本語学校で行っている授業の実況中継を行います!
といっても、YouTubeで授業の動画を配信するわけではありません。(^^;)
文字だけなので、そのライブ感をお伝えするのは難しいかもしれませんが…。

中級文法「~がち」の導入の授業です。
ある勉強会に参加するために新たに練り直した教案(指導案)に沿って、パワーポイントを作りました。
学生たちの顔を思い浮かべ、教室でのやり取りを予想しながら、文字やイラストを順序立てて並べていきます。

では、早速始めましょう!

*  *  *  *  *

【スライド1】



《子どものころの写真を表示》
Teacher「あれっ? これだれですか?」
Student「・・・。あっ、先生!」
T「そうです。私です。私は子どものころ、体が弱かったです」
《熱を出している絵、頭を冷やしている絵を表示》
S「病気です」「熱が出ます」
T「そうです。よく病気になりました。(文字を表示)私は子どものころ、病気がちでした。はい、皆さんどうぞ!」
Sコーラス「私は子どものころ、病気がちでした」
T「よく病気になりました」という意味です。
《学校で授業を受けている絵を表示》
T「ああ、学校で勉強…」
S「勉強したいです」
T「そうです。学校で勉強したいです。学校へ行きたいです。でも病気ですから、学校を…」
S「学校を休みます」
T「そうです。よく学校を休みました。(文字を表示)学校を休みがちでした。はい、どうぞ!」
Sコーラス「学校を休みがちでした」
T「学校を休むことが多かったです、という意味です」
(接続の形を表示)
T「形は?」
S「名詞・がち、動詞マス形・がち」
T「そうです。よく何々しました。何々することが多かったです。だから大変でした、という意味です。


【スライド2】



T「[がち]の使い方をもう少し勉強しましょう。皆さんは自分で食事を作りますか」
S「自分で作ります」「外で食べます」
T「私は学生のころ、外で食べることが多かったです」
《ラーメン、ハンバーガー、牛丼、焼肉》
S「ラーメン」「ハンバーガー」「牛丼」「焼肉」
T「外で食べることを何といいますか」
S「外食」
T「そうです。(文字)外食です。外食が多いです。(文字)外食が多いと…どうなりますか」
S「・・・」
《野菜》
S「野菜!」「野菜が足りません」
T「そうです。野菜が足りません。[がち]を使いましょう」
S「野菜が足りない…がち…?」
T「[がち]の前はマス形です。足りないがち…はダメです。足りません、違う言い方は?」
S「不足します」
T「いいですね。(文字)不足します。[がち]を使って!」
S「不足しがちです」
T「そうです。外食が多いと、野菜が不足しがちです。(文字)どうぞ!」
Sコーラス「外食が多いと、野菜が不足しがちです」
T「野菜が不足することが多いです。だから心配です、という意味です」


【スライド3】



T「[がち]の使い方をもうひとつ勉強しましょう。みなさんはスマホを持っていますね?」
S「持っています」
T「スマホで何をしますか」
S「メールします」「YouTubeを見ます」「音楽を聞きます」
《スマホの画面を見ている》
T「みなさんはいつもスマホを見ています。前に勉強した[ばかり]を使って言ってください」
S「スマホばかり見ています」「スマホを見てばかりいます」
T「OK。いいですね。(文字)スマホばかり見ていると…どうなりますか」
《疲れ目》
S「目が疲れます」
《目の検査》
S「目が悪くなります」
T「(文字)悪くなります。[がち]を使って!」
S「悪くなりがちです」
T「そうです。スマホばかり見ていると、(文字)目が悪くなりがちです。どうぞ!」
Sコーラス「スマホばかり見ていると、目が悪くなりがちです」
T「目が悪くなることが多いです。だから心配です、という意味です。[がち]はいいことに使いますか。よくないことに使いますか」
S「よくないことに使います」
T「そうです。[がち]は、大変ですとか、心配ですとか、よくないことに使います。覚えておいてください」


(「日本語の授業・実況中継 1-2」に続く)

みんな仲よく

2021年03月29日 | 日本語教師
久しぶりに気合を入れて作った「和」のカードです。



同じデザインで色を変えて全部で20枚。
1週間ぐらいかけて完成させました。

作り方はいたって簡単。
型紙に合わせてカッターナイフで切り取った「和」の文字と花を、接着剤でくっつけていくだけです。



ただし、出来上がりのサイズが5.5cm四方なので、かなり細かい作業にはなりますね~。

でも大丈夫!
元来こういうの、嫌いじゃないんです。
しかも、大好きな人のためとあれば、力が湧いてきます。

そう、これは、前回の記事「お菓子ブーケ」に登場する学生たちのために作ったものです。
卒業式の2日前、僕が担当する最後の授業の日にプレゼントしました。
このカードに込めた思いを伝えながら…

「みんな仲よくしましょう。そうすればきっときれいな花が咲きます!」
(*^^*)

お菓子ブーケ

2021年03月25日 | 日本語教師


これ、「お菓子ブーケ」って言うんですね。
先日、日本語学校の卒業式で、担当していたクラスの学生たちにもらったものです。
もらうのも、見るのも初めてで、
「へえ~、なかなかよく考えたなぁ~」
と感心していたのですが、家に持ち帰って、改めてよく見てみると…



どの花(=お菓子)にもちゃんと茎(=串)がついています。
学生たちがひとつひとつ丁寧にセロハンテープでくっつけている姿を想像したら、「感心」が「感動」に変わり、胸が熱くなりました。

お菓子ブーケの他にも、
「えーっ、こんな素敵な〇〇、ホントに僕がもらっていいの?」
というようなプレゼントがいっぱいで、ありがたいやら、申し訳ないやら…。
今もまだ感激の余韻が消えません。

本来は自分たちが主役のはずなのに、
「どうしたら先生が喜んでくれるかな?」
と、自分以外の誰かのことを一生けんめい考えることのできる人。

そんな彼らに出会えた幸せをかみしめながら、再びこの歌を歌います。
\(^o^)/

ありがとうを君に